「第一薬科大学ってやばいのでは?」

そんな不安を抱えてこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。SNSや掲示板、口コミサイトなどで「Fラン」「恥ずかしい」「金持ちしか通えない」などの噂が目立ち、不安になる気持ちはよく分かります。

しかし、実際のデータや卒業生の声、国家試験の合格実績などを確認してみると、そのような一面的な評価では語れない一面もあることが見えてきます。

本記事では「第一薬科大学はやばい?」という疑問を出発点に、偏差値、進級率、学費、就職率などの事実をもとに、誤解や先入観を徹底的に検証します。

第一薬科大学はやばい?恥ずかしい?評判の真相

第一薬科大学が「やばい」と言われる理由には、いくつかの明確な背景があります。特に学力面や進級の難しさ、学費の高さなどがネガティブに語られがちです。しかし、実際には薬剤師国家試験の合格率が非常に高いなど、見逃せない長所も存在します。

ここでは、その評判の実態にデータを交えて迫っていきます。

第一薬科大学が「やばい」と言われる理由

第一薬科大学が「やばい」と言われる理由の大きな要因は、偏差値の低さと進級・卒業率の厳しさです。

SNSや5ちゃんねるでは、「入るのは簡単だけど出るのが難しい」「留年が多すぎる」といった書き込みが散見されており、学力層の低さに加えて大学生活の厳しさが話題になっています。

特に注目されているのは、全国でも最低水準とされる偏差値と、極端に低い進級率・卒業率です。以下の表に、実際のデータをまとめました。

指標数値備考
偏差値(薬学部)35.0漢方薬学科・薬学科:河合塾より
偏差値(薬科学科)BF(ボーダーフリー)進学者全入の可能性
進級率49.0%引用:清光進級学院
卒業率27.2%6年間での卒業者割合

このように、入学時のハードルは非常に低い一方で、在学中の学業は非常に厳しく、多くの学生が途中で留年や退学を余儀なくされている実態があります。このギャップが「やばい」と評される最大の理由といえるでしょう。

偏差値が低すぎてBF?第一薬科大学の入試難易度

第一薬科大学は、「誰でも入れるのでは?」とネットで話題にされるほど、入試難易度が低い大学として知られています。実際、2025年度の偏差値データでは、薬学部の一部学科と看護学部において「BF(ボーダーフリー)」とされており、偏差値が測定不能、すなわち定員割れが常態化していることを意味します。

共通テスト得点率も40〜42%と全国の大学の中でも低い水準にあります。以下に、第一薬科大学の最新の偏差値および共通テスト得点率をまとめました。

学部学科偏差値共通テスト得点率
薬学部漢方薬学科35.040%(80/200)
薬学部薬学科35.040%(80/200)
薬学部薬科学科-医療データ科学35.040%(80/200)
薬学部薬科学科-生命医科学BF42%(84/200)
看護学部看護学科BF41%(123/300)

引用:スタディサプリ進路

このような偏差値帯は、他の薬科大学と比較しても最下位クラスに該当します。入試でのハードルが低いことは、進学の選択肢としての敷居を下げるメリットもありますが、一方で目的意識が希薄なまま入学する学生も少なくないため、結果的に進級率や卒業率の低下につながっていると指摘されています。

学力だけでなく、入学後の学習モチベーションが求められる環境といえるでしょう。

「留年率・卒業率がひどい」は本当?進級の壁とは

第一薬科大学が「やばい」と言われる背景のひとつに、極端に低い進級率と卒業率があります。令和6年5月1日時点の大学公式データによれば、薬学部(6年制)での標準修業年限内の卒業率は32.4%とされており、入学者182人中、わずか59人しか6年間で卒業できていないことが判明しています。

また、国家試験合格者は53人と、入学者全体の29.1%にとどまっており、卒業後の進路にも大きな影響を及ぼしています。

以下に、平成30年度入学生の進級・卒業データをまとめます。

年次進級者数(人)留年・中退者数(推定)進級率(目安)
1年→2年162 / 18220約89.0%
2年→3年139 / 16223約85.8%
3年→4年131 / 1398約94.2%
4年→5年124 / 1317約94.7%
5年→6年110 / 12414約88.7%
6年卒業59 / 110(標準年限内)51約53.6%

