中3の二学期で成績が下がる・点数が落ちる…

こんな状況に直面し、受験のことがますます不安に感じる保護者様は多いです。特に、受験間近でいつもより勉強していたはずなのに成績が下がると、ますます落胆してしまうものです。

しかし、なぜ中3二学期に成績が下がる子が大勢いるのでしょうか?

本記事では、中3二学期で成績が下がる子の特徴&理由を解説します。その上で、点数が下がった際の対処法もお伝えします。

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中3の二学期で成績下がる子の特徴&理由まとめ

中3の二学期に成績が下がってしまう子には、どのような特徴があるのでしょうか?また、頑張っているのに下がってしまう理由には何があるのでしょうか?

ここでは、実際に塾を経営して中3生を指導している現役塾長の本音を書いていきます。現場で感じていることなので、コタツ記事よりもよほど参考になると思います。

【現実】中3二学期は子供の地頭が最も試される時期

まず最初に、少し残酷なことを言います。

・こんなこと言うべきではない
・塾として指導放棄している

などと批判を受ける可能性もありますが、それは重々承知の上で、それでも現実としてそうだよね…って話をオブラートに包まずに正直にお伝えします。

まず、中3二学期のテストは、相当数本人の地頭の良し悪しの影響を受けてしまうものです

そもそも中3二学期は、どの教科も基礎的な難易度が高いです。

英語では最難関文法の「関係代名詞」が範囲で、数学は「二次関数」「相似」「円周角」といった最後の総まとめのような単元が入ります。理科も受験生が最も苦手とする「天体」が入ることも多いです。

これらの単元は、基礎内容や概念の理解にそもそも時間がかかることが多く、地頭が良くない子は根本的に理解が困難な子も正直います。その瞬間は分かってもらえて、少し時間が空けばゼロ状態に戻ります。中間層の子で、何度も時間をかけて反復させることでようやく基礎ができるというレベルです。

ゆえに、今まで以上の勉強時間をかけてやっとの思いで基礎が定着するかどうかギリギリの子もいます。

この子達は、頑張ってないからテストの点数が下がったわけではないです。中3二学期の学習の難易度が、その子の処理能力を超え始めているということなのです。

短期間で膨大な量を処理できるかの勝負になっている:処理能力の格差が大きすぎる

中3二学期のテストで、頑張っていても点数が取れない理由は「量の多さ」です。

この時期のテストは、単元としての概念の難しさに加え、そもそもの量が多すぎます。全教科範囲がものすごいページ数で、勉強時間が少ないと確実にさばききれません。

また、主教科のテストに加え、中3生は副教科のペーパーテスト対策もしなければいけません。正直、この負担も重すぎるのです。

こういうテストになると、結局は「短い対策時間で多くの情報量をいかに効率よく処理できるのか」みたいな脳のスペックがものを言い始めます。正直、処理能力が低い子は、太刀打ちできません。

国語的な読解力がない子、語彙力が弱すぎて文章を読んでも理解できない子、暗記のスピードが遅い子...これらの子には、正直重すぎます。

だから、点数が下がっても責めないであげてください。頑張っても出来ないことも世の中にはたくさんあります。これが中3二学期の現実なのです。

地頭は悪くないけどサボっていた子の追い上げに敗れる

中3二学期になると、一部学年順位に変動が起こります。

それは、これまで勉強してこなかったために下位・中間にいた子の一部が、一気に順位をごぼう抜きしていく現象です。

この現象は、自塾でも結構目にする光景です。

このタイプには、やはり共通項があります。それは、地頭はいいのに正しいやり方・必要な努力量の勉強がこれまでなされていなかったということです。

要するに「やればできる子」タイプ。

これまで塾に通っていなかった、あるいは個別指導のゆるゆる塾に通っていたなどがバックグラウンドにあることが多い。自塾でも、このタイプの生徒が転塾してくると、99.9%順位が上がります。

そして、これがある意味では才能の差という悲しい現実でもあります。

これまでコツコツやってきた子も、中学レベルだと最後の最後に地頭がよくて瞬間最大風速的でも努力する子に敗れてしまうことがあり得るからです。そのくらい、勉強は才能の影響を受ける競技だということ。

中3の二学期や高校受験では、残念ながらこのようなことはしばし起こりえます。※大学受験になると流石にこのタイプは消えますが。結局コツコツ出来ない子は消えていくので。

