今回は「民本主義と民主主義の違いって何?」という疑問に答えていきます。

歴史のテストや授業でもよく出てくるこの2つの言葉ですが、どこがどう違うのか、ピンとこない人も多いはず。実はこの違いを理解すると、大正時代の政治や社会の動きがグッとわかりやすくなるんですよ。

この記事では、表を使った比較や、わかりやすい例を交えながら、ていねいに解説していきます。それでは、一緒に見ていきましょう!

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民本主義と民主主義の違い:比較表とわかりやすい解説

「民本主義」と「民主主義」の違いを理解することは、日本の政治思想を学ぶ上で非常に重要です。今回は、両者の違いや共通点を分かりやすく整理し、理解を深めるための解説を行います。

初心者でもスムーズに学べるように、比較表も用意していますので、ぜひチェックしてみてください!

民本主義と民主主義の違い比較表

まず、いちばん大きな違いは「主権がどこにあるか」です。主権とは、国の政治を最終的に決める力のこと。ここを押さえるだけで、2つの言葉の意味がハッキリしてきますよ。

分類民主主義民本主義
主権の所在国民問わない(天皇主権もOK)
政治の目的国民のため国民のため
キーワード国民主権、選挙、自由民意尊重、妥協、現実的対応
提唱者西洋の政治思想家など吉野作造(日本)
時代背景近代ヨーロッパ〜現在大正時代の日本

民主主義は「国民が政治の主人公」という考え方です。一方、民本主義は「主権は天皇にあっても、国民のために政治すべき」という折衷的な考えです。

当時の日本は「天皇が主権を持つ国」だったため、吉野作造はあえて「民主主義」ではなく「民本主義」という言葉を使いました。

民本主義とは?吉野作造が唱えた天皇制下の民主化思想

民本主義(みんぽんしゅぎ)は、大正時代に吉野作造という学者が提唱した、日本独自の民主化の考え方です。当時の日本は「天皇が国の主人」という考え方(天皇主権)がありました。だから西洋のような民主主義をそのまま取り入れるのはむずかしかったのです。

吉野作造はこう考えました。

「たとえ主権が天皇にあったとしても、その政治は国民のために行われるべきだ」

つまり、「誰が主権を持っているか」ではなく、「誰のための政治か」が大事だという主張です。これが民本主義です。

この考え方は、大正デモクラシー(民主的な政治を求める動き)に大きな影響を与えました。「民意を大切にしよう!」という空気が日本全体に広がっていったのです。

民主主義とは?国民主権を基本とする政治の仕組みを解説

民主主義(みんしゅしゅぎ)は、国民が国の主人公として政治に参加する考え方です。主権は「国民」にあります。つまり、「政治を決める一番の力は国民にある」ということです。

民主主義では、選挙で選ばれた人が政治を行い、みんなの意見が反映されるしくみになっています。「自由」「平等」「人権」なども大切なポイントです。

たとえば日本では、今は18歳以上が選挙で投票できます。これも民主主義のあらわれです。自分の代表を自分で選ぶことができるのは、民主主義ならではの制度ですね。

西洋から始まったこの考え方は、明治以降の日本にも入ってきました。でも、当時の日本はまだ天皇主権だったため、これをそのまま取り入れるのはむずかしかったのです。そこで登場したのが「民本主義」でした。

なぜ「民主主義」ではなく「民本主義」を使ったのか

吉野作造が「民主主義」ではなく「民本主義」という言葉を使ったのは、当時の日本の事情を考えてのことです。明治憲法では天皇が国の主権者とされていました。つまり、「国民が主権を持つ」という民主主義の考え方は、憲法と矛盾してしまうのです。

そこで吉野作造は、「主権が誰にあるかは問わず、国民のために政治を行うべきだ」という意味で「民本主義」を使いました。

つまり、「民主主義だと天皇主権に反してしまうけど、民本主義ならうまくバランスが取れる」と考えたのです。これは、政府と国民の両方の立場を考えた、とても現実的なアイデアでした。

共通点は「民意の尊重」

民本主義と民主主義には違いがありますが、実は共通している点もあります。それが「民意(国民の考えや希望)を大切にする」ということです。

どちらの考え方も、政治は国民のためにあるべきだとしています。民主主義は主権も国民にありますが、民本主義も「政治の目的は国民の幸せだ」という点では同じです。

たとえば、選挙を通じて国民の声を政治に反映させようという動きや、国民の自由や人権を守ることを大切にする点は共通しています。だからこそ、民本主義は当時の日本にとって「民主主義のいいところ」を取り入れつつ、現実に合わせた柔らかい表現だったのです。

民本主義と民主主義の違い:ポイント&用語まとめ

ここからは、テスト対策として「民本主義」と「民主主義」の重要ポイントや覚えておきたい用語をまとめていきます。

学校の授業や入試でもよく出てくる内容なので、「何が大事か?」「どう覚えるか?」を意識して見ていきましょう!塾長と一緒にチェックすればバッチリです!

