みなさんは「教育勅語(きょういくちょくご)」という言葉を聞いたことがありますか?ちょっとむずかしそうな名前ですが、実はとっても大事なことが書かれている、明治時代に作られた「道徳の教え」なんですよ。
「戦争と関係があるの?」
「昔の考え方でしょ?」
「いまは関係ないのでは?」
そんな声が聞こえてきそうですが、教育勅語には、今でも大切にしたい“人としての心がけ”がたくさんつまっています。
この記事では、「教育勅語とは何か?」という基本から、内容、成り立ち、そして現在との関係まで、子どもにもわかるようにやさしく解説していきます。最後まで読めば、「教育勅語ってなるほど、そういうものだったんだ!」ときっと思えますよ。
教育勅語とは何か簡単に!わかりやすく説明

教育勅語は、明治時代の日本で「人として大切なこと」を教えるためにつくられた天皇の言葉です。学校の授業で読まれたり、子どもたちが暗唱したりするくらい、大切にされていたものなんですよ。
教育勅語とは何か?「明治時代の道徳のお手本」
教育勅語(きょういくちょくご)とは、明治時代に明治天皇が国民に向けて出した、道徳や人として大切にすべきことをまとめた言葉のことです。
簡単に言えば、「こうやって生きていくのが立派な人間ですよ」と、子どもから大人までに伝えるための道しるべのようなものです。特に学校では、毎日教育勅語を読み上げたり、暗記したりしていました。
これは、当時の日本がまだ新しい国づくりの途中だったため、国民みんなで同じ考え方や行動を大切にして、日本をしっかりした国にしていこうという思いがこめられていたのです。
つまり、教育勅語は「日本をよくするために、みんなで正しいことをしようね」というメッセージだったのです。
教育勅語が作られた目的は「良い国民を育てるため」
教育勅語が作られた目的は、ずばり「良い国民を育てること」です。
明治時代は、日本が江戸時代から近代国家へと変わっていく時期でした。外国と対等に付き合っていくためにも、国民ひとりひとりがしっかりとした考えを持ち、行動できることが求められました。
そのため政府は、「みんなが大切にすべき考え方や行動」を明確に示す必要がありました。そこで登場したのが教育勅語です。
この勅語では、家族を大切にすること、友達と仲良くすること、学問に励むこと、そして国を思う心など、生活の中で実践できる道徳がたくさん示されています。つまり、教育勅語は、「どうすれば立派な人間になれるか」を教える教科書のような役割を果たしていたのです。
教育勅語の内容を簡単に解説!12の徳目がポイント
教育勅語には、全部で12の大切な教え(これを「徳目」といいます)が書かれています。
たとえば「両親を大切にしましょう」「兄弟姉妹は仲良くしましょう」「友達を信じて助け合いましょう」など、身近で分かりやすい内容ばかりです。他にも、「学問をしっかりしましょう」「社会の役に立ちましょう」「法律を守りましょう」「困ったときには勇気を出してがんばりましょう」といった、社会で生きるうえで大切なことも教えています。
これらの徳目は、今の道徳の授業でも出てきそうな内容で、「人としてこうありたい」という考え方が詰まっているのです。教育勅語のすごいところは、昔の言葉だけど、今でも役に立つ教えがたくさんあるという点です。
教育勅語の時代背景:明治時代の国づくりと関係あり
教育勅語が作られた背景には、日本が「強くて立派な国になろう」としていた明治時代の時代背景があります。明治時代の初め、日本は西洋の国々と比べてまだまだ小さくて弱い国でした。
そこで政府は、「まずは国民をしっかり育てることが大事だ!」と考えたのです。そして、国の中心にある天皇の考えを国民に伝える方法として、「教育勅語」が生まれました。
教育勅語には、天皇が「みんなで助け合って、仲良く、努力して、立派な国をつくろう」と呼びかけています。当時の学校では、天皇の写真の前でこの勅語を読み上げたり、暗記したりしていました。
これは、国のためにがんばる人を育てる教育がとても大切だと考えられていたからです。
教育勅語の現代語訳とは?今の言葉で分かりやすく紹介
教育勅語は昔の文章で書かれているため、今読むとちょっと難しいですよね。
そこで、「現代語訳(げんだいごやく)」といって、現代の言葉でわかりやすくしたものがあります。たとえば「父母に孝に兄弟に友に…」という文は、「お父さんお母さんを大切にしましょう。兄弟姉妹は仲良くしましょう」となります。
他にも、「学問に励みましょう」「社会のために働きましょう」「ルールや法律を守りましょう」といった具合に訳されます。
このように現代語訳を読むと、教育勅語は決して特別なことを言っているわけではなく、「当たり前のことをしっかりやろう」という教えであることがわかります。今の子どもたちにも通じる道徳の基本がつまっているんですね。
教育勅語の内容や特徴をわかりやすく!現代との違い

教育勅語とは何かがわかったところで、今度はその「中身」や「特徴」について見ていきましょう。実は教育勅語には、今の私たちの生活にも通じる良い教えがたくさんあります。
ただし、当時の時代背景や考え方と今とでは大きく違う部分もあるため、その違いを理解することも大切です。ここでは教育勅語の内容や特徴、そして現代との違いや活かし方まで、塾長がわかりやすく解説していきます!
