「北洋大学 やばい」と検索すると、ネット上には「Fラン」「定員割れ」「閉校の噂」など、不安を煽るような情報が目立ちます。

しかし、実際にデータを基に検証すると、その真実は一筋縄では語れません。

北洋大学は偏差値BFでありながら、独自の教育方針や地域密着型のキャリア支援など、他の大学にはない魅力も持ち合わせています。本記事では、噂の真相をデータと事実で紐解き、北洋大学の実態を徹底的に解説します。

北洋大学はやばいFランなのか?ネットの噂と真実を徹底検証

「北洋大学はやばい」と言われる理由には、偏差値・定員割れ・経営問題といった“ネガティブな印象”がセットになっています。しかし、それらを鵜呑みにせず冷静にデータで分析することで、実は“別の側面”も見えてきます。ここでは、北洋大学が抱える課題と、その裏側にある魅力を分かりやすく整理します。

北洋大学が「やばい」と言われる5つの理由

北洋大学が「やばい」と言われる理由は、以下5つの要素がセットで語られるからです。特に偏差値や定員割れなどのデータを元にネット上でネガティブに拡散されている点が目立ちます。

理由内容データ・出典
①偏差値BF偏差値BF(ボーダーフリー)で「誰でも入れる大学」と見なされやすい河合塾
②共通テスト得点率35%全国平均(約60%)を大きく下回り、入試難易度が低い大学偏差値研究所
③定員割れ定員300名に対して在籍者数は132名。定員充足率44%の大幅割れ日本高等教育評価機構
④閉校説2024年に「レバンガ北海道バスケアカデミー北洋大学校」が閉校し、大学本体が閉校と誤解された苫小牧民報
⑤Fランクレッテル偏差値・定員割れ・経営問題が重なり「Fラン認定」されやすい一般的なFランク基準

偏差値BFや定員割れという数字的なインパクトが「やばい」という印象を与えがちですが、実際には閉校の噂が誤解であったり、Fランク=悪と決めつけられない側面もあります。次項でその実態を詳しく解説します。

北洋大学の「定員割れで不適合」認証評価レポートとは?

2024年度の認証評価で北洋大学は「不適合」と判定されました(引用:日本高等教育評価機構)。これは、学生数不足や財務状況の厳しさが評価基準に達していないためです。不適合となると、一部の補助金申請が制限され、大学経営に大きな影響を及ぼします。

以下に、不適合判定に至った要因をまとめます。

判定理由内容データ・出典
学生数不足定員300名に対し、2024年度の在籍者数は132名(充足率44%)日本高等教育評価機構
財務の健全性直近5年間で4期が支出超過。経営基盤が脆弱認証評価報告書2024
教員不足2024年度に専任教員1名不足(2025年度に改善予定)苫小牧民報
補助金制限不適合認定により、一部国からの補助金申請が不可日本高等教育評価機構
過去の不適合歴苫小牧駒澤大学時代(2019年度)も不適合評価を受けている苫小牧民報

ただし、認証評価は3年以内に改善報告書を提出し、追評価で基準を満たせば「適合」に戻る制度です。北洋大学も、教員数の確保や定員確保策を講じつつ、改善を進めています。

地方私立大学全体が「定員割れ問題」に直面しており、北洋大学だけが特別に厳しい状況というわけではありません。この点を理解することが重要です。

北洋大学の偏差値・難易度データ

北洋大学の偏差値は、2025年度入試においても「BF(ボーダーフリー)」とされています。これは偏差値が算出できないほど受験者層が限定されている状態を意味し、偏差値の計測対象外となる大学に付けられるランクです。以下に各予備校・模試機関による北洋大学の偏差値データを整理します。

データ提供元偏差値備考
河合塾BF偏差値算出対象外(ボーダーフリー)
東進未算出データなし
ベネッセ43.0〜44.0ベネッセ模試は偏差値が高めに出る傾向
大学偏差値研究所BFBF=Fランク相当と定義

共通テスト得点率も全国平均(約60%)に対して、北洋大学は35%(70/200点)と大きく下回っています。偏差値だけで見ると全国でも下位5%に位置付けられるため、「Fランク大学」というレッテルを貼られやすい状況です。