引用:第一薬科大学公式

卒業延期者(留年者)を含めた6年次の在籍者数は173名で、そのうち卒業できたのは117人。つまり、卒業留年率は32.4%にも達しています。これは全国の薬科大学の中でもワースト水準に近い数字です。

やばいのはイメージだけ?国家試験合格率は高い水準

第一薬科大学の「やばい」というイメージは、偏差値や進級率の低さに由来する部分が大きいですが、実は卒業後に挑戦する薬剤師国家試験の合格率には、驚くほどの強さが見られます。

2025年3月に実施された第110回薬剤師国家試験において、第一薬科大学の新卒者合格率は81.25%(受験者48名中39名合格)と、全国平均の69.18%をしっかりと上回る結果となりました。

以下は、直近5年間の新卒合格率の推移です。

回次年度新卒受験者数合格者数合格率
第110回令和7年48名39名81.25%
第109回令和6年64名58名90.63%
第108回令和5年50名47名94.00%
第107回令和4年39名37名94.87%
第106回令和3年38名30名78.95%

引用:第一薬科大学公式サイト

このように、入学時の偏差値がBF〜35.0と最低水準であっても、厳しい進級制度を乗り越えて卒業した学生の実力は高く、国家試験でもその成果が現れています。なお既卒者の合格率は毎年30%前後と低水準で推移しており、在学中にしっかり学び切ったことが、合格の大きな鍵になっていると言えるでしょう。

つまり「やばい大学」という表面的な評価とは裏腹に、卒業できた学生の質は全国平均以上。この事実は、第一薬科大学の教育体制が「厳しいが、結果を出す」タイプのものだと証明しています。

校舎が古い・立地が微妙?学習環境とキャンパス事情

第一薬科大学に関しては、「校舎が古くてやばい」「設備が時代遅れ」などのネガティブな意見も見受けられます。実際、老朽化の目立つ建物もあり、最新のキャンパスと比べれば見劣りする部分は否定できません。しかし、それが学習の質に直結するわけではありません。加えて、立地に関してはむしろ好条件といえるポイントも存在します。

キャンパスの基本情報は以下の通りです。

項目内容
所在地福岡県福岡市南区玉川町22番1号
最寄駅西鉄天神大牟田線「大橋駅」
駅からの距離徒歩約7分
都心までの所要時間天神まで電車で約10分
周辺環境住宅地+幹線道路沿いでやや騒音あり
校舎設備一部老朽化あり、随時改修中

大橋駅から徒歩7分というアクセスは非常に利便性が高く、天神や博多といった福岡中心部への移動もスムーズです。また、近隣にはスーパーや飲食店も多く、学生生活に必要な環境はおおむね整っています。

確かに最新の設備を誇るキャンパスと比べれば劣る点もありますが、薬学という専門性の高い分野を学ぶ場としては機能性を備えた学習環境といえるでしょう。印象だけにとらわれず、実際に訪れて確認することが賢明です。

第一薬科大学Fランで金持ちしか無理でやばい?学費と就職先

第一薬科大学に関するもう一つの“やばい”イメージは、「学費が高すぎる」「経済的に余裕がないと通えない」というものです。また、都築学園グループの系列校としての評判や、就職先の質にも注目が集まっています。ここでは、学費の現実や進学後のキャリアパスについて詳しく見ていきます。

私立薬科大の中でも学費は高い?年間費用を比較

第一薬科大学は、私立の薬科大学の中でも比較的学費が高額な部類に入ります。とくに6年制の薬学部(薬学科・漢方薬学科)は、初年度だけで約201万円、6年間で1,200万円近くに達する計算となり、薬剤師を目指す学生にとっては大きな経済的負担となりえます。また、4年制の薬科学科や看護学部もそれぞれ高めの設定がなされています。

