みなさん、歴史の授業で「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」という言葉を聞いたことがありますか?「名前が難しくてよく分からない…」という人もいるかもしれませんね。

御成敗式目は武士のための法律です。鎌倉時代に武士たちがルールを守って生活できるように作られました。これがなかったら、武士の世界はケンカや争いが絶えない、めちゃくちゃな状態になっていたかもしれません。

この記事では、御成敗式目がなぜ作られたのか、どんなルールだったのか、歴史にどんな影響を与えたのかを超わかりやすく解説します!

御成敗式目をわかりやすく解説!目的・内容・特徴

まずは御成敗式目の基本のキホンから説明します。御成敗式目がどんなものなのか、なぜ作られたのか、そしてどんなルールが書かれているのかを、詳しく見ていきましょう。

御成敗式目とは何か簡単に:武士のための法律

御成敗式目は1232年(貞永元年)に鎌倉幕府の3代執権・北条泰時(ほうじょうやすとき)によって作られた法律です。

それまでの日本には「律令(りつりょう)」という法律がありましたが、これは公家(くげ)や貴族のためのルールでした。

しかし、武士の世界には合わなかったため、新しく 武士専用のルール を作ることになりました。

御成敗式目は51か条からなり、「武士の暮らし方」「土地の持ち方」「裁判のルール」などを細かく決めています。簡単に言えば、武士が安心して暮らせるように作られたルールブックというわけです。

御成敗式目がつくられた理由

御成敗式目が作られることになった背景には、大きく3つの理由があります。

承久の乱(1221年)で幕府の支配が全国に広がった

  • それまでの幕府は関東中心でしたが、承久の乱で朝廷に勝利したことで西日本にも影響力を持つようになりました。
  • しかし、新しく幕府の支配下になった地域では武士同士のトラブルや土地争いが続発。これを解決するためのルールが必要になったのです。

公家の法律(律令)が武士に合わなかった

  • それまでの法律は漢文で書かれていて、武士には読みにくくて難しかったのです。
  • そこで北条泰時は「もっとシンプルでわかりやすい法律を作ろう!」と考えました。

武士の社会に合ったルールを作るため

  • 武士は土地を守ることが仕事でした。そのため、土地の売買や相続のルールがとても重要です。
  • しかし、貴族が作った法律では武士の土地争いを解決するのが難しい状況でした。
  • そこで、武士が納得できる「武士向けの法律」を作ることになったのです。

御成敗式目の内容とは?5つのポイント

御成敗式目には51か条もの決まりごとがありますが、その中でも特に重要な5つのルールを紹介します。

① 守護の職務(大犯三箇条)

  • 守護(しゅご)は各地のリーダー的存在で、「大犯三箇条(たいぼんさんかじょう)」という3つの重要な役割を持っていました。
    1. 謀反(むほん)を取り締まる
    2. 殺人事件を取り締まる
    3. 京都の警備をする
  • つまり、幕府の命令で治安を守る役割を担っていました。

② 土地所有のルール(知行年紀法)

  • 「ある土地を20年以上持ち続けたら、その人のものとする」という決まりです。
  • これがなかったら、「昔は自分の土地だった!」と何十年も前の話を持ち出して土地争いが続いてしまいます。

③ 相続のルール(悔返し権)

  • 親が子どもに土地を譲っても、「やっぱり返して!」と取り戻せる仕組みです。
  • ただし、親の勝手な都合で何度も取り返すことはできず、正当な理由が必要でした。

④ 裁判の基準(証拠重視)

  • 言いがかりではなく、きちんとした証拠がある訴えでなければ認められません。
  • 証拠がない場合、裁判では勝てないルールになっていました。

⑤ 神仏を大切にする規定

  • 「お寺や神社を大事にしなさい」という決まりもありました。
  • 日本の武士たちは、昔から神様や仏様を信じていたので、信仰を守るためのルールが設けられました。

御成敗式目の適用範囲

御成敗式目は武士(御家人)限定の法律でした。つまり、武士同士の争いや土地問題を解決するために作られたものであり、一般の農民や商人には適用されなかったのです。

ただし、御成敗式目が制定された後、時代の流れとともにその影響は広がり、次第に全国的な基準となっていきます。室町時代には幕府の基本法として使われ、戦国時代には多くの大名が御成敗式目を参考にした独自の法律(分国法) を作りました。

