今回は「普通選挙法とは何か」を、子どもでも分かるように、やさしく簡単に解説していきます。選挙と聞くと難しく感じるかもしれませんが、私たちの暮らしにとってとても大切なルールなのです。
昔の日本では、お金持ちの男の人だけが投票できる時代がありました。でも「みんなに平等にチャンスを!」という声が高まり、ある法律ができたのです。それが「普通選挙法(ふつうせんきょほう)」です。
この法律ができたことで、今のように多くの人が選挙に参加できる社会ができあがったのですね。ではさっそく、どんな法律だったのか、誰が作ったのか、なぜ必要だったのかを見ていきましょう!
普通選挙法とは何か簡単に!成立の背景や目的

普通選挙法は、日本の選挙制度における大きな転換点となった法律です。これにより、より多くの人々が選挙に参加できるようになり、民主主義が一歩進んだのです。ここでは、普通選挙法とは何か、その背景や目的について簡単に解説します。
普通選挙法とは?25歳以上の男子に選挙権を与えた法律
普通選挙法とは、1925年(大正14年)に日本でつくられた選挙のルールのことです。この法律ができる前までは、ある程度のお金を持っていて税金をたくさん払っている人にしか、選挙で投票する権利がありませんでした。
でもこの普通選挙法によって、「25歳以上のすべての男子」に選挙に参加できる権利が与えられたのです。つまり、税金の金額に関係なく、年齢さえ満たしていれば誰でも投票できるようになったということですね。
このように、お金や身分で区別しない選挙を「普通選挙(ふつうせんきょ)」と呼びます。だからこの法律も「普通選挙法」と名づけられました。
誰が作った?加藤高明内閣と護憲三派の活躍
普通選挙法を作ったのは、当時の内閣を率いていた加藤高明(かとうたかあき)という総理大臣です。彼が中心となって進めた内閣は「護憲三派内閣(ごけんさんぱないかく)」と呼ばれていて、3つの政党が協力していました。
その3つとは、憲政会(けんせいかい)、立憲政友会(りっけんせいゆうかい)、革新倶楽部(かくしんくらぶ)です。この三派が力を合わせて、「国民の声をしっかり国に届けるためには、もっと多くの人に選挙権を与えなければならない!」と考え、普通選挙法を実現させたのです。
このように、政治の力と国民の声が合わさって、大きな改革が行われたということが分かりますね。
なぜできた?大正デモクラシーと国民の声が後押し
普通選挙法ができた背景には、「大正デモクラシー」という時代の流れがありました。大正デモクラシーとは、大正時代(1912年~1926年)に広がった「みんなの意見を政治に反映させよう!」という考え方のことです。
この時代、国民の中では「もっと自由に、自分たちで政治を選びたい!」という気持ちが強くなってきました。新聞や演説で選挙の大切さが広まり、「お金持ちしか選挙に行けないのはおかしい!」という声がたくさん上がるようになったのです。
また、第一次世界大戦のあと、世界中でも民主主義(みんなで決める政治)の動きが強まり、日本でもその流れを受けて「普通選挙を実現しよう」という運動が活発になりました。
こうして国民の強い願いと、時代の変化が合わさって、普通選挙法が誕生したのです。
内容とは?納税制限の撤廃と対象者の拡大がポイント
普通選挙法の一番のポイントは、「納税制限の撤廃(てっぱい)」です。つまり、「税金をたくさん払っている人だけが投票できる」というルールをなくしたということです。
それまでの選挙では、税金をたくさん納めていない人は選挙に参加できませんでした。でもこの普通選挙法では、25歳以上の男子なら、税金の額に関係なく全員が投票できるようになりました。
この結果、有権者の数はなんと4倍以上に増え、当時の人口の20%もの人が選挙に参加できるようになりました。これはとても大きな変化で、日本の政治がより国民に近いものになったと言えます。
その後の影響とは?女性参政権への流れ
普通選挙法が成立したのは1925年(大正14年)です。そして、この法律が実際に使われたのは1928年(昭和3年)の第16回衆議院議員総選挙からでした。
この選挙では、たくさんの人が初めて投票に参加し、社会全体が大きく動きました。ただし、このときの普通選挙は「男子のみ」が対象で、女性にはまだ選挙権が与えられていませんでした。
しかし、この法律がきっかけとなって、女性にも選挙権を与えようという声が高まり、戦後の1945年に女性にも選挙権が認められます。そして1946年には、初めて男女平等の選挙が行われました。
つまり、普通選挙法は、日本の民主主義が大きく前進するきっかけとなった、大切な一歩だったのです。
普通選挙法とは何か簡単に:成立前後の流れと現在

さて、ここからは「普通選挙法ができる前はどうだったのか?」「どんな問題点があったのか?」そして「今の選挙制度はどうなっているのか?」について、塾長がやさしく解説していきますよ。
普通選挙法は、日本の政治を変えた大きなルールでしたが、その前後にもいろいろな変化や課題がありました。時代の流れの中で、どんなふうに進んできたのか、順番に見ていきましょう!
