「おさえる」という言葉には、「抑える」と「押さえる」の2つの漢字がありますが、いざ文章にすると「どっちが正しいの?」と迷ってしまうことがよくあります。
ビジネス文書やメール、あるいは試験勉強などでも頻出するこの言葉の違いは、知っているだけで文章の正確さがぐっと上がります。
本記事では、「抑える」と「押さえる」の意味や使い方の違いを、比較表や例文とともにわかりやすく解説します。記事を読み終えるころには、迷わず正しく使えるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
抑えると押さえるの違いを徹底解説!意味・使い方・例文

ここでは、「抑える」と「押さえる」の2つの言葉の意味の違いや使い分け方を、表や具体的な例文を交えてわかりやすく解説します。「どっちが正しいの?」と迷ったときに、すぐ役立つ内容をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
抑えると押さえるの意味の違いを一覧表で比較
以下に、「抑える」と「押さえる」の意味や使い方の違いを比較表にまとめました。
| 項目 | 抑える(おさえる) | 押さえる(おさえる) |
|---|---|---|
| 意味の特徴 | 感情・欲望・数値などの“内的なもの”を制限・制御する | 物理的なものを固定する・確保する・理解する |
| 使用される場面 | 怒りを抑える、食欲を抑える、物価の上昇を抑えるなど | 傷口を押さえる、チケットを押さえる、要点を押さえるなど |
| 類語 | 抑止、抑制、制する | 確保、把握、理解 |
| 英語に訳すと | suppress, control, curb | press, hold, grasp |
| 漢字の送り仮名 | 「える」で終わる | 「さえる」で終わる |
この表を参考にすれば、どちらの漢字を使えばよいか瞬時に判断しやすくなります。
「抑える」の意味と使い方を詳しく解説
「抑える」とは、何かの勢いや感情の高まりを制限することを意味する言葉です。内面的な作用に対して使われるのが特徴で、「抑制」「抑止」といった熟語と同じようなニュアンスを持っています。辞書的には「ある水準以上に達しないように制限する」とされています。
たとえば、「怒りを抑える」「涙を抑える」「出費を抑える」など、放っておけばあふれ出る・膨らむ・増大するようなものを、コントロールして小さく保とうとする場面で使用します。
漢字の由来にも「上から力を加えて止める」といった意味が含まれており、感情や欲求など、目に見えない“内的な動き”をおさえこむイメージで使われます。
「押さえる」の意味と使い方を詳しく解説
一方、「押さえる」は物理的な動作に関する言葉です。物を手でぎゅっと固定したり、場所や予定を確保したり、あるいは情報や要点をしっかり理解するという意味でも使われます。辞書には「動かないように押しつける・つかまえる・確保する・理解する」と記されています。
たとえば、「帽子が飛ばないように押さえる」「座席を押さえる」「要点を押さえる」などが典型です。手や体など、実際の動きを伴う行為に使われるのが特徴です。
また、「押さえ込み」などの熟語でも見られるように、相手を力で封じ込めるニュアンスも含まれていることがあります。
「抑える」を使った例文5選
「抑える」は感情や数値、行動など“内面”や“抽象的”なものを制御する場面で使います。以下に代表的な例文を紹介します。
- 彼の発言に対する怒りを何とか抑えた。
- ダイエット中なので、食欲を抑える努力をしている。
- インフレを抑えるために、政府は金利を引き上げた。
- 予算を抑えて、経費を最小限にとどめた。
- 感情を抑えきれず、涙がこぼれた。
これらの例文ではすべて、あふれ出しそうな感情や、上昇する数値、欲求などを“コントロールする”という文脈で使用されています。
「押さえる」を使った例文5選
「押さえる」は物理的な行動や確保・理解といった具体的な行為に使われます。以下の例文をご覧ください。
- 会場はすでに予約でいっぱいなので、早めに席を押さえた方がいい。
- 強風で飛ばされそうだったので、帽子を手で押さえた。
- 会議では要点を押さえて話すように心がけている。
- 新刊の発売日を確認して、すぐに1冊押さえておいた。
- 証拠をしっかり押さえた上で、告発に踏み切る予定だ。
どれも「具体的なモノや情報を確保する」「実際に手で制する」ような行為が共通点です。
抑えると押さえるの違いの後に:正しい使い分け方とよくある間違い

ここからは、「抑える」と「押さえる」を正確に使い分けるために知っておくべきポイントを具体的なケースごとに解説していきます。多くの人がつまずきやすい「日程」や「感情」、身体動作に関する用例を中心に、よくある誤用のパターンとその理由も紹介します。
「おさえる」の正しい使い分けをマスターすれば、言葉に対する信頼性も上がり、文章や会話でも自然な表現ができるようになります。
「日程を抑える」or「押さえる」?