民本主義が登場した背景と時代

民本主義が生まれたのは、大正時代です。このころ、日本では「もっと国民の声を政治に反映させよう!」という動きが広まっていました。これが「大正デモクラシー」と呼ばれる時代の流れです。

その背景には、明治時代から続いていた「官僚中心の政治」への不満がありました。特に1913年の「大正政変」では、多くの国民がデモを起こし、内閣を辞めさせるという大きな事件がありました。

このように、民衆の力が高まる中で登場したのが、吉野作造の「民本主義」です。主権は天皇にあるとしながらも、「政治は国民のために行うべきだ」とする考えが、多くの人の心を動かしました。

民本主義と関係の深い人物:吉野作造や美濃部達吉

テストでよく聞かれるのが、「誰が民本主義を提唱したか?」という問題です。答えはもちろん、**吉野作造(よしのさくぞう)**です。

吉野作造は、東京帝国大学の教授で、1916年に雑誌『中央公論』で「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」という論文を発表し、民本主義を世に広めました。

もうひとり、覚えておきたいのが**美濃部達吉(みのべたつきち)**です。彼は「天皇機関説」を唱えた学者で、「天皇は国家の一機関である」と主張しました。

吉野の民本主義と美濃部の天皇機関説は、大正デモクラシーの2つの大きな柱になりました。このセットで覚えると、点が取りやすくなりますよ!

普通選挙・政党内閣との関係

民本主義が目指したのは、「国民の声を政治に反映させること」です。そのために吉野作造が必要だと考えたのが、以下の2つの制度です。

1つ目は普通選挙です。当時の選挙は、税金をたくさん納めた人しか投票できない「制限選挙」でした。吉野は「みんなが平等に投票できる社会」にしようと主張しました。

2つ目は政党内閣です。これは、選挙で選ばれた国会議員が内閣を組織する仕組みのこと。つまり、「国民が選んだ人」が政治をするという形ですね。

この2つを実現することで、国民の意思が政治に反映されやすくなると考えたのです。民本主義=普通選挙+政党内閣、というセットで覚えておきましょう!

民本主義と民主主義の違い:論述対策

入試や記述問題で出されやすいのが、「民本主義と民主主義の違いを説明しなさい」という問題です。ここでは30字以内で答えられるように、例文を紹介します。

【例文①】

「主権在民の民主主義を避け、民意重視の民本主義を唱えた」(29字)

【例文②】

「天皇主権の中で民意を反映するため民本主義を使った」(29字)

ポイントは、「民主主義は主権が国民にあるが、民本主義は主権にこだわらない」ということ。この要点を30字以内にまとめられるよう、練習しておくと安心です。

「民本主義」と混同しやすい用語もチェック

最後に、「民本主義」と間違えやすい言葉もチェックしておきましょう。テストでは引っかけ問題として出ることもあります。

民主主義

→ 国民が主権を持つ政治の仕組み。主権在民がキーワード。

平民主義

→ 「平民(庶民)」を中心にした考え方で、貴族や上流階級に対抗する意味が含まれることが多いです。

民衆主義

→ 民衆=国民の生活を重視する意味がありますが、民本主義のように「主権を問わない」特徴はありません。

天皇機関説

→ 美濃部達吉が唱えた理論で、天皇は国家の一つの機関であり、国の主権は憲法にあるという考えです。

これらの用語は似ているようで意味が違います。民本主義と混ぜて覚えないように、しっかり整理しておきましょう!

総括:民本主義と民主主義の違いまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

分類民主主義民本主義
主権の所在国民問わない(天皇主権もOK)
政治の目的国民のため国民のため
キーワード国民主権、選挙、自由民意尊重、妥協、現実的対応
提唱者西洋の政治思想家など吉野作造(日本)
時代背景近代ヨーロッパ〜現在大正時代の日本