歴史の授業で「桜田門外の変」という事件を習ったことはありますか？
幕末の大事件のひとつで、江戸幕府の大老・井伊直弼（いいなおすけ）が暗殺された出来事です。でも、なぜ彼は狙われたのでしょうか？ 誰が暗殺したのでしょう？ そして、井伊直弼の死が日本の歴史にどんな影響を与えたのでしょうか？
この記事では、「井伊直弼の暗殺」に関する疑問を、わかりやすく解説していきます！ 歴史の勉強が苦手な人でも、スラスラ読めるように説明しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね！
井伊直弼の暗殺とは？背景から事件の詳細まで解説
幕末の日本は、外国との関係や政治のあり方をめぐって、大きく揺れていました。その中で、幕府の最高権力者の一人である井伊直弼が暗殺されたのが「桜田門外の変」です。
この事件がどのようにして起こったのか、詳しく見ていきましょう。
井伊直弼はなぜ暗殺されたのか？暗殺の理由と背景
井伊直弼が暗殺された理由は、大きく分けて二つあります。
まず一つ目は、「開国を進めたこと」です。井伊直弼は、日本を外国に開こうとし、1858年に「日米修好通商条約」を天皇の許可なしで結びました。当時、日本には「外国と関わるべきではない！」と考える人たち（尊王攘夷派）がたくさんいました。
彼らからすると、井伊直弼のやり方は「勝手すぎる！」ということになったのです。
二つ目は、「安政の大獄（あんせいのたいごく）」という事件です。井伊直弼は、条約に反対する人たちを次々と捕まえて処刑しました。あの有名な吉田松陰（よしだしょういん）も、このとき処刑された一人です。
処刑された人たちの仲間や、彼らを応援していた武士たちは、当然ながら怒りました。「井伊直弼を許せない！」と思う人が増えていった結果、暗殺計画が進んだのです。
桜田門外の変はいつ・どこで起きたのか？事件の概要
桜田門外の変は、**1860年3月3日（現在の3月24日）**に起きました。この日は、江戸城にたくさんの大名が集まる「登城日」でした。朝9時ごろ、井伊直弼が江戸城の桜田門の近くを通ったとき、事件は発生しました。
この日は大雪が降っていました。護衛の武士たちは、寒さを防ぐために厚い服を着ていて、さらに刀には「柄袋（つかぶくろ）」という布をかけていました。これが命取りになったのです。
突然、井伊直弼の行列に向かって18人の武士たちが襲いかかりました。彼らは水戸藩（みとはん）と薩摩藩（さつまはん）を脱藩した浪士たちでした。彼らは、まずピストルを撃ち、駕籠（かご）に乗っていた井伊直弼に向かって次々と刀を振り下ろしたのです。
井伊直弼を暗殺したのは誰？暗殺グループの正体
この事件を起こしたのは、水戸藩の元藩士17人と、薩摩藩の元藩士1人でした。中心になったのは、水戸藩の浪士たちです。彼らは、主君だった水戸藩主・徳川斉昭（とくがわなりあき）が処罰されたことに怒り、井伊直弼を討つことを決めました。
そして、井伊直弼の首を実際に落としたのが、薩摩藩の有村次左衛門（ありむらじざえもん）です。有村次左衛門は、桜田門外の変の後、その場で自害しました。つまり、彼は自分の命と引き換えに、この暗殺を実行したのです。
暗殺に参加した浪士たちは、その後どうなったのでしょうか？ 逃げ延びた者もいましたが、多くは幕府に捕まり、処刑されました。彼らにとっては「自分たちの正義を貫くための戦い」だったのかもしれません。
襲撃の詳細！井伊直弼がどのように暗殺されたのか
襲撃は、わずか数分間の出来事でした。
最初の合図は、ピストルの銃声でした。この音をきっかけに、浪士たちが一斉に襲いかかりました。
- 井伊直弼の護衛武士たちは、防寒具と柄袋のせいで、すぐに刀を抜けなかった
- 銃撃により、井伊直弼は最初の一撃で負傷
- さらに浪士たちが駕籠に向かって斬りかかる
- 駕籠が破壊され、井伊直弼が引きずり出される
- 最後に有村次左衛門が井伊直弼の首を斬り落とす
井伊直弼の護衛たちは奮闘しましたが、襲撃者の勢いに押され、守りきることができませんでした。
井伊直弼の死因は？即死ではなかった可能性
井伊直弼の死因は、銃撃と刀傷による失血死でした。
最初の銃撃で負傷し、その後の襲撃で複数の刀傷を受けました。しかし、彼が本当に即死だったのかについては疑問が残っています。
一説によると、井伊直弼は襲撃の最中も意識があったと言われています。駕籠から引きずり出されたあと、血まみれになりながらも、地面を這うようにして逃げようとしていたという記録もあります。
最終的に、井伊直弼の首が落とされ、事件は幕を閉じました。彼の死によって、幕府の権威は大きく揺らぎ、日本の歴史は大きな転換点を迎えることになります。
井伊直弼の暗殺が日本に与えた影響とその後の歴史
井伊直弼の死は、単なる一人の政治家の暗殺ではありませんでした。この事件をきっかけに、日本の歴史は大きく動き出します。幕府の権威は失墜し、倒幕運動がさらに激しくなっていきました。
ここからは、井伊直弼の暗殺がその後の日本にどのような影響を与えたのかを見ていきましょう。
桜田門外の変後の幕府の対応と井伊家の運命
桜田門外の変の後、江戸幕府は大混乱に陥りました。
