公立高校か私立高校かどちらに進学するか悩む人も多いです。そんな中、私立高校を考える人に刺さるキャッチコピーがあります。
「ウチの学校に通えば手厚いサポートをします。塾はいらないのでお得です。」
私立高校お得意の”塾不要論”です。
保護者からすれば、公立高校に通って塾に行かすのと、私立高校に行って塾不要ことを比較して、私立高校を選びたくなりませんか?
しかし、この考え方はあまりに安直すぎます。そして、マジで痛い目見ることになるリスクがてんこ盛りだとご理解していますか?
実際問題、私立高校に通学して塾にも通っている生徒なんて山程います。
お金の面で私立の方がプラスかな?と思って進学を決めたのに、蓋を開けたら最も割高な選択だった…と言う笑えない話です。
本記事では、「私立高校に通えば塾がいらない」の真実をお伝えします。
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私立高校に通えば塾いらないは大嘘!塾通いの現実
私立高校の「私立なら塾がいらないからお得!」は本当なのでしょうか?
まずは、実際の現実をデータや生の高校生の声などを参考にしながら検証してみましょう。
私立高校に通学している人の「40%」は塾通い
まず最初に、実際問題どーなのかを検証します。
結論、「私立高校に通学している人の40%は塾通いしている」です。文部科学省「令和3年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要:表8-2 学習塾費の金額分布」のデータによるものです。
このデータを表にまとめるとこんな感じです。※うまくまとめていたサイトがあったので、引用させていただきます。

引用:【大学受験】高校生の塾費用はいくら?出費を抑えて難関大学に合格する方法
このデータによれば、非大卒も含めて私立高校の学生が38%も塾を利用していることが読み取れます。
なお、高校生の塾通いの割合って私立公立関係なく大体40%程度です。
つまり、平均的な高校生の塾通い率と、私立高校に通う子の塾通い率はほとんど同じです。結局、塾が必要な人は塾に行っているだけです。
要するに、塾が必要な受験生は、公立だろうと私立だろうと塾に行く。じゃあ、何かと安い公立の方がコスパ良くない?って話になるのです。
塾通い40%の数値を甘く見ないこと
保護者の中には、「40%」という数値を見て、ピンと来ていない人も多いです。
だって、40%ってそんなに多くないイメージじゃないですか?60%は塾に行かないなら、半分以上はやっぱり塾なしってことなので。
ただ、このデータは「非大卒」も全て含んでいるんですよ。
そもそも、名のある大学(※Fランは含まない)への進学率を見れば、概ね30%〜40%ぐらいのものです。昨今の大学進学率が高いのは、Fラン進学者が多いからです。
そう考えると、高校生の中の60%ぐらいはそもそも塾がいらないってことです。高卒で就職する場合、専門学校に行く場合などはそもそも塾不要です。Fランに進学する子もそうです。(塾通いしてもFランしか受からないと言うケースもあるが。)
つまり、それなりに名のある大学に進学することを考えるなら、基本的に塾を利用しないと受からないことがデータからはある程度推測できます。
超難関私立高校の生徒ですら塾通いをしている現実
私立高校を検討するご家庭には、高偏差値の私学を考える人もいます。
確かにレベルの高い学校であれば、進学実績なども見て本当に塾なしでもなんとかなりそうな感じもします。
しかし、名のある名門私立高校の生徒ですら、やっぱり塾通いをしているのが現実です。例えば、関西難関私立「西大和学園」の生徒が、Youtubeの動画で「実際はみんな塾に行っている」と公言していました。

このレベルの学校の天才たちですら、普通に塾通いをしています。
レベルが高い大学を受けるからと言うのもありますが、逆に言えば難関大受験において塾なしはかなり厳しいと言うこと。
これが大学受験のリアルです。
中堅私立高校で”塾なし”なんてFランルートまっしぐら
私立の中でも高偏差値の学校なら、ワンチャン塾なしでも難関大学への進学は可能です。この層は、そもそも地頭がいい上に、自己解決能力が高い秀才ですからね。
しかし、偏差値50〜60ぐらいの中堅私立高校に通う生徒が一番危険。
そもそもこの層って、高校偏差値よりも実際の学力偏差値が下の子が多い。私立専願などで受かった子もいて、学力がなくても合格できてしまうのが私立高校入試だからです。
しかも、このレベルの偏差値だと、中学校の内容だって全く完璧じゃない。中学レベルの英単語が読めない・書けないなんて当たり前の子達なのですから。
この層は、高校の内容なんてマジてついていけません。処理能力的にも、努力の基準値的にも、何もかもが高校レベルに追いついていません。だから、高一の最初から脱落します。
しかし、英語や数学のような積み上げ強化に関しては、途中でコケると残りの高校生活は全てコケます。学校の授業は完全にお通夜になります。
そこで塾に入れて学習し直させるしかなくなり、私立の学費と塾代のダブルパンチが家計を襲います。しかし、ここで手を打たないとFランまっしぐらですから、親も子供に課金し続けるしかなくなる。
地獄です…
私立高校に通えば塾いらない!に騙されて高校選びをしないために
私立高校に通えば塾がいらないから…
こんな理由で私立高校を選ぶことが、いかに危険な思考パターンかご理解いただけたでしょうか?