以下に、2024年度(令和6年度)入学生向けの学費一覧をまとめました。

学部・学科入学金授業料施設充実費教育充実費初年度合計
薬学部(薬学科・漢方薬学科)300,000円1,400,000円160,000円150,000円2,010,000円
薬学部(薬科学科)300,000円950,000円150,000円150,000円1,550,000円
看護学部200,000円1,000,000円200,000円300,000円1,700,000円

引用:第一薬科大学公式サイト

薬学部(6年制)を6年間在籍した場合の総額は約1,200万円にのぼります。これは他の私立薬科大学と比較しても決して安くはありませんが、特待生制度による減免措置も存在するため、経済的に不安がある場合は制度利用の検討が必要です。

学費の高さは「やばい」と評される一因ですが、裏を返せばそれだけ教育設備や実務実習、研究環境にコストをかけているとも言えるでしょう。費用に見合う学びが得られるか、事前によく検討することが大切です。

金持ちじゃないと通えない?学費負担と奨学金事情

第一薬科大学は、6年制薬学部で6年間に総額1,200万円近くかかるため、「裕福な家庭向けの大学では?」との声も少なくありません。たしかに初年度は200万円を超える納入が必要であり、経済的負担は重めです。ただし、第一薬科大学では経済的な支援制度も整備されています。

以下に代表的な奨学金・支援制度をまとめました。

支援制度内容備考
日本学生支援機構奨学金(第一種・第二種)貸与型(月額20,000円~120,000円)成績・収入基準あり
給付型奨学金(JASSO)月額38,300円~75,800円(地域・通学形態で変動)採用枠に限りあり
特待生制度授業料・施設費・教育充実費を最大全額免除成績優秀者限定(定員あり)
高等教育の修学支援新制度(授業料減免+給付型奨学金)国の制度に基づき支援世帯年収目安約270万円未満で全額免除対象に

上記のように、奨学金制度は多岐にわたりますが、いずれも申請条件や成績基準があるため、誰でも利用できるわけではありません。特に入学初年度の費用は一括納入が原則のため、家計に余裕がない家庭では大きな壁となるのが現実です。

第一薬科大学の就職先はやばくない?主な進路と実績

第一薬科大学は「やばい」といわれることもありますが、実際の就職実績を見るとその印象とは大きく異なります。2023年度(2023年4月~2024年3月)卒業生のキャリアデータによると、薬学部では卒業者117名のうち就職希望者79名全員が就職を果たし、進学者も3名にのぼります。

また、看護学部においても卒業者70名のうち66名が就職希望者であり、全員が内定を獲得。進学者も1名存在しており、全体として極めて高い進路充足率を誇っています。

以下は、主な就職先の一覧です。

学部卒業者数就職希望者数就職者数進学者数
薬学部117名79名79名(100%)3名
看護学部70名66名66名(100%)1名
学部主な就職先(抜粋)
薬学部大信薬局(6名)、ウエルシア薬局(4名)、アインホールディングス(4名)、JCHO九州病院、アガペ、大賀薬局、新行橋病院、野間薬局、福神調剤薬局、福岡新水巻病院など
看護学部九州大学病院、杏林大学医学部附属病院、久留米大学病院、佐賀大学医学部附属病院、産業医科大学病院、昭和大学病院、順天堂大学医学部附属浦安病院、日本医科大学付属病院、福岡赤十字病院、九州中央病院など

引用:パスナビ

薬局チェーンから国公私立の大学病院まで、進路の幅は広く、就職先の質も決して劣っていません。高い就職率と安定した進路実績から、「やばい」というイメージがいかに先入観に過ぎないかが明らかです。

卒業後のキャリアに不安を抱く必要はなく、しっかりと努力すれば十分に希望する進路を実現できる大学といえるでしょう。

系列校はやばい大学ばかり?都築学園グループの評判

第一薬科大学は、九州を中心に複数の大学や専門学校を展開する「都築学園グループ」に属しています。同グループの大学には、第一工科大学、日本経済大学、横浜薬科大学などがあり、いずれも偏差値が40前後とされることから「Fラン」と評されるケースも少なくありません。SNSや掲示板では「都築グループはやばい大学が多い」といった先入観が語られがちです。

