今日は「教育勅語(きょういくちょくご)」がなぜ廃止されたのかについて分かりやすく解説していきます。
「教育勅語って何?」
「どうして廃止されたの?」
そんな疑問を持つ人は多いと思います。
昔の日本では、学校で教育勅語を読み上げる時間がありました。でも今は使われていません。いったいなぜでしょうか?
今回は教育勅語が作られた背景や、なぜ廃止されたのかをわかりやすく解説していきます!
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教育勅語はなぜ廃止されたのか?問題点を解説
教育勅語が廃止されるまでの経緯には、戦争の影響や新しい日本の理念との不一致が大きく関係しています。ここでは、教育勅語が発布された背景や、戦争中にどのように利用されたかを詳しく見ていきます。
なぜ教育勅語は廃止されたのか?理由
教育勅語が廃止された一番の理由は、「戦争に使われたこと」と、「新しい日本の考え方と合わなかったこと」です。
教育勅語には「国のために命をささげましょう」「天皇に忠(ちゅう)をつくしましょう」という考えが書かれていました。これが戦争中、「国のためにがんばれ!」「天皇のために戦え!」という教育に利用されてしまったのです。
戦後の日本は「国民が主人公の国(民主主義)」になりました。でも教育勅語は「天皇を中心とした考え方」だったので、あたらしい憲法と矛盾していたのです。
そのため、戦争をくり返さないためにも、教育勅語は「もう使うべきではない」と考えられ、廃止されることになったのです。
廃止されたのはいつ?教育勅語が失効した正確な日付
教育勅語が正式に「もう使いません」と決まったのは、1948年(昭和23年)6月19日です。このとき、日本の国会で「教育勅語を廃止します」という決議が出され、正式に失効(しっこう)したと確認されました。
その前から、すでに学校では教育勅語を読まなくなっていました。1945年の第二次世界大戦の終わりとともに、日本は大きく変わることになります。戦争に負けた日本は、アメリカを中心とした「GHQ(じーえいちきゅー)」という占領軍の管理下に入りました。
GHQは「教育勅語は戦争の考え方とつながっていてよくない」と考え、使うのをやめるように指示しました。その流れの中で、新しく「教育基本法(きょういくきほんほう)」がつくられ、教育の考え方がガラリと変わったのです。
教育勅語の問題点は「忠君愛国」の思想
教育勅語でとくに問題とされたのは、「忠君愛国(ちゅうくんあいこく)」という言葉です。これは「天皇に忠義をつくし、自分の国を愛しなさい」という意味です。
たしかに国を大切にする気持ちは大事ですが、戦争中はこの言葉が「天皇のために命をささげなさい」という意味で使われました。これが、子どもたちにとってとても重いプレッシャーになっていたのです。
また、教育勅語の中には「夫婦は仲良く」「友だちは信じあいましょう」など、いいことも書いてあります。でも、全体として「天皇を守るためにがんばれ」という考えが強く出ていて、現代の「自由」や「平等」の考え方とは合いません。
だからこそ、「良いこともあるけど、全体としては問題が多い」とされ、廃止されたのです。
GHQはなぜ教育勅語を問題視したのか
GHQ(連合国軍最高司令部)は、アメリカを中心とした組織で、日本が戦争に負けたあとに国の立て直しを手伝いました。そのGHQがとくに注意したのが「教育の内容」です。
GHQは「教育勅語は日本人に天皇を絶対視させ、戦争に向かわせる力がある」と考えました。つまり、教育勅語は「子どもたちを戦争に行かせるための洗脳(せんのう)」に使われたと見たのです。
そこでGHQは、教育勅語を使うことをやめるように日本政府に伝えました。また、新しく「民主主義」を教えるための法律や教科書を作るように求めました。
このように、GHQの方針も教育勅語の廃止につながった大きな理由のひとつなのです。
教育勅語の排除を決めた国会決議
1948年6月19日、日本の国会でとても大事なことが決まりました。それは「教育勅語はもう使いません!」という公式な決議(けつぎ)です。
衆議院(しゅうぎいん)では「教育勅語等排除に関する決議」、参議院(さんぎいん)では「教育勅語等の失効確認に関する決議」が、それぞれ全員一致で可決されました。
これは、日本が新しい時代へ進む大きな一歩でした。「天皇のために生きる教育」から「国民一人ひとりが大切にされる教育」へと変わったことを、国がしっかり示したのです。
この決議によって、教育勅語はただ使われなくなるだけでなく、「もう今後も使わない」という国の約束として記録されたのです。
教育勅語はなぜ廃止されたか:その後の教育と今の評価
教育勅語が廃止されたあと、日本の教育はどう変わったのでしょうか?また、最近になって教育勅語を見直そうという声もあります。
ここからは、教育勅語の廃止がどんな影響を与えたのか、そして今の社会でどう思われているのかを、くわしく見ていきましょう。