学部学科偏差値共通テスト得点率
国際文化学部キャリア創造学科BF35%(70/200点)

引用:スタディサプリ進路

しかし、北洋大学では「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜」を活用し、学力試験以外の面接や書類審査によって入学が可能です。理数系科目が不要な入試形式は、学科試験が苦手な受験生や、社会人・既卒者が「再チャレンジ枠」として活用できる利点でもあります。

一般的にFランクの基準は「偏差値35未満」とされ、北洋大学は明確に該当しますが、「偏差値が低い=悪い大学」と断定するのは誤りです。手厚いサポート体制や実践型カリキュラムが整っている大学も存在し、北洋大学もその一例です。進学先を決める際には、偏差値だけでなく大学の教育方針や支援体制にも注目すべきでしょう。

学費や奨学金制度から見る「やばくない」側面

北洋大学は「やばいFラン」と言われる一方で、学費や経済支援の面では非常に現実的で手厚い制度を整えています。初年度の学費は1,130,000円、2年次以降は930,000円となっており、私立大学の全国平均(初年度:約1,320,000円、2年次以降:約1,100,000円)と比較しても割安な水準です。

以下に北洋大学の学費内訳をまとめます。

学年種別前期後期年額備考
初年度入学金200,000円200,000円初年度のみ
初年度授業料340,000円340,000円680,000円2回分納
初年度実習費10,000円10,000円20,000円実習科目受講費
初年度教育充実費30,000円30,000円60,000円教材費・設備費
初年度施設設備費85,000円85,000円170,000円校舎・施設維持費
初年度合計665,000円465,000円1,130,000円別途諸会費あり(5,000〜33,000円)
2〜4年次合計465,000円465,000円930,000円同窓会費20,000円(4年前期)

引用:公式サイト

分割納入制度が整備されており、家庭の経済状況に応じて柔軟に支払いスケジュールが調整可能です。さらに、奨学金制度も充実しており、日本学生支援機構(JASSO)の給付型・貸与型奨学金のほか、北洋大学独自の授業料減免制度も設けられています。

特に苫小牧市内の進学者には地元企業・行政との連携による経済支援プログラムがあり、「学費が理由で進学を諦める心配は少ない」と言えるでしょう。これらの制度により、「Fランだから学費も高いのでは?」という不安を払拭し、コストパフォーマンスの高さが評価されるケースも多くなっています。

北洋大学の学部・学科一覧と特徴

北洋大学は「国際文化学部 キャリア創造学科」のみを設置する単科大学です。しかし、1学年あたり30名程度という少人数制を活かし、学生一人ひとりに寄り添った手厚い指導が行われています。以下に学部・学科の情報を一覧表でまとめます。

学部名学科名定員主な特徴
国際文化学部キャリア創造学科75名語学+ビジネススキル重視の実践型教育

語学教育ではCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)基準に基づき、英語・中国語・日本語のうち母語以外を選択し、レベル別に段階的な学習が行われます。これにより、初心者から上級者まで自分に合ったペースで語学力を伸ばすことが可能です。

また、地域企業と連携した「PBL型授業(プロジェクト型学習)」がカリキュラムの柱となっており、実際のビジネス課題を通じて実践的なスキルを習得します。さらに、海外の提携大学で学位を取得できる「ダブルディグリー制度」も導入されており、国際舞台でのキャリア形成を志す学生にとって大きな魅力となっています。

キャリア創造学科では「経済・経営系」「観光文化系」「情報メディア系」「公共政策系」といった4つの専門カリキュラムが用意され、公務員・観光業・メディア業界を目指す学生に特化した教育プログラムが提供されています。

大規模大学にはない「少人数制の強み」を活かし、学生と教員の距離が非常に近いことも特徴の一つです。このため、「偏差値重視で選ぶ学生」よりも「実践的に社会で活躍したい学生」には最適な学びの場と言えるでしょう。

