昨今のニュースでは、「子供の学力低下」が騒がれています。直近の学力調査で小6や中3の学力は大幅にダウンしました。

引用:朝日新聞

平成21年度から大幅にポイントを下げており、特に中3の英語の下落率は酷く、過去最低水準まで落ち込みました。

そして、学力低下の原因として「コロナの影響」「スマホ依存の影響」などが挙げらており、連日マスコミのニュースなどでもコメンテーターが各々持論を述べていました。

しかし、学習塾で現場指導をしている自分からすれば、コロナもスマホ依存も学力低下と相関関係があることは認めますが、根本的な原因はそこじゃないと思っています。

では何が直接的な原因だと思うかと言うと、「現在の教育指導要領のカリキュラムが一定以上の地頭を有する賢いタイプの人間じゃないとついていけないこと」です。

今回は、子供たちの学力低下の根本的な問題を地頭の論点から自分なりの分析を解説していきます。

上位20%以外は今のカリキュラムにはついていけない

まず、現場の指導の感覚的な話をします。

現代の教育カリキュラムを教えていると思うのは、今の教科書の難易度と内容量だとまともに理解している生徒って20%ぐらいがいいとこだと思います。世の中には20:80の法則がありますが、概ね集団は20%と80%に分類できるので、その点からも感覚値と理論にあまりズレはないです。

ではなぜ義務教育内容にも関わらずこうも難しいかというと、昨今の共通テストに合わせた義務教育の改革が根底にあります。

今の時代の勉強は、昔の勉強とは全く異なるものになっています。昔は一問一答など暗記さえすれば点数が取れていましたが、最近では暗記を前提として「思考力・応用力・判断力」を問う問題の割合が明らかに増えました。

こうなると知識を運用する力が求められるため、努力だけして暗記をこなせば高得点を取れていたような時代に比べ、明らかに点数を取るハードルが高くなります。

また、シンプルな暗記ですら一昔前の数倍に増えています。英単語の覚える量も教科書改訂のたびに増え続け、高校生で習っていたような単語も中学生の教科書に降りてきています。

だから英語のスコアが大幅に下がっており、最近の中学英語の平均点って50点台あればいい方で、40点台が平均ということも珍しくありません。親世代であれば、英語はおまけぐらいだったので平均点で70点とか80点とかだったのに比べて、明らかに今の英語は難しいです。

当然ですが、今の親世代が子供時代にタイムスリップして今の英語教育でやっているようなテストを受けさせれば、同じように平均点40点を叩くと思います。だから、スマホやコロナが直接的な学力低下の要因とは自分は思えません。

批判覚悟で言えば、今の教科書のカリキュラムは元々地頭の良い勉強適性のある上位20%以外は正直ついていけないです。出来る子は全然出来るのですが、できない子は全くできません。そのこと自体は昔も同じなのですが、今は中間層がほぼほぼ下に引きづり込まれている状況です。

地頭の壁にぶつかるタイミングが早くなりすぎている

正直なところ、今の義務教育は残酷です。

その理由は、「勉強でドロップアウトするタイミングが昔に比べて明らかに早くなったから」です。

正直なところ、勉強はどこかのタイミングで努力では超えられない壁にぶつかります。努力だけで誰しも東大に行けるわけないのは、東大合格には一定の知能水準が必要で、それがない人間は世の中の大半だからです。

これが別に東大じゃなくても同じで、地頭の壁が偏差値67の神戸高校レベルにある人もいれば、偏差値63の御影高校にある人もいます。偏差値53の六アイだって頑張ってもいけない子もいます。

遅かれ早かれ人は勉強面で地頭の壁にはぶつかるのですが、昔はそのタイミングがそこまで早くなかったです。大半の子は中学ぐらいまでは努力で何とか出来ることが多く、高校でやっぱり才能の壁にぶつかるケースが多かったです。

しかし今は、中学校の段階ですでに能力格差が努力では埋まりずらくなってきています。

暗記する量がそもそも多くなりすぎた上、思考力や応用力を問われる問題ばかりになったせいで、知能水準が低い子はかなり早い段階で駆逐されます。小学校の算数ですでに沈む子も多いですし、中学になれば低く見積もっても50%は死体になります。

残りの上50%を何とかケツ叩いて踏ん張らせることでドロップアウトさせないようにするぐらいしか、塾など外部のサポートを使ってもどーしようもならなくなってきました。

こうなると、ますます知能領域における遺伝子ガチャを当てたかどうかの勝負になってきます。だからもう、出来る子と出来ない子に今は二極化します。中間に入る子がごっそり減りました。普通とかありません。普通と思っている人の多くは「できない」に分類されます。

だから、中1の段階でかなりの数がドロップアウトです。一定の思考力や応用力がない地頭水準が下位60%ぐらいにいる子は努力では何ともならなくなります。仮に努力で何とかなると定義しても、その努力量が想像を絶するレベルで必要です。

ここまで来ると、「勉強は勉強がそれなりに得意な子が得意を伸ばす競技」とハッキリ言った方がいいです。今のカリキュラムは少なくともそうです。

最大限できること:1回たりともつまづかせない

正直なところ、現代の勉強は遺伝ガチャの影響を早い段階からモロに受けます。だからもう、地頭が良くなく、思考競技に向かない生徒にあれこれやらせても効果は限定的になりました。(感覚的には地頭水準で全体の半分よりは上の子じゃないと、相当苦労する。)

昔の暗記すれば点数が取れるノリで子供に接する親も多いですが、昔と今では全く時代が違います。ゲームの勝利条件が変わりすぎていて、そんな根性論は通用しません。

では、このようなカリキュラムにどう対処すればいいか?