教育勅語廃止後:日本の教育はどう変わったのか
教育勅語が廃止されたあと、日本では「教育基本法(きょういくきほんほう)」という新しいルールが作られました。これは1947年にできた法律で、今も日本の教育の土台になっています。
教育基本法では、「人間らしく生きること」「自分の意見を持つこと」「自由に学びあうこと」など、民主主義(みんしゅしゅぎ)の考え方が大切にされるようになりました。
また、男の子も女の子も同じように学べる「男女共学」や、すべての子どもに教育を受けさせる「義務教育」も、しっかりと決められました。
教育勅語の時代とはちがい、今の教育は「子ども一人ひとりが自分の力で考えること」をとても大切にしているのです。
教育勅語の良いところは?再評価されている12の徳目とは
教育勅語が廃止されたとはいえ、「すべてが悪いものだった」というわけではありません。最近では、「教育勅語の中には良いことも書いてあるのでは?」と見直す声も出てきています。
とくに注目されているのが、「12の徳目(とくもく)」と呼ばれる道徳の教えです。たとえば、「親を大切にしよう(孝行)」「友だちを信じよう(朋友の信)」「社会のために働こう(公益世務)」など、今でも通じる内容が多くあります。
こうした教えは、たしかに大切なことです。ただし、教育勅語では「天皇のために生きること」が中心になっているので、それとセットで教えるのは注意が必要です。
だから、良いところはうまく活用しながらも、今の時代に合った教え方が必要なのです。
教育勅語を使った教育は今でも行われている?
実は、教育勅語を教育の中で参考にしている学校も、少しだけですがあります。私立の学校などでは、「12の徳目」を道徳の授業で紹介したり、教育理念に取り入れたりしていることがあります。
ただし、これらの学校でも「天皇のために命をささげる」といった考え方を教えているわけではありません。むしろ、礼儀や思いやりといった一般的な道徳を大切にしようという意味で使っているのです。
国としては、教育勅語を学校教育の中心にすることは認めていません。ですから、もし学校で教育勅語が使われていたとしても、それは「参考程度」という位置づけになります。
大事なのは、「過去の考えをそのまま取り入れるのではなく、今の社会に合った形で使うこと」だといえるでしょう。
教育勅語と今の道徳教育の違い
教育勅語の時代は、「これが正しい!」と一つの考え方を教え込む教育が中心でした。でも今は、「自分の頭で考え、意見を持つこと」がとても大切にされています。
たとえば、今の道徳の授業では、「友だちが困っているとき、あなたならどうする?」というように、自分で考えたり話し合ったりする時間が多くあります。これを「考える道徳」「議論する道徳」といいます。
教育勅語では「正しい答え」が決まっていましたが、今の教育では「正しい答えはひとつじゃない」と考えられています。
このように、教育勅語と現代の教育は、考え方の土台がまったくちがうのです。だからこそ、教育勅語をそのまま使うのではなく、時代に合わせた教育が求められているのです。
教育勅語は本当に必要ないのか?
では、教育勅語はもう必要ないのでしょうか?これは今でも意見が分かれるところです。
「昔の考えに戻るのはよくない」と考える人もいれば、「良いところは残すべきだ」という人もいます。たしかに、「親を大切にしよう」「社会のために働こう」といった教えは、今の社会でも大事なことです。
でも、教育勅語が使われていた時代には、「天皇のために命をかける」といった、今では考えられない価値観が強く押し出されていました。
だからこそ、教育勅語をもう一度使うのではなく、「なぜ廃止されたのか」「何が問題だったのか」をしっかりと学ぶことが大切です。
歴史をふりかえることで、私たちは「これからの教育をどうしていくか」を考えるヒントを得ることができるのです。
総括:教育勅語はなぜ廃止されたのかまとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 教育勅語は、天皇への忠誠や国への愛を強調する道徳教育の柱として使われていた。
- 戦争中に「天皇のために命をささげる」などの教育に利用され、戦争を正当化する道具になった。
- 戦後、日本は民主主義の国となり、教育勅語の内容が新しい憲法と合わなくなった。
- 1948年6月19日、国会で正式に「教育勅語の失効」が決議された。
- 教育勅語の最大の問題点は「忠君愛国」の思想で、自由や平等の現代的価値観と対立する。
- GHQは教育勅語を戦争の原因の一部とみなし、使用停止を日本に求めた。
- 教育勅語には「12の徳目」など良い面もあるが、全体としては時代に合わないと判断された。
- 現代では、道徳教育は「考える・議論する道徳」に変わっており、教育勅語とは大きく異なる。
- 一部の私立学校では教育勅語を参考にしているが、国としては教育の中心に据えていない。
- 教育勅語をそのまま復活させるのではなく、「なぜ廃止されたのか」を学ぶことが大切。