鎌倉時代の人たちはどんな服を着ていたか知っていますか?
平安時代の豪華な服とは違い、武士の時代にふさわしく、実用的で動きやすい服が中心になりました。でも、貴族や庶民、子供たちはどんな服を着ていたのでしょう?
この記事では、鎌倉時代の服装の特徴をわかりやすく解説します!
武士や貴族、庶民の違いや、色や素材の秘密、さらには子供の服まで、みんなが気になるポイントを詳しく説明していきますよ。さあ、鎌倉時代のファッションの世界にタイムスリップしてみましょう!
鎌倉時代の服装とは?武士・貴族・庶民・子供の違い

鎌倉時代は、武士が力を持った時代です。そのため、服装も戦いや移動に適した「動きやすさ」が重視されるようになりました。
一方、貴族たちは平安時代の伝統的な服を引き継ぎつつ、武士文化に合わせて少しずつ簡略化しました。庶民の服装はより実用的で、手軽に着られるものが主流でした。
では、詳しく見ていきましょう!
鎌倉時代の服装の特徴|機能性と実用性を重視した時代
鎌倉時代の服装は、それまでの平安時代と比べて大きく変わりました。武士が活躍する時代となり、戦いや馬に乗ることが多くなったため、華やかさよりも「動きやすさ」と「丈夫さ」が重視されました。
また、身分によって服装の違いがはっきりしていました。上級武士や貴族は、格式を示すために豪華な衣装を着ることもありましたが、一般の武士や庶民は、実用性を考えたシンプルな服が中心でした。さらに、気候の変化に対応するため、寒い時期には重ね着をする工夫もされていました。
このように、鎌倉時代の服装は「戦いや仕事がしやすいこと」を一番に考えたものが多かったのです。
武士の服装|直垂(ひたたれ)と大紋の違いとは?
鎌倉時代の武士の服装といえば「直垂(ひたたれ)」が有名です。これは、もともと庶民が着ていた作業着のようなものでしたが、その動きやすさが評価され、やがて武士の正式な服装になりました。

直垂は、肩や袖にゆとりがあり、紐で締めて体にフィットさせる作りになっています。戦う時や馬に乗る時に邪魔にならないように工夫されていたのです。
さらに、格式の高い武士が着る「大紋(だいもん)」という服もありました。大紋は直垂と似ていますが、家紋が大きく描かれているのが特徴です。

これは「自分はこの家の者だ!」と示すためのもので、武士の誇りを表す大切な衣装でした。このように、武士の服装は動きやすさと格式を両立させた、鎌倉時代ならではのスタイルだったのです。
貴族の服装|平安時代との違いと略装の普及
鎌倉時代の貴族の服装は、基本的には平安時代の伝統を受け継いでいました。
しかし、武士の力が強くなったことで、服装も少しずつ変わっていきました。
例えば、平安時代の「束帯(そくたい)」という豪華な正装は引き続き使われましたが、普段はもっと簡単な「直衣(のうし)」や「狩衣(かりぎぬ)」が着られるようになりました。

また、女性の服装も変化しました。平安時代の貴族女性は「十二単(じゅうにひとえ)」というとても重たい服を着ていましたが、鎌倉時代になると、もっと動きやすい「袿袴(うちきばかま)」が普及しました。これは、十二単の一部を省いた略装で、現代の着物のようにシンプルな形になっています。