以下に、主要な系列大学の情報を表でまとめました。

大学名所在地主な学部偏差値(目安)特徴
第一薬科大学福岡県薬学・看護35.0~37.56年制薬学部、国試対策が充実
横浜薬科大学神奈川県薬学35.0~37.5学生数2,000名超、就職率高め
第一工科大学鹿児島県工学35.0離島留学支援あり、観光工学に注力
日本経済大学福岡県 他経済・経営・グローバル35.0~42.5アジア圏留学生多数、評判は賛否あり

確かに偏差値面では高い評価は得にくいグループですが、薬剤師や看護師、エンジニア、企業人材の育成など、国家資格や専門分野に特化した実務教育体制は整っており、真面目に学ぶ学生にとっては十分に活用できる環境です。

第一薬科大学が向いている人とは?進学の判断基準

第一薬科大学は、偏差値が高くなくても薬剤師を目指せる数少ない選択肢のひとつとして知られています。偏差値帯は35.0~37.5(マナビジョン2025)と全国的に見ても低めですが、それゆえ「受かりやすい=卒業しやすい」と誤解されることもあります。しかし、実際には進級・卒業には厳しい基準が課されており、勉強についていけずに留年・中退する学生も少なくありません。

以下に、第一薬科大学に向いている学生・向いていない学生の傾向を表にまとめました。

タイプ向いている向いていない
学力現時点で学力に自信がなくても、努力する意志がある人学力不足で、勉強への意欲も低い人
学費への姿勢高額な学費を家族と協力して負担できる人奨学金の仕組みや費用に無頓着な人
将来の目標国家資格取得・医療従事者としての使命感がある人「なんとなく薬剤師になりたい」程度の動機の人
継続力計画的にコツコツ勉強できるタイプ試験直前だけ勉強する習慣の人

薬学部は6年制であり、長期間の通学に加え、国家試験合格を前提としたカリキュラムが待ち構えています。学費も総額で1,200万円前後(2025年度薬学科6年間)と高額であり、家計や本人の覚悟が問われます。

したがって、第一薬科大学は「誰でも行ける大学」ではなく、「自ら学ぶ意欲がある人に門戸を開いている大学」と言えるでしょう。進学の判断では、入学のしやすさだけでなく、卒業までやり遂げる覚悟と継続的な努力ができるかをしっかり見極める必要があります。

総括:第一薬科大学はやばい?恥ずかしいFラン?まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 偏差値・進級率の低さから「やばい」と言われるが、国家試験合格率は高い
    • 偏差値は35.0またはBFで全国最下位レベル
    • 進級率49%、卒業率27.2%と厳しい進級基準が特徴
    • 国家試験合格率は毎年80〜90%以上で全国平均を上回る
  • 入試は易しいが、卒業は非常に難しい
    • 共通テスト得点率は40〜42%前後
    • 入学はしやすいが、目的意識と努力がないと卒業困難
  • キャンパス設備は古いが立地は良好
    • 福岡市内・大橋駅から徒歩7分でアクセスは良い
    • 校舎は老朽化もあるが、改修中で学習機能は十分
  • 学費は高額で、金銭的負担が大きい
    • 薬学部(6年制)は6年間で約1,200万円
    • 奨学金や特待制度、修学支援制度あり
  • 就職率は非常に高く、進路も安定
    • 薬学部・看護学部ともに就職希望者は全員内定
    • 就職先は大手薬局や大学病院など多岐にわたる
  • 系列の都築学園グループも低偏差値だが専門性は高い
    • 日本経済大学、第一工科大学、横浜薬科大学などが系列
    • 専門分野特化で資格取得支援は充実
  • 向いているのは「努力できる」「目的意識がある」学生
    • 学力に不安があっても継続的に学ぶ姿勢があれば適性あり
    • 「とりあえず入学」は留年・中退リスクが高く不向き