今回は「田中正造（たなか しょうぞう）」の死因や最期の様子について、子どもでも分かるようにやさしく解説していきます。
田中正造といえば、日本で最初の公害問題「足尾鉱毒事件（あしおこうどくじけん）」に立ち向かった正義の人として知られています。
そんな彼がどのように生涯を終えたのか、気になりますよね。では、一緒に見ていきましょう！
※AmazonのKindle Unlimitedは月額980円ですが、3ヶ月無料期間があります。その間、読み放題対象の電子書籍は全部無料。途中で解約ももちろん自由。そのため、電子書籍が実質0円で読めます。以下に、歴史の語呂合わせに関連する無料書籍を載せておきます。
↓実質無料で読めるおすすめ歴史の読み物↓
ポチップ
ポチップ
田中正造の死因は何？亡くなるまでの流れ
田中正造がどのようにして亡くなったのか、その死因や病状、最期の様子などをくわしく解説します。田中正造の人生の「最終章」を一緒にたどってみましょう。
田中正造の死因は胃がんと複数の病気の合併症
田中正造の主な死因は「胃がん」でした。これは当時の新聞記事や医師の診断でもはっきりと記録されています。
また、胃がんだけでなく、「腎臓（じんぞう）」や「心臓」にも病気があり、体全体が弱っていたことがわかっています。特に、からだがむくんでいたという記録もあり、複数の病気が重なっていたのです。
彼は亡くなる前の診察で、医師たちから「もう1週間もつかどうか」と言われるほど重い状態だったそうです。それでも田中正造は、自分の命が尽きる直前まで社会のために行動し続けたのです。
とても立派で勇気のある生き方ですね。
何歳で死んだ？亡くなった年齢とその背景
田中正造が亡くなったのは、1913年（大正2年）9月4日のことです。当時の年齢は「71歳」でした。今では70代はまだまだ元気な人が多い時代ですが、当時の日本ではかなりの高齢です。
田中正造は若いころからたびたび投獄され、鉱毒問題と長年戦い続けていました。栃木・群馬・埼玉・茨城などを何度も行き来して、疲れがたまっていたのだと思われます。特に晩年は、支援者の家を訪ねて挨拶回りをしていたため、体力的にもかなりつらかったことでしょう。
そのような過労と、もともとの病気が重なって、寿命を縮めてしまったのではないかと考えられています。
亡くなる直前はどこにいた？倒れた場所とその理由
田中正造は、亡くなる1か月前の1913年8月2日、栃木県佐野市の支援者「庭田清四郎（にわた せいしろう）」さんの家を訪れていました。実はこの時、彼は支援者たちに挨拶するために旅をしていたのです。
その途中、庭田家に到着した田中正造は、家の縁側にたどり着いたとたん、バタリと倒れてしまいます。病気の進行と疲労で、もう体を動かすことができなくなっていたのでしょう。
そのまま彼は庭田家の8畳間に運ばれ、そこで34日間にわたって病床につきます。そして9月4日、静かに息を引き取りました。この部屋は今でも残されていて、「田中正造終焉（しゅうえん）の地」として大切にされています。
闘病生活と最期の様子
田中正造が倒れたあと、彼は支援者やその家族たちに手厚く看病されました。庭田家では、おにぎりやみそ汁をふるまって見舞い客をもてなしたそうです。そのため、家にあった3年分のみそとしょうゆを使い切ってしまったという話も残っています。
闘病中は面会を断っていましたが、彼の死を心配する多くの人が訪ねてきたそうです。最期は静かで、苦しまずに旅立ったと伝えられています。
枕元には、田中正造の「信玄袋（しんげんぶくろ）」があり、中には書きかけの原稿、新約聖書、日記、小石などが入っていました。彼が大切にしていたものが、最後までそばにあったのです。
田中正造の死因に関する信ぴょう性は
田中正造の死因については、当時の新聞記事、病床日誌、支援者たちの証言など、多くの史料が残されています。たとえば『下野新聞』には「胃がんや腎臓・心臓の病気が原因」とはっきり書かれています。
また、看病を担当した人たちの証言でも、むくみや体調の悪化が確認されていて、記録の内容に矛盾はありません。そのため、田中正造の死因は「胃がんと複数の病気の合併症である」という説は、非常に信ぴょう性が高いといえます。
これらの記録は、彼の人生を知るうえでとても貴重な資料となっているのです。
田中正造の死因の後に：最期のエピソードと死後の評価
田中正造が命をかけて守ろうとしたのは、鉱毒に苦しむ人びとの「いのち」と「くらし」でした。彼の死後も、その思いは多くの人に引き継がれています。
