歴史の授業でよく出てくる「治外法権」と「領事裁判権」の違いについて分かりやすく解説します。

どちらも「外国人に関する法律」なのですが、実は意味がちょっと違います。
しかし、「この二つは同じ意味ですか?」という質問が多いです。そして、間違えて覚えてしまう人が多いんです。

この記事では違いをしっかり理解できるように、比較表や語呂合わせを使って解説していきます!最後にはテスト対策のポイントもまとめるので、ぜひ最後まで読んでくださいね!

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治外法権と領事裁判権の違いを分かりやすく解説

歴史を学ぶと「不平等条約」という言葉が出てきます。日本が江戸時代の終わりから明治時代のはじめに結んだ条約の中には、外国人を特別扱いするルールがありました。

その中でも「治外法権」「領事裁判権」は、日本の主権(国を治める力)を弱める大きな問題でした。では、この二つの違いを詳しく見ていきましょう!

治外法権と領事裁判権の違いを一覧表で比較

まずは「治外法権」と「領事裁判権」の違いを表で確認しましょう!

項目治外法権領事裁判権
意味外国人が滞在国の法律に従わなくてもよい権利外国人が自国の領事による裁判を受ける権利
適用範囲司法(裁判)、行政(税金など)、立法(法律の適用)司法(裁判)のみ
対象外交官、外国軍隊、外国人居留地の住民など条約で決められた外国人(商人など)
日本での例幕末の日米修好通商条約、安政五カ国条約日米修好通商条約、ノルマントン号事件
廃止の年1894年(明治27年)の日英通商航海条約で撤廃1894年(明治27年)の日英通商航海条約で撤廃

この表を見れば分かるように、領事裁判権は治外法権の一部なんです!

だから、「同じ意味?」と聞かれたら「領事裁判権は治外法権の一部だけど、全く同じではない!」というのが正解です。

治外法権とは?外国人が適用国の法律に従わない権利

「治外法権」とは、ある国に住んでいる外国人が、その国の法律に従わなくてもよい権利のことです。簡単に言うと「日本にいても、外国のルールで生きることができる」ということですね。

例えば、大使館の敷地内は「外国の領土」とみなされます。だから、もし日本の警察が何か調査しようとしても、勝手に入ることはできません!これも治外法権の一つなんですね。

でも、江戸時代の終わりに結ばれた「日米修好通商条約(1858年)」では、もっと問題のある形で治外法権が認められていました。この条約では、アメリカ人が日本で商売をしても、日本の法律を守らなくてもよいという内容が含まれていたのです!

これは日本にとってとても不平等なルールでした。そこで、明治政府は「こんな不公平な条約は廃止しなければ!」と考えました。そして、1894年(明治27年)に日英通商航海条約を結び、ついに治外法権を廃止することができたのです!

領事裁判権とは?外国人が自国の法律で裁かれる制度

「領事裁判権」とは、外国人が日本で犯罪を犯しても、日本の法律で裁かれない仕組みのことです。代わりに、その外国人の「自国の領事」が、その国の法律で裁判をすることになっていました。

例えば、アメリカ人が日本で犯罪を犯したら、日本の裁判所ではなく、アメリカの領事館でアメリカの法律に従って裁判を受けるのです。

でも、この仕組みには大きな問題がありました。なぜなら、アメリカの領事はアメリカ人に甘い判決を出すことが多かったからです!つまり、日本人が不公平な扱いを受けることが多かったのです。

この問題がよく分かる事件が「ノルマントン号事件(1886年)」です。

イギリスの船が沈没し、日本人乗客25人は全員死亡。しかし、イギリス人船長はほとんど罪に問われませんでした!この事件をきっかけに、日本では「不平等な領事裁判権をなくそう!」という声が高まったのです。

そして、治外法権と同じく1894年の日英通商航海条約によって、領事裁判権も廃止されることになったのです!

なぜ治外法権と領事裁判権は混同されるのか?

治外法権と領事裁判権の違いは「適用範囲の広さ」にあります。治外法権は司法・行政・立法のすべてに影響するのに対し、領事裁判権は裁判(司法)のみに適用されるルールです。

でも、実際には「領事裁判権も治外法権の一部なので、歴史の授業や参考書で 一緒に説明されることが多いんですね。

例えば「日米修好通商条約(1858年)」では、

「外国人は日本の裁判を受けない(領事裁判権)」
「外国人が住む地域では日本の法律が適用されない(治外法権)」

の両方が決められていました。

つまり、日本では「外国人が特別扱いされること全般」を「治外法権」とまとめて説明することが多いのです。

しかし、 正しく言うと、治外法権の中の司法に関する部分が領事裁判権なので、テストで聞かれたときは「領事裁判権は治外法権の一部!」と答えられるようにしましょう!

治外法権と領事裁判権の語呂合わせで覚えよう!

歴史の暗記には「語呂合わせ」がとても便利です!治外法権と領事裁判権をしっかり区別できるように、いくつかの語呂合わせを紹介します。

①「じ・りょ・う」で覚える!