教育勅語の内容は「道徳の教科書」のようなもの
教育勅語には、私たちが「人として大切にすべきこと」がたくさん書かれています。たとえば「父母に孝に、兄弟に友に、夫婦相和し…」という部分は、家族や友だちと仲良くしようという意味です。
これを今の言葉で表すと、「親に感謝し、兄弟姉妹と仲良く、夫婦は助け合い、友だちとは信じ合う」など、まるで道徳の教科書みたいな内容なのです。
また、「学を修め、業を習い」という言葉もあり、「勉強して知識を身につけ、社会のために働きましょう」と教えています。こうした内容は、現代の学校でも道徳の授業で習うことととても似ています。
つまり、教育勅語は昔の道徳の教科書のような役割を果たしていたのです。
教育勅語の特徴は「天皇中心」「忠君愛国」の思想
教育勅語が普通の道徳と違う点は、「天皇への忠誠」や「国を大切にする心」が強く書かれていることです。
たとえば、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」という部分は、もし国が大変なときは勇気を出して天皇のために尽くしましょう、という意味です。
このように、教育勅語の中では「忠君愛国(ちゅうくんあいこく)」、つまり「天皇に忠誠をつくし、国を愛する」という考えが中心になっています。これは明治時代に「天皇を中心とした国家づくり」が進められていたからです。
今の私たちの考え方とは少し違うところがありますね。
教育勅語の現代語訳がたくさんあるのはなぜ?
教育勅語は昔の文語体(ぶんごたい)で書かれていて、今読むととても難しい言葉づかいになっています。そのため、多くの人がわかりやすくするために「現代語訳(げんだいごやく)」を作ってきました。
たとえば、明治神宮が出している訳や、国民道徳協会という団体が作った訳などがあります。その他にも、高橋陽一さんが書いた書籍も出ています。
でも、それぞれの訳をよく見ると、少しずつ意味が違っていたり、強調するところが違ったりします。これは、教育勅語がとてもあいまいな表現で書かれているため、読み手の考え方によって解釈が分かれてしまうからです。
ですから、どの現代語訳も「参考」にはなりますが、「これが絶対に正しい」というものではないことを覚えておきましょう。
教育勅語は本当に「戦争をすすめる教え」だったのか
教育勅語には「戦争に行け」とは書いてありませんが、「国のために力を尽くす」「天皇を支える」という言葉があるため、戦争を正当化するために使われたという意見もあります。
特に、戦前の日本ではこの教育勅語を学校で暗記させたり、式典で読み上げたりしていたため、「国のために命をささげるのが美徳」とされがちでした。
しかし一方で、教育勅語に書かれている内容の多くは「親を大切に」「友だちと信じ合う」など、普通の道徳的なことばかりです。
つまり、教育勅語そのものが戦争をすすめたというよりも、「どう使われたか」によって意味が変わってしまった面があります。そのため、今では「教育勅語=悪いもの」と一方的に決めつけるのではなく、その時代背景や使われ方も含めて考えることが大切です。
教育勅語から学べることはある?現代で活かすには
教育勅語の中には、今でもとても大切にしたい考えがたくさんあります。たとえば、「親に感謝する」「人にやさしくする」「よく学び、社会に役立つ」など、これらはどんな時代でも通じる「人としての基本」ですね。
現代の社会では、「個人の自由」や「多様性」がとても大切にされていますが、同時に「思いやり」や「責任感」も求められています。教育勅語の中にある良い教えを、自分なりに理解して、今の時代に合うかたちで取り入れることは、とても意味のあることです。
たとえば、災害が起こったときに「自分にできることをしよう」と考えるのも、教育勅語が伝えていた「それぞれの立場で力を尽くす」という精神と重なりますね。このように、昔の考え方でも、今に通じる部分を見つけて学ぶことが大切です。
総括:教育勅語とは何か簡単に解説まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 教育勅語とは:明治天皇が出した「人として大切にすべきこと」をまとめた道徳の教え。
- 目的:立派な国民を育てて、日本を強くすることを目指して作られた。
- 内容:親への感謝、兄弟との仲良し、努力、法律を守る心など、12の徳目で構成。
- 特徴:道徳的な教えに加えて、「天皇に忠誠を尽くす」「国を支える」といった思想も含まれる。
- 現代語訳が多い理由:文語体で書かれていて解釈が難しく、様々な立場から異なる訳が作られているため。
- 戦争との関係:戦争を直接すすめる内容ではないが、戦前には軍国主義的に利用されたことがある。
- 現代への活かし方:感謝・思いやり・公共心など、今でも通じる道徳的価値が多く含まれている。
- 大切な視点:教育勅語を「よい・わるい」で片づけず、時代背景や内容を理解し、自分で考えることが大切。