中1から塾って必要なの?

保護者様の中には、中学生で塾通いを検討される方も多いと思います。ただ、いつから通い始めるのがベストか悩みますよね。

学習塾としては、「出来るだけ早く来て下さい!」というのが当たり前です。そういう意味では、学習塾の言うことは当てにならないとも言えます。汗

ただ、今回はブログ記事なので、勉強に詳しいイチ個人として「中1から塾は必要か?」の答えを書いていきます。

そのため、「塾通いは早ければ早い方がいい」というありきたりな結論では終わらないことを約束します。

人によっては「中3からでも間に合う」という事例もあるわけなので、塾屋としてのポジショントークは一旦横に置いといて、本音の部分をお伝えします。

本記事を読めば、「中1から塾は必要か?」の答えが分かります。

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中1から塾は必要か?学習塾経営者のガチのアンサー

中1から塾って必要なの?

こう考える保護者さんの多くは、高校受験であれば中3からガチれば勉強はなんとかなるのでは?という思いがあるのかと思います。

また、勉強というものに対する優先順位がそこまで高くなく、「中1から塾通いなんて大変そう。そもそも必要?」と思われているかもしれません。

そこでまずは、「必要か・必要ではないか」という観点に対し、自分なりのアンサーを書いていこうと思います。

中1から通塾しなくても間に合った生徒は過去にいた

自塾では、中3生から入塾してくれる生徒もいます。

転塾の場合もありますが、これまで全く塾に通ったことがなく、はじめて中3で塾に通い始めた…というケースです。

この中には、たった1年で爆発的に成績アップを果たした生徒がいました。

平均点程度で入塾し、中3の最後には学年でも上位20%にランクイン。偏差値63の上位校に逆転合格を決めました。

この子の事例を挙げれば、中1から塾に通うことは必ずしも受験における必要条件ではないということになります。

中1から塾に通っているのにどうにもならない生徒もいる

その一方、中1からずっと塾に通っているのに、なかなか成果に繋がらない生徒もいます。

中1の一番最初の基礎基本からずっと教えていても、なかなか基礎が定着しない。そのまま中2になっても、納得のいく成績が出せない。そこに痺れを切らした保護者が転塾を検討して、そのまま退塾になる事例も多いです。

中3のタイミングで転塾が増えるのは、このようなタイプの子です。このままこの塾に任せておいても先が見えない…と思って、別の塾に希望を見出して転塾するケースは決して珍しい話ではないです。

話を戻すと、「中1から塾に通っていたのにダメだった…」という事例もたくさんあるということです。自塾でもそういう事例があるし、他塾でも当然あります。

ここから言えることは、中1から塾に入れたからと言って、必ずしも親の思うような結果が出るとは限らないということです。

中1から塾に通って一定の成績をキープして順当合格する生徒も多い

中1からの塾通いで、満足のいく結果を出している生徒も大勢います。

最初から塾に通って勉強し、中1の最初でそこそこの結果を出す。そして、成績をそのままキープ(もしくは微増)させて、安定感のある成績を出す。

そのまま内申点も順当に勝ち取り、受験生では志望校にそのまま合格。

「塾に通わせていただいて本当に感謝します。」

と保護者さんに言っていただける典型的な事例です。

このような事例を見ると、焦って中3で塾に入れて失敗するよりも、中1から塾に任せておいて、安心できる受験をすることに大きな魅力があるのでは?と思ったりもします。

中1から塾が必要かどうかは「地頭と目標との距離」で決まる

ここまで読んでいただければわかると思います。

結局のところ、中1から塾通いしなくても成功する人もいるし、中1から塾通いしても失敗している人もいるということです。

つまり、中1から塾が必要か?という問いに関しては、一律でYesかNoで答えるのは難しいということ。

というよりも、場合分けの問題に過ぎません。

最終的に自分が掲げる目標(志望校や点数)と、その子自身のポテンシャル(地頭)との距離によって答えが変わるだけです。

地頭が良ければ、目標までの距離が遠くても、短い時間で効率よくこなして目標達成ができます。中3から入塾して逆転合格する子は、そのパターンが多い。

しかし、元々賢くないタイプの子で目標までの距離が遠すぎると、例え中1から塾に通っても間に合わないという現象が普通に起こる。仮に塾の指導が100点満点だとしても、本人の処理能力的に時間切れになるケースは絶対にあるので。

子供の地頭の見極めと適切な目標設定が出発点

中1から塾が必要かどうか?というのは、そもそも本質的な問いではありません。思考の出発点は、塾がどうこうであってはいけません。

・我が子の勉強に対する適性はどのくらいなのか?
・適性(地頭)的に考えて各々の目標までの距離感はどのくらいか?
・目標までの距離感を埋めるために必要な時間の見込みは?
・塾に中1から通わせればその距離は現実的に埋まるのか?

