「江戸時代の人たちはどんな食事をしていたの?」

みなさんは、昔の人たちのご飯がどんなものだったのか気になったことはありませんか?江戸時代は、今のようにお肉やお菓子がたくさんある時代ではありませんでした。それでも、江戸の町には屋台が並び、美味しい食べ物がたくさんありました。

武士と庶民では食事の内容が違っていたのも特徴です。武士はどんなご飯を食べていたのか?庶民は毎日何を食べていたのか?そして、江戸の食べ物にはどんな面白いルールや言葉遊びがあったのか?

今回は、塾長が「江戸時代の食事」についてわかりやすく解説していきます!

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江戸時代の食事とは?庶民と武士の食生活の基本

江戸時代の食事は、現代とは大きく異なっていました。

当時の人たちは「和食」を基本とし、ご飯(米)を中心に、味噌汁や漬物などを組み合わせた食事をしていました。特に身分によって食べられるものが違っていたのが特徴です。

ここでは、庶民と武士の食事の違いや、江戸の食文化について詳しく見ていきましょう。

江戸時代の食事の基本「一汁一菜」

江戸時代の食事は、とてもシンプルなものでした。庶民の食事は「一汁一菜」が基本です。「一汁一菜」とは、ご飯(白米または玄米)、味噌汁、おかず1品の組み合わせのことです。おかずとしてよく食べられていたのは、大根の漬物や豆腐、魚の干物などでした。

特に白米は庶民の憧れの食べ物でしたが、都市部の江戸では食べる機会が多くなりました。農村では雑穀を混ぜた「かて飯」が主流で、米だけのご飯はぜいたくなものでした。

一方で、味噌汁はほぼ毎食出されるほど大切な存在でした。

庶民の食事と武士の食事の違い

庶民と武士では、食べられるものに大きな違いがありました。

庶民の食事

庶民の食事は基本的に「一汁一菜」で、ご飯、味噌汁、漬物が中心でした。魚や野菜の煮物が出ることもありましたが、肉を食べることはほとんどありませんでした。また、砂糖は高級品だったため、甘いものを食べる機会は少なかったです。

武士の食事

武士は庶民よりも少しぜいたくな食事をしていました。基本は「一汁三菜」で、ご飯、味噌汁、おかず3品がついていました。おかずには魚や豆腐料理が多く、時には肉を食べることもありました。

また、お酒を飲む機会も多かったのが特徴です。

江戸時代の食事回数は?1日2食から3食へ

江戸時代の初めの頃は、1日2食が基本でした。朝ごはんと夕ごはんの2回だけで、昼ごはんを食べる習慣はなかったのです。しかし、時代が進むにつれて、1日3食のスタイルが広まっていきました。

なぜ3食になったのかというと、「明かりの普及」が大きな理由です。江戸時代の中期以降、油やろうそくが普及し、人々が夜遅くまで起きて活動するようになりました。その結果、夜になってお腹が空く人が増え、夜ごはんを食べるようになったのです。

江戸時代に人気だった「屋台文化」と外食の発展

江戸時代の町には、屋台がたくさんありました。現代でいう「ファストフード」のようなもので、手軽に美味しい料理を楽しめる場所でした。

江戸の人たちは外食をする機会が多く、次のような「四大屋台料理」が特に人気でした。

  1. 寿司(江戸前寿司):当時の寿司は現在よりも大きく、酢でしめた魚を使った「握り寿司」が流行しました。
  2. 蕎麦:そば粉を使った料理で、「もりそば」や「かけそば」が人気でした。
  3. 天ぷら:魚や野菜を油で揚げた料理で、屋台で提供されました。
  4. うなぎ(蒲焼き):スタミナ食として庶民に愛されていました。

このように、屋台文化が発展したことで、庶民も気軽に美味しい食事を楽しむことができたのです。

江戸時代の食事と病気の関係|白米の弊害と「江戸患い」

江戸時代の都市部では、白米を食べる人が増えました。しかし、白米ばかり食べていると、「江戸患い(脚気)」という病気になりやすくなりました。

なぜ白米を食べると病気になるのか?

白米にはビタミンB1がほとんど含まれていません。ビタミンB1が不足すると、手足がしびれたり、疲れやすくなったりします。特に、江戸の町人たちは白米を主食にしていたため、江戸患いにかかる人が多かったのです。

一方で、農村部の人たちは雑穀や麦飯を食べていたため、江戸患いになることはほとんどありませんでした。これは、雑穀や麦にはビタミンB1が豊富に含まれていたからです。

江戸時代の食事:食文化の特徴と面白いエピソード

江戸時代の食文化には、現代とは違う面白い習慣やルールがたくさんありました。食材の語呂合わせや、身分ごとに決められた食事のマナー、さらには食事を巡る意外な事件まで…!

ここでは、江戸時代の食文化をさらに深掘りしていきます。

食材には語呂合わせがたくさん!縁起の良い食べ物とは?

江戸時代の人々は、食べ物に特別な意味を込めるのが大好きでした。縁起が良いとされる食べ物がたくさんあり、言葉遊びを取り入れたものもありました。

例えば…

  • キス(鱚):「喜ぶ」の意味があるため、祝いの席によく出された。
  • コノシロ(鮗):「この城」と読めるため、大名や将軍は食べるのを避けた。
  • ぼたん(牡丹):実は猪肉の別名。「生類憐れみの令」で肉食が禁止された時代、こっそり食べるために植物の名前で呼ばれた。
  • さくら(桜):馬肉のこと。これも隠語として使われた。
  • かしわ(柏):鶏肉のこと。現在でも「かしわ飯」として九州などに残っている。

このように、江戸時代の人々は食材の名前に特別な意味を持たせ、食事の中にユーモアや願いを込めていました。

将軍の食事ルール|食べ残しは許されない?

