料理のレシピや医療現場などでよく見かける「ml(ミリリットル)」と「cc(シーシー)」。

どちらも同じ体積を表す単位ですが、「どうして2種類あるの?」「g(グラム)との違いは何?」と疑問に思ったことはありませんか?

この記事では、mlとccの違いを分かりやすく比較し、それぞれの意味や使われる分野、なぜccが使われなくなってきたのかなどを解説します。料理や日常生活に役立つ豆知識も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

mlとccの違いをわかりやすく解説:単位の用途を比較

どちらも「体積」を表す単位であるmlとccですが、実は成り立ちや使われる場所に違いがあります。ここではまず一覧表で直感的に違いを把握し、それぞれの意味や背景、g(グラム)との違いも交えて詳しく解説していきます。

mlとccの意味の違い比較表

mlとccの意味の違いがわかる比較表は以下のとおりです。

項目ml(ミリリットル)cc(シーシー)
単位の正式名millilitre(ミリリットル)cubic centimetre(立方センチメートル)
単位の由来リットル(L)の1/10001cm×1cm×1cmの立方体
単位の略称mlcc
使用される分野料理、飲料表示、商品パッケージ、薬の表記医療(注射器の容量)、工業、機械の排気量
国際単位系(SI)推奨されている非推奨(SI単位ではない)
現在の使用傾向日本・世界で主流徐々に使われなくなってきている

ml(ミリリットル)の意味と定義を解説

mlとは「millilitre(ミリリットル)」の略で、1リットル(L)の1/1000の体積を表す単位です。国際単位系(SI)に準拠した正規の補助単位とされ、世界中で幅広く使われています。

料理や飲料、化粧品のパッケージ表記、さらには薬の容量表記など、私たちの生活に密接した分野で用いられています。

例えば、大さじ1は15ml、小さじ1は5mlといった形でレシピに記載されるのが一般的です。計量カップにもmlの目盛りがあり、料理初心者でも扱いやすい単位として親しまれています。

cc(シーシー)の意味と定義を解説

ccとは「cubic centimetre(キュービックセンチメートル)」の略で、1cm×1cm×1cmの立方体の体積を表します。これは1cm³と同じ意味で、mlとも数学的に同じ値となります。

元々は医療や機械分野で広く使われてきました。例えば、注射器では「5cc」や「10cc」と表記されることが多く、また車の排気量も「1500cc」などと表現されます。ただし、ccは国際単位系(SI)では認められておらず、現在ではmlやcm³への移行が進められています。

それでも、業界の慣習としてccが残っているケースがあるため、使い分けに注意が必要です。

なぜccが使われなくなってきたのか

ccが使われなくなってきた理由には、国際的な単位の標準化が背景にあります。SI単位系ではccは正式な単位とされておらず、cm³またはmlが推奨されています。

特に医療分野では、「cc」が「00(ゼロゼロ)」と誤読される可能性があり、過去に医療事故が発生した事例もあります。そのため、WHO(世界保健機関)やFDA(アメリカ食品医薬品局)では「cc」を避け、mlを用いるよう勧告しています。

日本でも1992年の計量法改正により、牛乳瓶の表示がccからmlに変更されるなど、制度上もmlへの切り替えが進んでいます。

<例文5つ>

  1. 医療現場では注射器の容量を「5ml」で表すようになっています。
  2. 牛乳の容量は、かつて「1000cc」と表記されていましたが、今では「1000ml」が主流です。
  3. 自動車の排気量は「1500cc」と表されるが、技術資料では「1500cm³」に変わりつつあります。
  4. 古い料理本には「水100cc」と書かれていますが、最近のレシピは「水100ml」です。
  5. 薬局で処方される薬のシロップも、近年は「ml」で指示されるようになりました。

ml・cc・gの違いは?水や油など身近な例で

mlとccは体積の単位で、g(グラム)は重さ=質量の単位です。水の場合、1ml=1cc=1gという関係が成り立ちますが、すべての液体や物質に当てはまるわけではありません。

たとえば、油は密度が水より低いため、1mlあたり約0.92gしかありません。逆に、グラニュー糖のように密度が高い場合は、1mlで約0.85gになることもあります。

<例文5つ>

  1. 水100mlはちょうど100gと考えてOKです。
  2. 同じ100mlでも、オリーブオイルでは約92gと少し軽くなります。
  3. 砂糖100mlは約85gなので、体積と重さが一致しません。
  4. 醤油は1mlあたり1.2g程度と、水より重い液体です。
  5. 牛乳は水とほぼ同じ密度なので、1ml=1gで計算して問題ありません。

mlとccの違いの後に:単位の使い分けと計量のポイント

mlやcc、gは一見似ているようで、使い方を間違えると分量を大きく誤る原因になります。ここでは、料理や日常生活の中でよくある勘違いや、正しく使い分けるためのポイントを具体例とともに解説します。

計量カップ・スプーンのml・cc表記の違いとは?