どこまで行っても、最初にすべきは「子供の前提条件を把握すること」です。

そもそも、中学に上がる前に、大体は子供の学業に対する向き不向きは見えています。(例外もあるけど、基本的には見えます。)

カラーテストの点数を1つの指標にすれば、中学での点数の見込み値は概ね分かります。

・カラーテスト100点:中学80点以上
・カラーテスト80点:中学60点
・カラーテスト60点:中学40点

これが昨今の小学校と中学校の関係値の現実です。

そして、中学での点数から分かる偏差値はこんな感じ。

・中学80点以上:偏差値60以上
・中学60点::偏差値50程度
・中学40点:偏差値40台

このようなデータから、我が子が小学校のテストでどの点数だったかを見れば、このまま順当に行った場合の高校進学先は予測できます。

もちろん、それ以外にも受験結果を左右する要素はありますよ。

・コツコツできる子なのか
・嫌なことからすぐ逃げないか
・言い訳しないか
・提出物などの評価点が取れそうか
・暗記スピードが遅すぎないか
・話し方に論理性を感じるか
・落ち着きがあるか

こんな風に、勉強面にとってマイナスになることが多ければ多いほど期待値は下がる分けです。

大事なことは、今の子供のセットポイントを正しく見極め、どこに勉強の期待値があるのかを親御さんが冷静に考えてあげることです。

現実的な期待値が分かれば、「その距離を埋めるために中1からの塾通いが必要かどうか」を考えるだけです。

中1からの塾通いを決断して失敗するパターン

中1から塾が必要かどうか?に対して、明白な答えはないです。

しかし、勝負事に不思議の勝ちはあっても、不思議の負けはない。上手くいかない時には、必ずそこに何かしらの原因があります。

では、中1から通いをするとして、それでも失敗するパターンにはどんなものがあるのかを考えましょう。

選んだ塾がクソだった

選んだ塾がクソだった場合、それは失敗要因になりえます。

しかし、そこそこ実績が出ていて、明らかなミスマッチ(テスト30点なのに大手集団塾とか)がない限り、成績不振の原因はそこではないケースが多いです。

親の望みと子供の能力に乖離がありすぎ

正直なところ、塾通いを失敗だと思う人の大半はこれ。

子供の能力が低いのに、親の望みが高くて、その差が中々埋まらずに塾通いを後悔したと思ってしまうケース。

もちろん、保護者ニーズに応えるのが塾の仕事です。しかし、あまりにも非現実的な目標を言われてしまうと、塾側もそれに応えることはできないです。

この場合は、中1から通おうが、中3から通おうが、いかなる場合でも不満しか残りません。そもそも、叶うはずのない(叶う確率が客観的に見て明らかに低い)目標が出発点にあるからです。

この場合、もっと子供を観察し、現実的にどこが狙える目標なのかからやり直す必要があります。子供の能力が高くないのに、親の期待が大きすぎる場合は確実に失敗します。

子供の能力ではなく、自分の期待が出発点になっているからです。

子供の能力は遺伝的要因で決まる領域が大きい。そういう意味では「定数」です。しかし、期待は動かせるものだから「変数」です。

どう考えても、期待という変数を子供の能力(地頭)という定数に近づけるしか解決策はない。ここが分かっていないと毒親化します。

中1から塾は必要か?本当のメリットと注意点

ここまでは、中1からの塾通いが必要かどうかについて、自分の中の考えを紹介してきました。

ただ、中1からの塾通いには、知っておきたいメリットや注意点があります。最後に、それらを紹介していきます。

中1塾通いのメリット:子供の能力のセットポイントが見える

中1から塾に通わせるメリットは、学力アップよりも実は別の部分にあります。

それは、「良くも悪くも子供の地頭のセットポイントが分かる」ということです。

正直、小学校の段階だと、我が子が勉強に向いているかいないかってまだ分からないと言えば分からないです。特に精神年齢が低い男子小学生って、中学で精神年齢が上がれば伸びることも多いです。

そういう意味では、やってみないと分からない。これは正しい。

ただ、良くも悪くもそんな希望が持てるのって、中1の終わりぐらいじゃないか?というのが本音です。

なお、中1の2学期ぐらいの成績がその子のセットポイントであることが多いです。(※中1の1学期は簡単すぎて当てにならない。)

普通に塾に通わせてそれなりに勉強していれば、点数取れる子は取れます。でも、全然取れない子は取れない。ちゃんと実績が出ている塾で、同じ人に教わっていてもです。

ここで、「先生との相性が悪いから…」と仮説を持ってもいいのですが、シンプルに子供の能力的な問題が根本原因って可能性も当然ありますよね?