普通選挙法ができる前:制限選挙の仕組みと問題点
普通選挙法ができる前の日本では、「制限選挙(せいげんせんきょ)」というルールがありました。これは、限られた人しか選挙に参加できない仕組みのことです。
たとえば、1889年の衆議院議員選挙法では、「25歳以上で、直接国税を15円以上納めている男子」だけが投票できました。当時の15円は今でいうとかなりの高額で、ふつうの人ではとても払えませんでした。
さらに、女性や軍人、植民地(当時の台湾や朝鮮)に住む人には、選挙権がまったく与えられていませんでした。つまり、お金や身分、性別で「選挙に参加できる人」が決まっていたのです。
このように、国民のほんの一部しか政治に参加できなかったため、不公平な社会になっていたのですね。
治安維持法の関係とは?アメとムチのセットだった理由
1925年に普通選挙法が成立したとき、もう一つ大きな法律も同時につくられました。それが「治安維持法(ちあんいじほう)」です。
この2つの法律はよく「アメとムチ」とたとえられます。「アメ」は、普通選挙法でみんなに選挙の機会を与えること、「ムチ」は、治安維持法で言いたいことを自由に言えないようにすることです。
当時の政府は、普通選挙が始まると、労働者や農民の政党が力を持ちすぎて、社会主義(共産主義)の考えが広がることを心配していました。だから、表では「選挙権をあげますよ」と言いながら、裏では「でも政府に逆らう考えはダメ!」と厳しく取り締まるようにしたのです。
このように、普通選挙法と治安維持法はセットでつくられ、自由と制限のバランスをとる形となっていたのです。
問題点:完全な平等ではなかった初期の課題
普通選挙法は大きな進歩でしたが、まだまだ課題もありました。まず一番の問題は「女性」が選挙に参加できなかったことです。「普通選挙」と言いながらも、対象は「男子だけ」だったのです。
さらに、生活が苦しくて救済を受けている人や、一定の住所がない人も選挙から除外されていました。また、「供託金(きょたくきん)」という制度も問題になりました。これは、選挙に出るときに高額なお金を国に預ける制度で、お金がない人が立候補しづらくなる原因になっていたのです。
これらの点から見ても、1925年にできた普通選挙法は「完全な平等のスタート」ではなかったと言えます。そこからさらに改正されていく必要があったのです。
1945年の婦人参政権実現へ
大きな変化が起こったのは、第二次世界大戦が終わったあとの1945年です。このとき、日本は大きな改革を進める中で、ついに「女性にも選挙権を与える」ことを決めました。
そして翌年、1946年には「男女が平等に投票できる選挙」が行われました。これは、日本で初めて女性が政治に参加した選挙で、多くの女性が投票し、何人もの女性が国会議員に選ばれました。
さらに、その後は選挙権の年齢も引き下げられ、現在では「18歳以上の男女すべて」が投票できるようになっています。このように、普通選挙法はスタート地点にすぎず、時代とともにより平等な制度へと進んでいったのです。
現代の普通選挙制度
現在の日本では、「18歳以上のすべての国民」に選挙権があります。これは2016年の法律改正で、以前の20歳から18歳へと引き下げられたからです。
また、最近では「期日前投票(きじつぜんとうひょう)」や「インターネットを使った選挙運動」など、新しい選挙の形も取り入れられています。将来的には「ネット投票」も実現するかもしれないと言われています。
しかし、まだ課題もあります。若い人の投票率が低いこと、選挙の仕組みがわかりにくいこと、地方での投票所の減少などです。
これからの日本のためには、私たち一人ひとりが選挙について考え、行動することが大切です。選挙は「みんなで未来を決める」チャンスなのです!
総括:普通選挙法とは何か簡単に解説まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
✅ 普通選挙法の基本と目的
- 普通選挙法は1925年に成立した法律で、25歳以上の男子に選挙権を与えた
- それまでの制限選挙では、お金持ちの男性だけが投票できた
- 納税額による制限をなくし、より多くの人が選挙に参加できるようになった
✅ 作ったのは誰?
- 作ったのは加藤高明内閣(護憲三派内閣)
- 護憲三派(憲政会、立憲政友会、革新倶楽部)が協力して成立させた
✅ なぜできたのか?
- 大正デモクラシーの流れの中で、国民の「平等に選挙したい」という声が高まった
- 世界的にも民主主義が広がっていた時代背景があった
✅ 法律の内容と変化
- 納税制限を撤廃し、25歳以上の男子すべてに選挙権を与えた
- 有権者は従来の約4倍に増加(人口の20%が選挙に参加)
- 女性はまだ対象外だったが、後の女性参政権につながった
✅ 成立の影響とその後
- 1928年に初の男子普通選挙が実施された
- 戦後の1945年に女性にも選挙権が与えられ、1946年に初の男女平等選挙が行われた
- 現在では18歳以上のすべての国民が選挙に参加できる
✅ 関連する問題点や課題
- 同時に成立した治安維持法で自由な意見が制限された
- 初期の普通選挙でも女性や貧困層は除外されていた
- 高額な供託金制度が立候補のハードルになっていた
✅ 現代の選挙制度
- 2016年から選挙権は「18歳以上」に引き下げられた
- 期日前投票やネット選挙運動も導入されている
- 若者の投票率の低さや投票の利便性などが今後の課題となっている
