奈良時代の人々はどんな服を着ていたか知っていますか?
歴史の教科書で見ると、貴族は華やかできれいな服を着ているイメージがありますよね。でも、庶民の服装はどんなものだったのでしょうか?実は、奈良時代には身分ごとに決められた服のルールがあり、貴族と庶民では着るものが大きく違っていました。
この記事では、奈良時代の服装の特徴を詳しく解説し、貴族と庶民の服装の違いを分かりやすく説明します!
奈良時代の男性女性の服装:庶民と貴族の衣類の違い

奈良時代(710年〜794年)は、日本が本格的な律令国家として成長した時代です。この時代には「衣服令(えぶくりょう)」という法律があり、身分によって着る服が決められていました。これは、当時の日本が中国・唐の影響を強く受けていたためです。
貴族は、唐の服装に影響を受けた豪華な衣装を身にまとい、庶民はシンプルで機能的な服を着ていました。それでは、具体的にどのような服を着ていたのか詳しく見ていきましょう。
奈良時代の服装の特徴とは?唐の影響を受けた衣服制度
奈良時代の服装の最大の特徴は、中国・唐の影響を受けていたことです。遣唐使が日本に持ち帰った文化の一つが「服制(ふくせい)」でした。
「服制」とは、身分によって服装を区別する制度のことです。奈良時代では、
- 貴族:絹を使った華やかな服を着用
- 庶民:麻や植物繊維を使ったシンプルな服を着用
というように、身分ごとに大きな違いがありました。
また、色にもルールがあり、貴族は華やかな色の服を着ることができましたが、庶民は黄色や黒といった地味な色しか使えませんでした。
貴族男性の服装|位によって決められた格式ある衣服
貴族の男性は、身分ごとに決められた「礼服」「朝服」「制服」のいずれかを着用していました。
- 礼服(れいふく):重要な儀式の際に着用される、最も格式の高い服。
- 朝服(ちょうふく):朝廷に出仕するときに着る、普段の仕事着。
- 制服(せいふく):位の低い官人や庶民が特定の公務に就く際に着用。
貴族の男性の服装は、長い袖の上着(袍:ほう)にズボン型の袴を組み合わせるのが一般的でした。また、位の高い人ほど絹などの高級な生地を使い、色も紫や赤といった特別な色を着ることが許されていました。

さらに、貴族の男性は「笏(しゃく)」という細長い板を持ち、烏帽子(えぼし)という帽子をかぶっていました。これらのアイテムも、身分の高さを示す重要なものでした。
貴族女性の服装|華やかな天平美人の着こなし
貴族の女性は、唐風の衣装を取り入れた豪華な服を着ていました。代表的なスタイルは次の通りです。
- 上衣(じょうい):薄い藍色の着物を羽織る
- 背子(はいし):ベストのような上着
- 裳(も):スカートのような衣服
- 領巾(ひれ):肩にかけるショール

このように、貴族の女性の服装は重ね着が基本であり、色や装飾もとても華やかでした。髪型も特徴的で、高い位置で結び、髪飾りをつけるスタイルが流行しました。
また、扇を持つこともあり、優雅な身のこなしが求められました。まさに「天平美人」と呼ばれるにふさわしい装いだったのです。
庶民の服装|実用性重視のシンプルな衣服
一方、庶民の服装は非常にシンプルでした。動きやすさと耐久性を重視し、次のような服を着ていました。
- 上衣(じょうい):脇が縫われていないシンプルな上着
- 下衣(かい):ふんどしのようなズボン型の衣服
- 腰紐(こしひも):衣服を固定するための紐
庶民は絹を着ることが許されておらず、主に麻や楮(こうぞ)などの植物繊維を使った布を着ていました。
また、庶民の服の色は「黄色」と決められており、さらに身分の低い者は「黒色」を着用する決まりがありました。これは、身分の違いを服の色で分かりやすくするためのルールでした。
奈良時代の服装に使われた素材とは?貴族と庶民の違い
奈良時代の服装に使われた素材は、身分によって大きく異なりました。
- 貴族:絹(シルク)、高級な染色を施した布
- 庶民:麻、楮(こうぞ)、葛(くず)などの植物繊維
貴族の衣服は高品質な絹が使われ、美しく染められていました。一方、庶民は自分たちで織った布を使用し、染色もほとんど施されませんでした。
奈良時代の服装が現代に与えた影響とポイント

