今回は「米騒動(こめそうどう)」について、子どもでも分かりやすく説明していきます。
「米騒動って何?」「なぜ起きたの?」
「誰が米を買い占めたの?」
そんな疑問に全部こたえる内容です!
この事件は、学校のテストでもよく出てくるだけでなく、日本の政治を大きく動かした大事件でもあります。では、一緒に学んでいきましょう!
※AmazonのKindle Unlimitedは月額980円ですが、3ヶ月無料期間があります。その間、読み放題対象の電子書籍は全部無料。途中で解約ももちろん自由。そのため、電子書籍が実質0円で読めます。以下に、歴史の語呂合わせに関連する無料書籍を載せておきます。
↓実質無料で読めるおすすめ歴史の読み物↓


米騒動をわかりやすく解説!原因や買い占めた人・流れ
米騒動は、1918年に日本全国で発生した大規模な騒動です。この事件は、単に米が高くなったから起きたものではなく、政治的・社会的な背景が複雑に絡み合っています。ここでは、その原因や流れ、誰が買い占めたのかについて、わかりやすく解説していきます。
米騒動とは?1918年に起きた日本全国を巻き込む大事件
「米騒動」とは、1918年(大正7年)に日本全国で起きた大きな騒動のことです。この年、人々はお米の値段が急に上がってしまって、ごはんを食べるのも大変な状況になりました。特に苦しんだのは、日々の生活に余裕がないふつうの人たちです。お金持ちは問題なくても、主婦や労働者たちは困り果ててしまいました。
この状況に対して、「なんとかしてほしい!」と声をあげたのが始まりです。最初は富山県の主婦たちが動きましたが、それが全国に広がり、最終的には暴動(ぼうどう)にまで発展していきました。
全国で2万人以上が逮捕され、軍隊まで出動する大ごとになったのです。
原因は?米の価格高騰とシベリア出兵が引き金に
米騒動が起きた一番の理由は、「お米の値段がどんどん高くなったこと」です。第一次世界大戦(1914年~1918年)の影響で、物の値段が全体的に上がっていました。特にお米の値段は、たった半年で2倍以上になったともいわれています。
さらに、1918年に「シベリア出兵(しゅっぺい)」という出来事がありました。これは、日本がロシアの内戦に介入するために、軍隊をシベリアに送ることを決めた事件です。このニュースを聞いた商人たちは、「戦争で米がたくさん必要になる」と考え、お米を買い占めて値段をつり上げたのです。
つまり、戦争による物価の高騰と、それを利用してもうけようとした人たちが原因となって、国民の怒りが爆発したのが米騒動だったのです。
米を買い占めたのは誰?地主や商人・企業が関与
では、いったい誰が米を買い占めたのでしょうか?
答えは、地主(じぬし)や米商人(こめしょうにん)、そして一部の大きな企業です。
当時の日本では、農地を持たない人たちが地主から土地を借りてお米を作る「小作(こさく)」という仕組みが多くありました。地主はお米を安く買い取り、それを高く売ることで大きな利益を得ていたのです。
また、都市にある米問屋(こめどんや)や商人たちも、お米を市場に出さずにためこみ、値段が上がるのを待って売るという行動を取りました。
特に有名なのが「鈴木商店(すずきしょうてん)」という会社です。ここは大量の米を保管していたことで、新聞などで大きく批判され、ついには焼き打ちに遭うという事件まで起きました。
始まりはどこ?富山の主婦たちの行動が全国へ広がる
米騒動の発端は、富山県の漁村(今の魚津市)といわれています。1918年7月、主婦たちが港に集まり、輸送船に積まれていたお米の出荷を止めるよう求めたのです。自分たちの地域の米が、県外に送られてしまうことに危機感を覚えたからです。
はじめは少人数の抗議でしたが、次第に仲間が増え、役場や米問屋に押しかけるようになりました。この動きが新聞で取り上げられ、他の地域にもどんどん広がっていきました。
なお、発祥の地については、魚津市以外にも富山市や滑川市(なめりかわし)、さらには兵庫県だという説もあり、今でもはっきりとは分かっていません。ただし、「富山の主婦たち」が動いたことが全国の人たちの心を動かしたのは間違いありません。
どうやって全国に広がった?新聞の報道と人々の不満が爆発
米騒動は、どうして富山から全国にまで広がったのでしょうか?