実力テストと期末テストのダブル対策でパンクする

中3の二学期、特に期末テストはタイムスケジュールがマジでパンパンです。

学校にもよりますが、中3二学期はほぼ毎月のようにテストがあります。中間期末だけではなく、学校が行う実力テストが挟まれることが多いからです。

そして、この実力テスト対策の負担もまた、二学期に成績が下がってしまう主な要因の一つです。

中3の二学期は、「中間→実力→期末」と進ことが多く、中間と期末の間に実力テストが挟まれることがよくあります。こうなると、中間が終わって2週間は実力テストの勉強に全振りするしかなくなります。

ただ、その間は期末テストの勉強がどうしてもお粗末になってしまいます。そして、実力テストが終われば2週間後ぐらいに期末テストがやってきます。

時間がないなら前もって余裕のある学習を…と塾に言う方もいますが、そんなことは時間的・構造的に不可能なのです。ゆえに、どうしてもその子の処理能力(※遺伝的なもの)の影響を受けてしまいます。

これを「塾の言い訳だ」「成績が上がらないことを子供のせいにしている」と批判するのももちろんOKです。その批判は受け止めます。

しかし、どれだけクレームをしようとも、世の中には「現実や真実」はあります。それが親として受け止めたくない不都合な真実であることもある。特に遺伝の問題に関しては。

この手の話は、慶應大学教授の以下の書籍でも語られています。人間の能力がどの程度遺伝の影響を受けるのかを赤裸々に書いています。

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中3の二学期で成績が下がる!対処法も解説

中3の二学期で成績が下がってしまった…

こうなった時、どのような対処をすればいいのでしょうか?

ここでは、塾講師の視点で現実的なアドバイスをします。

テストの点数が下がってしまった場合

成績が下がったというのは、通知表なのかテストの点数なのかによって大きく異なります。もし、テストの点数が下がってしまったという場合は、その時点で焦って周りが見えなくなるのは良くないです。

なぜなら、中3二学期は内申点が上がりやすいタイミングでもあるからです。

塾をやっていると毎年思うのですが、二学期の内申は不思議なつき方をするものです。不思議と内申が上がることがまあ多いです。

理由については、以下の記事で解説していますが、受験を意識して先生がお情けでサービス内申をつけているように思えます。

だから、通知表が返却されるまでは、落ち着いて待ちましょう。蓋を開けてみると、内申点自体は上がっていたということはよくある話です。

学校の先生に直談判してチャンスをもらう

定期テストの点数が悪かった場合、1つ救済措置がある場合もあります。

それが、”学校の先生に直談判すること”です。この際、交渉材料としては「年明けの実力テストで点数を取ったら内申を上げて」です。

これ、結構やってる子がいるって話を耳にします。特に上位校を受験する子で内申がどうしても必要な子がこうやってシークレットな交渉をしているとか…

しかも、これで評定が復活したって話を聞いたことがあります。県内トップの高校に進学した子の話なので、そこそこ信用性があります。これで全員が全員上がるとは限りませんが、最後チャンスがあるなら試してみるべきです。

平均以上の子は失敗を大学受験に活かす

中3二学期で成績が下がり、思うような内申が付かない場合は、志望校変更の判断をシビアに求められる事になります。これは、全国で多くの受験生が直面する厳しい現実です。

ただ、あなたの学力が平均以上あるのなら、勉強の失敗は高校進学後の大学受験で取り返してください。

勉強というのは、一般的に同年代の中で知能レベルで50%を超えていれば、あとは努力値の差で進路がどれだけでも上振れ・下振する傾向があります。今回のテストは上手くいかなくとも、また別の機会では逆転することなどよくある話です。

少なくとも、公立中学で学年半分以上にいる子は、勉強が全く不向きというわけではないです。東大京大は難しくても、偏差値50ぐらいの大学(それでも同年代で見れば上位30%ぐらい)には行けるのです。

現実をしっかり受け止める

最後は、元も子もない話ですが「現実を受け止めること」です。

先ほど解説しましたが、子供の能力はどうしても遺伝要因の影響を受けてしまいます。努力で何とかなるというのは幻想です。特に、明らかに勉強苦手な子(公立中学で平均を割り込むあたり)は、努力というより向き不向きの問題が大きいです。