料理で使う計量カップやスプーンには、mlで目盛りが書かれていることがほとんどです。一部の古い器具にはccの表記があるものの、基本的には同じ量を示しています。

たとえば、大さじ1杯は15ml(=15cc)、小さじ1杯は5ml(=5cc)です。料理初心者が間違えやすいのは、同じカップでも米用の計量カップ(180ml)と液体用(200ml)の違いです。

調理に応じて正しい器具を選び、mlとccが混在していても混乱しないよう、事前に目盛りを確認して使いましょう。

粉類や液体でml・gが変わる?換算の目安も紹介

水は1ml=1gですが、粉類や油などは密度によって重さが異なります。

たとえば、同じ100mlでも小麦粉は約60〜70g、砂糖は約80〜90g、油は約90〜92gと違いがあります。このように、mlをgに換算するときは「物質ごとの密度」を考慮することが大切です。

料理に慣れていないときは、以下のような目安を覚えておくと便利です。

材料100mlあたりの重さ(目安)
100g
サラダ油約92g
小麦粉約65g
上白糖約85g
はちみつ約140g

こうした換算を覚えておくと、スケールがないときでもおおよその量を見積もることができます。

1ccは何ml・何g?簡単な換算式と覚え方を紹介

1ccは1mlと全く同じ体積ですが、重さ(g)に換算するときは密度に注意が必要です。たとえば、水の場合は「1cc=1ml=1g」となります。しかし油の場合は、「1cc=1ml=約0.92g」です。

覚え方としては、「水の場合に限り、1cc=1ml=1g」というルールが便利です。

【換算式の基本】

  • 体積(ml)× 密度(g/ml)= 重さ(g)

【覚え方の例】

  • 水なら「1=1=1」
  • 油なら「1ml=約0.92g」
  • 蜂蜜なら「1ml=約1.4g」

料理に登場するさまざまな材料は、すべてこの換算式に当てはめればおおよその重さがわかります。

料理と医療で単位の使い方が違うのはなぜ?

料理ではmlが主流ですが、医療現場では今でもccが使われる場面が残っています。その理由は、医療業界でccという表現が長年定着してきた歴史があるためです。

ただし、前述したとおり、ccは数字の00と誤認されやすく、誤投与のリスクがあることから、現在ではmlに置き換える動きが広がっています。

一方、料理分野では計量カップやレシピにmlが統一されており、誰にでも分かりやすい表記を優先しています。つまり、用途や慣習によって単位の使い分けがなされているということです。

cc・ml・gの換算表付き!料理や実験で役立つ早見表

料理や日常の中で使えるcc・ml・gの換算表を用意しました。おおよその目安として活用してください。

材料1mlの重さ(g)100mlの重さ(g)
1.00g100g
サラダ油0.92g92g
牛乳1.03g103g
小麦粉0.65g65g
砂糖0.85g85g
蜂蜜1.40g140g
醤油1.20g120g

※あくまで目安の値であり、温度や湿度などによって若干の誤差があります。

このような早見表を使えば、材料の換算が格段に楽になります。料理だけでなく、自由研究や実験などにも活用できる便利な知識です。

総括:mlとccの違いまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

項目ml(ミリリットル)cc(シーシー)
単位の正式名millilitre(ミリリットル)cubic centimetre(立方センチメートル)
単位の由来リットル(L)の1/10001cm×1cm×1cmの立方体
単位の略称mlcc
使用される分野料理、飲料表示、商品パッケージ、薬の表記医療(注射器の容量)、工業、機械の排気量
国際単位系(SI)推奨されている非推奨(SI単位ではない)
現在の使用傾向日本・世界で主流徐々に使われなくなってきている