「電気通信大学って、ちょっと地味だし恥ずかしいかも…?」

SNSや掲示板で時折見かけるこんな言葉に、不安を感じている受験生や保護者の方も多いのではないでしょうか。特に「電通大」という略称が広告代理店の“電通”と混同されたり、女子学生の割合が少なかったりといった理由から、「なんとなく恥ずかしい大学」と思われがちです。

しかし、電気通信大学は国立の難関大学であり、5G・IoT・AIといった最先端分野に強みを持つ、まさに“実力派”の大学。

今回は「電気通信大学は本当に恥ずかしいのか?」という疑問に対して、実際の偏差値・就職実績・学生生活など、具体的なデータを用いて徹底的に解説します。

電気通信大学は恥ずかしい?その評価は誤解

電気通信大学に対する「恥ずかしい」という評価は、必ずしも事実に基づいたものではありません。その多くはSNSの印象論や、大学名に関する誤解、理工系特有のキャンパス文化によるイメージ先行にすぎないのです。ここではその実態を一つずつ丁寧に解き明かします。

電気通信大学が「恥ずかしい」と言われる理由

インターネット上では、「電気通信大学=地味」「女子が少ない」「オタクが多い」といったネガティブな評判が一部で見受けられます。その要因のひとつに、大学名自体の誤解が挙げられます。

略称である「電通大」は、広告代理店の「電通」と混同されがちで、実際に「電通の子会社かと思った」といった声もあります。また、「通信」という言葉が含まれているため、通信制大学と勘違いされるケースも珍しくありません。

さらに、電気通信大学は理系単科大学であり、女子学生の割合が1~2割と少ないことも“地味”という印象を助長しています。SNSや口コミでは「学内恋愛は期待できない」「華やかなキャンパスライフではない」といった投稿も散見されます。

しかしこれは、真面目に勉強や研究に打ち込む学生が多いという証でもあります。派手さはないかもしれませんが、静かに集中できる環境こそが、この大学の大きな強みなのです。世間のイメージに惑わされることなく、実態を正しく理解することが重要です。

電気通信大学の偏差値とレベル

電気通信大学の偏差値は決して低くありません。2025年度の河合塾による最新予想では、全体の偏差値は52.5~57.5、共通テストの得点率は70〜79%と高水準です。とくにⅠ類(情報系)は後期試験で偏差値57.5、共通テスト得点率79%と、難関国公立大学に肩を並べるレベルです。以下に類別の偏差値と得点率を表にまとめました。

学類前期偏差値後期偏差値共通テスト得点率
情報理工学域Ⅰ類(情報系)55.057.576%〜79%
情報理工学域Ⅱ類(融合系)52.557.573%〜77%
情報理工学域Ⅲ類(理工系)52.557.570%〜77%

引用:スタディサプリ進路

これらの数字は、東京都立大学や千葉大学、横浜国立大学といった“準難関”国立大学とほぼ同等の難易度を示しています。「電通大=Fラン」といった声がいかに事実と異なるかが、数値からも明らかです。

「Fラン」なんてとんでもない!電通大の学術的実力

「Fラン大学」というラベルを電気通信大学に貼るのは、まったくの誤解です。

実際には、日本の情報通信分野を牽引してきた歴史ある大学であり、特に5G・6G通信、AI、IoT、ロボティクスなどの最先端技術分野で高い研究力を誇ります。なかでも「先端ロボティクス」や「セキュリティ情報学」の研究室は、国内外の企業との共同研究や、国際学会での発表実績が豊富で、学術的に非常に評価されています。

さらに、電通大は高専生の編入が多いことでも知られており、これは“現場で役立つ知識と技術”を大切にする文化の表れです。研究と実践を直結させた教育スタイルは、理工系の大学の中でも異彩を放っており、卒業生の多くが開発職や技術職として第一線で活躍しています。

