奈良時代の食事ってどんなものだったか知っていますか?

「貴族は豪華な食事を楽しんでいたけれど、庶民は質素なご飯を食べていた」というのはよく聞く話ですが、実際にはどんな食材が使われ、どれくらいのカロリーを摂っていたのでしょうか?

また、奈良時代には「肉食禁止令」という法律があったのですが、本当に誰もお肉を食べなかったのでしょうか?

今回は、奈良時代の食生活について、塾長がわかりやすく解説していきます!

奈良時代の食事とは?貴族と庶民の食生活の違い

奈良時代(710年~794年)は、日本に仏教が広まり、文化が大きく発展した時代です。食文化も変化し、「肉食禁止令」や「調味料の発展」など、現代の日本の食生活にも影響を与えた要素がたくさんあります。

当時の食事は身分によって大きく異なり、貴族は華やかな食事を楽しんでいましたが、庶民は厳しい食生活を送っていました。ここでは、その違いを詳しく見ていきましょう!

奈良時代の食事の基本:一日二食・一汁一菜

奈良時代の人々は 「一日二食」 が基本でした。現代のように朝・昼・夜と3回食べるのではなく、朝食(朝餉・あさげ)と夕食(夕餉・ゆうげ)の 2回だけ でした。これは、当時の人々が早寝早起きの生活をしており、昼食をとる習慣がなかったからです。

また、食事のスタイルは 「一汁一菜(いちじゅういっさい)」 という形が一般的でした。これは、ご飯(主食)と汁物(味噌汁のようなもの)、そしておかず(副菜)が1種類だけというシンプルな食事のことです。

現代のように何品もおかずが並ぶことはありませんでした。

貴族の食事は豪華!白米や乳製品、珍しい食材を使用

奈良時代の貴族の食事は、非常に豪華でした。まず、貴族は「白米」を食べていました。庶民は玄米や雑穀を食べていましたが、貴族は玄米のヌカや胚芽を取り除き、真っ白なご飯を食べることができました。

さらに、牛乳を煮詰めて作る「蘇(そ)」という乳製品や、チーズのような「醍醐(だいご)」なども食べられていました。

また、貴族の食卓には全国から集められた豪華な食材が並んでいました。例えば、干物(ひもの)、貝類、果物(柿・梨・桃など)、甘味(ちまき・団子) などが食べられていたことがわかっています。

特に宴会の場では 「台盤料理(だいばんりょうり)」 と呼ばれる豪華な食事が提供され、全国の珍しい食材がふんだんに使われていました。

庶民の食事は雑穀中心!カロリー不足で栄養問題も

一方で、庶民の食事はとても質素でした。貴族が白米を食べていたのに対し、庶民の主食は「玄米や雑穀(粟・稗・麦など)」でした。白米はとても高価であり、庶民はほとんど食べることができなかったのです。

おかずは野菜や海藻、味噌汁などが中心で、基本的に動物性タンパク質は少なめでした。そのため、庶民のカロリー摂取量は1000kcal以下とされており、農作業などの重労働をするには十分とは言えない状態でした。

特に冬場は食料が不足し、飢えに苦しむ人々も多かったと考えられています。

仏教の影響で肉食禁止!でも裏で食べられていた?

奈良時代には「肉食禁止令」という法律がありました。これは、仏教の「殺生を避ける」という教えに基づいて「牛・馬・犬・猿・鶏」の5種類の動物の肉を食べることを禁止したものです。

しかし、この法律には「鹿や猪、ウサギ」などの肉を禁止する記載はなかったため、実際には庶民が狩猟をして食べていた可能性が高いとされています。

また、貴族たちも完全に肉を避けていたわけではありません。貴族の間では「鹿肉の塩辛(醢・ししびしお)」という料理が食べられていたことが分かっています。

つまり、「表向きは肉食禁止だったけれど、実際には食べられていた」というのが実態だったのです。

奈良時代の調理方法と食器の特徴

奈良時代の料理は「蒸す・煮る・焼く」というシンプルな調理方法が中心でした。庶民の家では、地面に穴を掘ってカマド(かまど)を作り、そこでご飯を炊いたり、汁物を作ったりしていました。

また、食器も身分によって違いがありました。庶民は「木製の器や素焼きの土器」を使っていましたが、貴族は「漆塗りの器や銀器」を使っていました。

さらに、貴族の間では「箸」が使われていましたが、庶民はスプーンのような「ヘラ」や木の枝を使って食事をしていたと考えられています。

奈良時代の食事:食材とカロリー事情を徹底解説

奈良時代の食事は、どのような食材を使っていたのでしょうか?また、貴族と庶民で摂取していたカロリーにどれくらいの差があったのでしょうか?

ここでは、当時の主要な食材や栄養価を詳しく見ていきましょう!

