「受験」と聞くと、参考書や模試、偏差値といった“ガチガチの学習”を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、そんな受験の世界を「エンタメ」として楽しみながら理解できるのが「受験漫画」です。
受験のリアルな葛藤や、合格を勝ち取るまでのドラマ、親と子の気持ちのすれ違いや成長などがリアルに描かれており、保護者の方にとっても気づきが多い内容ばかり。この記事では、学習塾を運営する塾長の視点から、受験がテーマになっている漫画を厳選してご紹介します。
お子さまの学習理解の一助として、また保護者としての関わり方を見つめ直すヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
受験生や受験がテーマ題材のおすすめ漫画6選
受験を題材にした漫画は、単なる学習内容の紹介だけではなく、人間ドラマや社会的背景、教育の問題点まで鋭く描かれている作品が多くあります。ここでは、受験を中心に描かれた6作品をピックアップ。それぞれに異なる視点とメッセージが込められており、子どもだけでなく保護者にも深く刺さる内容になっています。
おすすめ①:ドラゴン桜
「バカとブスこそ東大に行け!」
そんな衝撃のフレーズから始まる『ドラゴン桜』は、もはやただの受験漫画ではありません。元暴走族の弁護士・桜木建二が、偏差値30の高校生たちに伝えるのは、東大合格よりも「人生を自分で切り拓く力」の大切さです。
「勉強ってのはな、この国で許された唯一の平等なんだ」
このセリフに胸を撃ち抜かれた人も多いはず。貧困、無関心、自己否定。そんな現代の「見えない鎖」を断ち切る手段こそが“学び”です。
勉強は成績のためじゃない。自由になるためにある。子どもに勉強させたいと願う親こそ、この物語を読んでください。そして気づいてください。変わるべきは、子どもだけじゃないということに。
おすすめ②:2月の勝者
『2月の勝者』は、あなたの“甘さ”にメスを入れる中学受験のリアルです。
冒頭から放たれる名言
「君たちが合格できたのは、父親の経済力、そして母親の狂気だ」
に、保護者としての覚悟を問われます。
中学受験は、子ども一人で戦える世界ではありません。親が本気になれなければ、子どもは途中で脱落します。「途中で折れるのは子どもではなく、親の方が先です」と語る黒木先生の言葉は、決して脅しではありません。
親の“情報力”と“メンタル”が、子どもの未来を変える時代。この漫画は、中学受験を「なんとなく」で乗り切ろうとする親にこそ読んでほしい一冊です。
知らないままで、後悔しますか?知って備えて、勝者になりますか?
おすすめ③:東京大学物語
『東京大学物語』(著:江川達也)は、受験というテーマを借りた“人間の脆さ”の物語です。主人公・村上直樹は、全国トップの成績を誇る秀才。だが、その頭脳はやがて妄想と性衝動に侵食され、自我の境界が崩れていきます。
爽やかな東大受験ストーリーと思ったら大間違い。これは、秀才がゆえに壊れていく青年の「頭の中を丸ごと可視化した作品」です。
IQの高すぎる思考回路、過剰な恋愛依存、そして「東大合格」という呪い。
「受験勉強さえしていれば報われる」と信じているあなたへ──その思考は危険です。
この物語は、ただ勉強ができる子ほど心が折れる現実を、容赦なく突きつけてきます。思春期の光と闇、リアルすぎる知性の狂気に、あなたもきっと目を逸らせなくなるはずです。
おすすめ④:ブルーピリオド
『ブルーピリオド』は、美術に興味がなくても心を揺さぶられる、魂の受験漫画です。成績優秀な高校生・矢口八虎が、一枚の絵に心を奪われ、「自分の人生は誰が決めるのか」と問い続けながら、美大受験に全力で挑みます。
本作は単なる青春ストーリーではありません。「好きなことは趣味でいい?それは大人の発想ですよ」──この名言が胸を貫きます。人生のレールに疑問を持たず進んでいませんか?進路に迷う我が子に何と言葉をかければいいか、悩んでいませんか?
読めば、自分自身の“好き”と“覚悟”に向き合うことになります。そして気づくのです。努力には、意味がある。迷っているすべての若者と、その背中を押したい保護者に、この本は必要です。
おすすめ⑤:ぼくたちは勉強ができない
「ぼくたちは勉強ができない」は、ただの青春小説ではありません。成績も将来も“そこそこ”な高校生・秀美が、大人や社会に媚びることなく自分の価値観を貫き通す姿は、読む者の心を容赦なく揺さぶります。秀美はこう言います。
「モテないことを理由に、誰かの価値まで否定するようなものは、初めから価値などなかったんじゃないか」と。
SNSでの承認欲求、ブランド、肩書…。
そんな“見せかけの武器”で自分を守っている人にこそ、この本は突き刺さります。カッコよく、だけど不安定で不器用な秀美の一言一言が、読者の“自意識”を一枚ずつ剥がしていく感覚。
あなたはこの本を読まずに、誰の人生を生き続けますか?もう一度、“自分”を取り戻したい人にこそ、今すぐ読んでほしい一冊です。
おすすめ⑥:ヤンキー塾へ行く
「今さら勉強してもムダ」そう思い込んでいませんか?
『ヤンキー塾へ行く』は、その“あきらめ癖”をぶっ壊してくれる異色の受験漫画。喧嘩最強のヤンキー・碇石が、恋と夢をきっかけに、偏差値最底辺から学び直すストーリーは、勉強嫌いにも大人にも刺さります。
「宇宙飛行士になる」というデカすぎる夢を本気で追い始めたとき、人はどこまで変われるのか。自分の“レッテル”を脱ぎ捨てる覚悟はあるか。この物語は、偏差値でも家庭環境でもなく、“意志”が人生を変えるという事実を叩きつけてくる。
もしあなたやあなたの子どもが、今「底辺」にいると思っているなら、読むべきは参考書ではない。この一冊です。
受験生や受験生になる前に読んで欲しいおすすめ漫画5選
ここまでは、受験生や受験そのものをテーマにしたおすすめ漫画のおすすめを紹介してきました。
しかしここからは、受験生や受験生になる前の生徒に読んで欲しい漫画を、大の漫画好き塾長の私が本気で紹介します。
おすすめ①:アイシールド21
まず、個人的に一番読んで欲しい漫画が「アイシールド21」です。Dr.STONEとかトリリオンゲームを書いてる稲垣先生の名作。アメフトの漫画です。
ただ、この漫画の中に出てくるヒル魔ってキャラのこの名言が本当に受験生には刺さると思うんですよね。

