ビジネス文書や契約書、行政文書などでよく見かける「当該」と「該当」という言葉。どちらも少し堅めの表現で似た漢字を使っているため、意味の違いや正しい使い方に迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「当該」と「該当」の違いを分かりやすく解説し、それぞれの意味・使い方・例文を比較しながら整理します。

さらに、言い換え表現や英語での伝え方、ビジネスシーンでの正確な使い分けのコツまで、実践に役立つ内容を丁寧にご紹介します。

当該と該当の違いを解説!意味・使い方・例文を比較

「当該」と「該当」は、見た目は似ていますが、意味や使い方に明確な違いがあります。ビジネスや法律文書などで正しく使い分けるためには、それぞれの言葉の定義や用法をしっかり理解することが重要です。

ここでは、両者の違いを一覧表で比較したうえで、意味や例文、適切な使用シーンについて詳しく解説していきます。

当該と該当の意味の違い比較表

まずは、「当該」と「該当」の違いをパッと見てわかるよう、表にまとめてみました!

比較項目当該(とうがい)該当(がいとう)
意味その、今話題になっていること・もの一定の条件に当てはまること
品詞連体詞(名詞の前につける)名詞・自動詞(「該当する」など)
使い方の例当該社員、当該商品、当該書類該当する人、該当なし、該当者
使用シーン公的文書、契約書、報告書、フォーマルな場面条件や要件の確認、判定、アンケート、実務全般
言い換え表現その、この、本、例の合致する、あてはまる、適用される

ざっくり言えば、「当該=そのこと」「該当=条件に合うこと」と覚えておくと混乱しませんよ!

「当該」とは?意味とビジネス文書での使い方を詳しく解説

「当該(とうがい)」という言葉は、文中で「今話題にしているその対象」を示すときに使われます。意味としては、「その~」「本~」という指示語的な使い方が中心で、品詞としては「連体詞」に分類されます。

ビジネスの現場では特に、契約書や公文書などの正式な書類の中で使われることが多く、「当該契約」「当該部署」「当該年度」など、名詞の前にくっついて使います。

たとえば「当該商品」とあれば、「今説明しているその商品」という意味になります。少しかたい表現なので、日常会話よりも、きっちりした文章でこそ力を発揮する言葉です。

「該当」とは?意味と正しい使い方・注意点を解説

一方、「該当(がいとう)」は、「ある条件にぴったり合う・当てはまる」ことを意味します。たとえば、「条件に該当する人」「該当項目」「該当しない場合」などのように使います。

「該当」は、「該当する」「該当しない」など自動詞的に活用されるのが特徴です。「当該」と違って、名詞の前につけるだけではなく、文章の流れの中で「動き」をもって登場するのがポイントです。

主に、条件付きの判断や選別が必要な場面で使われます。アンケートやフォーム、社内の要件判定など、「これって条件に合うの?」というときに登場しますよ。

「当該」を使った例文まとめ【ビジネスでよく使う10文】

「当該」は、書類や報告書の中で頻出する表現です。

以下に例文を10個紹介します。どれも実務でそのまま使える表現ばかりです!

  1. 当該契約については、すでに両者の同意が得られています。
  2. 当該製品に関する苦情が複数寄せられました。
  3. 当該社員は3月末をもって退職予定です。
  4. 当該部署の業務内容を確認の上、改善案を提出してください。
  5. 当該書類は年度末までに提出してください。
  6. 当該案件は、上層部の判断により一時保留となりました。
  7. 当該区域には一般車両の進入を禁止しています。
  8. 当該プロジェクトに関する問い合わせが殺到しています。
  9. 当該内容は社外秘のため、外部に漏らさないようお願いします。
  10. 当該年度の決算報告は、来週の会議で説明いたします。

これらの例文からも、「当該=その(今話している)」というニュアンスが伝わりますね!

「該当」を使った例文まとめ【日常・ビジネス両対応】

続いて「該当」を使った実例を10個ご紹介します。ビジネスだけでなく、日常でも目にする言い回しが多くありますよ。

  1. 以下の条件に該当する方は、申請をお願いします。
  2. 今回の件に該当する部署は、人事部です。
  3. 該当項目にチェックを入れてください。
  4. ご提出いただいた書類には該当する内容が含まれていません。
  5. 検索条件に該当するデータは見つかりませんでした。
  6. 該当者は速やかに上司へ報告してください。
  7. ご指摘いただいた点については、該当しないと判断いたしました。
  8. 条件に該当する場合のみ、優遇措置を適用します。
  9. 本サービスは18歳以上に該当する方が対象です。
  10. 新制度の対象となるかどうかは、該当条件をご確認ください。

「該当」は、「~する」「~しない」など柔軟に動詞として使えるのが強みです!

