塾を選ぶ際に、お子さん側のマイナスのニーズで多いのが「宿題が多い塾は嫌!」です。
特に小学生は、学校の宿題もありますから、塾の宿題まで追加されたらしんどいに決まっています。
しかし、学力を上げたくて塾に入れようとする親さんからすれば、きちんと勉強できる塾に入れたいと思うのではないですか?
つまり、「たくさん宿題を出して、勉強量を確保してくれそうな塾」を探すわけです。
ただ、現役塾長の自分の本心を言えば、宿題というシステムは基本的に大嫌いです。
「いや、子供じゃなくて塾長が宿題嫌いってどゆこと?」
と思われるかもしれません。笑
そこで今回は、『宿題のメリット・デメリット』について整理していきます。
保護者さんが考える宿題のメリット
宿題のメリットですが、こんな感じですかね?
・勉強量が強制的に増える
・自主学習ができる子になる
・習った知識を定着させられる
ただ、宿題を出せば上記のメリットが全て手に入るのか?
と言われれば、実際はそんなことはありません。
と言うより、親さん自身も薄々気づいていませんか?
宿題で成績が上がるなんて幻想だ、と。
少しでいいので、ご自身の子供の時を思い返してみてください。
おそらく、ほとんどの保護者さんが、大したメリット感じてきていないのではありませんか?
少なくとも、自分自身は宿題に関してネガテイブな思い出しかありませんよ。笑
にも関わらず、子供には宿題をきちんとやらせようとするのってどうでしょう。
“自己矛盾”です。
【悲報】宿題にはデメリットが多すぎる件
次に、宿題というシステムのデメリット。
宿題の根本的な問題は「みんな一律」です。
個別指導塾の場合、個人にカスタマイズされているかもしれません。
(※実際はみんな同じテキスト同じで、講師がやらせる問題を感覚でチョイスしてるだけだですが。)
しかし、学校や集団塾の場合、宿題が各自バラバラになっているケースはほぼありません。
子供の学力が違うのに、全員が同じシステムにハめるのは、無茶苦茶でしょう。
そしてこの残念なシステムは、決まって以下のような障害を生みます。
低学力・中間層の生徒に対して
この層は、根本的には宿題をサボることしか考えていません。
だから平気で答えを写すし、「宿題はやったけど家に忘れました!」等の嘘をつき始めます。
嘘をつくことは、学力とは別の問題にすら発展します。
それに、この層には宿題なんて出しても機能しないんですよ。
きっと自分の力だけでは解けないでしょうから。
だから答えを写すし、解き直しとかもしない。
結果的に無意味、と。
塾で解説するから意味がある?
いや、真面目に取り組まない子が大半ですって。
宿題の解説時間=死に時間
ここに課金する意味を、保護者さんは今一度考えた方がいいです。
成績上位層に対して
自分的には、正直ここが問題だと思うんですよね。
そもそもですね、本当に優秀な子は、他人から与えられる宿題を嫌います。
なぜなら、
「今の自分が必要としているものとは異なる課題をやらされることが苦痛だから」
です。
特に進学校の高校生に顕著に見られる傾向です。
自分自身も高校生の時、
「自分で課題克服したい箇所があるのに、なぜ学校から配られた一律の課題をやらされるの?」
と謎に思ったことがあります。
全くやる意味を感じなかったので、答えを写して提出した記憶があります。
無駄な時間です。
もちろん、これはある程度自分のことを客観視できている人間の言い分ですよ。
実際、これで受験とか失敗していたらお話になりませんので。
優秀層は、自分が今何をすべきかは分かっています。
それが優秀層なんです。
だから、子供の思うようにやらせたほうがいい。
少なくとも、与えられないと出来ない子が、これから先も上位層でい続けることは無理です。
将来、
「次は何の仕事したらいいですか?」
とか質問しちゃうイタ社員にしたいんですか?
自分で何をするかを考え、それを実行出来る人が重宝されるのが会社では?
宿題というシステムの延長線上には、「指示待ち人間の生産」が待っているだけです。
“今何が必要か考え、それを実践する力”
が養われないのでね。
宿題がある塾・多い塾のデメリット
最後に、塾における宿題に関して話します。
学校の宿題に比べれば、塾の宿題はマシです。
なぜなら、やっても意味のない宿題は出ずらいからです。
「漢字を20回書きましょう!」
みたいな、覚えている子にとって不必要な修行課題は少なくともない(はず)。
でも、問題はそこじゃない。
問題の本質は、塾の授業時間の中に宿題を解説する時間があるということ。
しかしこの仕組みは、2つのデメリットがあります。
①やっていない子からすれば死に時間
②出来ている子にとっても死に時間
やっていない子に解説は無意味。
やっている子も、解いた瞬間に自分で答え合わせすればいいだけだし、ミスった所だけ直接教えてもらえば済む話でしょう。
実際このシステムが嫌な子は多いと思います。
自分はこれが本当に嫌で、『(原則)宿題のない塾』を作りました。
ただし、通塾日の中に「演習時間」を設け、そこで問題を解かせまくったりします。
宿題の目的が定着であれば、それは家でやろうが塾でやろうがいいわけです。
であれば、塾の時間内にやり切る方が効率がいい。
講師がチェック出来るので。
この仕組みで塾生の80%が成績アップする塾になりました。
10人中、100点アップする子が2人出ました。50点アップも3人です。
一切宿題を出さずに。
つまり、宿題というのは絶対に必要なものではないんですよね。
最後に:小・中学生の宿題の本来あるべき姿
宿題不要論。
この論点で書いてきましたが、誤解しないで欲しい事があります。
それは、
宿題不要=自主学習不要
という話ではないって事です。
自分が伝えたい本質は、
“自主学習をして欲しいから宿題を求める親のスタンスには問題がある”
ということだけです。
子供が勉強できる子に育つかどうかって、結局は「当たり前の基準の高さ」です。
子ではなく親の。
関連:塾は口が裂けても言えない(けど言う)!成績を上げるために必要な親の条件
もちろん、小・中学生が自主的に勉強しないから、仕組みで縛ることに一定のメリットがあることは分かります。
あとは、親として何をやらせていいか分からないから塾でやる事指定して欲しいとか。
この場合は、宿題大歓迎ですよ。
お子さんが同じ方向を向いていれば。親の暴走でなければ。
そこが一番大事であり、そこがないからいつの世も宿題が機能しないわけでね。
そして、中学生で偏差値60以下の子たちに言いたい事がある。
「塾の宿題なんてやらなくていいから、毎日コツコツ学校のワーク進めて」
君たち、いつもテスト前に焦って学校ワークやるよね?
教科によっては、平気で答え写してるよね?
塾ワークより学校ワークの方が定期テスト対策になる事分かってる?
この辺りも塾の宿題システムの弊害って気付いて欲しいです。
塾課題よりも学校ワークを宿題にした方がよっぽどいい。
関連:【中学生】塾の宿題で点数アップしない残念な理由!塾講師の意外な本音
次に、超上位層の宿題に関して。
これは、宿題というより「自習管理」「自習アドバイス」に尽きます。
本人に頑張る意思があれば、授業では使わないワンランク上の教材でを与えてやらせるのはOK。
これが一番理想的な形です。
ウチは学校ワークが終わらないと別課題を与える意味はないと思っています。
学校ワークがちゃんと終わることを前提に別課題を与えたりするスタンスです。