そもそも、高校受験においては大半の子が現実離れした志望校を掲げていることが多いです。県が公表している志望校調査を見ても明らかです。

例えば、12月時点で公表される進路希望調査がその際たる例です。例えば、兵庫県の第一学区の偏差値52程度の六甲アイランド高校。ここは、12月の志望校調査では倍率3倍を超えてきます。

しかし、最終的には倍率が1.5倍程度で落ち着くことが多く、半数は駆逐されます。そもそも、その子にとって高すぎる志望校を掲げすぎているのです。上を目指して頑張ることは大事ですが、ほとんどの子は現実的に物事を考えきれていません。得に、平均点以下の子達とその保護者にその傾向が堅調に見られます。

基本的に、小学校のカラーテストで80点以下を取っていた子は、中学では学年で半分以下になります。そして、その順位だと内申点で4がつかず、偏差値50以上の高校には届かない。

先ほどのような六甲アイランド高校(偏差値52程度)は、学年の中でも上位4割に入る子たちが行く高校です。小学校の時点で下半分の子は、相当な負荷をかけて勉強させないと逆転しません。

これは小学校の時点である程度見えてしまうことです。何か劇的な変化や改善がない限りは、想定通りの進路(専門学科のある高校への進学=高卒就職ルートor偏差値40台の普通科or私立専願)になるのです。

これを避けたいのであれば、小学校の時点でこの現実を受け入れ、親子ともに小学校の時点で覚悟を決めておくしかないです。それをせず、中学でやばくなってから塾に持っていき、その頃には手遅れみたいなケースにしてはいけないのです。

親御さんは自分を責めないことが大事

中3二学期で子供の学業が上手くいかないとしても、親御さんは自分を責めなくてもいいです。繰り返しですが、人間の能力は遺伝要因の影響を受けまくります。

正直、小学校の頃からどれだけ優れた塾に入れても、勉強が苦手な子(小学校の時点ですでに下半分)はやはり苦手なままです。頑張って、何とか平均程度まで上がるかどうかです。

この層の子達は、何とか平均までを目指させて、勉強は許してあげる。そして、勉強以外で何か強みを見つけ、それを伸ばしてあげる必要があります。どうせ人生は自分の強みを使って生きていくこといなるのですから。

もし親御さんに反省する点があるのなら、その事に気づくタイミングが遅かった場合だけです。

総括:中3の二学期で成績下がる子の特徴&理由まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

特徴・理由

  • 中3二学期は難易度が高い
    • 英語(関係代名詞)、数学(二次関数・相似・円周角)、理科(天体など)といった最難関単元が範囲。
    • 地頭が求められ、理解に時間がかかる子も多い。
  • 学習量が膨大
    • 教科範囲が広く、副教科対策も必要で負担が大きい。
    • 短期間で多くの情報を処理する能力が求められる。
  • 地頭の良い子の追い上げ
    • サボっていたが「やればできる子」が追い上げる現象が発生し、順位が入れ替わることがある。
  • 実力テストと期末テストの負担
    • 中間、実力、期末とテストが続き、対策時間が不足しがち。
    • 実力テスト対策に追われ、期末対策が疎かになるケースも。
  • 遺伝的要因の影響
    • 処理能力や理解力など、努力だけでは埋められない遺伝的な差が影響する。

成績が下がった時の対処法

  1. 焦らず通知表を待つ
    • 中3二学期の内申点は、先生の配慮で上がるケースも多い。
    • テスト結果だけで悲観せず、通知表が出るまで冷静に。
  2. 先生に交渉する
    • 定期テストが悪かった場合、実力テストで結果を出せば内申を上げてもらえる可能性がある。
    • 先生に直接お願いしてみるのも一つの手。
  3. 大学受験でのリベンジを目指す
    • 学力が平均以上であれば、高校での努力次第で大学受験で挽回できる。
    • 中学の成績が全てではないと捉える。
  4. 現実を受け止める
    • 子供の能力や向き不向きは遺伝要因の影響を受ける。
    • 無理に追い詰めず、可能性に合った進路を模索する。
  5. 親は自分を責めない
    • 勉強が苦手な子を平均レベルまで引き上げるのが現実的な目標。
    • 勉強以外の強みを見つけて伸ばすことも重要。

まとめ

  • 中3二学期は多くの生徒にとって厳しい時期であり、成績が下がる理由には構造的な要因がある。
  • 焦らず現実を受け入れつつ、次のステップに活かす方法を模索することが大切。

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