“宿題をしない子”
学習塾をしていれば、当然のように遭遇するのが宿題をやってこなない生徒です。
自塾は原則宿題を出さない塾ですが、たまには課題や暗記テストの勉強課題などは出します。ただ、滅多に宿題を出さないのに、それでも宿題をしない子は確実に存在します。
もちろん、決まって同じメンバーです。汗
そして、塾を何年もやっていれば、どう言うタイプの生徒が宿題をやってこないかも大体分かってきました。そして、分かっていてもほぼ改善できないことも分かってしまいます…
その理由は、子供の性格的な部分(遺伝要因の影響)が大きいからです。
本記事では、宿題をしない子の特徴を塾長の立場から解説します。残念ですが、宿題をやらない子には共通項がいくつかあります。
宿題をやらない子の心理についても考えてみます。
宿題をしない子の特徴まとめ!宿題をやらない子の心理

まず最初に、宿題をしない子の特徴をまとめて紹介します。
どう言う生徒に宿題をしない子が多いのかを、改めて整理してお伝えします。宿題をやらない子の心理についても解説します。
ロジックではなく感情で物事を捉える
宿題をしない子に共通してみられるのは、これ。
・ロジックではなく感情で物事を捉える
宿題をやらない子は、基本的に超感情的(悪く言えば動物的)なところがあります。
物事の判断基準が、「やりたいか・やりたくないか」「楽しいか・辛いか」的なところに常にある子に多いです。
もちろん、宿題だけでなく、暗記テストなどの勉強もやりません。おそらくですが、他の習い事でも課題などはやっていない可能性が高いです。
理由は、「やりたくないと言う欲望のみ従って生きているから」です。物事を判断するときに”ロジック”が抜け落ちていることがほとんどです。
時間軸が長期ではなく短期
先述した内容と重なる部分もありますが、宿題をやらない子の感覚には共通項があります。
それは、「価値観の時間軸が長期ではなく短期」と言うことです。
宿題(というか勉強)は、将来の自分の利益になるから行う人が大半です。純粋に楽しんでやっている人はまずいません。
しかし、将来の利益を得るために、今この瞬間の苦痛を許容しなければいけません。だから、価値観の時間軸は未来に置かれている子じゃないと宿題なんてしません。
・今ゲームしてる方が楽しい
この価値観で生きている子は目線がいつも短期的で、未来に意識がありません。この瞬間にしか意識が向かないのです。
ゆえに、宿題をやるメリットなど感じられず、意味がないからやらないと言うループに陥ります。
想像力が(著しく)欠如している
先述した通り、宿題など課題関連は、将来の自分のために行うことです。今この瞬間の利益はほぼありません。
しかし、それでも宿題をやれる子は、頭の中のどこかで将来の利益を感じている可能性が極めて高いです。
別にそれが不純なものであっても構いません。
「勉強したらお金持ちになれるかも?欲しいもの手に入るし、頑張る価値あるんじゃね?」とかそんな気持ちで頑張っている子も大勢います。何も悪いことじゃない。
この子達は、子供ながらにして将来の自分を想像しています。想像力がある子どもと言い換えることもできます。
と言うことは、宿題をしない子供は想像力が欠けている可能性が高い。知識が弱いのか、思考回路に難があるのかはその子次第ですが、少なくとも現時点では想像力が弱い可能性があります。
未来の利益がうまくイメージできないからやらないってパターンです。
“めんどくさいことをしたくない”が価値観の頂点にある
塾で指導をしていると、宿題をしてこない子が、必ずしも成績下位層でないことに気付きます。
意外かもしれませんが、成績がそこそこいい子の中にも、一定数宿題をやらない子がいます。(もちろん割合的には少ないが。)
では、上位層にせよ下位層にせよ、共通していることは何なのか?