また、御成敗式目の考え方は、江戸時代の「武家諸法度」にも影響を与えています。このように、御成敗式目は武士のための法律でありながら、日本の法制度の基礎として600年以上の歴史に影響を与えたのです。

語呂合わせで覚える!御成敗式目の制定年やポイント

歴史の勉強で大変なのが年号の暗記ですよね。でも、御成敗式目は語呂合わせを使えば簡単に覚えられます!いくつかの語呂を紹介するので、ぜひ活用してください。

1. 制定年(1232年)

1(い)2(つ)3(み)2(に)」→ 1232年

  • 「いつ見に行く?御成敗式目!」と覚えると忘れにくいですね。

2. 守護の仕事(大犯三箇条)

守(し)謀(ぼう)殺(さつ)」→ 守護の仕事

  • 守護が取り締まる 「謀反・殺人・京都の警護」 をこの3文字で暗記!

3. 土地のルール(知行年紀法)

土地は20年で時効

  • 20年間支配した土地は、そのまま支配者のものになる、という法律です。

4. 相続のルール(悔返し権)

悔(くや)しいから取り返す

  • 親が相続した土地を 子供から取り返す権利 があることを示す語呂です。

5. 条文の数(51か条)

51か条 → 武士(ぶし)1番!

  • 「51」と「武士1番」をかけた覚え方で、51か条の法律だと覚えましょう。

語呂合わせを活用すれば、テスト勉強も楽しくなりますね!

御成敗式目の内容を分かりやすく:室町・江戸時代へのつながり

御成敗式目は単なる武士の法律にとどまらず、その後の日本の歴史に大きな影響を与えました。室町時代や戦国時代の法体系に、そして江戸時代の支配体制にも強い影響を及ぼしました。

ここでは、御成敗式目がどのように次の時代に受け継がれたのか、そしてその重要性について詳しく解説します。

室町時代の「建武式目」と御成敗式目の関係

御成敗式目は鎌倉幕府の法律ですが、鎌倉幕府が滅びた後も影響を与えました。特に、室町幕府の建武式目は御成敗式目を基礎にして作られています。

鎌倉幕府が倒れた後、足利尊氏(あしかが たかうじ)が室町幕府を開きました。しかし、新しい幕府の方針がはっきりせず、混乱が続いていました。そこで、室町幕府は「建武式目」という政策の方針を示しました。

建武式目の特徴

  • 御成敗式目を参考にしつつ、武士の統制を強化した内容。
  • 土地の管理や相続ルールは御成敗式目とほぼ同じ。
  • 室町幕府の法律の基本として使われた。

つまり、室町時代になっても、御成敗式目の考え方はそのまま受け継がれ、武士社会のルールとして活用されていたのです。

戦国時代の「分国法」に影響を与えた御成敗式目

戦国時代に入ると、各地の戦国大名たちが自分の領地を治めるための法律を作るようになります。これを「分国法(ぶんこくほう)」といいます。

戦国大名の代表的な分国法としては、以下のようなものがあります。

  • 今川仮名目録(いまがわ かなもくろく) → 今川氏の法律
  • 甲州法度之次第(こうしゅう はっとの しだい) → 武田信玄の法律
  • 塵芥集(じんかいしゅう) → 伊達政宗の法律

これらの法律の多くが、御成敗式目をもとに作られています。特に、土地の裁判基準や相続ルールは御成敗式目の考えが強く反映されており、戦国大名たちはそれを参考にしていたのです。

江戸幕府の「武家諸法度」との違いとは?

