今回は「南北問題ってなに?なんか難しそう…」というあなたのの疑問に答えていきます。
「南北問題」と聞くと、北と南がケンカしてるの?なんて思うかもしれませんが、そうではありません。これは世界の「お金持ちな国」と「そうでない国」との間にある大きな問題なんです。
この授業では、南北問題の意味や原因、どうして起きたのか、そして最近はどうなっているのかまで、スッキリ分かりやすく解説していきます!
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南北問題とは何か簡単に!意味・原因・歴史をわかりやすく
「南北問題って結局なに?」という疑問を持っているあなた。ここでは南北問題の意味や、いつ・なぜ起きたのか、その原因と歴史を分かりやすく説明します!
南北問題とは:先進国と途上国の格差問題
南北問題とは、簡単に言うと「先進国と開発途上国の経済的な格差問題」のことです。
地球をざっくり見ると、経済的に豊かで工業が発展した国(先進国)は北半球に多くあります。たとえばアメリカ、イギリス、日本、ドイツなどです。一方で、経済的に発展が遅れていて、農業中心の国(開発途上国)は南半球に多いのです。たとえばアフリカや南アジア、中南米の国々ですね。
このように、世界を「北(お金持ち)」と「南(まだ発展中)」に分けて、その間にある貧富の差や問題を「南北問題」と呼んでいます。ちなみに、英語では「North–South divide(ノース・サウス・ディバイド)」といいます。
この問題は、お金だけでなく、教育、医療、食料、水など、生活に関わるすべての面で大きな差があるのが特徴です。
歴史はいつから?東西問題からの転換点
南北問題が注目されるようになったのは1960年代からです。それまでは、世界では「東西問題」が大きな話題でした。
東西問題というのは、アメリカなどの資本主義国(西側)と、ソ連などの社会主義国(東側)が対立していた冷戦時代の話です。でも1960年代になると、アフリカやアジアの国々が次々と独立し、「第三世界」と呼ばれる発展途上国が増えてきました。
その頃から、ただの東西の対立ではなく、「豊かな国(北)と、まだ発展していない国(南)」の格差が世界的な問題として意識され始めたんです。
1964年には国連貿易開発会議(UNCTAD)が創設され、途上国の経済支援が本格的に議論されるようになります。そしてこの時期に、「南北問題」という言葉も広く使われるようになったのです。
原因は?植民地主義・モノカルチャー経済・貿易の不平等
では、なぜ南北問題が生まれたのでしょうか?その大きな原因のひとつが「植民地主義」です。
かつてヨーロッパの国々は、アジアやアフリカの多くの国を「植民地」として支配していました。彼らは、現地の人たちにサトウキビ、綿花、ゴムなどを作らせ、それを安く買い取って、自国で高く売るというやり方をしていました。
この「特定のものだけを大量に生産する」経済の仕組みを「モノカルチャー経済」といいます。モノカルチャー経済では、天候や価格の変動に大きく左右されるため、とても不安定です。
さらに、今も続く貿易ルールの多くは先進国に有利な内容になっていて、途上国はなかなか利益を得られません。こうしたことが重なって、貧しい国は貧しいまま、豊かな国はもっと豊かになっていったのです。
「南南問題」も簡単に!資源国と非資源国の格差
南北問題だけではなく、近年は「南南問題(なんなんもんだい)」という言葉もよく出てきます。
これは、発展途上国の中でも、さらに経済格差が広がっていることを指します。たとえば、天然資源に恵まれたサウジアラビアやブラジルのような国は、お金持ちの途上国です。一方、ブルンジのような国は資源も少なく、非常に貧しいままです。
また、韓国や台湾、シンガポールなどは「新興工業経済地域(NIES)」と呼ばれ、急速に工業化に成功しました。でも、アフリカの多くの国々は工業化が進まず、今も経済的に苦しい状況が続いています。
このように、同じ南の国々でも経済的な格差が大きくなっているのが「南南問題」なんです。
南北問題に関するテストの頻出ポイント
テスト対策として「ここは覚えておこう!」というポイントをまとめておきます。
- 南北問題が注目されたのは【1960年代】
- アフリカ諸国の独立が進み、途上国(第三世界)が国際社会に登場
- 【UNCTAD(国連貿易開発会議)】は1964年に創設
- 【G77】は発展途上国77カ国によるグループ。UNCTADで結成された
- 「国連開発の10年(Development Decade)」という取り組みが1960年代から始まり、貧困解決が大きな目標だった
こういった年号や略語は、歴史や公民のテストでよく出るので、しっかり覚えておきましょう!
南北問題とは何か簡単に:現状と解決策
さて、ここからは「じゃあ、南北問題って今どうなってるの?」「どうすれば解決できるの?」というあなたの疑問に答えていきます。
さらに、日本や国際社会がどんな取り組みをしているのか、そして、わたしたち一人ひとりにできることまで、しっかり解説していくきます!
