「山口県立大学って、入るのが難しいの?」
「Fランって言われているけど実際どうなの?」


そんな疑問を抱えてこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。SNSや一部のネット掲示板では「無名」「偏差値が低い」などのネガティブな声も散見されます。

しかし、実際の入試データや就職実績を確認してみると、そのような評価が誤解であることが見えてきます。

本記事では、山口県立大学の偏差値や入試の難易度、さらにはFランというレッテルの真偽を検証し、山口大学との違いについても比較します。進学を検討している方にとって、役立つ判断材料を網羅的に提供します。

山口県立大学は難しい?偏差値・倍率・Fランの噂

山口県立大学が「難しい」と言われる背景には、偏差値や共通テスト得点率、倍率といった入試難易度に関する要素があります。また、「Fラン」と揶揄されることもありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。

ここでは、各種データや一般的なFランの定義と照らし合わせながら、その実態を検証していきます。

山口県立大学の偏差値は?難易度は中堅レベル

山口県立大学の偏差値は、学部・学科によって異なりますが、概ね50〜56の範囲に収まっています。特に「看護学科」や「栄養学科」は偏差値が高く、入試の難易度もやや高めです。これは、公立大学の中でも中堅レベルといえる水準であり、いわゆる「誰でも入れる大学」とは明確に一線を画しています。

以下は、学部・学科ごとの偏差値と共通テスト得点率の一覧です(2024年度第3回ベネッセ・駿台大学入学共通テスト模試・11月のB判定値)。

学部・学科日程方式偏差値共通テスト得点率
社会福祉学部 社会福祉学科前期5060%
社会福祉学部 社会福祉学科後期5364%
国際文化学部 国際文化学科前期5060%
国際文化学部 国際文化学科後期5367%
国際文化学部 文化創造学科前期5161%
国際文化学部 文化創造学科後期5267%
国際文化学部 情報社会学科前期5161%
国際文化学部 情報社会学科後期5367%
看護栄養学部 看護学科前期5357%
看護栄養学部 看護学科後期5664%
看護栄養学部 栄養学科前期5358%
看護栄養学部 栄養学科後期5668%

引用:マナビジョン

これらのデータから、山口県立大学は学部・学科によって難易度に差があるものの、全体としては中堅レベルの難易度を持つ大学であることがわかります。特に看護栄養学部は高い偏差値と共通テスト得点率を求められるため、志望する際には十分な準備が必要です。

このように、山口県立大学の入試難易度は決して低くなく、特に看護栄養学部を志望する場合は高い学力が求められます。受験を検討している方は、各学部・学科の偏差値や共通テスト得点率を参考に、しっかりとした対策を行うことが重要です。

「山口県立大学はFラン」は誤解?Fランの定義と照らし合わせ

「山口県立大学はFランではないのか?」といった疑問は、ネット上でも散見されます。しかし、Fラン大学とは本来、偏差値が算出されないBF(ボーダーフリー)で、就職実績が乏しく、学力面でも基礎的な水準に達していない大学を指す用語です。その基準と照らし合わせてみた場合、山口県立大学は明らかに該当しません。

実際、山口県立大学の偏差値は50〜56と一定以上の学力層を対象としています。共通テストの得点率も平均で60%前後と、公立大学の中では中堅レベルの水準を維持。また、就職希望者の就職率は全学部でほぼ100%に達し、進学率も一定数あることから、Fランと呼ぶには無理があります。

以下に、山口県立大学と一般的なFラン大学の定義との比較を示します。

項目山口県立大学Fランの一般的定義
偏差値(全学科)50~56BF(偏差値算出不能)
共通テスト得点率(平均)約60%前後50%未満
就職率(全学部)約100%(就職希望者に対して)就職率が低い
進学率(全学部)数%(学部により異なる)進学実績に乏しい
Fランの定義との一致一致しない(偏差値・就職率が高いため)すべて一致

このように、数値的にも実績的にも、山口県立大学はFランの基準を大きく上回っており、Fラン呼ばわりされること自体が根拠のない誤解であるといえるでしょう。進学を検討する際は、安易なレッテルではなく、実際のデータをもとに判断することが大切です。

共通テスト得点率から見る入試の難易度とは

山口県立大学の入試において、共通テストの得点率は重要な指標となります。2024年度入試のデータによると、学科ごとの得点率は57%〜68%に分布しており、地方公立大学としては標準〜やや高めの水準に位置しています。