奈良時代の主食は「雑穀と白米」!貴族と庶民の違い

奈良時代の人々の主食は「米」でしたが、その種類には大きな違いがありました。貴族は「白米」を食べることができましたが、庶民は「玄米や雑穀(粟・稗・麦)」を主に食べていました。

白米は高価で、一般の農民は税として収める必要があったため、日常的に食べることはほぼ不可能だったのです。

庶民の主食(カロリー)

庶民の食事の中心は「玄米や雑穀」で、カロリーは1食あたり約400kcal、1日2食で800~1000kcalほどでした。これは現代の成人男性(約2000~2500kcal)と比べるとかなり少なく、日々の労働には十分なエネルギーとは言えませんでした。

貴族の主食(カロリー)

貴族の食事は「白米」を中心にし、さらに乳製品や果物、お菓子なども食べていました。そのため、カロリー摂取量は庶民よりも多く、1食600~800kcal、1日で1200~1600kcalほどと推定されています。

しかし、ビタミンB1が不足しやすく、貴族の間では脚気(かっけ)という病気が広がっていました。

奈良時代のタンパク源!魚・大豆・乳製品

奈良時代は「肉食禁止令」が出されていたため、貴族も庶民も肉の代わりに他の食材からタンパク質を摂取していました。

① 魚介類

奈良時代の貴族や庶民にとって、魚介類は重要なタンパク源でした。川や海が近い地域ではアユ、フナ、ウナギ、シジミ、アワビなどが食べられていました。ただし、魚を手に入れるのは容易ではなく、特に庶民にとっては貴重なものでした。

② 大豆食品

魚を手に入れにくい庶民は、大豆を使った食品をよく食べていました。奈良時代にはすでに味噌や醤(ひしお:醤油の原型)などが使われており、これらを汁物の調味料として活用していました。

③ 乳製品(貴族向け)

貴族の間では、牛乳を煮詰めて作る「蘇(そ)」や、チーズのような「醍醐(だいご)」などの乳製品が人気でした。これらは、タンパク質と脂肪を多く含み、貴族の健康維持に役立っていました。

奈良時代の野菜と果物!貴族は贅沢、庶民は自給自足

奈良時代には、野菜や果物も貴重な食材でした。しかし、これらの食材も 貴族と庶民で食べられるものが異なりました。

貴族の野菜・果物

貴族の食事には、当時の都(平城京)に全国から運ばれた珍しい野菜や果物が並びました。例えば、瓜、ナス、ネギ、ショウガ、柿、桃、梨などが食卓に並びました。また、砂糖がなかったため、果物を自然な甘味として楽しんでいました。

庶民の野菜・果物

庶民は自分たちで栽培できる野菜や、山菜を採取して食べていました。例えば、大根、カブ、山芋、ワラビ、ヨモギなどがよく食べられていました。果物は自生しているものを採って食べる程度だったため、貴族のように豪華なものは食べられませんでした。

奈良時代の調味料と味付け!シンプルな味が基本

奈良時代の調味料はとてもシンプルでした。現在のように砂糖や味噌、醤油が発達していなかったため、基本的には塩や酢を使った味付けでした。

① 塩
最も一般的な調味料はでした。海水を煮詰めて作られ、魚や野菜の味付けに使われました。

② 酢
奈良時代には、すでに酢が使われていました。果実から作った酢を料理に加えることで、味を引き締める役割を果たしていました。

③ 醤(ひしお)
これは味噌や醤油の原型で、奈良時代には魚や豆を発酵させたものが使われていました。これが後の時代に発展し、現代の味噌や醤油になっていきます。

④ 酒
奈良時代には、すでにお酒(日本酒に近いもの)が作られていました。貴族は宴会の席で楽しんでいましたが、庶民は特別な日しか飲めませんでした。

奈良時代のカロリー事情!栄養不足と病気の関係

奈良時代の食事は栄養バランスが偏っていたため、病気になる人も多かったと考えられています。

① 貴族の病気:脚気(かっけ)

貴族は白米中心の食事をしていたため、ビタミンB1が不足し、脚気(足がむくんで動けなくなる病気)になる人が多かったと言われています。

② 庶民の病気:栄養不足による体調不良

庶民はカロリーが足りず、栄養不足になりがちでした。冬場は特に食糧が不足し、痩せてしまう人が多かったようです。

総括:奈良時代の食事を簡単に解説まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

奈良時代の食生活の基本

  • 食事は 一日二食(一汁一菜) が基本
  • 朝食(朝餉)と夕食(夕餉)の2回
  • 現代のようにおかずが多くない、シンプルな食事

貴族の食事

  • 白米 を食べられる特権階級
  • 乳製品(蘇・醍醐) を楽しむ
  • 全国の特産品(果物・干物・菓子) を取り寄せていた
  • 宴会では「台盤料理」 と呼ばれる豪華な食事を提供

庶民の食事

  • 玄米や雑穀(粟・稗・麦) が主食
  • 野菜・海藻・味噌汁が中心 の質素な食事
  • カロリーは 1日1000kcal以下 で、農作業には不足気味
  • 冬場は 食糧不足 に悩まされる

奈良時代の肉食事情

  • 「肉食禁止令」 により、牛・馬・犬・猿・鶏の肉は禁止
  • しかし 鹿・猪・ウサギなどは食べられていた
  • 貴族も鹿肉の塩辛(醢)を食べていた

奈良時代の調理法と食器

  • 調理法は「蒸す・煮る・焼く」が基本
  • 庶民は土器や木製の器、貴族は漆器や銀器を使用
  • 箸は貴族のみ、庶民はヘラや枝を使っていた

奈良時代のカロリーと栄養問題

  • 貴族は白米中心でビタミンB1不足 → 脚気(かっけ)
  • 庶民は栄養不足で体力低下や飢えに苦しむ

奈良時代の調味料

  • 塩・酢・醤(ひしお) が基本
  • 味噌・醤油の原型がすでに存在
  • 酒は貴族の宴会で楽しまれるが、庶民は特別な日だけ