このように、貴族の服装も時代に合わせて実用的なものへと変わっていったのです。
庶民の服装|小袖が普及し活動しやすい服へ
庶民の服装は、貴族や武士と比べてとてもシンプルでした。基本的に「小袖(こそで)」という服を着ており、これは現代の着物の原型となるものです。小袖は、袖が小さく動きやすい形をしており、日常生活にぴったりでした。
男性は「短袴(みじかばかま)」という膝丈の袴を履くことが多く、仕事をするときに邪魔にならない工夫がされていました。一方、女性は「湯巻(ゆまき)」という布を腰に巻くスタイルが流行し、これが後にスカートのような形に発展していきました。
庶民の服装は、身分の高い人たちと違って装飾は少なく、シンプルで実用的なデザインが中心でした。
子供の服装|元服の儀式と年齢ごとの服の違い
鎌倉時代の子供の服装も、大人と同じように身分によって違いがありました。幼児の頃は、男女ともに「襁褓(むつき)」という布で体を包み、動きやすいようにしていました。少し成長すると、「小袖」や「単(ひとえ)」という軽い服を着るようになります。
特に武士の男子は、「元服(げんぷく)」という大人になるための儀式がありました。元服を迎えると、それまでの子供用の服を脱ぎ、大人と同じ直垂や袴を着るようになります。また、頭には「烏帽子(えぼし)」という帽子をかぶるのが決まりでした。

女の子は成長すると「袿(うちき)」や「湯巻」を着るようになり、成人すると正式な貴族や武家の装束を着るようになります。このように、鎌倉時代の子供たちも、大人と同じように服装の変化を経験していたのです。
鎌倉時代の服装の細部を知る!色・素材・装飾の違い

鎌倉時代の服装は、身分によってデザインや素材、色の使い方が異なりました。特に、武士や貴族は自分の立場を示すために服の色や装飾にこだわりました。一方、庶民の服装はシンプルで実用性が重視されていました。
それでは、鎌倉時代の衣服の細かいポイントを詳しく見ていきましょう!
鎌倉時代の服の色|武士が好んだ「勝色」とは?
鎌倉時代の武士が特に好んだ色のひとつが「勝色(かちいろ)」です。勝色は、藍を何度も染め重ねた深い紺色のことで、「勝利を呼ぶ色」として武士たちに人気がありました。戦場で着る服や鎧の下に着る下着などにも使われ、「戦いに勝つ!」という願いが込められていました。
また、貴族は平安時代から続く「襲色目(かさねのいろめ)」という色の組み合わせを大切にしていました。春は桜色や若草色、秋は紅葉色など、季節ごとに決まった色の組み合わせがあり、これが貴族の教養のひとつとされていました。
一方、庶民の服の色は、藍色や茶色、生成り(無染色)が多く、染料を贅沢に使うことはあまりありませんでした。鎌倉時代は実用性を重視する時代だったため、身分によって色の使い方に大きな違いがありました。
服の素材|高級絹から庶民の麻や木綿まで
鎌倉時代の服の素材は、身分によって大きく異なりました。貴族や上級武士は高級な絹(きぬ)を使った服を着ていましたが、庶民は麻(あさ)や木綿(もめん)で作られた服を着るのが一般的でした。
絹は肌触りがよく、美しい光沢がありましたが、非常に高価だったため、主に格式の高い場面で使われました。一方、庶民が着る麻や木綿は丈夫で扱いやすく、日常生活に適していました。特に麻は通気性が良く、暑い夏でも快適に過ごせるため、農民や職人たちに愛用されました。
また、鎌倉時代の武士の服は戦闘向きに作られていたため、厚手の生地を使用することが多かったです。たとえば「直垂(ひたたれ)」には丈夫な麻や木綿が使われ、動きやすく耐久性があるように工夫されていました。
頭の装い|烏帽子・市女笠・頭巾の違いとは?
鎌倉時代の人々は、服装だけでなく「頭にかぶるもの」にも身分や用途ごとの決まりがありました。
武士の頭の装い:烏帽子(えぼし)
武士の男子は「烏帽子(えぼし)」をかぶるのが一般的でした。元服(げんぷく)という成人の儀式を迎えると、正式に烏帽子をかぶるようになります。烏帽子には形の違いがあり、上級武士は「折烏帽子(おりえぼし)」をかぶり、一般の武士は「立烏帽子(たてえぼし)」をかぶっていました。
貴族女性の外出時の装い:市女笠(いちめがさ)
貴族の女性が外出するときは、「市女笠(いちめがさ)」という大きな笠をかぶり、薄い布で顔を隠していました。

