みなさんが普段食べているお寿司は、一口サイズで食べやすいですよね。しかし、江戸時代のお寿司は、今の2~3倍の大きさだったと言われています。
なぜ昔の寿司はこんなに大きかったのでしょうか?その理由を知ると、寿司の歴史がぐっと面白くなります。
本記事では、江戸時代の寿司の大きさの理由と、当時の寿司の特徴について詳しく解説します。寿司の起源や食べ方の変化を学びながら、寿司の魅力を再発見しましょう。
江戸時代の寿司が大きい理由

江戸時代の寿司が大きかった理由には、当時の食文化や寿司が提供される場所の特徴が大きく関係しています。寿司がどのように食べられていたのか、そしてなぜ一貫の寿司が今よりもずっと大きかったのかを探っていきます。
この時代背景を理解することで、寿司の進化とともに変わっていった食文化についても深く知ることができます。
江戸時代の寿司が大きかった理由は「屋台での提供」
江戸時代の握り寿司は、屋台で提供されるファストフードのようなものでした。現代のような寿司店はなく、道端の屋台で手軽に食べるのが一般的だったのです。そのため、寿司は1個でしっかりお腹を満たせるように、大きめに作られていました。
また、当時は食事の時間が短く、さっと食べて仕事に戻る文化がありました。一度にたくさん食べられるよう、大きな寿司が好まれたのです。
冷蔵技術がなかったため大きく握ることで魚の鮮度を保った
江戸時代には冷蔵庫がなかったため、魚の保存がとても難しかったです。そこで、寿司職人は魚をなるべく早く使い切るために、一つひとつの寿司を大きく握っていました。
魚の鮮度を維持するためには、小さな寿司を何個も作るより、大きな寿司を作るほうが効率的だったのです。また、大きな寿司にすることで、ご飯の保温効果も高まり、ネタの鮮度をより長く保つことができました。
当時の寿司は「おにぎり」感覚で食べられていた
江戸時代の寿司は、現代のように上品な料理というより、おにぎりのような感覚で食べられていました。寿司の形状も、今より少し丸みを帯びたものが多かったとされています。
一口で食べるというより、手で持ってかぶりつくようなスタイルだったのです。また、寿司は小腹がすいたときに食べる「おやつ」的な存在でもありました。
今でいうと、コンビニのおにぎりに近い感覚で親しまれていたのですね。
米の質が現代と異なり食べ応えを重視していた
江戸時代の米は、現代のものと比べて少しパサついていて、粘り気が少なかったです。そのため、寿司飯として使うと、現代の寿司よりもしっかりした食感になりました。
また、米が貴重だった時代でもあったため、少ない量で満足感を得られるよう、大きめに握る工夫がされていました。江戸の庶民にとって、寿司は高級品ではなく、リーズナブルでボリュームのある食べ物だったのです。
大きな寿司の名残は現代にも?
江戸時代の寿司は今よりも大きかったですが、その名残は今でも地方の郷土寿司として残っています。例えば、千葉県の「館山寿司」や新潟の「笹寿司」などは、江戸時代の名残を感じさせる大きなサイズの寿司です。
また、「ちらし寿司」や「押し寿司」も、もともとは江戸時代の寿司のスタイルに近い形で提供されていました。現在の一口サイズの握り寿司は、昭和に入ってから小さくなり、今の形になっていったのです。
江戸時代の寿司が大きい理由の後に:当時の寿司の特徴

江戸時代の寿司は、今のように魚をそのままのせるスタイルではなく、工夫が施されたものが多かったです。寿司職人がどのようにネタを調理して、どんな特徴を持たせていたのかを解説します。
江戸時代の寿司文化を知ることは、現代の寿司がどのように進化してきたのかを理解する上でも重要です。
ネタの種類は限られていた
江戸時代の寿司に使われる魚の種類は、現代ほど豊富ではありませんでした。
主に江戸湾(現在の東京湾)で獲れる魚が中心で、コハダ、アナゴ、マグロなどがよく使われました。
特にコハダは当時の代表的な寿司ネタで、酢で締めて提供されるのが一般的でした。冷蔵技術がなかったため、新鮮なままの刺身で提供できる魚は限られていたのです。
寿司飯には「赤酢」が使われていた
現代の寿司飯には米酢が使われていますが、江戸時代は「赤酢」が主流でした。赤酢は酒粕を発酵させて作る酢で、風味がまろやかでコクがあるのが特徴です。
また、米酢に比べて保存性が高いため、冷蔵庫のない時代にはとても重宝されました。現代でも高級寿司店では赤酢を使うところがあり、江戸前寿司の伝統を感じることができます。
寿司は屋台で立ち食いするスタイルだった
江戸時代の寿司屋は、現代のような店舗ではなく、屋台形式が一般的でした。
道端で職人が寿司を握り、その場で立ち食いするのが主流だったのです。
このスタイルは、現代でいう「ファストフード」に近いもので、手軽に素早く食べられるのが特徴でした。寿司が大きかったのも、この「手軽に満腹感を得る」という文化と関係があるのですね。
食べ方にも違いがあった
現代の寿司は、醤油につけて食べるのが一般的ですが、江戸時代はすでに味付けされた状態で提供されることが多かったです。
例えば、マグロは醤油漬け(漬けマグロ)、アナゴは煮アナゴにして提供されました。これは、魚の保存性を高めるための工夫でもあり、冷蔵技術のない時代ならではの知恵だったのです。
江戸時代の寿司文化は現代にも影響を与えている
江戸時代に生まれた寿司の文化は、今もなお私たちの食生活に大きな影響を与えています。
「握り寿司」や「赤酢」、「ネタごとの味付け」など、江戸前寿司の伝統が現代の寿司にも生き続けています。寿司の歴史を知ることで、今食べている寿司の奥深さをより感じることができるでしょう。
総括:江戸時代の寿司が大きい理由まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
江戸時代の寿司が大きかった理由
- 屋台での提供
→ ファストフードのように屋台で手軽に食べる文化があり、満腹感を得るために大きかった。 - 冷蔵技術がなかった
→ 魚の鮮度を維持するため、大きく握ることでご飯の保温効果を高め、保存性を向上させた。 - おにぎり感覚で食べていた
→ 寿司は今より丸みを帯びた形で、おにぎりのように手で持って食べるスタイルだった。 - 米の質が異なり、食べ応え重視
→ 当時の米はパサついていたため、大きめに握ることで満足感を得やすかった。 - 大きな寿司の名残が現代にもある
→ 千葉の「館山寿司」や新潟の「笹寿司」など、大きな寿司の文化が一部に残っている。
江戸時代の寿司の特徴
- ネタの種類は限られていた
→ 江戸湾で獲れる魚(コハダ、アナゴ、マグロなど)が主流で、酢締めや煮る加工が多かった。 - 寿司飯には赤酢が使われていた
→ 酒粕由来の赤酢は風味がまろやかで、保存性が高いため江戸時代の寿司には最適だった。 - 寿司は屋台で立ち食いするスタイル
→ 屋台形式が主流で、今のファストフード感覚で食べられていた。 - 食べ方が現代と異なった
→ 醤油をつけずに、最初から味付けされた寿司(漬けマグロ、煮アナゴなど)が一般的だった。 - 江戸時代の寿司文化は現代にも影響を与えている
→ 赤酢やネタごとの味付け、握り寿司の形式など、江戸前寿司の伝統が今も続いている。