👉 「じ外法権」「じ」「自己ルールでOK!」
👉 「りょう事裁判権」「りょ」「領事が裁判する」

じ・りょ・う(自領) で覚える!」と覚えると、スッキリ区別できますね!

②「じんせい(人生)ゲームで覚える!」

👉 治外法権 → じ(自)分のルールでOK!
👉 領事裁判権 → りょう(領)事が裁判する!

「じんせい(人生)ゲームみたいに、自分でルールを決められるのが治外法権!でも犯罪をしたら領事に判断されるのが領事裁判権!と考えれば分かりやすいですね!

治外法権と領事裁判権の違い:テスト対策ポイント

治外法権と領事裁判権は、日本の歴史の中で大きな問題になりました。ここでは、どんな事件や条約が関係していたのか?を詳しく見ていきましょう!

また、歴史のテストでよく出るポイントも紹介するので、しっかり復習してくださいね!

日本で治外法権と領事裁判権が始まったのはいつ?

日本で治外法権と領事裁判権が始まったのは、1858年に結ばれた「日米修好通商条約」です。

この条約では、アメリカ人が日本で生活する際に「日本の裁判を受けずに、自国のルールに従う」ことが決められました。つまり、治外法権と領事裁判権の両方が適用されたのです。

その後、イギリス・オランダ・フランス・ロシアとも同じような条約(安政五カ国条約)を結びました。これによって、日本国内に外国人の「特別扱いエリア(外国人居留地)」ができ、日本の法律が適用されない「不平等条約」が生まれてしまったのです。

ノルマントン号事件!領事裁判権の問題点

1886年(明治19年)、「ノルマントン号事件」 が発生しました。

これは、イギリスの船「ノルマントン号」が和歌山県沖で沈没し、イギリス人だけが助かり、日本人乗客25人は全員見殺しにされたという事件です。

本来なら、この船長は「日本の裁判で裁かれるべき」でした。しかし、領事裁判権のせいで、イギリスの領事館で裁判が行われました。

結果、船長には軽い罪しか与えられず、日本人の怒りが爆発!この事件をきっかけに、日本国内で「領事裁判権をなくそう!」という声が強くなったのです。

日英通商航海条約で治外法権と領事裁判権が廃止!

日本は、不平等条約をなくすために何度も交渉を続けました。そして、1894年(明治27年)にイギリスとの間で「日英通商航海条約」を結び、ついに治外法権と領事裁判権の廃止を決定しました!

この条約が結ばれた背景には、イギリスがロシアとの対立を深め、日本と協力したいと考えていたことも影響しています。そして1899年(明治32年)には、他の国との条約も改正され、日本国内での外国人の特別扱いが完全になくなりました!

テストで狙われる!治外法権・領事裁判権のポイント

治外法権 → 外国人が日本の法律に従わなくてよい権利
領事裁判権 → 外国人が日本の裁判を受けず、自国の法律で裁かれる権利
✅ どちらも1858年の日米修好通商条約で始まった!
✅ 「ノルマントン号事件」(1886年)が領事裁判権撤廃のきっかけになった!
✅ 1894年の日英通商航海条約で両方が廃止された!

これらはテストに必ず出るポイントなので、しっかり覚えておきましょう!

総括:治外法権と領事裁判権の違いまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

✅ 基本的な違い

  • 治外法権 → 外国人が日本の法律に従わなくてよい権利(司法・行政・立法すべてに影響)
  • 領事裁判権 → 外国人が日本の裁判を受けず、自国の法律で裁かれる権利(司法のみ)

✅ 適用範囲

  • 治外法権 → 外交官、外国軍隊、外国人居留地の住民など
  • 領事裁判権 → 条約で決められた外国人(商人など)

✅ 日本での導入と廃止

  • 導入1858年「日米修好通商条約」 で始まり、その後「安政五カ国条約」で他国とも締結
  • 廃止1894年「日英通商航海条約」 で撤廃、1899年 に完全実施

✅ なぜ混同されるのか?

  • 領事裁判権は治外法権の一部 なので、歴史の授業ではまとめて説明されることが多い
  • 「外国人の特別扱い全般」を「治外法権」として広く認識されているため

✅ 重要な歴史的事件

  • ノルマントン号事件(1886年)
    → イギリス船が沈没し、日本人乗客25名が見殺しにされる
    → イギリスの領事裁判で船長に軽い刑罰しか与えられず、日本国内で抗議の声が高まる
    → 領事裁判権の撤廃を求める動きが加速

✅ テスト対策ポイント

  • 治外法権と領事裁判権の違いを明確に説明できるようにする
  • 語呂合わせ:「じ・りょ・う(自領)」
    • じ(治外法権)自己ルールOK!
    • りょ(領事裁判権)領事が裁判する!
  • 日米修好通商条約(1858年) で適用され、日英通商航海条約(1894年) で廃止