北洋大学の就職実績はやばい?今後の将来性

北洋大学は偏差値BFというイメージが先行しがちですが、就職実績やキャリア支援では一定の成果を挙げています。特に「地元密着型大学」としての役割は大きく、地元企業や自治体との強い連携が北洋大学の存在価値を支えています。ここでは、北洋大学の就職実績や今後の展望について掘り下げます。

北洋大学の就職率・主な就職先一覧【地方Fランでも内定は取れる】

北洋大学の2024年度卒業生の就職実績を見ると、就職希望者22名のうち21名が内定を獲得し、就職率は95.5%と非常に高い数値を記録しています(引用:大学アンケート2024)。Fランク大学と揶揄されがちな北洋大学ですが、「就職できない」というレッテルが当てはまらない実態がデータから明らかです。

以下に2024年度卒業生の進路実績を表でまとめます。

学部卒業者数就職希望者数就職者数就職率進学者数
国際文化学部38名22名21名95.5%5名

主な就職先は以下の通りです。

就職先企業・団体名
苫小牧市役所
東光薬品
星野リゾート
全日本空輸(ANA)

引用:パスナビ

これらの就職先は、地元自治体や地域密着型企業、観光業界に強みを持つ企業が中心です。特に苫小牧市役所や東光薬品のような安定した就職先に多数の卒業生が進んでおり、「地元で堅実に働きたい」という学生には最適な進路環境が整っています。

一方で、総合商社やメガバンクといった都市圏の大手企業への就職実績は少なく、全国規模の大企業を目指す場合は、別の大学選択も視野に入れる必要があります。しかし、地元志向・実務志向の強い学生にとっては、「Fラン」とレッテルを貼るには適さない、堅実なキャリアを築ける大学であることは間違いありません。

北洋大学が「やばい」と言われる一方で支持される理由

北洋大学は「やばい」と評されることが多い一方で、小規模大学ならではの強みを活かした“面倒見の良さ”が支持されています。全校生徒約120名、1学年30名程度の小規模体制により、教員と学生の距離が非常に近く、履歴書添削や面接練習などのキャリア支援が個別対応で実施されています。

以下は北洋大学が支持されるポイントをまとめた表です。

支持される理由詳細内容
個別対応のキャリア支援教員による履歴書添削・面接指導を個別実施
少人数制授業1クラス30名規模で学生同士・教員との距離が近い
PBL型地域連携授業苫小牧市と連携し、実社会課題をテーマにしたプロジェクト学習を実施
語学+ビジネス教育の実践型カリキュラムCEFR基準での語学指導+キャリア支援の融合教育
ダブルディグリー制度海外大学との学位取得プログラムで国際的なスキル習得

特に、苫小牧市との「地域課題解決型PBL授業」は、地域企業と連携しながら“実践力”を身につける貴重な機会となっており、座学だけで終わらない“社会で使える学び”を提供しています。

また、語学教育に力を入れており、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)基準での英語・中国語指導と、キャリア支援を組み合わせたカリキュラムが特長です。このような「入りやすさ」と「実践教育」のバランスが、学歴偏重にこだわらない実学志向の学生層から高く評価されています。

北洋大学は「偏差値が低いからダメな大学」ではなく、「実践力で勝負する大学」としての存在価値を確立しようとしているのです。

「トマリ留学」制度とは?地方大学ならではのユニークな取り組み

北洋大学の「トマリ!!プログラム(苫小牧留学)」は、海外留学が難しい学生にも語学力と異文化理解力を養うために設けられた独自の“学内留学”制度です。この取り組みは、ネイティブ講師や留学生と日常的に交流しながら、学内で“疑似留学”体験を積むというもので、地方大学ならではの現実的なグローバル教育策として注目されています。

以下に「トマリ留学」の概要を表でまとめます。

項目内容
制度名トマリ!!プログラム(苫小牧留学)
目的経済的・環境的に海外留学が困難な学生への語学実践機会提供
交流対象ネイティブ講師、海外からの留学生(主に中国・ベトナム・インドネシアなど)
実施方法授業外での交流活動、語学イベント、異文化ワークショップ
メリット海外に行かずに実践的な語学力・異文化コミュニケーション力が磨ける
デメリット学生の自主性が重要で、積極性に欠けると効果に差が出る
他大学との差別化地方大学でも低コストでグローバル教育を提供可能

