「徴兵令(ちょうへいれい)」って聞いたことがありますか?

これは、昔の日本で「国を守るために、みんなで軍隊に入ろう!」と決めた法律です。でも、この決まりができたことで、人々はとても驚き、時には怒ってしまいました。

なぜ徴兵令が必要だったのか、どんな仕組みだったのか、そしてどんな問題が起こったのか、塾長がわかりやすく解説していきますよ!歴史のテストにも役立つので、最後まで読んでくださいね。

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徴兵令をわかりやすく解説!基本の意味と歴史的背景

徴兵令は日本の歴史において非常に重要な出来事で、国民に大きな影響を与えました。まずは、この法律がどのようにして生まれたのか、そしてどんな背景があったのかをわかりやすく説明します。

どんな時代背景があって、どんな目的で作られたのでしょうか?

徴兵令とは?簡単にわかりやすく解説

徴兵令(ちょうへいれい)は、1873年(明治6年)に明治政府が出した法律で、日本中の20歳以上の男子を軍隊に入れて、国の防衛を強くしようという制度です。それまでは、戦うのは「武士(ぶし)」の仕事でした。しかし、明治維新(めいじいしん)で武士の身分制度がなくなり、日本の軍隊の作り方を変える必要がありました。

この法律ができるまでは、戦うのは主に武士の仕事でしたが、明治政府は「国を守るのはすべての国民の役割だ」と考えました。だからこそ、武士だけでなく農民や町人も含めた「国民皆兵(こくみんかいへい)」という考え方が生まれたのです。この制度は、フランスなどの外国の影響を受けています。徴兵令ができたことで、日本の軍隊は大きく変わりました。

徴兵令が制定された目的

では、なぜ明治政府は徴兵令を出したのでしょうか?それには大きく3つの理由があります。

  1. 強い軍隊を作るため
    明治時代の日本は、外国からの侵略(しんりゃく)の危険がありました。特に、西洋の国々は強い軍隊を持ち、日本にも圧力をかけていました。そのため、日本も強い軍隊を持たないと国を守れなかったのです。
  2. 身分制度をなくすため
    江戸時代までは「武士」「農民」「町人」などの身分が決まっていました。しかし、明治政府は「みんな平等だ!」と考え、武士だけが戦う時代を終わらせようとしました。
  3. お金を節約するため
    武士の軍隊はお給料が必要でしたが、徴兵で集められた兵士は国の義務として働くため、あまりお金をかけずに軍隊を作ることができました。

このように、徴兵令は日本を強くするために作られました。しかし、後で詳しく説明しますが、人々はこの制度に強く反発しました。

徴兵令の具体的な内容と対象者の条件

徴兵令では、誰が軍隊に入るのか、どのように選ばれるのかが決められました。以下のようなルールがありました。

  1. 対象者:満20歳の男子(士族も平民も含む)
  2. 徴兵検査:健康状態によって「甲・乙・丙・丁・戊」の5段階に分けられる
  3. 兵役期間:常備軍で3年+後備軍で4年(合計7年間の軍務)
  4. 免除条件:以下の人は徴兵を免除された
    • 官庁で働いている人
    • 公立学校の学生
    • 医術(いじゅつ)や学問を学んでいる人
    • 家を継ぐ人(跡取り)
    • 270円の代人料(今の500万円相当)を支払える人

つまり、お金持ちや役人の子どもは徴兵を免れることができました。そのため、「国民皆兵」と言いながらも、実際には貧しい人ほど兵隊に取られ、不公平だと批判されました。

徴兵令と徴兵告諭の違い

徴兵令が作られる前に、明治政府は「徴兵告諭(ちょうへいこくゆ)」という文章を出しました。これは「これから徴兵制を始めますよ!」と国民に知らせるためのものでした。

徴兵告諭では「昔の日本では、すべての人が戦って国を守っていた。だから、これからはみんなで日本を守ろう!」という内容が書かれていました。しかし、実際の徴兵令では「お金持ちは免除」というルールがあり、国民は「話が違う!」と怒りました。

簡単に言うと、

  • 徴兵告諭:「みんな平等に国を守るぞ!」(国民向けの建前)
  • 徴兵令:「でも、お金持ちや役人の子どもは免除」(実際のルール)

こうして、徴兵令が出たとき、人々の不満が一気に爆発しました。

徴兵令に対する反発と血税一揆とは?