まず、幕府は「幕閣（ばっかく）」と呼ばれる政治の中心人物たちを集め、事態の収拾に動きました。ですが、すぐに大老に代わる強力なリーダーを決めることはできず、幕府の中枢は弱体化していきます。
また、事件を起こした浪士たちの処罰も急務でした。幕府は襲撃者を捕まえて処刑することで、幕府の権威を守ろうとしましたが、すでに「幕府はもはや守りきれない」という空気が広がっていました。
さらに、井伊家自体も大きな打撃を受けます。
- 井伊家は幕府にとって重要な家柄だったため、取り潰しは免れた
- しかし、事件の責任を問われて、領地の石高を大きく減らされる
- 井伊家の家臣たちは処罰を受け、家中の士気も下がる
結局、井伊家は幕末から明治維新にかけて衰退していくことになります。
暗殺犯たちのその後—逃亡、処刑、自害の結末
事件を起こした18人の浪士たちは、桜田門外の変の後、幕府から厳しく追われることになります。
- その場で死亡：有村次左衛門（井伊直弼の首を落とした後、自害）
- 幕府に捕まり、斬首された者：10名以上
- 逃亡に成功し、その後自害または討たれた者：数名
実行犯のほとんどが幕府の追跡を逃れることはできませんでした。特に、有村次左衛門はその場で自害しましたが、彼の遺体は長くさらされ、多くの人が彼の死を目にすることになりました。
桜田門外の変が幕末の歴史に与えた影響
この事件が日本に与えた影響は非常に大きなものでした。
- 幕府の権威が失墜
江戸城のすぐそばで大老が暗殺されたことで、「幕府はもはや人を守れない」という印象が広まりました。これにより、倒幕の動きが強まります。 - 尊王攘夷運動が激化
井伊直弼は、外国との関係を進める「開国派」でした。彼の死によって、外国を排除しようとする尊王攘夷運動（そんのうじょうい）が勢いを増します。 - 倒幕のきっかけとなった
幕府を支えるはずの大名たちも、もはや幕府には期待できないと考えるようになります。特に薩摩藩や長州藩は、幕府に対抗する動きを強め、最終的には倒幕につながっていきます。
桜田門外の変は、明治維新の流れを決定づけた事件の一つだったのです。
暗殺されなかったらどうなっていた？
もし井伊直弼が暗殺されていなかったら、日本の歴史はどうなっていたのでしょうか？
彼の政策は、開国と幕府の強化を目指したものでした。そのため、もし彼が存命だった場合、以下のような可能性が考えられます。
- 幕府はもっと強い体制になり、倒幕運動は起こらなかったかもしれない
- 外国との貿易がもっとスムーズに進み、日本の近代化が早まっていた可能性がある
- しかし、反対派を抑え込むためにさらに厳しい弾圧が行われ、より大きな反発を招いた可能性もある
歴史に「もし」はありませんが、井伊直弼が生きていたら、幕末の動きは大きく変わっていたかもしれません。
桜田門外の変の現場の現在
現在の桜田門外の変の現場は、東京都千代田区にある「皇居外苑」として整備されています。ここには、事件を記念する石碑や、当時の様子を伝える展示があり、歴史好きな人にとっては必見のスポットです。
また、井伊直弼のお墓は東京都世田谷区の「豪徳寺（ごうとくじ）」にあります。ここは、招き猫発祥の地としても有名なお寺ですが、井伊家の菩提寺としても知られています。
歴史を学ぶなら、実際に現地を訪れてみるのもおすすめです！
総括：井伊直弼の暗殺の全容&死因まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
1. 井伊直弼の暗殺（桜田門外の変）とは？
- 1860年3月3日（新暦3月24日）、江戸城桜田門外で発生
- 幕府の大老・井伊直弼が襲撃され、暗殺された事件
2. なぜ井伊直弼は暗殺されたのか？
- 開国政策（日米修好通商条約の締結）
- 天皇の許可なく条約を結び、尊王攘夷派の反発を招いた
- 安政の大獄（1858-1859年）
- 反対派の公家・大名・志士を弾圧し、多くの処刑者を出した
- これにより反井伊派の怒りが頂点に達した
3. 桜田門外の変の概要
- 暗殺の実行犯：水戸藩脱藩浪士17名＋薩摩藩脱藩浪士1名（有村次左衛門）
- 襲撃の詳細
- 朝9時頃、登城途中の井伊直弼を襲撃
- ピストルの銃声を合図に浪士たちが斬りかかる
- 井伊の護衛は防寒具と「柄袋（つかぶくろ）」の影響で刀を抜けず応戦が遅れる
- 井伊直弼は駕籠（かご）の中で負傷し、外へ引きずり出される
- 最後に有村次左衛門が首を斬り落とす
4. 井伊直弼の死因
- 銃撃と刀傷による失血死
- 即死ではなく、意識があった可能性も指摘されている
5. 事件後の影響
- 幕府の権威が大きく失墜し、倒幕運動が加速
- 尊王攘夷運動が激化し、討幕の流れが強まる
- 井伊家の処罰：石高削減・家臣の処刑や処分
6. 暗殺犯たちの運命
- 有村次左衛門はその場で自害
- 他の浪士たちは幕府に捕らえられ処刑・逃亡
- 多くは処刑され、事件の影響で水戸藩も苦境に立たされる
7. もし井伊直弼が暗殺されなかったら？
- 幕府の権力が維持され、倒幕運動が遅れた可能性
- しかし、さらなる弾圧で反発が強まり、大規模な内乱に発展した可能性も
8. 桜田門外の変の現場と井伊直弼の墓
- 現在の桜田門（東京都千代田区・皇居外苑）：事件を記念する石碑がある
- 井伊直弼の墓（東京都世田谷区・豪徳寺）：招き猫発祥の地としても有名