これは「身分の高い女性は顔を見せない」という当時のマナーからきたもので、日よけや虫よけの役割もありました。
庶民や僧侶の頭巾(ずきん)
庶民や僧侶は「頭巾(ずきん)」をかぶることがありました。寒さを防ぐためのものや、埃や日差しを防ぐために使われたものなど、用途に応じてさまざまな種類がありました。
鎌倉時代の履物|草履・下駄・沓の違い
鎌倉時代の人々は、履物(はきもの)にも身分ごとの違いがありました。
貴族や上級武士は「沓(くつ)」
貴族や上級武士は、布や革で作られた「沓(くつ)」を履いていました。これは、現代の靴のようなもので、足を包み込むデザインになっており、格式の高い場面で使われました。
庶民は「草履(ぞうり)」や「下駄(げた)」
庶民は、わらや木で作られた「草履」や「下駄」を履くのが一般的でした。草履はわらを編んで作られた簡単な履物で、主に農民や職人が履いていました。一方、下駄は木の台に鼻緒(はなお)がついたもので、舗装されていない道を歩くときに便利でした。
総括:鎌倉時代の服装まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
1. 鎌倉時代の服装の特徴
- 武士の時代となり、服装は「動きやすさ」「実用性」を重視。
- 貴族は平安時代の服装を簡略化し、よりシンプルな装いに。
- 庶民は小袖を中心に、丈夫で動きやすい服を着用。
- 子供も身分に応じた服を着用し、元服を迎えると大人と同じ装いに。
2. 武士の服装
- 直垂(ひたたれ):武士の正式な服装として定着し、戦闘や移動に適したデザイン。
- 大紋(だいもん):格式の高い武士が着用し、家紋が大きく描かれている。
- 狩装束(かりぎぬ):狩りや儀式で使用され、動きやすい作り。
- 勝色(かちいろ):武士に人気の深い藍色で、「勝利を呼ぶ色」として好まれる。
3. 貴族の服装
- 束帯(そくたい):平安時代からの伝統的な正装で、格式のある場で使用。
- 直衣(のうし)・狩衣(かりぎぬ):普段着として用いられ、簡略化が進む。
- 袿袴(うちきばかま):貴族女性の略装で、十二単より軽く動きやすい。
4. 庶民の服装
- 小袖(こそで):袖が小さく、現代の着物の原型となる庶民の服。
- 短袴(みじかばかま):膝丈の袴で、農民や職人が着用。
- 湯巻(ゆまき):女性が腰に巻く布で、後にスカートの形に発展。
5. 子供の服装
- 幼児は「襁褓(むつき)」で体を包む。
- 成長すると小袖や単を着用。
- 武士の男子は「元服」で直垂や袴を着用し、大人の仲間入り。
- 女子は成長とともに袿や湯巻を着るようになり、成人すると貴族や武家の装束に。
6. 服の色
- 武士:「勝色」など実用的で格式を示す色が好まれる。
- 貴族:「襲色目(かさねのいろめ)」による季節ごとの色の組み合わせ。
- 庶民:藍色、茶色、生成りなどシンプルな色が中心。
7. 服の素材
- 貴族・上級武士:高級な「絹(きぬ)」を使用。
- 庶民:通気性が良く丈夫な「麻(あさ)」や「木綿(もめん)」を使用。
- 武士の服:戦闘に適した厚手の生地を使用し、耐久性を強化。
8. 頭の装い
- 武士:「烏帽子(えぼし)」をかぶり、元服後は正式に着用。
- 貴族女性:「市女笠(いちめがさ)」で顔を隠し、身分を示す。
- 庶民・僧侶:「頭巾(ずきん)」を着用し、防寒や日よけの役割を果たす。
9. 履物
- 貴族・上級武士:「沓(くつ)」を履き、格式を示す。
- 庶民:「草履(ぞうり)」や「下駄(げた)」を履き、実用性を重視。
10. 装飾品
- 武士:「腰刀(こしがたな)」を帯び、身を守ると同時に格式を示す。
- 女性:「簪(かんざし)」や豪華な帯を使用し、おしゃれを楽しむ。