私たちの身の回りにある電化製品には「コード」や「ケーブル」が必ずと言っていいほど使われています。しかし、意外とこの2つの違いを正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
「細いものがコード?」「太いのがケーブル?」といった曖昧な認識のまま使っている方も多いはずです。
本記事では、コードとケーブルの明確な違いを定義・構造・使い道などの観点から丁寧に解説します。さらに、例文を使って使い方も具体的に紹介し、関連する電線用語まで幅広く解説していきます。
この記事を読めば、日常生活でも業務でも、正しく使い分けができるようになります。
コードとケーブルの違い!定義・構造・使い方を比較

コードとケーブル、どちらも日常でよく見かける電線ですが、「具体的にどう違うの?」と疑問に感じたことはありませんか?ここでは、両者の構造や用途、特徴などを比較しながら、その違いを明確に解説していきます。
表や具体例を交えながら、初心者でも理解しやすいように丁寧にご紹介します。
コードとケーブルの意味の違い比較表
まずは、コードとケーブルの違いを一目で理解できるよう、構造・用途・耐久性などの観点から比較表を作成しました。
項目 | コード | ケーブル |
---|---|---|
構造 | 単芯または少数芯の導体に絶縁被覆のみ | 複数の絶縁電線を束ね、外装シースで覆う |
柔軟性 | 高い(可とう性あり) | 低い(耐久性重視) |
耐久性 | やや弱い(移動用途に適す) | 高い(固定配線や外部配線に適す) |
使用場所 | 主に屋内(家庭用電化製品など) | 屋内外両用(建物配線・電力供給など) |
許容電流 | 小(数A~十数A) | 大(数十A以上も可) |
固定配線の可否 | 不可(内線規程で禁止) | 可(VVFなど屋内固定配線で使用) |
用例 | 掃除機、延長コード、イヤホンなど | LANケーブル、VVF、キャブタイヤケーブルなど |
このように、コードとケーブルは見た目だけでなく、内部構造や用途、性能にもはっきりとした違いがあります。
コードとは?意味・構造・使い道
「コード」とは、電源や信号を伝えるための細くて柔らかい電線を指します。主に家庭用の電気製品で使われるもので、柔軟性があり、移動や取り外しが容易なのが特徴です。たとえば、掃除機やテレビ、スマートフォンの充電器などが代表例です。
構造としては、撚り合わされた細い銅線(導体)をゴムやビニールなどの絶縁体で覆ったもので、製品によってはさらに保護被覆が施されている場合もあります。一般的に「VFFコード」や「VCTFコード」など、型番付きで流通しています。
コードは主に「可とう性」に優れ、使用中に何度も曲げたり引っ張ったりする環境でも使いやすく、軽量かつ取り回しの良さが評価されています。ただし、耐久性や防水性に乏しいため、固定配線や屋外使用には不向きです。
ケーブルとは?意味・構造・特徴
「ケーブル」とは、複数の絶縁電線を束ね、さらに外装(シース)で全体を覆った電線のことを指します。コードよりも構造が強固で、耐久性・耐候性・耐熱性に優れており、主に屋外や建築物の内部、産業機器の配線などで使用されます。
内部には複数の芯線(導体+絶縁体)があり、それらを束ねて強固なビニルやゴム製のシースで保護します。代表的な製品に「VVFケーブル」や「CVケーブル」「VCTケーブル」などがあり、いずれも配線工事に使われることが多いです。
ケーブルは、建物の固定配線や重機・インフラ向けの配線など、長期的な使用が求められる場所で活躍します。許容電流も大きく、構造がしっかりしているため、感電や断線のリスクも低減されます。
コードの使い方がわかる例文5選
コードは私たちの生活に密着した電線です。以下のような例文で使われる場面が多く見られます。
- 掃除機のコードをコンセントまで伸ばして使った。
- 充電器のコードが断線してスマホが充電できない。
- 延長コードを使ってベッドサイドに電源を引いた。
- ノートパソコンの電源コードをバッグにしまった。
- テレビのコードが絡まって片付けにくい。
このように、コードは可動性が求められる製品で使われることが多く、柔軟性や扱いやすさが重視されます。
ケーブルの使い方がわかる例文5選
ケーブルは建物の内部や屋外の電気設備などで広く使われています。以下の例文で、その使い方を確認してみましょう。
- 天井裏にVVFケーブルを通して照明の配線を行った。
- ネットワーク工事でLANケーブルを敷設した。
- エアコンの配線に使用されているのはCVケーブルです。
- 工場内の制御装置にはVCTケーブルが使用されている。
- 電信柱から引き込まれるケーブルを屋外で確認した。
これらの例文からも分かる通り、ケーブルは高耐久性が必要な場所や、固定された配線に使用されることが一般的です。
コードとケーブルの違いの後に:電線・配線に関する基礎知識

