小学校の通知表を「オールよくできる」にすることは可能なのか?

保護者様の中には、中学生になって内申点を取れる子になって欲しいと願う方も多いです。そうなると、気になるのは小学校の時の通知表です。

小学校は3段階評価ですが、評価項目には「よくできる」がありますね?これをなんとかして全てよくできるにしておきたいと考えるわけです…

しかしハッキリ言いますが、現状の小学校の通知表でオールよくできるはかなり不可能に近いのではないか?と思います。

本記事では、小学校の通知表をオールよくできるにする難しさを塾長視点から解説していきます。

通知表を「オールよくできる」にするのは不可能か?

冒頭でもお伝えしましたが、正直なところ小学校の通知表を「オールよくできる」にするのってかなり難しいです。

体感的には、中学の定期テストで450点以上取る難易度よりも高いです。競技が違うので比較していいかよく分からないですが、いかにヘビーなことかが伝われば満足です。笑

中学校で学年トップ10以内の子でも無理だった

自塾では、小学生から中学生まで持ち上がりで見ている生徒が何人もいます。

その中には、中学で学年トップ10位以内に入ってくれるような生徒もいますし、過去にもいました。定期テストでも450点近く点数をとります。

しかし、そんな子でも小学校時代の通知表でオールよくできるということはありませんでした。いや、かすってもいなかったです。

このレベルの子でも、主要5教科ですらオールよくできるにはなりません。どこかの項目で「できる」がついていることが大半です。

聞いても学校のテストはいつも100点だったと言います。(そんな子だから中学でトップ10に入れます。)

しかしそれでも、通知表の成績はイマイチだということです。

もちろん、授業態度や提出物など諸々を総合評価してということなので、何か減点ポイントがあったのでしょう。男子生徒でしたし。

にしても、将来的に中学校でもトップ10(偏差値65以上)の子で、主教科すらオールよくできるにならないというのが今の通知表です。少なくとも、こういう事例は全国いろんな箇所で起こっていると思います。

副教科のオールよくできるは努力の問題ではない

通知表でオールよくできるを取ろうとした時、足を引っ張るのは「副教科」です。

勉強面に関しては、まだ努力でなんとかなる面もあります。(※才能的に無理な子も大勢いるので、親御さんはその辺りは受け止めないとダメですが。)

しかし、図工とか音楽でもすべてよくできるになるのって、本当にオールラウンダーすぎませんか?笑

特に男子生徒でそんな子、今まで生きてきた中で見たことも聞いたこともないんですけど…

そう考えると、主教科の壁をクリアしても、副教科の壁をぶち壊すのは無理ゲーな気がします。副教科の壁をクリアしている子の中でので、主教科の壁を壊す子しか無理ですからね。

いや、そんな子いねーだろ。笑

「よくできる」は到達度90%以上

ちなみに、ここ数年で小学校の成績の付け方は厳しくなりました。

今までは「よくできる」を連発していたのですが、昨今ではそんな簡単にはつけてもらえません、ほとんどの子の通知表「できる」ばかりで、たまーに「よくできる」がついているというのが全体像です。

だから、保護者さんも小学校の成績であまり子供を責めてはいけません。

そもそも、「よくできる」という評価は達成度90%程度を想定しています。そして、各項目で「よくできる」になる生徒は20%程度しかいないと言われています。最近だと、それよりも少ないうような気もします。

そう考えると、

よくできる=本当に本当によくできる。いや、マジで君は優秀だよ。

的なノリで思っておかないといけないってことです。

保護者さんの中には、昔の時代感覚のままの人もいます。よくできるがないと、全くできていないぐらいに思ってしまうケースです。でも、そんなことはないのです。

普通にやっていると「できる」、普通より少し上でも「できる」、本当に上澄だと「よくできる」というのが実態ですからね。

通知表は「オールよくできる」にしなくてOK:上位層がすべきこと

ハッキリ言いますが、小学生の保護者さんはあまり通知表の成績にこだわる必要はないと思います。

いずれ中学校で上位に君臨する子ですら、主教科をオールよくできるにしてもらえないような評価システムなんですから。通知表の成績を目標に据えるのは、なんかズレている気がします。

では、通知表でオールよくできるを目指せる見込みのある生徒は何を目標に小学校の勉強を頑張ればいいのでしょうか?