徴兵令が発表されると、全国で「血税一揆(けつぜいいっき)」と呼ばれる反対運動が起こりました。

特に問題になったのは「血税(けつぜい)」という言葉です。政府は「兵役に就くことも税金の一部だ」と説明しましたが、人々は「血を取られる」「命を奪われる」と誤解しました。その結果、日本各地で暴動が発生しました。

一揆が起きた理由は3つあります。

  1. 徴兵の不公平さ:お金持ちは徴兵を免除されるのに、貧しい人だけが取られた
  2. 家族への影響:農業や商売を支える若者が徴兵されることで、家計が苦しくなった
  3. 誤解と不安:「血税」という言葉が誤解され、「体から血を抜かれる」と思う人が多かった

この一揆は軍隊によって鎮圧されましたが、人々の不満はしばらく続きました。そのため、政府も徴兵の条件を少しずつ変えていきました。

徴兵令を分かりやすく:メリット・デメリット

徴兵令にはメリットとデメリットがありました。それが日本社会にどんな影響を与えたのか、そして現在の世界の徴兵制度と比較してみましょう。歴史を振り返りつつ、今後どういった可能性があるのかを見ていきます。

徴兵令のメリットとは?国力強化と社会の変化

徴兵令には、多くの問題もありましたが、日本の発展にとってメリットもありました。特に、次の3つの点が重要です。

  1. 強い軍隊を作ることができた
     徴兵令によって、多くの若者が軍隊に入り、日本の軍事力が強化されました。その結果、日本は日清戦争(1894年)や日露戦争(1904年)で勝利することができたのです。
  2. 身分の壁がなくなった
     武士だけが戦う時代から、農民や商人も含めた軍隊になり、身分制度がなくなりました。これにより、日本全体が「国民みんなで日本を守る」という意識を持つようになりました。
  3. 国民の教育レベルが上がった
     徴兵された若者は、軍隊で基本的な読み書きや計算を学ぶ機会を得ました。これが、後の日本の発展に大きく貢献しました。

こうしたメリットにより、日本は近代国家としての道を歩み始めました。しかし、徴兵令には大きな問題点もありました。

徴兵令のデメリットとは?国民への負担と社会問題

徴兵令には、国を強くするメリットがありましたが、その一方で国民にとっては大きな負担もありました。

  1. 働き手が減った
     若い男性が徴兵されることで、家の農業や商売を支える人がいなくなり、家計が苦しくなりました。特に農村では、労働力の不足が深刻な問題となりました。
  2. 不公平な徴兵制度
     「国民皆兵」と言いながら、お金持ちは270円を払えば徴兵を免除されました。当時の270円は今の500万円以上に相当し、貧しい家庭には支払えません。そのため、徴兵されるのは主に貧しい人々であり、大きな不満が生まれました。
  3. 徴兵逃れが横行した
     徴兵されることを避けるために、いろいろな手を使う人もいました。たとえば、養子縁組をして「家の跡取り」になったり、北海道や沖縄に移住したりする方法です。時には、わざと病気を装う人もいました。

このように、徴兵令は多くの人にとって負担が大きく、不満の原因になっていたのです。

徴兵令はいつ廃止されたのか

徴兵令は、1873年に始まり、1945年の日本の敗戦まで続きました。戦争中は、戦況が悪化するにつれて徴兵の対象が拡大され、最後には16歳以上の少年までもが徴兵されるようになりました。

しかし、1945年に日本が敗戦すると、GHQ(連合国軍総司令部)が徴兵制を廃止しました。 その後、日本国憲法が制定され、第9条で「戦争をしない」「軍隊を持たない」と決められたため、徴兵制は完全になくなりました。

現在の自衛隊は志願制であり、徴兵制度とは異なります。

世界の徴兵制度はどうなっている?現在もある国は?