そもそも、塾代をベースに高校選びをしてしまうことがナンセンスです。
ここでは、金銭面も踏まえた上で、子供の性質を受け止めながらどうやって高校を決定すべきか自分なりの見解をお伝えします。
前提:一定のレベル以上の大学進学を考えるなら塾は必要
まず、子供の進路で一定のレベル以上の大学進学を考えるのであれば、「塾は必要」と考えておきましょう。
※自塾は高等部を作っていないので、ここで塾必要論を唱えても一銭の得にもなりません。なので、客観的なデータと本心で思っていることをお伝えしています。
こう考えた時、金銭面で比較したらやっぱり公立高校の方がコスパがいいと言う事実は揺らがないと思います。
私立高校無償化で、年収にもよりますが実質的に学費は無料になりました。しかし、設備費や入学金などは実費負担です。結局、3年単位で見れば私立の方が約100万円ぐらいは割高です。
だから、塾代を計算に入れると、公立と私立って結局トントン…と言うロジックがいかに危険か分かります。大学進学を前提とした進路で公立私立を比較するのであれば、金銭面ではどうしたって私立が割高であるという事実は揺らがないのです。
進高校に行くなら塾代も計算に入れておく
公立私立問わず、進学校に行かすと決めるなら、その時点で塾代も計算に入れておくべきです。
高校生の塾代は、1年間で「50万〜100万」程度が相場です。なので、3年間で「150万〜300万」程度は金銭負担があることになります。
もちろん、公立高校に行かす場合でもそれは同じです。
だから、一定以上の偏差値の高校を目指す以上、塾代負担は「かかるもの」と仮定して家計の戦略を練る必要があるわけです。
ここで将来の試算を間違うと、私立に行かせて家計がぶっ壊れるリスクがあります。
総括:私立高校に通えば塾いらないわけではない
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
私立高校の「塾不要論」は誤解が多い
- 私立高校の「塾いらない」というキャッチコピーに惑わされると、大きなリスクを抱える可能性がある。
私立高校の生徒の約40%が塾通い
- 文部科学省のデータによると、私立高校生の約40%が塾に通っている。
- 公立高校生と塾通い率はほぼ変わらない。
塾通い率を軽視するリスク
- 「40%は塾通い」と言う数字には、大学進学を目指さない生徒も含まれる。
- 一定以上の大学進学を考える場合、塾が必要な割合はさらに高い。
難関私立高校でも塾が必要
- 高偏差値の私立高校の生徒でも、塾に通って難関大学受験に備えるのが一般的。
- 塾なしでは難関大学への合格は難しい。
中堅私立高校では塾がほぼ必須
- 偏差値50〜60の中堅私立高校では、学力不足で授業についていけない生徒が多い。
- 英語や数学など積み上げ型科目で脱落すると、塾なしでの学習は困難になる。
私立高校の学費と塾代のダブル負担
- 私立高校の学費に加え、塾代も負担することになるケースが多い。
- 家計負担が大きくなり、計画を誤ると経済的リスクが高まる。
塾不要を前提に高校選びをしないこと
- 私立高校選びの際に、「塾がいらないからお得」と考えるのは危険。
- 金銭面での計画をしっかり立てることが重要。
進学校なら塾代を織り込んで計画を立てるべき
- 高校生の塾代は年間50万〜100万円が相場。
- 公立・私立問わず、進学を前提とした進路では塾代が必要な費用として発生する。
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