このように、社会実装を見据えた研究開発と、実務直結の教育を両立させている電気通信大学は、「Fラン」とは程遠い、極めて高度な専門性を持った国立大学なのです。

学生の声から見るリアルなキャンパスライフ

電気通信大学の学生生活については、しばしば「ぼっちが多い」「オタクばかり」などと言われますが、実際の学生の声を拾ってみると、その印象は大きく変わります。たしかに、グループ活動よりも個人のペースを重視する文化が根付いており、これは「周囲に流されず、自分のやりたいことに集中できる」環境であることを意味しています。

多くの学生が、SNSやチャットツールを通じた柔軟なコミュニケーションを活用しており、リアルでの交流が少なくとも孤立を感じないという声もあります。特に、研究やプログラミングに没頭したい人にとって、干渉されない静かなキャンパス環境は好評です。

さらに、大学生協にはアニメ・漫画・ラノベ関連の書籍コーナーが充実しており、「オタクに優しい」という口コミも定着しています。これは、多様な趣味や関心が尊重される風土の象徴ともいえるでしょう。つまり、電通大のキャンパスは、自分の好きなことに真剣に取り組みたい人に最適な場なのです。

地味でも地力あり!OB・OGや著名人の実績

電気通信大学は派手さこそないものの、その地力は卒業生の実績にしっかりと表れています。特に有名なのが、ソニー・コンピュータエンタテインメントで「プレイステーション」の生みの親として知られる久夛良木健氏。エンタメ業界の革命児とも言える存在が、まさに電通大の出身者です。

また、NTTやNEC、富士通、日立製作所といった国内大手の技術開発部門や研究職に数多くのOB・OGが在籍しています。これらの企業では、高度な専門知識と実務力を併せ持つ人材が求められており、電通大で鍛えられた理工系スキルが活かされているのです。

さらに、NHKなどの放送技術分野や、国家公務員、政治家、起業家としても卒業生が活躍しており、まさに“知る人ぞ知る実力派大学”といえます。表舞台ではあまり目立たなくても、日本の基盤を支える技術職や開発の現場で信頼されている存在なのです。見た目のキラキラ感では測れない、本物の“地力”がここにあります。

電気通信大学が恥ずかしいは偏見:すごいところを徹底解剖

「恥ずかしい」というイメージは、電気通信大学の実力をまったく反映していません。ここでは、学部構成、進路実績、研究環境、入試傾向といった具体的な面から、電気通信大学の“本当のすごさ”に迫ります。

電気通信大学の学部構成と学びの特色

電気通信大学では、「情報理工学域」という1つの学域の中に、3つの大分類である「類」が設けられ、それぞれに高度な専門プログラムが展開されています。情報系から工学系まで幅広くカバーし、時代の最先端を学ぶことができます。以下に、各類で学べる専攻分野を表で整理しました。

分野の名称主な専攻プログラム
Ⅰ類(情報系)情報科学・データ系メディア情報学、経営・社会情報学、情報数理工学、コンピュータサイエンス、デザイン思考・データサイエンス
Ⅱ類(融合系)情報通信・電子工学系セキュリティ情報学、情報通信工学、電子情報学、計測・制御システム、先端ロボティクス
Ⅲ類(理工系)物理・機械・化学系機械システム、電子工学、光工学、物理工学、化学生命工学

たとえば、Ⅰ類ではAIやプログラミング、Ⅱ類では5G通信やロボティクス、Ⅲ類ではナノテクや材料科学まで学べるため、IT・通信・製造・研究分野を志す学生にとって、非常に実用的で魅力あるカリキュラムです。

また、2023年度卒業生の進路を見ると、進学者が502人(約72%)・就職者が169人(約24%)という高い大学院進学率を誇ります(※引用:大学アンケート 2024年5月集計)。これは、専門性を深めた上で高度人材として活躍する卒業生が多いことを示しており、学びの深さと実用性が電通大の強みであることがうかがえます。

驚異の進学率と圧倒的な就職力!実績で見る「電通大の真価」

進学率・就職率の高さこそが、電通大の“実力の証”です。

2023年度の進路実績によると、学部卒業者のうち72%が大学院へ進学。そのうちの9割以上が電通大内部の大学院に進み、高度な研究を続けています。就職においても、大学院修了者の91.3%が希望する進路に就職しており、業界からの信頼がうかがえます。