日本では徴兵制は廃止されていますが、世界には今でも徴兵制度を採用している国があります。

  1. 韓国
     満18歳以上の男子は、約18か月~21か月間の兵役が義務付けられています。芸能人やスポーツ選手でも例外ではなく、BTSのメンバーも兵役に行っています。
  2. スイス
     男性には徴兵義務があり、健康上の理由がある人は「代替役務(社会奉仕活動)」を選ぶことができます。
  3. イスラエル
     イスラエルでは、女性にも兵役の義務があり、2年間の軍務を務める必要があります。
  4. ウクライナ・スウェーデン
     一度徴兵制を廃止したものの、近年の安全保障の問題から徴兵制を復活させた国もあります。

このように、世界では今も徴兵制を採用している国が多く存在します。

日本で徴兵制が復活する可能性はあるのか?

日本では現在、徴兵制はありません。しかし、最近の国際情勢を考えると、徴兵制復活の議論が出ることもあります。

  1. 自衛隊の人員不足
     現在の自衛隊は志願制ですが、若い世代の人口が減っており、自衛隊員の確保が難しくなっています。そのため、一部の専門家は「将来的には部分的な徴兵制度が必要になるかもしれない」と考えています。
  2. 国際情勢の変化
     ウクライナやスウェーデンのように、国際情勢が変われば日本でも徴兵制が必要になるかもしれません。ただし、現在の憲法のもとでは徴兵制を復活させることは非常に難しいです。

もし徴兵制が復活する場合は、憲法の改正が必要になりますが、その議論には多くの意見があるため、すぐに決まることはなさそうです。

総括:徴兵令をわかりやすく解説まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

1. 徴兵令の基本情報

  • 徴兵令(1873年施行):日本の軍隊制度を改革し、20歳以上の男子を対象にした法律。
  • 目的
    • 強い軍隊を作る
    • 身分制度の撤廃
    • 軍事費の節約
  • 背景
    • 明治維新後、日本は欧米諸国に対抗するため軍隊の近代化が必要だった。

2. 徴兵令の仕組みと条件

  • 徴兵対象:20歳以上の男子(士族・平民を問わず)
  • 徴兵検査:健康状態で5段階に分類
  • 兵役期間:3年間の常備軍+4年間の後備軍(計7年間)
  • 免除条件
    • 官庁勤務、公立学校生徒、医術修行者
    • 跡取り、代人料270円(現在の約500万円)を支払える者
  • 徴兵告諭との違い
    • 徴兵告諭:「みんな平等に兵役!」という宣言(建前)
    • 徴兵令:お金持ちは徴兵免除(実際のルール)

3. 国民の反発と血税一揆

  • 血税という言葉の誤解:「血を取られる」との噂が広まり暴動が発生。
  • 不公平な制度:お金持ちは徴兵を免れるため、貧しい人々が負担を強いられた。
  • 家計への影響:働き手の若者が徴兵され、家計が苦しくなった。
  • 徴兵逃れ:北海道・沖縄への移住、養子縁組、病気を装うなどの手法が流行。

4. 徴兵令のメリット・デメリット

  • メリット
    • 軍事力の強化:日清・日露戦争での勝利につながった。
    • 身分制度の撤廃:武士以外も軍に参加し、国民意識が高まった。
    • 教育の向上:徴兵によって読み書きを学ぶ機会が増えた。
  • デメリット
    • 労働力の減少:農業や商業に大きな影響を与えた。
    • 不公平な徴兵:貧しい人々が主に徴兵され、不満が募った。
    • 徴兵逃れの横行:制度の抜け道を利用する人が増加。

5. 徴兵令の廃止と現在の徴兵制度

  • 廃止:1945年の敗戦後、GHQによって徴兵制が廃止。
  • 現在の日本:自衛隊は完全な志願制。憲法9条により徴兵制の復活は難しい。

6. 世界の徴兵制度と日本の今後

  • 現在も徴兵制を採用する国
    • 韓国(約18~21ヶ月の兵役義務)
    • スイス(徴兵または代替役務)
    • イスラエル(女性にも兵役義務)
    • ウクライナ・スウェーデン(近年徴兵制を復活)
  • 日本の徴兵制復活の可能性
    • 自衛隊の人員不足:若者の減少により将来的な徴兵制度の必要性が議論される。
    • 国際情勢の変化:安全保障上の理由で徴兵制の議論が生まれる可能性はあるが、憲法改正が必要。