特に看護栄養学部の後期試験では68%という高得点率が求められており、人気学科であることがうかがえます。一方で、社会福祉学科や国際文化学科の前期では60%前後と、比較的手が届きやすい印象もあります。

以下に、学科ごとの共通テスト得点率をまとめました。

学部・学科日程方式共通テスト得点率
社会福祉学科前期60%
社会福祉学科後期64%
国際文化学科前期60%
国際文化学科後期67%
文化創造学科前期61%
文化創造学科後期67%
情報社会学科前期61%
情報社会学科後期67%
看護学科前期57%
看護学科後期64%
栄養学科前期58%
栄養学科後期68%

このように、後期日程ほど高得点が求められる傾向にあり、併願先とのバランスや学習スケジュールの調整がカギになります。特に看護・栄養系を志望する受験生は、安易に「地方公立だから簡単」と考えるのではなく、早い段階から共通テスト対策に取り組む必要があるでしょう。

倍率や入試方式から見る入りやすさと難しさ

山口県立大学の入試における倍率や方式の違いを理解することで、受験戦略を立てやすくなります。特に前期・後期日程の違いや学科ごとの倍率を把握することは、合格への第一歩です。以下に、2024年度の一般選抜における学科別の倍率をまとめました。

学部学科日程募集人員志願者数受験者数合格者数実質倍率
国際文化学部国際文化前期275749371.3
国際文化学部文化創造前期235553281.9
社会福祉学部社会福祉前期4610799551.8
看護栄養学部看護前期234945241.9
看護栄養学部栄養前期204543241.8
国際文化学部国際文化後期61313083.8
国際文化学部文化創造後期5933365.5
社会福祉学部社会福祉後期812438103.8
看護栄養学部看護後期5732555.0
看護栄養学部栄養後期28022211.0

この表からもわかるように、後期日程の倍率は前期日程に比べて高く、特に看護学科や栄養学科では競争が激化しています。例えば、栄養学科の後期日程では実質倍率が11.0倍と非常に高くなっています。

一方で、前期日程では比較的倍率が落ち着いており、志望学科によっては前期日程での受験が有利となる場合もあります。受験生は、自身の得意科目や試験日程、倍率などを総合的に考慮し、最適な受験戦略を立てることが重要です。

学部構成の違いを一覧で比較!専門性の方向性に注目

山口県立大学は、少人数制で専門領域に特化した学びを提供しています。一方、山口大学は多様な学部を持つ総合大学であり、幅広い学問領域をカバーしています。

大学名主な学部構成
山口県立大学社会福祉学部/国際文化学部/看護栄養学部
山口大学人文学部/教育学部/経済学部/理学部/医学部/工学部など

山口県立大学は、人文・福祉・看護といった分野に興味がある学生に向いており、実践的かつ地域密着型の学びを重視しています。一方で、山口大学は研究志向が強く、大学院進学を見据えた学習環境が整っている点が特徴です。

難しいと言われるのはなぜ?SNSや口コミの誤解も影響

山口県立大学が「難しい」「名前が似ていて混乱する」などと言われる背景には、SNSや匿名掲示板、知恵袋などでのイメージ形成が大きく関与しています。特に「山口大学との混同」や「地味で知名度が低い」といった誤解が、実際の学力や実績とは無関係に拡散されていることが原因のひとつです。

しかし、実際には山口県立大学は就職率が非常に高く、特に地域貢献や医療・福祉分野での専門職就職に強みがあります。以下に、各学部ごとの就職率と主な就職先を表にまとめました。

学部卒業者数就職希望者就職者数就職率(希望者ベース)主な就職先例
国際文化学部128113113100%広島市職員、いすゞ自動車中国四国、福岡銀行、日本航空、ニトリHD など
社会福祉学部105100100100%山口県職員、山口大学医学部附属病院、下関市社協、西京銀行、日本通運 など
看護栄養学部968686100%厚生労働省、山口県立医療センター、山口赤十字病院、UBE、ツルハドラッグ など

このように、大学の中身を知らない第三者が投稿した印象論や誤解が「難しそう」「入りづらそう」といった感覚を生む要因となっている可能性は高いです。正確な情報に基づいて判断することが、大学選びにおいて最も重要であることは言うまでもありません。SNSの声に左右されず、数字と実績に裏付けられた評価を優先しましょう。

山口県立大学は難しい?山口大学の違いも比較

「山口県立大学と山口大学、名前が似ていて分かりづらい」と感じる方も少なくありません。どちらも山口県内にあり、進学先の選択肢として比較されることも多いですが、実は教育内容や大学の性質は大きく異なります。

