今日は「飛鳥時代の歌人」について楽しく学んでいきましょう。
飛鳥時代と聞くと「昔のことだから難しそう…」と思うかもしれませんね。でも、実はこの時代に活躍した歌人たちは、私たちが学校で習う和歌や百人一首にも登場する人が多いんです。
この時代の歌は、ただの詩ではありません。「恋愛」「政治」「戦い」など、さまざまな思いが込められています。例えば、恋の三角関係を歌にしたものや、天皇が農民の苦労を思って詠んだ歌もありますよ。
では、飛鳥時代に活躍した歌人たちの一覧を見ながら、それぞれの特徴や有名な歌を詳しく解説していきます。
飛鳥時代の歌人一覧とその代表作を徹底解説

飛鳥時代には、後の奈良・平安時代に続く日本の歌文化の土台を築いた歌人が活躍しました。彼らの歌は『万葉集』に収録され、現代の和歌や短歌のルーツとなっています。
まずは、飛鳥時代の代表的な歌人を見ていきましょう!
飛鳥時代の歌人一覧表:名前・代表作・特徴
飛鳥時代の代表的な歌人を一覧にまとめました。それぞれの特徴や代表作を見ながら、どんな人物だったのかもチェックしましょう!
| 歌人名 | 代表作 | 特徴 |
|---|---|---|
| 額田王(ぬかたのおおきみ) | 「あかねさす 紫野行き標野行き…」 | 天智天皇と天武天皇の間で揺れた宮廷歌人 |
| 天智天皇(てんじてんのう) | 「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ…」 | 百人一首の1番目の歌人としても有名 |
| 天武天皇(てんむてんのう) | 「大君は 神にしませば…」 | 壬申の乱を制し、日本の律令制度を作った |
| 柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) | 「あしひきの 山鳥の尾の…」 | 万葉集を代表する「歌聖」と称された歌人 |
| 持統天皇(じとうてんのう) | 「春過ぎて 夏来にけらし…」 | 飛鳥時代の女性天皇として国を治めた |
| 大津皇子(おおつのみこ) | 「ももづたふ 磐余の池に…」 | 天武天皇の皇子で、悲劇の最期を遂げた |
| 大伯皇女(おおくのひめみこ) | 「うつそみの 人にある我れや…」 | 兄・大津皇子を思い、哀しみの歌を詠んだ |
飛鳥時代の歌人とは?その特徴と役割
飛鳥時代の歌人は、ただの詩人ではありませんでした。彼らは天皇や貴族と深く関わり、「和歌を通じて気持ちを伝える」役割を担っていたのです。
例えば、額田王(ぬかたのおおきみ)は、宮廷の中で活躍し、恋愛や政争を和歌に詠みました。また、天智天皇や天武天皇は、政治の場面で和歌を活用し、国民にメッセージを送ることもありました。
飛鳥時代の和歌には、次のようなテーマが多く見られます。
- 恋愛:「あの人に会いたい!」という気持ちを込めた歌
- 自然:山や川、月や花を詠んだ美しい歌
- 政治:国を治める者としての決意を表す歌
このように、和歌は飛鳥時代の人々にとって、言葉だけでは伝えきれない思いを表現する大切な手段だったのです。
飛鳥時代の和歌の特徴とは?他の時代とどう違うのか
飛鳥時代の和歌には、後の奈良・平安時代とは異なる特徴があります。大きなポイントは以下の3つです。
- 枕詞(まくらことば)が多用される
→ 例:「あしひきの(山)」「あかねさす(紫)」など、決まった言葉を使うことでリズムを整え、美しく表現する技術。 - 長歌(ちょうか)が詠まれる
→ 奈良時代以降の短歌(五七五七七)が主流になる前は、長歌(五七五…五七七)がよく詠まれていました。 - 政治的メッセージが込められる
→ 天皇や貴族が詠んだ歌には、国の安定や民衆への想いが込められました。例えば、天智天皇の「秋の田の…」の歌は、農民の暮らしを思いやる気持ちが表れています。
飛鳥時代の和歌は、形式的な美しさだけでなく、その背景にある感情やメッセージを読み取ることが大切なのです。
飛鳥時代の歌人と「万葉集」の関係を解説
『万葉集』は奈良時代後半(8世紀後半)に編纂された日本最古の和歌集ですが、その中には飛鳥時代の歌人たちの作品が数多く収録されています。
特に、額田王(ぬかたのおおきみ)、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)、持統天皇(じとうてんのう)といった歌人たちの和歌は、万葉集の中でも重要な位置を占めています。
『万葉集』の大きな特徴は、庶民から貴族、天皇に至るまでの幅広い層の歌が収められていることです。飛鳥時代は、ちょうど和歌が貴族の間で盛んになり始めた時期であり、その影響を受けた奈良時代に『万葉集』として集約されたのです。
飛鳥時代の歌人一覧の後に:有名な和歌とその背景

飛鳥時代の和歌は、単なる詩ではなく、歴史的な背景や歌人の想いが込められています。ここでは、代表的な和歌をいくつか紹介し、それぞれの歌が詠まれた背景や意味について詳しく解説していきます。
飛鳥時代の代表的な和歌とその意味
飛鳥時代の有名な和歌を見てみましょう。これらの歌は、当時の天皇や貴族が詠んだもので、歴史的な出来事や感情が色濃く表れています。
①額田王(ぬかたのおおきみ)の歌
「あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」(万葉集 巻1-20)
▶意味
「紫草の咲く野へ行き、標(しめ)のついた野へ行くと、野を守る人が見ているでしょうか?あなたが袖を振るのを。」
▶背景
この歌は、額田王が天智天皇の前で詠んだとされています。彼女はかつて天武天皇(大海人皇子)の恋人でしたが、後に天智天皇のもとへ行ったとされます。この歌は、大海人皇子への未練や恋心を表しているとも言われており、飛鳥時代の宮廷恋愛を象徴する一首です。
②天智天皇(てんじてんのう)の歌
「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露にぬれつつ」(百人一首1番)
▶意味
「秋の田の稲を刈るための仮小屋、その屋根の苫が粗いので、私の袖は夜露に濡れてしまう。」
▶背景
天智天皇は飛鳥時代の政治を担った人物ですが、この歌は天皇が農民の苦労を思いやる気持ちを表したものとされています。農作業をする人々の生活に寄り添う姿勢を示したことで、民からの信頼を得ようとしたのでしょう。
③柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)の歌
「あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む」(万葉集 巻3-310)
▶意味
「山鳥の長く垂れた尾のように、今夜は長い夜になりそうだ。私はひとり寂しく寝ることになるのだろうか。」
▶背景
柿本人麻呂は、飛鳥時代の代表的な歌人で、万葉集では「歌聖」として称えられます。この歌は、遠くにいる恋人を想いながら詠んだもので、和歌における「寂しさ」や「孤独」を表現した名作として知られています。
飛鳥時代の和歌のリズムと美しさとは?
飛鳥時代の和歌には、独特のリズムと美しさがあります。特に注目すべきポイントを3つ紹介しましょう。
- 「五七五七七」のリズムが定着し始めた
- 短歌の基本的な形がこの時代に確立されました。リズムが良く、口に出して読みやすいのが特徴です。
- 枕詞(まくらことば)がよく使われる
- 例えば「あしひきの(山)」「たまくしげ(箱)」「ちはやぶる(神)」など、特定の言葉を導く役割を持つ言葉がよく使われました。
- 比喩表現が豊か
- 「山鳥の尾の長さ=夜の長さ」のように、自然を使った比喩が多く、感情を表現する技術が磨かれていました。
このように、飛鳥時代の和歌には、今でも美しいと感じられる要素がたくさんあるのです。
和歌を覚える語呂合わせ&テスト対策ポイント
和歌を暗記するのが苦手な人のために、簡単に覚えられる語呂合わせを紹介します。
語呂合わせで覚えよう!
- 「アカネさす、ムラサキの君が、ヒメ歌う(額田王)」
→ 額田王の有名な歌「あかねさす 紫野行き…」を覚えるための語呂合わせ。 - 「アキの田の 苫あらくして 天智の袖」
→ 天智天皇の「秋の田の…」の歌をイメージしやすくする語呂合わせ。
テストで押さえておくべきポイント
- 代表的な歌人の名前と代表作をセットで覚える!
- 例:「額田王 → あかねさす紫野行き」
- 枕詞の意味を理解する!
- 例:「あしひきの(山)」→ 山に関する歌によく登場する。
- 歴史的背景とセットで学ぶ!
- 例:「天智天皇の和歌は、農民への思いやりを示したもの」
これらのポイントを押さえておけば、テストでもしっかり得点できますよ!
飛鳥時代の和歌と現代の短歌との違い
飛鳥時代の和歌と、現代の短歌を比較すると、次のような違いがあります。
| 項目 | 飛鳥時代の和歌 | 現代の短歌 |
|---|---|---|
| 形式 | 長歌・短歌が混在 | 短歌(五七五七七)が主流 |
| 言葉 | 古語が多い | 現代語で表現される |
| 内容 | 天皇や貴族の想いが中心 | 個人の感情や日常を表現 |
このように、和歌は時代とともに進化し、現代短歌として受け継がれているのです。
総括:飛鳥時代の歌人一覧まとめ
最後にもう一度、飛鳥時代の歌人一覧まとめを残しておきます。
| 歌人名 | 代表作 | 特徴 |
|---|---|---|
| 額田王(ぬかたのおおきみ) | 「あかねさす 紫野行き標野行き…」 | 天智天皇と天武天皇の間で揺れた宮廷歌人 |
| 天智天皇(てんじてんのう) | 「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ…」 | 百人一首の1番目の歌人としても有名 |
| 天武天皇(てんむてんのう) | 「大君は 神にしませば…」 | 壬申の乱を制し、日本の律令制度を作った |
| 柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) | 「あしひきの 山鳥の尾の…」 | 万葉集を代表する「歌聖」と称された歌人 |
| 持統天皇(じとうてんのう) | 「春過ぎて 夏来にけらし…」 | 飛鳥時代の女性天皇として国を治めた |
| 大津皇子(おおつのみこ) | 「ももづたふ 磐余の池に…」 | 天武天皇の皇子で、悲劇の最期を遂げた |
| 大伯皇女(おおくのひめみこ) | 「うつそみの 人にある我れや…」 | 兄・大津皇子を思い、哀しみの歌を詠んだ |