そして、大抵の場合は後者であることが多い。

そもそも、先生との相性が悪かろうが、一定の時間を勉強に突っ込めばそれなりの成果が出るものです。逆に言えば、時間を突っ込んでも成果が出ていない時は、高確率で子供の処理能力の低さに課題があるのが現実です。

要するに、そこまで勉強に向いている子ではないということです。

ただ、中1からそれなりに勉強時間が長い塾に通わせておけば、子供の地頭やスペックは大体親御さんも把握できるというのはメリットです。

ここで、客観的に自分の子供の能力が分かれば、今後の中学生活で無理な志望校設定をしなくても済むようになります。余裕を持って、志望校を客観的な目線で考えてあげることができます。

中1から塾に通っていないと、「塾に通えば成績が上がる余地があるのでは?」と期待から出発してしまいます。それだと、時間的に色々とロスしちゃうリスクがありますよね?

中3になってから我が子の地頭水準見極めて、その上であれこれ動いて、でも期待もして…みたいなことしてる親も多いですが、何もかもが遅いです。

中1の最初に塾に通わないと完全に手遅れになるケース

ちなみに、中1から塾が必要かどうかではなく、「中1の夏休みまでに手を打たなければ完全に終了する生徒」もいるのが注意点。

正直、昨今の中学生の学習レベルは非常に難易度が高いです。そして、英数のような積み上げ教科は、一度コケるとまあ挽回できない。

でも、小学校のテストで100点とか取れていた子であれば、一旦つまずいてもどこかで修正できます。塾は必要になるだろうけど、来てくれたら治せる自信があります。

しかし、小学校のテストで60点以下を取っているような生徒は別。

この子達は、そもそも小学校範囲の勉強がまともに出来ておらず、中学で勉強につまづいているってわけでもない。

大半の課題は、小学校の学習内容が十分に身についていないことにあります。その状態で、中学範囲を上乗せしようとしているので、まあ崩れるよねって話です。

でも、この手の生徒を救済できるのって、中1の夏休みまでです。

特に夏休みは、学校の授業が完全ストップするので、このタイミングで小学校の復習や1学期の復習を完全にやれたら、なんとか中間層ぐらいで中学生を逃げ切れるかもしれない。

でも、夏を過ぎたらもう無理。

これまでの積み残しがエグい量あるのに、中1の新しい単元がどんどん進みます。内容的にも数学は方程式とか関数なので、小学校の早さとか割合ができないとそもそも死にます。英語だって、be動詞分からないまま現在進行形やらされるわけですから、上手くいくわけがない。

こうなってしまうと、中学校ではもう浮上できない。深海魚確定です。

こういうタイプは、中1から塾が必要か?とかそういう次元じゃない。中1の最初が勝負で、そこを逃したらそれ以降の塾通いが完全に無意味ってことになります。

総括:中1から塾は必要か?まとめ

  • 中1から塾が必要かという問いに一律な答えはない
    • 成功する場合もあれば失敗する場合もある。
    • 子どもの「地頭」と「目標までの距離」が判断基準。
  • 中1から塾通いしなくても成功した例
    • 中3から塾に通い始め、1年で成績を爆発的に伸ばした生徒もいる。
  • 中1から塾に通っても成果が出ない例
    • ずっと基礎が定着せず、成績が伸びないまま退塾するケースもある。
  • 中1から塾に通うメリット
    • 子どもの地頭や学力の「セットポイント」を早期に把握できる。
    • 現実的な志望校設定が可能になる。
    • 定期的な勉強習慣が身につく。
  • 中1からの塾通いが特に必要なケース
    • 小学校のテストで60点以下の生徒。
    • 英語や数学などの積み上げ教科でつまずいている生徒。
  • 中1の夏休みまでが勝負の理由
    • 学校授業がストップするタイミングで復習を徹底すればリカバリー可能。
    • 夏を過ぎると学習内容が進みすぎて挽回が難しくなる。
  • 塾通いで失敗する主な原因
    • 親の期待が子どもの能力とかけ離れている。
    • 塾選びのミスマッチ。
  • 適切な判断の出発点
    • 子どもの勉強適性や目標との距離を冷静に把握する。
    • 適切な塾や学習計画を選択する。
  • 注意点
    • 中1から塾に通わせれば安心、というわけではない。
    • 特に地頭の低い生徒は早期の適切な指導が必須。
  • 結論
    • 子どもの能力や目標によって、中1から塾が必要かどうかは異なる。
    • 最も重要なのは子どもの実情を正しく見極めること。

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