「この商品をおすすめします」と言いたいとき、あなたは「勧める」と「薦める」どちらの漢字を使っていますか?
実はこの2つには明確な使い分けがあります。
本記事では「勧める」と「薦める」の違いを比較表でわかりやすく解説し、それぞれの意味・使い方・例文まで丁寧にご紹介します。
さらに「すすめる」と書く他の表現も含めて、あなたが迷わず適切な言葉を選べるようサポートします。
勧めると薦めるの違いを解説!意味・使い方・例文

「すすめる」と聞くと、何気なく使っている方も多いかもしれませんが、「勧める」と「薦める」にはしっかりとした意味の違いがあります。
ここでは、それぞれの意味や使い方、例文を通して具体的に比較していきます。どちらの漢字を使うべきか迷った時にもすぐに判断できるよう、一覧表や実例を交えて丁寧に解説します。
勧めると薦めるの意味の違い比較表
まずは「勧める」と「薦める」の違いを一覧表にまとめて比較してみましょう。
項目 | 勧める | 薦める |
---|---|---|
主な意味 | 行動を促す・勧誘する | 人や物を推す・推薦する |
対象 | 行動・活動 | 人・物・サービスなど具体的なもの |
使う場面 | アドバイス・忠告・提案など | 推薦・紹介・選出など |
類語 | 勧誘、助言、提案、促す | 推薦、選抜、紹介、推奨 |
例文 | 「運動を勧める」「禁煙を勧める」など | 「本を薦める」「候補者を薦める」など |
この表からもわかるように、「勧める」は“行動”をすすめるときに使い、「薦める」は“人や物”をすすめるときに使います。
「勧める」の意味とは?行動を促す表現
「勧める」は、「行動を起こすように働きかける」という意味を持つ動詞です。
たとえば「健康のために運動を勧める」や「保険の加入を勧める」など、何かを“する”ように相手に促すときに使われます。
「勧」という漢字は「力を合わせて導く」という意味を持ち、「共に行動を起こすようすすめる」場面で使われるのが特徴です。日常会話からビジネスシーンまで広く用いられ、特にアドバイスや提案、指導、勧誘などに適しています。
また、食事や飲み物を提供する場合にも使うことがあり、「ケーキを勧める」のように“行為”としての提供に重きがあります。
「薦める」の意味とは?人やモノを推薦する時に使う
一方で「薦める」は、特定の人や物を“よいもの”として紹介・推薦する意味を持ちます。「この人をリーダーに薦めます」「あの映画を薦めます」など、複数の選択肢の中から「これがいい」と相手に伝える場面で使います。
「薦」はもともと神様への供物を意味する神聖な漢字で、「優れたものを推す」というニュアンスが込められています。
類語には「推薦」「推奨」「選抜」などがあり、就職活動や学校推薦、サービス紹介など、選定を伴う状況で用いるのが一般的です。
「勧める」の例文5選
「勧める」を自然に使えるよう、以下にさまざまな場面での例文を5つ紹介します。
- 健康のために毎日のウォーキングを勧めています。
- 医師から、定期的な検診を受けるよう勧められました。
- 社内研修への参加を新人社員に勧めました。
- この寒さなら、温泉旅行を勧めたいところですね。
- 友人に禁煙外来の利用を勧めたら、すんなり成功しました。
どれも「行動」をすすめる形になっているのが特徴です。人に何かを“してもらう”ことを促すときは「勧める」を選びましょう。
「薦める」の例文5選
続いて、「薦める」を使った例文を5つご紹介します。こちらは“人や物”を推す文脈で使われる例です。
- 次期プロジェクトリーダーには、田中さんを薦めます。
- 読書感想文に最適な1冊として、この本を薦めたいです。
- 海外旅行好きには、このガイドブックを薦めています。
- 昨日観た映画はとても良かったので、ぜひあなたにも薦めたいです。
- 面接官に、彼女をマーケティング担当として薦めておきました。
このように「薦める」は、対象が“行動”ではなく、“人や物”であることがポイントです。
勧めると薦めるの違いの後に:すすめるのその他の使い方

「勧める」と「薦める」の違いを理解したうえで、さらに深く「すすめる」という表現を理解するために、関連語や使い分けのポイントを解説していきます。