その理由のひとつが、当時の「新聞の報道力」です。インターネットもテレビもない時代、新聞こそが人々の情報源でした。富山での出来事が新聞に大きく報じられたことで、「うちの町も動こう!」と考える人が続出しました。
そしてもう一つの理由は、多くの人々が生活に困っていたことです。
労働者や農民たちが物価の上昇に不満を持ち、「自分たちも声をあげよう」と立ち上がったのです。東京の日比谷公園や、京都、名古屋などの都市でも暴動が発生し、米問屋が襲撃される事態にまで発展しました。
このようにして、米騒動は一地方の動きから、全国規模の社会運動へと発展したのです。
米騒動をわかりやすく!他の騒動との違いも合わせて解説
さて、米騒動は単なる「お米の値段が上がった騒ぎ」ではありませんでした。
この出来事は、当時の政治や社会に大きな変化をもたらし、また他の歴史的な事件と比較することでその特徴がよく分かります。ここではその影響と、他の出来事との違いについて詳しく見ていきましょう。
米騒動の影響とは?政党内閣の誕生と政治の大きな転換点に
米騒動が社会にもたらした最大の影響は、なんといっても「政治の変化」です。当時の総理大臣だった寺内正毅(てらうちまさたけ)は、騒動にうまく対応できず、人々の怒りの的になってしまいました。最終的に、彼の内閣は国民の声に押されて退陣しました。
その後に誕生したのが、原敬(はらたかし)による「原内閣」です。原敬は、爵位(しゃくい)を持たない初めての「平民出身の首相」であり、政党を基盤にした「政党内閣」でした。
この流れは「大正デモクラシー」と呼ばれる時代の始まりであり、国民の声が政治に大きく影響するようになった記念すべき一歩でした。
打ちこわしの違いは?目的と時代背景を比較しよう
米騒動とよく似た歴史用語に「打ちこわし(うちこわし)」がありますが、これらは別の出来事です。
打ちこわしは主に江戸時代に起きたもので、米や物の値段が急に上がったときに、怒った人々が商人の家などを壊す行動でした。一方、米騒動は大正時代に起きたもので、最初は平和的な訴えから始まり、しだいに全国的な暴動に広がったという違いがあります。
また、打ちこわしは都市部が中心だったのに対し、米騒動は富山県の漁村という地方から始まった点も大きな違いです。どちらも「民衆の怒り」が爆発したという点では同じですが、米騒動は近代の政治や社会に直接つながる大事件だったのです。
百姓一揆の違いは?農民の反発と都市の暴動を比較
もう一つよく混同されるのが「百姓一揆(ひゃくしょういっき)」です。これは江戸時代に農民たちが年貢(ねんぐ)の減免などを求めて起こした行動です。
百姓一揆の中心は農村で、主にお殿様や村役人に対して不満をぶつけるものでした。一方、米騒動は都市や港町などでも起き、市民や労働者、主婦たちも多く参加しています。
さらに百姓一揆では「嘆願(たんがん)」といって、お願いする形での運動も多かったのに対し、米騒動は暴力をともなう抗議が多く、警察や軍隊が出動するような大規模な騒動になりました。
このように、時代・場所・対象・方法のすべてにおいて違いがあり、それぞれの歴史的背景を理解することが大切です。
平成の米騒動の違いは?1993年の冷夏と米不足の記憶
「平成の米騒動」という言葉を聞いたことがありますか?
これは1993年(平成5年)に日本で起きた出来事です。この年、日本は冷夏と長雨によりお米の収穫が大きく減りました。その結果、スーパーからお米が消え、人々が買い占めに走るなど、社会が少し混乱したのです。
ただし、平成の米騒動には暴動や政治の変化はありませんでした。国はタイやアメリカなどからお米を緊急輸入し、なんとか食料危機を乗り越えました。
つまり、同じ「米騒動」と呼ばれていても、1918年の米騒動は社会運動・政治運動であり、平成の米騒動は天候による一時的なパニックだったという違いがあるのです。
テストに出るポイント
米騒動は中学校や高校のテストにとてもよく出てきます。
なぜなら、この出来事は「大正デモクラシー」とよばれる時代の始まりを告げる、歴史的にとても重要な事件だからです。
特に覚えておきたいポイントは以下のとおりです。
- 起きた年は1918年(大正7年)
- 発端は富山県の主婦たちの行動
- 原因は米価の高騰とシベリア出兵
- 鈴木商店の焼き討ち事件が象徴的
- 寺内内閣が倒れ、原敬による政党内閣が誕生
このように、米騒動は社会の不満が大きくなったことを象徴する事件であり、それに国がどう反応したかが試される「現代日本のはじまり」を学ぶうえで重要なテーマなのです。
総括:米騒動をわかりやすく解説まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 米騒動は1918年(大正7年)に起きた全国的な暴動である
- 原因は米の価格高騰とシベリア出兵による買い占め
- 米を買い占めたのは地主・米商人・鈴木商店などの企業
- 発端は富山県の主婦たちの抗議行動(魚津市が有力)
- 新聞報道と人々の生活苦によって全国に拡大した
- 騒動をきっかけに寺内内閣が退陣し、原敬による政党内閣が誕生
- 江戸時代の「打ちこわし」や「百姓一揆」とは目的・方法・背景が異なる
- 平成の米騒動(1993年)は冷夏による米不足が原因で、暴動は起きなかった
- 米騒動は「大正デモクラシー」の始まりとして、学校のテストにもよく出る重要事件