・”めんどくさいことをしたくない”が価値観の頂点にある
塾で指導をしていると、こう思わざるを得ない瞬間が多々あります。
このタイプの子は、成績が良かろうが悪かろうが、数学では途中式を書くことを極端に嫌う傾向があります。学校のノートなどもまともに取らないし、プリントとかもぐちゃぐちゃです。
当然ですが、テストの点数が良くても内申点がイマイチだったりします。
要するに、宿題をやるやらないは、頭の良し悪しだけで決まりません。性格の問題が相当数影響しているわけです。
このタイプは、一言で言えば勤勉性がないのです。なお、一説によれば勤勉性は遺伝要因の影響を6割程度受けると言われています。
忘れ物が多い・遅刻する・物をすぐに無くす
宿題をやらない生徒には、ある程度決まった行動パターンがあります。
・忘れ物が多い
・遅刻する
・物をすぐに無くす
こっち系の別問題を内包している生徒がまあ多いです。
正直、このタイプは俗に言うADHDです。仮に病院でそう診断されなくとも、ADHDと診断された人と同じような症状が観測されます。
このタイプは、基本的にあらゆる自己管理が苦手です。脳の構造的にそう言う子です。別に悪気があるわけでもないです。ゆえに根深い問題とも言えます。
ただ、自己管理が出来ない子は、宿題というシステムとの相性がそもそも悪すぎます。
純粋に宿題を忘れてしまうことも多いです。宿題をやり始めたとしても、気が散って他のことをし始め、気づいたらその日が終わっている…みたいなケースも決して珍しくはありません。
このタイプは、医師の診断を受けて薬などを処方してもらう方が現実的には問題解決につながるかもしれません。少なくとも、努力が足りないからそうなっているわけではありません。
発達障害の可能性
宿題をやらない子の中には、決してサボっているだけではない子がいることも知っています。発達障害などがみられる場合です。
そもそも論、知能(IQ)が低いせいで、現時点でやっている学習内容が理解できず、無気力になっている可能性も考えられます。
この場合、まずは知能検査を含め、医学的なアプローチが必要なケースも多いです。塾では何ともなりません。
そしておそらく、学業という世界で戦わせるには、あまりにも厳しい子です。
そのため、宿題がどうこうみたいな細かい話ではなく、子供のセットポイントをきちんと受け止め、勉強以外の道をどう用意するかに意識を向けるべきだと思います。
感覚的には、今の中学の内容だと1クラス40人の中でも10人ぐらいは勉強が厳し子はいます。これが現実です。
宿題をしない子の特徴が分かったら:現実的な対処法や改善策

ここまでは、宿題をしない子の特徴を、塾という指導現場での経験を踏まえてお伝えしてきました。
ここからは、宿題をしない子にどう対処すべきかを解説します。結構現実的な対処法を話します。
まずは王道のアプローチを試みる
宿題をしない我が子を見たら、まずは王道のアプローチを試みましょう。
・勉強するメリットを伝える
これを、親は諦めずに訴えかけるしかないでしょう。押し付けにならない程度でね。ここで価値観がしっかりしている子であれば、きちんと改善されます。
今まで勉強のメリットが分かっていないからしてこなかっただけであれば、問題解決はそんなに遠くない。
勉強を大事にしている塾とかに入って、他の子に刺激をもらうとかでも全然アリです。
勉強に対する価値観の問題ではない場合
勉強に対する価値観が固まっていないだけであれば、対話によって子供は変わります。
でも、問題はそこじゃないって子が大半でしょう。メリットは分かっていても、めんどくささが価値観の上に来ているわけですからね…
この場合は、「宿題というシステムを損切りする」のが現実的です。
そもそも宿題の目的は、習ったことを定着させることです。定着させるためには問題演習が必要不可欠で、まとまった時間ゴリゴリ解くみたいなタームが必要です。
ただ、子供の自主性に任せていたらそれが無理なのであれば、演習そのものを強制的に行う塾に入れるのが一番。自塾は宿題こそ出さないですが、塾の時間内で問題演習までやらせます。
正直、ほとんどの子はこのシステムに組み込んだ方が成果が期待しやすい。少なくとも、子供の自主性に任せるよりも、はるかに再現性が高い。
もちろん、宿題や管理学習にはデメリットがあります。自分の頭で考えて行動しなくなるリスクが高い。
でも、そうする以外に方法がないのであれば、それも仕方ないこと。こういう子は、そもそも勉強の世界で上位に食い込める素質を持っていません。
親御さんもそれを受け入れ、目標設定を過剰に上げすぎないほうがいいです。学業ではなく性格的に勉強との相性が悪いケースは、外部のサポートなどを使っても上げられる幅に限界があります。
イライラしない:無理なものは無理
ここまでは、何とかして問題解決できる方法を考えお伝えしてきました。
しかし、宿題するしない問題は、正直その子の性格と知能に依存しすぎます。どうあっても外部のサポートや工夫では解決できない子も大勢います。
その場合は、親として「勉強に関してはそういう子なんだ」と受け入れていくしかありません。ここでイライラして子供と衝突すると、さらに問題が大きくなるだけです。
無理なものは無理と割り切る力は、本当の意味での親力ではないでしょうか?
勝手に自分で目標(テスト〇〇点以上)とか決め、その目標との差にイライラするのはダメ親の典型例。もっと子供を見てあげてください。
出発点があなたの目標になた時点で、大抵は失敗します。だってそれは、子供の世界とは全く別の世界に存在している目標なのだから。
総括:宿題をしない子の特徴まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
宿題をしない子の特徴
- 感情的な判断基準: 「楽しい」「やりたくない」など感情で物事を捉え、ロジックが欠けている。
- 短期的視点: 現在の楽しさや楽な選択を優先し、未来の利益を考えられない。
- 想像力の欠如: 将来の自分を具体的にイメージできず、勉強や宿題の意義を感じにくい。
- めんどくささの優先: 「めんどくさい」が価値観の頂点にあり、効率性や丁寧さを欠く。
- 自己管理の苦手さ: 忘れ物や遅刻が多く、自己管理能力が低い。
- 発達障害の可能性: ADHDや知能(IQ)の影響で宿題や勉強への対応が難しい場合がある。
宿題をしない子への対処法
- 王道アプローチ: 勉強のメリットを対話で伝え、価値観の再構築を目指す。
- 宿題のシステムを見直す: 子供に合わない場合は、塾で強制的に演習を行うシステムを活用。
- 目標設定を見直す: 無理に高い目標を設定せず、現実的な範囲で期待値を調整する。
- 親の心構え: 子供の性格や特性を受け入れ、「無理なものは無理」と割り切る。
- 外部のサポート: 発達障害が疑われる場合は、医師の診断や専門機関の支援を検討。
注意点
- 親が過剰にイライラすると逆効果になるため、冷静に対応することが重要。
- 子供自身の目標を尊重し、親の価値観を押し付けすぎないようにする。