ここでは、学部構成や就職実績、学費、キャンパス環境の違いなどを詳しく解説し、それぞれの大学がどんな人に向いているのかを明確にします。

学部構成の違いを一覧で比較!専門性の方向性に注目

山口県立大学は、少人数制で専門領域に特化した学びを提供しています。一方、山口大学は多様な学部を持つ総合大学であり、幅広い学問領域をカバーしています。

大学名主な学部構成
山口県立大学社会福祉学部/国際文化学部/看護栄養学部
山口大学人文学部/教育学部/経済学部/理学部/医学部/工学部など

山口県立大学は、人文・福祉・看護といった分野に興味がある学生に向いており、実践的かつ地域密着型の学びを重視しています。一方で、山口大学は研究志向が強く、大学院進学を見据えた学習環境が整っている点が特徴です。

就職先を比較!県立大学の公務員就職率の高さに注目

山口県立大学は、地元志向の学生が多いこともあり、公務員や医療・福祉機関への就職に非常に強みがあります。2023年度(2023年4月~2024年3月卒)の進路データを見ると、各学部で就職希望者全員が内定を獲得しており、就職率は実質100%。全国平均の大学就職率が約97.1%(2023年 文科省調査)であることを踏まえると、山口県立大学の就職実績は非常に優秀といえるでしょう。

特に目を引くのは、地方自治体への行政職・福祉職などの公務員就職の多さです。国際文化学部からは広島市職員や大分県職(司書)、社会福祉学部からは山口県職員(社会福祉)や市町村の社会福祉協議会、看護栄養学部からは厚生労働省や山口県職員(保健師・看護師)などへ多くの卒業生が進んでいます。安定志向や地域貢献を目指す学生にとっては、非常に魅力的な進路と言えるでしょう。

学部卒業者数就職希望者就職者数就職率主な就職先(抜粋)
国際文化学部128113113100%広島市職員(行政)、大分県職(司書)、広島県立高校、宇部市立中学校、国立病院機構中国四国、福岡銀行、山崎製パン、いすゞ中国四国、日本航空、ニトリHD
社会福祉学部105100100100%山口県職(社会福祉)、山口市職員、鳥取県立養護学校、山口大学医学部附属病院、社協(下関市など)、西京銀行、日本通運
看護栄養学部968686100%厚生労働省、山口県立総合医療センター(2名)、山口県職(看護師・保健師)、山口赤十字病院、UBE、ツルハドラッグ

引用:パスナビ

このように、山口県立大学は単に「地方公立」という枠を超えて、確かな進路実績を誇る大学です。「地味」「知られていない」といったSNS上の印象とは裏腹に、地に足のついたキャリア形成ができる堅実な選択肢といえるでしょう。公務員や安定志向の進路を考えている方にとって、山口県立大学は大いに検討すべき価値ある大学です。

学費はどれくらい?公立大学のメリットとは

大学選びで学費は大きな判断材料のひとつですが、山口県立大学は公立大学であるため、学費は非常に抑えられています。年間の授業料は国立大学と同等の535,800円(年額)で設定されており、さらに入学金には「県内出身者優遇制度」が導入されています。

具体的には、山口県内出身者の入学金は282,000円、県外出身者は393,000円と、11万円以上の差が生まれる設計です。

一方、比較対象となる山口大学(国立大学)は、全国一律の授業料・入学金制度を採用しており、出身地による金額の差はありません。このため、地元出身の受験生にとっては、山口県立大学の方が費用面でのメリットが大きくなります。

大学名授業料(年額)入学金(県内出身)入学金(県外出身)年間学費合計(県内)年間学費合計(県外)
山口県立大学535,800円282,000円393,000円817,800円928,800円
山口大学535,800円282,000円(全国一律)282,000円(全国一律)817,800円817,800円

このように、地域枠のある公立大学は地元生にとって学費の面でも有利です。特に、親元から通学する場合は生活費も抑えられ、トータルコストを大幅に節約できます。経済的負担をできるだけ減らしながら質の高い教育を受けたい方には、山口県立大学は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。

所在地やキャンパス環境の違いは?アクセスや雰囲気も重要

大学選びでは、学費や偏差値だけでなく、キャンパスの立地や雰囲気も大きな要素になります。山口県立大学は山口市の中心部にキャンパスを構え、都市機能と自然が調和した静かな環境が魅力です。県庁や図書館、公園も徒歩圏内にあり、落ち着いた生活を送りながら学びに集中できる環境が整っています。