将軍の食事には、厳しいルールがありました。中でも「食べ残し」に関する決まりは特に厳格でした。

将軍の食事の流れ

  1. 料理人が将軍のために10人前の食事を準備。
  2. まずは毒見役が試食し、しばらく待って異常がないか確認。
  3. その後、将軍のもとへ料理が運ばれる。
  4. しかし、すべての料理を食べるわけではなく、ほんの少ししか手をつけない。
  5. 残った料理は、身分の高い側近たちが食べる。

将軍が食事を残した時、「お口に合わなかったのでは?」と疑われることもあったため、料理人は常に緊張感を持っていました。逆に、側近たちは「将軍が食べた料理を食べられる」という特権を楽しんでいたとも言われています。

江戸の町人は「食」にこだわる?グルメ文化の発展

江戸時代の町人たちは、食べ物に対して強いこだわりを持っていました。特に「旬の食材」を大切にし、新鮮なものを求める傾向がありました。

江戸の食トレンド

  • 初物(はつもの)文化
    「今年初めて採れた食材を食べると長生きする」と信じられていました。特に「初鰹(はつがつお)」は大人気で、「女房を質に入れても初鰹を食え」と言われるほどでした。
  • 食べ歩き文化の発展
    屋台や茶店で、気軽に食べ歩きができるようになりました。現代の「B級グルメ」のような感覚で楽しめる料理が増えました。
  • 高級料理屋の登場
    一般の庶民が行くことはできませんでしたが、裕福な商人や武士の間では、高級料亭での食事が流行しました。懐石料理のように、一品ずつ提供されるスタイルもこの時代から広まりました。

このように、江戸時代は「グルメ文化」が発展し、食を楽しむための工夫がたくさん生まれました。

江戸時代の甘味文化|将軍も愛した和菓子とは?

江戸時代は甘味の文化も発展しました。当時は砂糖が高級品だったため、甘いものは特別なごちそうでした。

江戸時代に人気だった和菓子

  • 金平糖(こんぺいとう):ポルトガルから伝わった砂糖菓子で、将軍家にも献上された。
  • 羊羹(ようかん):豆を使った甘いお菓子。将軍や武士たちの間でも人気。
  • 最中(もなか):餡を挟んだ和菓子で、今も人気のある伝統的なお菓子。
  • 駄菓子(だがし):庶民向けの安いお菓子として発展。子どもたちにも大人気。

また、将軍の中には「甘党」の人物もいました。特に14代将軍・徳川家茂(いえもち)は大の甘党で、金平糖や最中が好きだったと言われています。

しかし、甘いものばかり食べた影響で虫歯が多く、健康を害してしまったとも言われています。

江戸時代に生まれた「日本の食文化」が今も続いている!

江戸時代に発展した食文化は、現代の日本にも深く根付いています。例えば…

  1. 寿司文化の発展
    江戸時代に生まれた「江戸前寿司」は、今も全国で親しまれています。
  2. 蕎麦(そば)の普及
    「年越しそば」など、江戸時代に広まった習慣が今も残っています。
  3. 発酵食品の人気
    味噌や漬物、醤油などの発酵食品は、江戸時代から重要な調味料でした。
  4. 外食文化の発展
    屋台や茶屋のスタイルは、現代のレストランや屋台村につながっています。

このように、江戸時代の食文化は、今も私たちの生活に大きな影響を与えているのです。

総括:江戸時代の食事を分かりやすく解説まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 江戸時代の食事の基本は「一汁一菜」
    • ご飯(白米または雑穀米)、味噌汁、おかず1品が基本。
    • 武士は「一汁三菜」で、おかずの品数が少し多かった。
  • 庶民と武士の食事の違い
    • 庶民:白米はぜいたく品で、雑穀ご飯が中心。魚や漬物を食べていた。
    • 武士:魚や豆腐料理が多く、お酒を飲むこともあった。
  • 江戸時代の食事回数は1日2食から3食へ
    • 初期は朝夕2食だったが、中期以降、夜の活動時間が増え3食が定着。
  • 江戸の屋台文化と外食の発展
    • 手軽に食べられる「寿司」「蕎麦」「天ぷら」「うなぎ」が人気。
    • 屋台での食べ歩き文化が広まり、外食産業の基盤となった。
  • 白米の弊害「江戸患い(脚気)」
    • 白米中心の食生活が原因でビタミンB1不足になり、江戸の町人に脚気が流行。
    • 一方、農村の人々は雑穀を食べていたため、脚気にはならなかった。
  • 江戸時代の食文化の特徴と語呂合わせ
    • 縁起の良い食べ物:「キス(喜ぶ)」「コノシロ(この城)」など語呂合わせが多かった。
    • 肉の隠語:「ぼたん(猪肉)」「さくら(馬肉)」「かしわ(鶏肉)」と呼ばれた。
  • 将軍の食事ルール
    • 毒見の儀式があり、食事が提供されるまでに時間がかかった。
    • 食べ残しは許されず、料理人は常に緊張していた。
  • 江戸時代の甘味文化
    • 将軍や武士の間で人気:「金平糖」「羊羹」「最中」「駄菓子」
    • 甘党の将軍:14代将軍・家茂は金平糖や最中が大好きだった。
  • 江戸時代の食文化が現代に残る影響
    • 寿司文化:「江戸前寿司」は今も人気。
    • 蕎麦文化:「年越しそば」の習慣が続く。
    • 発酵食品:味噌、漬物、醤油など、江戸時代に発展した発酵食品が現在も日本の食卓に欠かせない。
    • 外食文化:屋台文化が、現代の飲食店の原型となった。