まず、今のカリキュラムが続く以上、明らかに勉強適性のない子にそこまで無理に勉強をさせても将来的な期待値は低いことを保護者さんは受け入れるべきです。遅かれ早かれ地頭に集約するので、早期教育でドーピングしてもぶっちゃけ無意味です。

IQテストなどで知能水準を客観的に測定したり、大人から見て根本的に賢いと思えるような子なのかどうかを引いた目線で分析したりして、まずは勉強適性を色眼鏡なしで見て欲しいです。

そこで向かないと思うなら、勉強はほどほどにさせて、他の強みを伸ばすことに時間を使ったほうがよほど人生の期待値は高いです。少なくとも勉強で恩恵を受けるのが難しい子なので、勉強にしがみつくメリットは地頭がいい子に比べて低いです。

ただ、それでも勉強を何とかしたいと親が思うなら(それ自体がエゴなので本来は良くないが)、一つだけ徹底させて欲しいことがあります。

それは、「一回たりともつまづかせないこと」です。

勉強は完全に積み上げなので、習ったことを定着させて次ぐに進まないと、どこかのタイミングでガタガきます。そして、過去の負債を精算しながら新しい知識を入れるのは修羅の道です。

そういう意味では、小学校の段階で積み残しをしないことです。具体的にはカラーテストで90点以上は最低の目安です。本来であれば100点がデフォで、たまにミスって95点とかじゃないと、普通にいけば中学の勉強についていけるとは思えません。

だから、小学校の段階でカラーテスト80点以下で放置し、中学に上がって平均点を割り込み、グングン点数が下がって5教科合計が200点台になるような生徒は正直厳しいと思ってください。相当本人に苦しい思いをさせないと、そんな簡単に今の難しい教育カリキュラムをマスターさせることなどできません。

また、小学校の段階でカラーテスト80点以下になるまで放置して出来ない子にさせておき、中学でやばいと思って焦って塾に持ってくる人も非常に多いですが、こういうのは保護者のスタンスによっては冷めた目で見るしかありません。

冷めた目で見られる保護者スタンスは、「塾なんだからここから上げるのがプロの仕事でしょ!」とオラつく系です。よくもまあここまで酷い状態にしておいて、そこまで求めることができるな?と内心では塾人は皆思っています。言葉を選ばずに本音で言えば、図々しいにも程があります。

暴飲暴食を繰り返し、ロクに健康診断も受けず、気づいたらステージ4のガンになっても、「医者ならそれを治すのが仕事!」とオラつく人がいたらどう思うでしょうか?自分が医者なら、他の病院にたらい回ししたくなります。

このタイプの子はかなり末期になっており、全力で治療をするけど改善しないかもしれない状態です。それでも一生懸命指導してくれる人がいるのなら、どんな結果になってもリスペクトを持たないのはおかしい。ここまでヤバくなってから持ってくるのなら、「もう手遅れかもしれませんが、今からでも出来ることを最大限やっていただきたいです。結果がどうなろうと、全て覚悟しています。」ぐらいじゃないと退塾リスクも大きいため、ぶっちゃけ気が乗らないって塾もたくさんあります。

大前提として、地頭水準がそもそも低い子を小学校でも落ちこぼれるまで放置したことに出発点があるわけですからね。

しかし、お金を払っている以上、あれこれ主張する権利はあるわけなので、顧客のクレームは、常識的な範囲であれば正当な主張です。でも、構造的に無理なものは無理なので、最初からしっかりお断りするしかないというのが最近の流れです。

やはり下位50%の地頭水準の勉強は地獄です。(結果を求めず、のらりくらりとやらす分にはいいのですが。)

総括:子供の学力低下の真の正体まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 子供の学力低下の真因は「スマホ」や「コロナ」ではなく、カリキュラムの難化にある
    → 上位20%の地頭が良い生徒しかついていけない設計になっている。
  • 暗記量増加+思考力・応用力重視の出題傾向に変化
    → 中間層がごっそり落ちこぼれる構造。
  • 地頭の壁にぶつかるタイミングが早まった
    → かつては高校で壁にぶつかっていたが、今は中学・小学校段階でドロップアウトする子が急増。
  • 地頭がない子を無理に勉強させるのは効果が薄い
    → 早期教育でのドーピングは無意味。IQなどで適性判断が必要。
  • それでも勉強させるなら「一度もつまづかせない」ことが唯一の対策
    → 小学校のカラーテストで常に90点以上をキープさせることが絶対条件。
  • 放置してから塾に丸投げする保護者は甘い
    → 小学校で積み残した子を中学でリカバリーするのは極めて困難。
  • 勉強は「元々得意な子が頑張る競技」になっている
    → 下位50%層の学習サポートは、どうやっても茨の道になる。

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市販教材でおすすめ教材を知りたい人には、以下におすすめ参考書・問題集をまとめた記事を掲載しておきます。

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