受験というか勉強って、正直才能競技である側面は否めないです。
地頭とか人によって全然違うし、そもそも数学とか理科みたいな数的処理の教科は向き不向きがモロに出てしまうし、コツコツ努力できるかとかも半分以上は遺伝で決まるって言われています。
つまり、生まれた瞬間から与えられてるカードが全く違うわけです。
でも、「ないものねだりしてるほどヒマじゃねえ。あるもんで最強の闘い方探ってくんだよ、一生な」ってこと。
特に大学受験とかは戦略立て放題です。推薦を使うのもいいし、得意な科目や不得意な科目を分析し、自分と相性の良い大学を選んで強みを活かした受験をするってこともできます。
だから、才能の壁とかはもちろんあるし、そこは不平等な世の中なんだけど、配られたカードを変えることは出来ないので、人間ができることは配られたカードを最強の順番に並べ替えることだけ。
そして、それでも敵わない相手も世の中に入るってのも人生。そういうことを教えてくれるのがアイシールド21で、毎回この話を自塾の受験生にしてます。笑
おすすめ②:ブルーロック
ブルーロックもまた名言製造機みたいな漫画です。特に、絵心甚八は言語化の神みたいなキャラです。
そんな絵心の名言は、受験生の心にグサグサ刺さるものばかりです。

例えばこのシーンとか。
受験勉強してると、絶望する時ってありますよね。でも、そこで己の弱さと向き合わず、言い訳して現実逃避してしまう生徒も残念ながらいる。
ただ、絶望なんてのはある意味通過儀礼的なもの。
「この道は自分には厳しかったんだ…」と思ってもいいんです。諦めてもいいんです。でも、勝者はそこで「挑戦を切り替える」んです。だから絵心は、「”諦める”ことでしか見ることのできない道筋があり、それが新しい可能性となる」って言ってます。
例えばどーしても数学が苦手で文系でも共通テストのある国公立は無理ってなる子はいます。でも、数学を諦めることで、国語や英語に全振りして、3教科型の入試に切り替えて早稲田慶應狙うってことも全然ありますよね。
中途半端に数学にしがみついても可能性が低いけど、諦めることで新しい道が開かれ、その瞬間に新しい夢のチャンスが生まれてくる…
ブルーロックの名言はまだまだ語れるけど、それだとあと1万文字あっても足らないのでここまで。笑
おすすめ③:ハイキュー
次におすすめなのが、バレーボールの漫画「ハイキュー」です。
ハイキューは、全部読んで欲しいというか、烏養繋心のこの名言を受験生に届けたいだけです。