ここでは、正造が最後に遺したもの、葬儀やお墓の話、そして現在の評価までを、わかりやすく紹介していきます。
田中正造が亡くなる前に遺したもの
田中正造が亡くなったとき、彼の全財産は「信玄袋ひとつ」だけでした。この袋の中には、次のような物が入っていました。
- 新約聖書（しんやくせいしょ）
- 日記帳
- 書きかけの原稿
- 川で拾った小石3つ
- 鼻紙（今でいうティッシュのようなもの）
- 帝国憲法とマタイ伝の合本
これだけです。お金や高価なものは何一つ持っていませんでした。すべてを鉱毒反対運動のために使いきったからです。
とくに、小石については「きれいな石が踏まれて砕けるのがかわいそうだった」と語っていたそうです。どんなに忙しくても、小さな自然の美しさを大切にする気持ちは、まさに田中正造らしいですね。
葬儀はどのように行われた？密葬から本葬まで
田中正造の葬儀は、最初に「密葬（みっそう）」として、1913年9月6日に群馬県の雲龍寺でひっそりと行われました。その後、約1か月後の10月12日には、栃木県佐野市の惣宗寺（そうしゅうじ）で「本葬（ほんそう）」が開かれました。
本葬では、なんと30万人もの人々が参列したと言われています。今でいうと、東京ドームが6つ分ほどの人が集まった計算です。それほど多くの人が田中正造の死を悼み、その功績をたたえたのです。
葬儀のときには、農民たちや支援者、政治家など、さまざまな立場の人が手を合わせ、感謝の気持ちを表しました。
遺骨はどこに？6カ所の墓と分骨の理由
田中正造の遺骨（いこつ）は、一か所に埋葬されたのではなく、「6か所」に分けて埋められました。なぜなら、彼が命をかけて守った鉱毒被害地の人びとにとって、田中正造は自分たちの「希望の星」だったからです。
遺骨が分けられた場所には、栃木・群馬・埼玉・茨城などの渡良瀬川流域の村々があります。つまり、被害にあった地域の人たちが、それぞれの土地で田中正造を大切にし、今もお墓を守っているのです。
これは、とても珍しいことであり、それだけ彼が広い地域の人々に尊敬されていた証（あかし）といえるでしょう。
最期はどのように語り継がれている？
田中正造の最後の場所、つまり終焉の地となった「庭田家（にわたけ）」は、今も栃木県佐野市にあり、大切に保存されています。その8畳間は「田中正造終焉の部屋」として、当時のまま残されており、訪れる人々に感動を与えています。
また、庭田家の人たちや地域の人々は、田中正造を伝える活動を続けています。庭田家のそばには「田中正造翁終焉の地」という石碑があり、多くの見学者が訪れます。
さらに、群馬県館林市にある「救現堂（きゅうげんどう）」では、田中正造の木像が安置され、今もその思いを語りかけています。このように、彼の生きざまは、100年以上たった今でも語り継がれているのです。
田中正造の死から学べることとは？現代社会とのつながり
田中正造の死から、私たちが学ぶべきことはたくさんあります。まず大きいのは、「正義のために生きる姿勢」です。田中正造は、自分の命や財産を犠牲にしてまで、苦しんでいる人びとのために行動しました。
そして彼は、「自然を守ることの大切さ」も教えてくれました。足尾鉱毒事件は、日本で最初の大規模な公害事件といわれています。現代でも、環境問題や人権問題がたくさんありますよね。
田中正造のように、一人ひとりが「困っている人の声に耳をかたむける」ことが、これからの社会にとってとても大切なことだといえるでしょう。
総括：田中正造の死因&最後の様子まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 田中正造の死因は「胃がん」と腎臓・心臓など複数の病気の合併症です。
- 1913年9月4日、71歳で亡くなりました（当時としては高齢）。
- 死の直前、支援者宅（庭田家）を訪問中に倒れ、そのまま34日間の闘病生活を送りました。
- 闘病中は支援者に看病され、静かに息を引き取りました。
- 所持品は信玄袋ひとつで、中には聖書・日記・小石などが入っていました。
- 葬儀は雲龍寺で密葬、惣宗寺で本葬が行われ、30万人が参列したと伝えられます。
- 遺骨は鉱毒被害地6か所に分骨され、それぞれの地で偉人として祀られています。
- 終焉の地・庭田家は今も保存され、見学が可能です。
- 死後もその精神は語り継がれ、現代の環境問題・人権問題に通じる教訓を与えています。