当該と該当の違いの後に:使い方と類義語・英語表現

ここからは、「当該」と「該当」の理解をさらに深めたい人に向けて、よくある間違いや言い換え表現、英語での伝え方、そしてビジネスでの実践的な使い分けまで解説していきます。「ここまで理解しておけば完璧!」という内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

「当該」「該当」の使い間違いあるある!典型例

「当該」と「該当」は、意味が似ているからこそ、使い方を混同してしまうこともよくあります。以下はありがちな間違い例です。

× この件に当該する場合は…
○ この件に該当する場合は…
※「当該する」とは言わないので注意!

× 当該者が条件を満たしています
○ 該当者が条件を満たしています
※「当該者」は「その話題に出ている人」を指すときのみ使います

このように、「当該」は「まさにその物事」への指示語、「該当」は「条件に合致しているかどうか」の判断語です。使い方を間違えると意味が通らなくなることもあるので、慎重に選びましょう。

「当該」「該当」の類語・言い換え表現を紹介!

両者の言い換え表現や類語も押さえておくと、語彙力アップにつながりますよ。

「当該」の類語・言い換え

  • その
  • この
  • 本(ほん)
  • 件の(くだんの)

例:「当該書類」=「その書類」「本書類」「くだんの書類」

「該当」の類語・言い換え

  • あてはまる
  • 適合する
  • 合致する
  • 該当する条件に一致する

例:「該当する人」=「条件に合致する人」「あてはまる人物」

場面によって柔軟に言い換えることで、文章全体の印象がぐっと洗練されます!

「当該」「該当」は英語でどう表現する?

英語に置き換える場合も、それぞれ微妙に表現が異なります。

当該の英語表現

  • this(この)
  • the(その)
  • said(前述の)
    例:The said contract is still valid.(当該契約は現在も有効です)

該当の英語表現

  • applicable(適用される)
  • relevant(該当する)
  • meet the conditions(条件に合致する)
    例:Applicants who meet the criteria will be selected.(条件に該当する応募者が選ばれます)

特に「当該=said」「該当=applicable / meet」がビジネス文書ではよく使われます!

「当該」と「該当」の使い分けはビジネスでどう判断すべき?

ビジネス現場で「どっちを使うのが適切か迷う…」という場面は意外と多いです。ここで簡単な判断基準を提示します。

  • 「そのこと」と言い換えられるか? ⇒ 当該を使う
  • 「条件に当てはまっているか」が問題か? ⇒ 該当を使う

たとえば、「対象者を指すだけなら当該社員」「条件を満たすなら該当者」となります。
「当該=対象の指示語」、「該当=条件適合の判定語」という区別を意識することが、ミスを防ぐ最大のポイントです!

「当該」「該当」の理解をさらに深める補足知識

最後に、知っておくとさらに理解が深まるポイントを紹介します。

  • 当該は、名詞の前にしか置けない連体詞:「当該する」は文法的にNGです
  • 該当は、動詞としても機能する:「該当する」「該当しない」と使える柔軟性あり
  • 固有名詞には原則つけない:例えば「該当太郎さん」「当該山田商事」は違和感あり
  • 「該当なし」はよくある定型句:「条件に合うものが存在しない」の意でよく使われます
  • 公文書や報告書ではどちらも登場頻度が高い:特に「当該」はフォーマル寄り

こういった使い分けの細部まで押さえておけば、上司や取引先とのやりとりでも信頼感アップ間違いなしです!

総括:当該と該当の違いまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

比較項目当該(とうがい)該当(がいとう)
意味その、今話題になっていること・もの一定の条件に当てはまること
品詞連体詞(名詞の前につける)名詞・自動詞(「該当する」など)
使い方の例当該社員、当該商品、当該書類該当する人、該当なし、該当者
使用シーン公的文書、契約書、報告書、フォーマルな場面条件や要件の確認、判定、アンケート、実務全般
言い換え表現その、この、本、例の合致する、あてはまる、適用される