一方で、山口大学は県内最大の総合大学として、広大な吉田キャンパス(山口市)を中心に構成されています。学内には最新の研究設備や図書館、食堂、スポーツ施設が揃っており、特に理系分野では充実した学習・研究環境が魅力です。ただし、キャンパスが広すぎて移動に時間がかかるほか、医学部は宇部市に別キャンパスを構えているため、学部によっては通学の負担が大きくなる場合もあります。

比較項目山口県立大学(山口市)山口大学 吉田キャンパス(山口市)
立地山口市中心部(県庁・市街地に近い)山口市郊外(広大な敷地)
キャンパス環境落ち着いた雰囲気・都市型自然豊か・大学らしい広大な敷地
アクセス徒歩・自転車での移動が便利学内移動に時間がかかる(バス・自転車利用多)
主な特徴少人数教育・地域密着研究施設充実・学部が多様
特記事項キャンパスは1か所に集約医学部は宇部市キャンパス(通学距離に注意)

キャンパスの雰囲気や通学のしやすさは、日々の学習効率にも関わる大切なポイントです。都市型の静かな学びを望む人には山口県立大学、設備の充実や研究志向を重視する人には山口大学が向いているでしょう。自分のライフスタイルや学びのスタイルに合った環境を選ぶことが、大学生活を充実させる鍵となります。

どちらが向いている?将来の進路や学びたい内容で判断

大学選びで最も重要なポイントのひとつが「何を学びたいか」「将来どうなりたいか」です。山口県立大学と山口大学では、設置されている学部や教育方針に明確な違いがあります。

山口県立大学は、少人数制で専門的な知識を深められる教育が特徴です。特に国際文化、社会福祉、看護・栄養といった職業直結型の学部に特化しており、地域密着型の就職にも強みを持ちます。公務員や医療・福祉職など、地元志向・安定志向の学生には非常に向いています。

一方で、山口大学は10学部を持つ総合大学であり、文系・理系ともに多彩な分野での研究が可能です。大学院への進学実績も豊富で、全国的な企業や研究機関への就職・進学にも対応できる体制が整っています。将来的に研究職を志す学生や、学際的な学びを希望する学生にとっては、山口大学の方がより幅広いチャンスが用意されていると言えるでしょう。

比較項目山口県立大学山口大学
主な学部国際文化、社会福祉、看護栄養人文、教育、経済、理、工、医学、農など
教育スタイル少人数・実践重視大規模・研究重視
向いている学生のタイプ地元志向、専門職志望、安定した就職を目指す人多様な分野に興味、研究志向、大学院進学希望者
主な進路先地方公務員、医療機関、福祉施設研究機関、大手企業、全国公務員など
特徴的な強み地域連携・実務教育学際研究・全国規模の進学・就職

進路に対する希望や、大学での学びの方向性が異なる2校だからこそ、自分の将来像をしっかり描いたうえで選ぶことが大切です。それぞれの特色を理解し、自分に合った学びの場を見極めましょう。

総括:山口県立大学は難しい?Fラン?まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 山口県立大学の偏差値は50〜56で、中堅レベルの入試難易度。特に看護学科・栄養学科は高めの偏差値と共通テスト得点率が必要。
  • 「Fラン」という評価は誤解で、偏差値・共通テスト得点率・就職率ともに優秀。Fランの定義には該当しない。
  • 共通テスト得点率は57〜68%で後期試験の方が高得点が求められる傾向にある。特に看護栄養学部の後期試験は難関。
  • 入試倍率は学部・日程によって差があり、後期は倍率が高い。栄養学科後期の倍率は11倍と非常に高い。
  • 山口県立大学は少人数制で専門分野に特化しているのに対し、山口大学は総合大学で学部数・研究分野が多い
  • 就職率は全学部ほぼ100%で、地方公務員や医療・福祉関連の就職に強い。主要な就職先は地方自治体や病院、大手企業など多様。
  • 学費は山口県立大学の方が県内出身者向けに優遇制度があり、費用面でメリットがある。山口大学は全国一律の学費。
  • キャンパス環境は山口県立大学が市街地中心で静かな環境、山口大学は広大で研究施設が充実しているが移動が大変な面もある
  • 山口県立大学は地域密着型で安定した就職を目指す人向き、山口大学は多様な研究分野を希望する人や大学院進学志望者向き
  • ネットの噂やSNSの誤解で「難しい」「Fラン」と言われるが、実際はデータに裏付けられた評価をすべきである。