南北問題の現状:貧困・教育・医療などの格差が今も続く
結論から言うと、南北問題は今も続いています。
たとえば、1日1.9ドル(約300円)以下で生活している人は、世界に7億人以上もいるとされています。特にアフリカのサブサハラ地域や南アジアの一部では、貧困率がとても高いです。
また、教育の面でも大きな差があります。たとえば、ユニセフの調査によると、後発開発途上国の女子の識字率は50%台。日本では99%以上なので、その差は歴然です。
医療も同じで、病院が少なく、医師も不足している国では、簡単な病気で命を落とすこともあります。こうした「貧困」「教育」「医療」の格差は、まさに南北問題が今も続いている証拠です。
南北問題の解決策は?
では、どうすればこの問題は解決できるのでしょうか?
ひとつは、インフラ整備です。電気、水道、道路、学校、病院など、基本的な生活を支える仕組みを整えることで、暮らしが大きく改善されます。
次に大事なのがフェアトレード(公正な貿易)。安く買い叩くのではなく、作った人がちゃんと収入を得られる仕組みを作ることです。
例えば、フェアトレードのコーヒーやチョコレートを選ぶことで、途上国の生産者を直接支援できます。
そして、技術協力も重要です。先進国の知識やノウハウを共有することで、途上国も自立した発展ができるようになります。
ただ「お金を渡す」だけではなく、「自分たちで豊かになれる力」を育てることが大切なんですね。
SDGsと南北問題の関係
最近よく耳にする「SDGs(エスディージーズ)」という言葉、キミも聞いたことがあるんじゃないかな?これは「持続可能な開発目標」といって、国連が定めた17個の世界共通の目標のことです。
この中でも南北問題に深く関係しているのが、目標10「人や国の不平等をなくそう」と、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」です。
たとえば目標10では、貧しい国がちゃんと世界貿易でチャンスを得られるようにしよう、と呼びかけています。目標17では、先進国と途上国が協力して課題に取り組むことが大切だとされています。
つまりSDGsは、南北問題の“新しい答え”を考えるためのヒントとも言えるんです。
日本の取り組みは?ODAやJICAによる支援の実例
日本も、南北問題の解決に向けていろいろな取り組みをしています。その代表が**ODA(政府開発援助)**です。
たとえば、JICA(ジャイカ:国際協力機構)という団体は、アジアやアフリカの国々で「水道を整備する」「学校を建てる」「お母さんと赤ちゃんの健康を守る」など、たくさんの支援をしています。
また、日本は青年海外協力隊という制度で、若い人たちが現地に行って教育や医療をサポートする活動も行っています。
こうした支援は、「助けてあげる」ではなく、「一緒に成長する」という考え方に基づいているのがポイントです。
最近では、アジア太平洋やアフリカ、太平洋の島国との国際会議も開いて、地域全体の発展を目指しています。
フェアトレードやNGO支援
「自分には関係ないよね」と思ったあなた!じつは、わたしたちにもできることがたくさんあるんです。
たとえば、フェアトレードの商品を選んで買うこと。チョコレートやコーヒーなど、実は身近にフェアトレード商品は増えてきています。
また、NGOやNPOに寄付をしたり、ボランティアに参加したりすることもできます。JICAの「海外協力隊」や、国際NGO「ワールド・ビジョン」「プラン・インターナショナル」などが有名ですね。
もっと身近なことでは、無駄な買い物をしないことも大事です。ファストファッションをたくさん買うことで、途上国の過酷な労働に加担している可能性もあるからです。
「買う」「学ぶ」「伝える」
この3つを意識するだけで、キミも南北問題の解決に参加できるんです。
総括:南北問題とは何か簡単に解説まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 南北問題とは:先進国(北)と途上国(南)の経済格差を指す国際問題。グローバル・ノースとグローバル・サウスとも呼ばれる。
- 起源と歴史:1960年代、植民地から独立した国々が経済的に遅れをとったことで注目され、「東西問題」から「南北問題」へと関心が移った。
- 原因:
- 植民地主義とモノカルチャー経済
- 不平等な貿易構造
- 資源搾取と汚職
- 教育・インフラの不足
- 国際ルールの偏り
- 関連用語「南南問題」:途上国同士でも、資源国と非資源国の間で格差が拡大している現象。
- テストに出るポイント:
- 「国連開発の10年」「UNCTAD」「G77」などの用語や年代が重要。
- 現状:
- 今でも貧困、教育、医療などの格差は続いており、1日1.9ドル以下で暮らす人々が多数存在。
- 解決策:
- インフラ支援、公正な貿易、技術移転、質の高い教育支援などが鍵。
- 国際社会ではSDGs(持続可能な開発目標)を通じた協力が進行中。
- 日本の取り組み:
- 政府開発援助(ODA)、JICAの技術協力、青年海外協力隊の派遣などで積極支援。
- 私たちができること:
- フェアトレード商品を選ぶ、NGOや支援団体を応援するなど、日常から格差是正に参加できる。