江戸時代に入ると、幕府が全国を統一し、武士の行動を管理するために「武家諸法度(ぶけしょはっと)」という法律を作りました。しかし、御成敗式目とは大きな違いがあります。

法律名目的内容
御成敗式目武士のための法律武士同士の争い・相続・土地の管理など
武家諸法度幕府が大名を管理する法律大名の行動・城の修理制限・婚姻の管理

つまり、御成敗式目は「武士のルール」であり、武家諸法度は「幕府が大名を支配するためのルール」という違いがあります。

御成敗式目の影響はいつまで続いた?近代法との関係

御成敗式目は、江戸時代の終わり頃まで使われていました。特に、土地の裁判や相続ルールでは長く影響を与え続けました。

そして、明治時代になり、日本は西洋の法律を取り入れて「近代法」を作りました。しかし、その基本となる考え方には、御成敗式目の「先例を重視する判決」や「公平な裁判基準」の考えが受け継がれています。

テストに出る!御成敗式目の重要ポイントまとめ

  • 制定者:北条泰時(1232年)
  • 内容のポイント
    • 守護の仕事:「大犯三箇条(謀反・殺人・京都警護)」
    • 土地のルール:「知行年紀法(20年で時効)」
    • 相続のルール:「悔返し権(親が土地を取り戻せる)」
  • 影響のポイント
    • 室町時代:「建武式目」に影響
    • 戦国時代:「分国法」のもとになった
    • 江戸時代:「武家諸法度」との違いをおさえる

総括:御成敗式目の内容をわかりやすく解説まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

1. 御成敗式目とは?

  • 1232年(貞永元年)に鎌倉幕府3代執権・北条泰時によって制定された武士のための法律。
  • それまでの公家向けの法律(律令)とは異なり、武士社会に合った実用的なルールをまとめた。
  • 51か条 からなり、武士の生活・土地の管理・裁判のルールなどを定めた。

2. 御成敗式目が作られた理由

  1. 承久の乱(1221年)後に幕府の支配が全国に拡大し、統治のルールが必要になった。
  2. 公家の法律(律令)が武士向けではなく、難しくて読めなかった。
  3. 武士の土地争いや裁判を円滑に進めるため、武士社会に合った法律を制定する必要があった。

3. 御成敗式目の主な内容(重要5項目)

  1. 守護の職務(大犯三箇条)
    • 謀反の取り締まり
    • 殺人事件の取り締まり
    • 京都の警備
  2. 土地所有のルール(知行年紀法)
    • 20年以上所有した土地は、その人のものとする(時効制度)。
  3. 相続のルール(悔返し権)
    • 親が子に譲った土地を、一定の条件下で取り戻せる。
  4. 裁判の基準(証拠重視)
    • 証拠がないと訴えが認められない。
  5. 神仏を大切にする規定
    • 神社や寺を保護し、祭りを大切にする。

4. 御成敗式目の適用範囲

  • 武士(御家人)限定の法律 であり、農民・商人には適用されなかった。
  • 公家の法律(律令)荘園領主の法律(本所法) とは別の武士専用ルール。
  • 時代とともに影響を広げ、全国的な法律の基盤となった。

5. 語呂合わせで覚える御成敗式目

  1. 制定年(1232年) → 「1(い)2(つ)3(み)2(に)」
  2. 守護の仕事(大犯三箇条) → 「守(し)謀(ぼう)殺(さつ)」
  3. 土地のルール(知行年紀法) → 「土地は20年で時効」
  4. 相続のルール(悔返し権) → 「悔しいから取り返す」
  5. 条文の数(51か条) → 「51か条 → 武士(ぶし)1番!」

6. 御成敗式目が後の時代に与えた影響

  1. 室町時代(建武式目)
    • 室町幕府(足利尊氏)が御成敗式目を基礎に新しい政治方針を制定。
  2. 戦国時代(分国法)
    • 戦国大名が領国の法律 (今川仮名目録・甲州法度之次第など) を作る際に参考にした。
  3. 江戸時代(武家諸法度との違い)
    • 御成敗式目:武士のための法律
    • 武家諸法度:幕府が大名を管理する法律
  4. 近代法への影響
    • 明治時代まで土地裁判の基準として使われた。
    • 「先例を重視する判決」や「公平な裁判基準」の考え方が近代法に受け継がれた。

7. テストに出る!御成敗式目の重要ポイント

  • 制定者:北条泰時(1232年)
  • 重要な内容
    • 守護の仕事(大犯三箇条)
    • 土地のルール(知行年紀法)
    • 相続のルール(悔返し権)
  • 影響
    • 室町時代(建武式目)
    • 戦国時代(分国法)
    • 江戸時代(武家諸法度)との違い