「進める」や「奨める」との違い、そして「おすすめ」の正しい漢字表記など、日常やビジネスで迷いがちなシーンでも役立つ情報を網羅します。
「進める」「奨める」との違い
「すすめる」には「勧める」「薦める」以外にも、「進める」「奨める」といった表現があります。これらの違いを明確にするため、以下にそれぞれの意味を整理します。
- 進める:物事を前に動かすという意味で、「仕事を進める」「会議を進める」など、進行・推進を示す動詞です。
- 奨める:意味は「勧める」に近いですが、「励ます」「奨励する」ニュアンスが強く、「勉強を奨める」や「政策を奨める」など、公的または積極的な推進に使われます。
「進める」は動きや手続きの“流れ”に関わり、「奨める」は“努力や価値を評価して推進する”印象です。
おすすめ」の正しい漢字表記
「おすすめ」という表現にも、「お勧め」「お薦め」「お奨め」といった異なる漢字があります。これらの使い分けは以下の通りです。
- お勧め:行動を提案するとき。例:この映画を見ることをお勧めします。
- お薦め:人や物を紹介するとき。例:お薦めのカフェはこちらです。
- お奨め:奨励のニュアンスが含まれるとき。例:この資格は今後のためにお奨めします。
ビジネスメールや販促文などでは、「お薦め」が最も中立的かつ丁寧な印象を与えるため、使いやすい選択肢です。
英語ではどう表現するか
英語で「すすめる」と言いたい場合、最も一般的なのは recommend という単語です。ただし、意味のニュアンスによって表現が変わることがあります。
- 行動を勧める(=勧める):
- I recommend taking a break.(休憩を取ることを勧めます)
- He recommended starting early.(彼は早く始めることを勧めた)
- 物や人を薦める(=薦める):
- I recommend this book.(この本を薦めます)
- She recommended him for the position.(彼をその職に推薦した)
recommendは万能ですが、文脈次第で suggest や propose、endorse(推す)などの動詞を使い分けるとより自然な表現になります。
「勧」「薦」「奨」の成り立ちと漢字の由来
それぞれの「すすめる」に使われる漢字には、深い意味や成り立ちがあります。
- 勧:「力+女」からなり、“力を合わせて導く”意味。相手に行動を促す意志が強い漢字です。
- 薦:「くさかんむり+南」。もともとは神に供える神聖な草を意味し、“良いものとして推す”という意味合いが派生。
- 奨:「将(導く者)」と「大(偉大)」を含み、“他者を励まし引き上げる”という意味を持ちます。
語源を知ることで、感覚的に漢字の使い分けがしやすくなります。
「勧める」と「薦める」どちらを使うか迷ったときは
どちらを使うか迷ったときは、以下のチェックリストで簡単に判断できます。
チェック項目 | 使う漢字 |
---|---|
相手に行動を起こさせたい | 勧める |
人・物を推薦・紹介したい | 薦める |
奨励・努力を推奨したい | 奨める |
前へ進める、推進する | 進める |
例:
- 「資格を取ることを〇〇」→ 勧める
- 「この本を〇〇」→ 薦める
- 「エコ活動を〇〇」→ 奨める
- 「計画を〇〇」→ 進める
迷ったときは「対象が“行動”か“モノ”か」で判断するのがコツです。
総括:勧めると薦めるの違いまとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
項目 | 勧める | 薦める |
---|---|---|
主な意味 | 行動を促す・勧誘する | 人や物を推す・推薦する |
対象 | 行動・活動 | 人・物・サービスなど具体的なもの |
使う場面 | アドバイス・忠告・提案など | 推薦・紹介・選出など |
類語 | 勧誘、助言、提案、促す | 推薦、選抜、紹介、推奨 |
例文 | 「運動を勧める」「禁煙を勧める」など | 「本を薦める」「候補者を薦める」など |