この「トマリ!!」制度は、地方私立大学が海外留学のハードル(経済負担や地理的制約)を乗り越えるための有効な施策として、他大学のモデルケースにもなり得る取り組みです。一方で、語学力の向上効果は学生自身の積極性に大きく左右されるため、参加学生の意欲を高める運営側の工夫も求められています。

とはいえ、北洋大学が持続的に“グローバル教育”を追求するために選択した現実解として、この制度の価値は高く評価されています。

Fラン大買収と京都育英館グループの影響

北洋大学は、かつて「苫小牧駒澤大学」として駒澤大学(東京都)の傘下にありました。しかし2017年、学生数の減少や財務状況の悪化により経営維持が困難となり、学校法人京都育英館グループへ無償譲渡されました。これが、現在の「北洋大学」として再スタートを切ったきっかけです。

京都育英館グループは、地方のFランク大学を積極的に買収し、語学教育や地域連携を軸に再建を進める戦略を取っています。以下に、北洋大学と育英館グループの関係性を表でまとめます。

項目内容
旧大学名苫小牧駒澤大学(駒澤大学の傘下・曹洞宗系)
経営譲渡時期2017年(京都育英館グループに無償譲渡)
現在の運営法人学校法人京都育英館
再建戦略語学教育特化・地域連携型PBL・ダブルディグリー制度
ネットの噂「中国人留学生9割説」→誇張された情報であり、実際は日本人学生も多数在籍
他の買収事例稚内北星学園大学(Fラン大再建モデルとして連携)

ネット上で話題となる「中国人留学生9割」などの噂は、育英館グループが語学教育を重視しているため誇張されがちですが、実際には日本人学生も一定数在籍しています。北洋大学では、地域密着型の教育やビジネススキル習得に加え、語学力を武器にした人材育成を進めることで“ブランド再生”を目指しています。

地方Fラン私大の買収劇が全国的に加速する中、北洋大学は育英館グループの支援を受けつつ、独自の特色を打ち出すことで生き残りを図っているのが現状です。

北洋大学に向いている人・向いていない人を徹底整理

向いている人向いていない人
苫小牧・道内での就職を希望する人東京・大阪など大都市圏での就職にこだわる人
英語や中国語を武器に観光業で働きたい人ブランド大学の肩書きが欲しい人
少人数環境でじっくり学びたい人大規模キャンパスライフを重視する人
再チャレンジで大学進学を目指す人偏差値や学歴ブランドで選ぶ人
地元密着型で着実にキャリアを積みたい人大手総合商社や超大企業を目指す人

北洋大学は、「偏差値ではなく、実践力で勝負したい」学生にとっては適した大学です。一方で、偏差値やブランドを重視する志向の強い学生には向かないと言えるでしょう。自分のキャリアビジョンに合わせた選択が重要です。

総括:北洋大学はやばいFランなのか?まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 北洋大学は「やばい」「Fラン」とネットで言われるが、実態はデータ次第で評価が分かれる
    (偏差値BF、定員割れ、閉校誤解などが理由)
  • 2024年度の認証評価で「不適合」判定を受けたが、3年以内の改善で適合復帰が可能
    (学生数不足・財務健全性の課題あり)
  • 偏差値BF・共通テスト得点率35%でFラン認定されがちだが、「入りやすさ」が武器でもある
  • 学費は初年度113万円・2年次以降93万円で全国私大平均より安め、奨学金や分納制度も整備
  • 学部は国際文化学部キャリア創造学科1つだけ、少人数制で個別対応の教育が強み
  • 2024年卒の就職率は95.5%と高く、地元企業や公務員就職に強い
  • 苫小牧市とのPBL型授業や語学教育、トマリ留学など独自のキャリア支援が充実
  • 京都育英館グループに買収され経営再建中、中国人留学生9割説は誇張
  • 地元志向・実学重視の学生には向いているが、ブランド志向・大企業志望者には不向き