奈良時代の服装は、貴族の華やかな衣装から庶民の質素な服装まで、多様な特徴を持っていました。この時代の衣服文化は、現代の和服にも影響を与えています。また、歴史のテストでも頻出するため、重要なポイントを押さえておきましょう。
現代の着物文化と奈良時代の服装の共通点
奈良時代の服装には、現代の着物文化と共通する点がいくつかあります。
例えば、現在の和服は「右前に着る」のが基本ですが、この習慣は奈良時代の「衣服令」によって定められたものです。それ以前の時代では、左右どちらを前にするか明確な決まりがなかったとされています。
また、帯を締めて服を固定するスタイルも、奈良時代の庶民の服装に由来します。奈良時代の庶民は、簡単な上衣を腰紐で結ぶ服装をしており、これが後の着物の原型になったと言われています。
さらに、冠婚葬祭で使われる「白装束」も奈良時代の影響を受けています。当時、貴族は特定の儀式で白い衣服を着用しており、現代の葬儀や神事での白い装束とつながりがあるのです。
このように、奈良時代の服装は日本の伝統衣装のルーツとなっており、現在の和服文化にも多くの影響を与えているのです。
奈良時代の服装に関する語呂合わせ・テスト対策
歴史のテストでは、奈良時代の服装に関する問題がよく出題されます。ここでは、テスト勉強に役立つ語呂合わせやポイントを紹介します。
服制の成立年を覚える!
奈良時代には、服装のルールが法律で定められました。
この「衣服令」が導入された年を覚えるために、次の語呂合わせを使いましょう。
✅ 「な(7)ら(0)う(0)服制(7)」
→ 701年に大宝律令が制定され、服制が確立!
この大宝律令の中に、身分によって服装を区別する「衣服令」が含まれていました。
庶民と賤民の服の色を覚える!
奈良時代には、身分によって着られる服の色も決まっていました。
庶民と賤民(身分がさらに低い人々)の服の色は特に覚えておきたいポイントです。
✅ 「黄(庶民)・黒(賤民)」
→ 庶民の服の色は黄色、賤民は黒色!
このように、色のルールを覚えることで、試験対策にも役立ちます。
奈良時代の服装を知るための史料と遺物
奈良時代の服装を詳しく知るためには、当時の史料や遺物を調べるのが重要です。特に以下のようなものが、奈良時代の衣装研究において貴重な情報源となっています。
①正倉院宝物
奈良時代の貴族が実際に使用していた衣服や装飾品が保存されているのが「正倉院宝物」です。ここには、色鮮やかな織物や刺繍の入った衣類があり、当時の服装の豪華さを今に伝えています。特に、貴族の礼服として使われた「裳(も)」や「背子(はいし)」の実物が残っているのは貴重です。
②高松塚古墳の壁画
奈良時代の服装を知る上で欠かせないのが、高松塚古墳の壁画です。この壁画には、当時の貴族の女性が描かれており、鮮やかな衣装や髪型を知る手がかりになっています。彼女たちは華やかな装束をまとい、色とりどりの衣を重ねているのが特徴です。
③その他の文献
「続日本紀(しょくにほんぎ)」や「養老律令(ようろうりつりょう)」には、当時の服装の規定が記されています。これらを調べることで、衣服の制度や身分ごとの違いを詳しく知ることができます。
奈良時代の服装と他の時代の違い|飛鳥・平安時代との比較
奈良時代の服装は、前後の時代と比べてどのような特徴があるのでしょうか?
ここでは、飛鳥時代・平安時代と比較しながら、奈良時代の衣服の変遷を見ていきます。
①飛鳥時代との違い
飛鳥時代(6〜7世紀)は、まだ服装のルールが明確に決まっていませんでした。
貴族は中国・朝鮮の影響を受けた「貫頭衣(かんとうい)」という服を着ており、簡素でゆったりしたデザインが特徴でした。しかし、奈良時代に入ると、中国・唐の影響を受けた格式ある「衣服令」が制定され、服装が大きく変化しました。
②平安時代との違い
奈良時代の服装は、唐風の影響が強く、派手なデザインが好まれました。しかし、平安時代(8〜12世紀)に入ると、日本独自の「直線裁ち」の着物が登場し、衣服のスタイルが変化します。
✅ 奈良時代:唐風の影響が強い → 上着とスカートを組み合わせた服装
✅ 平安時代:和風の影響が強い → 十二単(じゅうにひとえ)など重ね着が主流に
このように、奈良時代の服装は日本の衣装文化の重要な転換期であり、その影響は後の時代にも受け継がれていきました。
総括:奈良時代の男性女性の服装まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
1. 奈良時代の服装の特徴
- 唐の影響を受けた服制(服装ルール)が確立(701年の大宝律令)
- 身分ごとに服装が異なる
- 貴族:豪華な絹の衣服
- 庶民:麻や植物繊維の質素な衣服
- 服の色にも身分差があった
- 貴族:華やかな色(紫・赤など)
- 庶民:黄色
- 賤民:黒色
2. 貴族の男性の服装
- 格式に応じた3種類の衣服
- 礼服:儀式用の最も格式の高い服
- 朝服:朝廷での勤務時の服
- 制服:低位の官人・庶民が公務時に着用
- 袍(ほう)+袴(ズボン型の服)+笏(しゃく)+烏帽子(えぼし)
3. 貴族の女性の服装
- 唐風の影響を受けた華やかな衣装
- 上衣(じょうい):薄い藍色の着物
- 背子(はいし):ベストのような上着
- 裳(も):スカート型の衣服
- 領巾(ひれ):ショール
- 高い位置で結う髪型+髪飾り+扇を持つ
4. 庶民の服装
- 実用性重視のシンプルな服
- 上衣(じょうい):脇が縫われていない上着
- 下衣(かい):ふんどし+袴
- 腰紐(こしひも):衣服を固定
- 絹は禁止、麻や楮(こうぞ)などの植物繊維を使用
- 色の制限:庶民=黄色、賤民=黒色
5. 現代の着物文化との共通点
- 「右前に着る」ルールは奈良時代の衣服令が由来
- 帯を締める文化も庶民の服装に由来
- 白装束(冠婚葬祭)は奈良時代の儀礼服がルーツ
