今回は、日本を代表する文豪・夏目漱石(なつめそうせき)の「死因」について、子どもでも分かるようにやさしく解説します。
「漱石って病気で亡くなったの?」
「ピーナッツの食べすぎが原因って本当?」
そんな疑問にしっかり答えていきますよ!
ここではまず、漱石がどんな病気に苦しんでいたのか、そして最後の様子までを詳しく見ていきましょう。
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夏目漱石の死因とは?病気と最期の様子
夏目漱石は、日本文学を代表する文豪として広く知られていますが、彼の死因については長い間謎がありました。実際には、漱石は様々な病気に苦しみながら亡くなったと言われています。
今回はその死因と最期の様子を、詳細に解説していきます。
夏目漱石の死因は胃潰瘍!最終的には内出血が致命傷に
結論から言うと、夏目漱石の死因は「胃潰瘍(いかいよう)」という病気です。これは、胃の中の壁がただれて穴があいてしまう病気で、とても痛いだけでなく、時には命にも関わります。
漱石はこの胃潰瘍を何度も繰り返し、とうとう最後には「腹腔内(ふくくうない)出血」、つまりお腹の中で大量の出血を起こしてしまいました。1916年12月9日、49歳という若さでそのまま帰らぬ人となったのです。
実はこのとき、彼は『明暗』という小説の執筆中でした。多くの人が楽しみにしていた作品だっただけに、漱石の死は大きなショックを与えました。
夏目漱石が生涯にわたって苦しんだ病気
漱石はもともと病気がちの体で、さまざまな病とたたかっていました。特に有名なのが「神経衰弱(しんけいすいじゃく)」というこころの病気です。これは、ストレスや不安で心も体もぐったりしてしまう状態で、当時はとても理解されにくい病気でした。
ほかにも、痔(じ)、糖尿病(とうにょうびょう)、トラホーム(目の病気)、肺結核(はいけっかく)など、いくつもの病気をかかえていたのです。体が弱いだけでなく、精神的にもつらかった漱石は、毎日の生活だけでも相当大変だったことでしょう。
これらの病気が重なったことで、胃潰瘍の回復をじゃましてしまい、ついには命を落とすことになったのです。
修善寺の大患とは何か?吐血800ccの壮絶なエピソード
漱石がとても危険な状態に陥った「修善寺(しゅぜんじ)の大患(たいかん)」という出来事をご存じですか?これは、1910年に静岡県の修善寺という場所で起こった出来事です。
そのとき漱石は胃の調子をととのえるために療養していたのですが、ある日、突然大量に血を吐いてしまいました。その量はなんと800ccともいわれており、ほとんど死にかけの状態でした。
この一件は「修善寺の大患」と呼ばれ、多くの人に知られる事件となりました。奇跡的に命はとりとめましたが、このときのダメージが体に大きく残り、のちの死にまで影響を与えたといわれています。
最後の言葉は?家族にかけた感動的なひと言とは
漱石の最後の言葉には、2つの説があります。
一つは、四女の愛子(あいこ)さんに向かって言った「いいよいいよ、もう泣いてもいいんだよ」という言葉。漱石は自分の死を悟り、泣いている娘をやさしく慰めたのです。まるで小説の一場面のような、感動的なシーンですね。
もう一つの説は、「なにか食いたい」と言って、ぶどう酒をひとくち飲んで「うまい」と言ったというもの。これが漱石の「最期の一言」だったともいわれています。
どちらにせよ、漱石の言葉からは、家族を思う気持ちや、人間らしさが伝わってきます。
遺体はどうなった?脳と胃は東大医学部に寄贈
漱石が亡くなったあと、彼の遺体は東京帝国大学(現在の東京大学)によって解剖されました。これは、彼の病気の研究のためでした。特に注目されたのが「脳」と「胃」です。
この2つの臓器は大学に寄贈され、現在も東京大学の医学部で保管されています。脳については、学者たちが研究のためにくわしく調べた結果、「天才の脳」として有名になりました。
漱石が亡くなってからも、その体が後世の医学や文学研究に役立っているのです。これもまた、漱石が日本に残した大きな遺産のひとつですね。
夏目漱石の死因に関係して:ピーナッツ好きで甘党?