ここからは、塾講師の立場からアドバイスをお届けします。

中学受験を冷静に考えてみる

小学校で学業優秀なのに、思ったように通知表の成績がつかない場合。

このケースは色んなパターンがあり得ますが、中学受験を視野に入れるのも極めて重要だと思います。

中学生を何年も指導していますが、公立中学校の内申点も正直本当に不透明な部分が大きいです。点数が高いのに成績がイマイチな生徒を何人も見てきました。

これを書いている今でさえ、「内申が思った以上に取れなかったので志望校を変えたほうがいいですか?」と保護者様からメールをいただいているところです。

このタイプは、小学校の時から通知表の成績はあまり良くない。でも点数は悪くない。決まって男子生徒です。

正直なところ、こういうタイプが公立中学に行くと、自分の偏差値よりもワンランク・ツーランク下の高校を受験するしかなくなります。公立高校受験においては、どこまで行っても内申点命だからです。

そのため、点数が高いけど幼く・雑な男子生徒の多くは、中学受験しておくべきだった…という事態になりかねません。親御さんはこの辺り、かなり用意周到にしておくべきだと思います。

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通知表をフル無視して難易度の高い問題に取り組む

正直なところ、上位層は学校の成績にこだわる必要はないです。

学校の成績を取ろうとすると、

・挙手を増やす
・自学ノートを頑張る

みたいな、頭を良くすることとは関係ない領域にエネルギーを使うことになります。

社交性が身につくという点でのメリットはありますが、点数が低いのに内申点だけは謎に高い「内申美人」予備軍になるだけです。少なくとも、中学以降の実力テストや模試では得点できないタイプ一直線です。

であれば、思い切って小学校の成績など捨ててください。

その上で、今やっている学習の「深掘り」をすればOKです。正直、小学校の教科書の内容だけでは、中学の勉強の土台が不十分です。

例えば算数はその典型。

速さの単元を習っても、所詮は「みはじ」を使って時速とか出すだけです。でも、中学になれば「旅人算」「通過算」などが当たり前に出てきます。方程式単元のところで、小学生で速さやったでしょ?のノリで。

だからこそ、勉強に余裕がある子は、見栄えのいい自学ノートを作るのではなく、中学の勉強に直結する深掘り勉強をして欲しいです。

使う教材も、塾用教材がいいです。塾に行かないと買えないのが原則ですが、最近ではAmazonで出回り始めていて、塾なしでも良質な塾用教材が入手できます。

算数だと、以下のような教材(エフォート)がワンランク上で程よく難しくておすすめ。基礎標準もおろそかにしてなくて、中受しないとしても馬鹿みたいに力がつきます。

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総括:通知表を「オールよくできる」のかまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 小学校の通知表を「オールよくできる」にすることの難しさ
    • 「オールよくできる」は非常に高難易度であり、中学校の定期テストで450点以上取ることよりも難しい。
    • 中学で学年トップ10に入るような優秀な生徒でも、小学校時代に通知表で「オールよくできる」だった例はほとんどない。
  • 副教科がハードル
    • 副教科(図工や音楽など)は、才能やセンスが求められるため、努力だけでは「よくできる」になりにくい。
    • 特に男子生徒にとって、副教科で「よくできる」を取るのは難しい。
  • 「よくできる」の評価基準
    • 「よくできる」は達成度90%以上が基準。
    • 各項目で「よくできる」を取れるのは学年の20%以下。
    • 最近の評価基準は厳格化しており、以前よりも「よくできる」がつきにくくなっている。
  • 通知表にこだわる必要はない理由
    • 通知表の評価基準が曖昧であり、上位層の子供がオール「よくできる」を目指すのは非効率。
    • 中学校での成績や内申点の方が重要。
    • 通知表を目標にすると、勉強の本質ではなく、「挙手」や「自学ノート」の見た目など、表面的な努力に偏る。
  • 上位層の生徒がすべきこと
    • 中学受験を検討:小学校で成績が優秀でも、公立中学では内申点に左右されるため、中学受験を視野に入れるべき。
    • 難易度の高い学習に挑戦:通知表の評価にこだわるよりも、算数や他教科で中学以降に直結する深い学びを進める。
    • 教材選び:塾用教材や中学内容に近い高度な教材(例:エフォートシリーズ)を活用する。
  • 通知表への過度な期待は不要
    • 「できる」が大半でも問題なし。
    • 評価基準が厳しい現代では、「よくできる」がなくても十分優秀といえる。