コードとケーブルの違いを理解したら、次に押さえておきたいのが、周辺用語の理解と製品選びのポイントです。実際の現場では「ワイヤー」「電線」「ハーネス」などの類義語が登場し、それぞれ異なる特性を持ちます。また、用途に応じた製品の選び方を知っておくことで、安全性や作業効率にもつながります。
以下では、電線・配線に関する知識を広げるための基本的なポイントを解説します。
電線・ケーブル・コード・ワイヤーの違い
似たような言葉として使われがちな「電線」「ケーブル」「コード」「ワイヤー」ですが、それぞれ定義が異なります。
- 電線:電気を通すための導体を、絶縁体で被覆したものの総称。最も広義的な用語です。
- コード:電線の一種で、柔軟性が高く、小型家電など可動用途に用いられます。
- ケーブル:複数の電線(電気を通す線)を束ねて外装(シース)で保護したもの。構造が強固で、屋外や固定用途に適しています。
- ワイヤー:金属製の裸線または絶縁されていない導体。電気を通さない針金状のものも含み、構造物の補強などにも使用されます。
用途や安全性の観点から、それぞれを使い分けることが重要です。
コードとケーブルの使い分け方ガイド
コードとケーブルは使用場所によって適した種類が異なります。ここでは具体的な使い分け方を紹介します。
家庭用(屋内)で使うなら:
- VFFコード:ビニル平行コード。照明器具や電源コードなど柔軟性が求められる場面に。
- VCTFコード:ビニルキャブタイヤ丸型コード。テーブルタップや電気ポットなどに使用されます。
屋外・建物配線で使うなら:
- VVFケーブル:ビニル絶縁ビニルシースケーブル。住宅の天井裏や壁中の固定配線に適します。
- CVケーブル:屋外用や建物の主幹線に。架橋ポリエチレンによる高い絶縁性が特徴です。
環境や用途に合った製品を選ぶことで、トラブルを防ぎ、長期的な安定使用が可能になります。
キャブタイヤケーブルやVCTFコードとは
電線製品には、用途や構造ごとに型番が付与されています。以下によく使われる製品の特徴を紹介します。
- VCTケーブル:ビニルキャブタイヤケーブル。600Vまで対応、移動用途でも耐久性が高い。
- VCTFコード:VCTの300V版。柔らかく取り扱いやすいが、使用電圧は低め。
- VFFコード:家庭用の平行ビニルコード。安価で柔らかく、主に家庭内電源用。
- CVケーブル:屋外向けで耐熱性に優れ、大電流にも対応可能。
- VVFケーブル:住宅の屋内配線の定番。形状が平型で施工しやすく、15A程度まで対応可能。
型番を見るだけで、使用環境や性能が一目で把握できるため、製品選定時には必ず確認しましょう。
PSEマークとは?電気用品安全法に基づく電線の基準
電線を選ぶ際にチェックすべき重要なマークが「PSEマーク」です。これは経済産業省が定める「電気用品安全法(PSE法)」に基づく安全基準に適合していることを示すものです。
- 対象となる製品:家庭用電気機器、延長コード、照明器具など。
- 表示義務:対象製品にはPSEマークの表示が義務づけられており、表示がない場合は販売できません。
- PSEの種類:丸形(特定電気用品)とひし形(その他の電気用品)の2種類があります。
特に家庭で使用するコード類については、PSEマークの有無を確認することで、安全な製品を選ぶ目安となります。
電線選びで失敗しないためのチェックポイント
最後に、配線のプロが現場で実践している電線選びのポイントを紹介します。以下の要素を確認することで、トラブルのない配線作業が実現できます。
- 許容電流:使用機器の消費電流に応じて、余裕を持った定格の電線を選びましょう。
- 使用環境:屋外・高温・可動部など、使用場所の条件に合った製品を選定。
- 柔軟性:コードや可とうケーブルなど、動きの多い部分には柔らかさが重要です。
- 絶縁性・耐熱性:長時間の通電や高温になる場所では、対応温度の高い素材を選びましょう。
- 法令遵守:電気用品安全法やJIS規格への適合もチェックすべきポイントです。
これらの点を意識することで、安全性はもちろん、メンテナンスのしやすさや長寿命化も期待できます。
総括:コードとケーブルの違いまとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
項目 | コード | ケーブル |
---|---|---|
構造 | 単芯または少数芯の導体に絶縁被覆のみ | 複数の絶縁電線を束ね、外装シースで覆う |
柔軟性 | 高い(可とう性あり) | 低い(耐久性重視) |
耐久性 | やや弱い(移動用途に適す) | 高い(固定配線や外部配線に適す) |
使用場所 | 主に屋内(家庭用電化製品など) | 屋内外両用(建物配線・電力供給など) |
許容電流 | 小(数A~十数A) | 大(数十A以上も可) |
固定配線の可否 | 不可(内線規程で禁止) | 可(VVFなど屋内固定配線で使用) |
用例 | 掃除機、延長コード、イヤホンなど | LANケーブル、VVF、キャブタイヤケーブルなど |