「下を向くんじゃねえええええ!バレーは!!!常に上を向くスポーツだ」
受験も同じです。下向くな。それだけで君は偉い。
※ちなみに、このシーンも受験生によく話します。もう、受験生には漫画の話だけして、あとは自習させた方がワンチャンうまく行くのでは?と最近思い始めてる自分がいる。笑
おすすめ④:NARUTO
続いておすすめしたいのが「NARUTO」です。もうね、受験漫画と関係なく、僕はナルトが死ぬほど好きなんです。笑
でも、受験と無理やり絡めると、マイトガイの名言を見て欲しいからここではおすすめ漫画として紹介しました。(口実)

これです。これだけでもいいから覚えて帰って。
そして、この後のガイとリーの絡みも最高で、それは全く受験と関係ないけどおすすめ。

この、「努力を続けてきたお前の手術は必ず成功する。きっと天国の未来を呼び寄せる」ってセリフの、手術を受験に置き換えて読んでほしい。
本当はね、ナルトは語りたいことが山ほどあるんだけど、そうなるとまたしても1万文字超えそうなのであとはみなさんぜひ読んでください。
おすすめ⑤:カイジ
最後は、カイジ。
ここまで前向きないい感じの受験に役立つ名言がある漫画を紹介してきたので、最後は一気に現実を叩きつける漫画で締めます。笑
カイジの中で絶対に読んで欲しいシーンが、利根川のこのセリフ。
『30になろうと40になろうと奴らは言い続ける 自分の人生の本番はまだ先なんだと 「本当のオレ」を使ってないから今はこの程度なんだと そう飽きず言い続け 結局は老い 死ぬ その間際 いやでも気が付くだろう 今まで生きてきたすべてが丸ごと「本物」だったことを!』
これはね、今頑張れない奴は結局一生頑張れないって話。
ちなみに、利根川は「金は命より重い!」という名言も残してます。
まじで人生負けるやつがどーなるかというのを、オブラートに全く包むことなく突きつけるので、受験勉強のモチベが爆上がります。笑
総括:受験生がテーマのおすすめ漫画まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
◆ 受験がテーマの漫画6選(学びや社会性に訴える本)
- ドラゴン桜
- 東大を目指す底辺校の生徒たちが成長する。
- 勉強は自由を手に入れる手段。親も変わる必要があると気づける。
- 2月の勝者
- 中学受験のリアルを描く。合格の鍵は親の経済力と覚悟。
- 保護者の情報力・精神力が問われる作品。
- 東京大学物語
- 秀才の狂気と崩壊を描く問題作。
- 「頭がいい=幸せ」ではないという現実を突きつけられる。
- ブルーピリオド
- 美大を目指す高校生の魂の進路選び。
- 自分の「好き」を信じて努力することの大切さを教える。
- ぼくたちは勉強ができない
- 成績そこそこの高校生が、大人社会に媚びずに自分を生き抜く。
- 自意識と向き合う“痛快な気づき”がある。
- ヤンキー塾へ行く
- 喧嘩最強ヤンキーが「宇宙飛行士」を目指し勉強に励む。
- 学力や環境ではなく、意志が人生を変えると伝える。
◆ 受験生・その予備軍に読んでほしい漫画5選(精神論・哲学寄り)
- アイシールド21
- 才能の不平等を受け入れ、自分のカードで最強戦術を探せ。
- 戦略的思考と現実的努力の重要性を伝える。
- ブルーロック
- 絶望や挫折は“可能性の転換点”。
- 弱さと向き合い、選択肢を切り替える勇気を持て。
- ハイキュー
- 「下を向くな」という精神論。
- 頑張る姿勢そのものが価値であるというメッセージ。
- NARUTO
- 努力が報われるという信念の物語。
- ガイ先生の「努力は天才を超える」の精神が受験に重なる。
- カイジ
- 頑張れない人は一生そのまま。今が本番。
- 自分を言い訳でごまかして生きることの怖さを教えてくれる。
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