さて、ここからは「ピーナッツを食べすぎて死んだって本当?」というちょっと気になる噂について、塾長がわかりやすく解説しますよ。
ネットや雑学記事などで「漱石はピーナッツを食べすぎて胃潰瘍が悪化した」という話もありますが、それって本当なのか?甘いものが大好きだったエピソードも合わせてチェックしていきましょう。
ピーナッツ食べ過ぎが死因説はデマ?根拠と出所を調査
結論から言うと、「ピーナッツを食べすぎて死んだ」という話には、確かな医学的な根拠はありません。実はこの説は、フランス文学者・辰野隆(たつのゆたか)の結婚式で出されたピーナッツを漱石が食べて胃潰瘍を悪化させた、というエピソードが元になっています。
けれども、これはあくまでも「噂」に近い話で、医療記録などにそのような直接的な記述は見つかっていません。つまり、ピーナッツが死因だというのは、「面白エピソード」として語られた内容がひとり歩きしたものと考えられます。
夏目漱石は超甘党だった?ジャム中毒エピソード
実は、漱石が甘いものが大好きだったのは本当です。特に有名なのが「ジャム」に関するエピソード。イギリス留学中、ホームシックとストレスの中で、漱石は毎日イチゴジャムをスプーンですくってそのまま食べていたそうです。なんと、ひと月でジャムの缶を8個も空けてしまったとか。
朝食のトーストにはたっぷりのバターと砂糖、紅茶にはこれでもかと砂糖を入れるなど、「甘党」の中の「甘党」。その甘い物好きは、小説『吾輩は猫である』の中でも、主人公の苦沙弥先生に反映されていると言われています。
ストレスで甘い物に依存?神経衰弱とブドウ糖の関係
「どうして漱石はそんなに甘い物ばかり食べたの?」と疑問に思った人もいるかもしれません。それは「神経衰弱」と関係しています。ストレスや不安が強いと、脳がたくさんのエネルギー(ブドウ糖)を必要とします。
特に、甘いものに含まれる糖分は、脳を一時的に落ち着かせる効果があります。漱石は心のバランスをとるために、自然と甘いものを欲していたのでしょう。
これは、今でいう「ストレスで甘い物をドカ食いしてしまう」状態とよく似ていますね。
医師の警告も無視?漱石の食生活が病気を悪化させた可能性
漱石は医師から「食事に気をつけるように」と何度も注意されていたそうです。胃潰瘍を患っている人にとって、脂っこいものや甘いものはNG。しかし漱石はそうした注意を聞きながらも、ついつい甘いものをやめられなかったのです。
お酒は飲めませんでしたが、和菓子、洋菓子、ピーナッツなどは好んで食べていたと言われています。そのため、糖尿病や胃の病気が悪化した可能性は大いにあります。漱石の食生活が、体調悪化の「きっかけ」になったことは否定できません。
ピーナッツ説と医療記録の矛盾点を検証!本当の死因とは何か
ピーナッツが死因だという説には、「医学的記録がない」「関係者の証言も少ない」という大きな問題があります。実際、漱石の死因として公式に確認されているのは「胃潰瘍による腹腔内出血」であり、ピーナッツとの関連は記されていません。
ただし、「ピーナッツが大好きだったこと」や「病気の直前に食べたかもしれない」という点が、面白エピソードとして語り継がれたことは間違いありません。
噂としては魅力的ですが、あくまで「都市伝説」のようなものだと考えておいた方がよさそうです。
総括:夏目漱石の死因まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 夏目漱石の死因は「胃潰瘍」による腹腔内出血で、1916年に49歳で亡くなった。
- 生涯を通じて神経衰弱や糖尿病、痔、肺結核など多くの病気に苦しんでいた。
- 1910年の「修善寺の大患」では800ccもの吐血をし、死にかけたこともあった。
- 最後の言葉には「泣いてもいいよ」説と「うまい」説の2つがある。
- 死後、脳と胃は東京大学医学部に寄贈され、現在も保管されている。
- 「ピーナッツの食べすぎが死因」という説は根拠のない噂にすぎない。
- 漱石は甘党で、ジャムやお菓子が大好きだった。
- ストレスからくる神経衰弱で、ブドウ糖を求め甘いものに依存していた可能性がある。
- 医師の忠告を無視し、不摂生な食生活が病状悪化に影響したとされる。
- ピーナッツ説は面白い話として残った都市伝説であり、正式な死因ではない。