ビジネスメールなどでよく登場するのが「日程をおさえる」という表現です。会議や打ち合わせ、予約の際に使われますが、正しい漢字は「押さえる」です。
理由は、「日程をおさえる」とは「カレンダー上の空きを確保する」つまり“具体的に確保する”という意味であり、物理的な行動のニュアンスが強いからです。
❌ 誤:日程を抑える
✅ 正:日程を押さえる
なお、「抑える」は数値や気持ちの高まりを“抑制する”意味なので、「日程」にはふさわしくありません。このように、何かを“確保する”目的で「おさえる」を使う場合は、基本的に「押さえる」が正解です。
「感情を押さえる」は間違い?感覚的な誤用に注意
「感情をおさえる」という表現もよく使われますが、こちらは「抑える」が正解です。なぜなら、感情というのは目に見えず、内面からあふれてくるものであり、それを静めたりコントロールしたりする行為だからです。
❌ 誤:感情を押さえる
✅ 正:感情を抑える
文化庁の「異字同訓の漢字の使い分け」でも、感情や欲望に関する表現は「抑える」とすることが適切とされています。感覚的に「押さえる」を選びたくなる場面もありますが、ここでは理屈で覚えておくと誤用を防げます。
「手でおさえる」はどっち?身体の動作に合った表現法
「手でおさえる」という表現は、対象によって適切な漢字が変わります。基本的には、物理的に手で何かを押す・覆う・つかむといった行為を指す場合は「押さえる」が正解です。
✅ 傷口を手で押さえる
✅ 荷物が倒れないように手で押さえる
✅ ドアが閉まらないように手で押さえる
一方で、「手で抑える」という表現も見かけることがありますが、これは比喩的な用法(例:「発言を手で抑える」)で、抑制や制止といった文脈では許容されるケースがあります。
しかし一般的な使い方としては、身体の動作に伴う「手での行動」は「押さえる」が正解です。
送り仮名の違いにも注意!「抑える」と「押さえる」の正しい書き方
漢字の使い分けと同時に、「送り仮名」の違いにも注目する必要があります。
- 抑える →「える」が送り仮名
- 押さえる →「さえる」が送り仮名
これは常用漢字表(平成22年改訂)でも明示されており、以前は「押える」と書かれることもありましたが、現在は「押さえる」が正しい表記とされています。
例えば、文章を校正する際に「押える」と書いてあると誤記と判断されてしまうこともあるため、特に文章作成に関わる人は注意しておきましょう。
「制御・確保・理解」など類語との違いも覚えて使い分けよう
「抑える」と「押さえる」は、それぞれ「制する」「確保する」「理解する」といった類語と置き換えられることもあります。以下のように置き換えることで、より正確な語感で使い分けることが可能になります。
- 「感情を抑える」=「感情を制する」「感情をコントロールする」
- 「席を押さえる」=「席を確保する」「予約する」
- 「要点を押さえる」=「要点を理解する」「要所をつかむ」
このように、言い換え可能な動詞をあわせて覚えておくことで、適切な漢字の選択に迷うことがなくなります。
総括:抑えると押さえるの違いまとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
| 項目 | 抑える(おさえる) | 押さえる(おさえる) |
|---|---|---|
| 意味の特徴 | 感情・欲望・数値などの“内的なもの”を制限・制御する | 物理的なものを固定する・確保する・理解する |
| 使用される場面 | 怒りを抑える、食欲を抑える、物価の上昇を抑えるなど | 傷口を押さえる、チケットを押さえる、要点を押さえるなど |
| 類語 | 抑止、抑制、制する | 確保、把握、理解 |
| 英語に訳すと | suppress, control, curb | press, hold, grasp |
| 漢字の送り仮名 | 「える」で終わる | 「さえる」で終わる |