さらに、東洋経済「有名企業への就職に強い大学ランキング2023」では、全国で堂々の【第7位】にランクイン。実力がしっかりと評価されている大学であることが分かります。

主な就職先一覧に見る“強さ”の証拠

電気通信大学の就職実績は、理工系国立大学の中でも屈指のレベルを誇ります。特に情報通信やエレクトロニクス、IT業界への就職に強く、2023年度卒業生(2023年4月〜2024年3月)のデータによると、就職希望者174人中169人が就職しており、**就職率は97.1%**に達します(引用:大学アンケート2024年5月時点)。

以下は、最新の主な就職先一覧です。

企業名採用人数(名)
日産オートモーティブテクノロジー4
ベース株式会社3
JFEスチール2
パナソニックITS株式会社2
株式会社日立製作所2
川崎重工業株式会社2
東芝インフラシステムズ株式会社2
KDDI株式会社1
アクセンチュア株式会社1
アマゾンウェブサービスジャパン株式会社1
シャープ株式会社1
株式会社スズキ1
ヤフー株式会社1
ヤマハ発動機株式会社1
スカイマーク株式会社1

引用:パスナビ

このように、電気通信大学の卒業生は、国内大手から外資系IT企業まで幅広く進出しています。単なる学歴だけでなく、実践力と専門性に裏打ちされた高評価が、これらの就職実績を支えているのです。特に、AI・5G・IoTといった分野に強いことが、就職市場での優位性に直結しています。

情報・工学系の中でも最前線!研究設備が充実

電気通信大学は研究設備が非常に充実しています。特に、5G/6Gなどの次世代通信技術、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボティクスといった分野では国内屈指の研究機関として評価されています。

産業界と連携した「産官学プロジェクト」も数多く、在学中から企業と共同で開発を行うチャンスも豊富。学生の段階で社会と関わりながら研究を進められる点は、将来の就職や研究者キャリアにも直結します。

入試対策のポイント!共通テストと2次試験の傾向と対策

電通大の入試では、共通テストの配点比率が高いため、基礎を徹底した戦略的な学習が重要です。特に2025年度からは「情報Ⅰ」が導入され、数学・情報系への対応力が問われる試験となりました。

  • 共通テスト配点比率:50%前後
  • 必要教科:英語・数学(ⅠAⅡBⅢ)・理科(物理・化学など)・情報
  • 二次試験は記述中心で思考力重視。特に数学と物理の出題が多め

英語では要約や自由英作文が出題されるため、論理的に説明する力が不可欠です。数学では微積・ベクトル・確率などの典型問題を確実に解けるよう対策を進めましょう。

総括:電気通信大学が恥ずかしいわけない!まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

  • 「恥ずかしい」という評判は誤解
    「地味」「女子が少ない」「電通と混同」などのSNS上の噂に過ぎない。
  • 偏差値は高水準で難関国立レベル
    偏差値は52.5~57.5、共通テスト得点率は70~79%で、千葉大・都立大と同レベル。
  • 最先端分野の研究に強みあり
    5G、IoT、AI、ロボティクスなどで国内外に評価されている研究実績を持つ。
  • キャンパスライフは静かで集中できる環境
    「ぼっち文化」や「オタクに優しい環境」など、自由で落ち着いた雰囲気が特徴。
  • 卒業生の活躍が地力を証明
    プレイステーション開発者・久夛良木健氏や、大手企業の技術職など多数の実績あり。
  • 学びの体系は3つの類で構成
    情報・融合・理工の3分類で専門プログラムを展開、実践的な学びが可能。
  • 大学院進学率・就職率が非常に高い
    大学院進学率72%、就職率97.1%、有名企業就職ランキングで全国7位にランクイン。
  • 主な就職先は大手・有名企業
    NTT、日立、パナソニック、KDDI、AWS、ヤフーなど、技術職や研究職が中心。
  • 研究設備が充実し産官学連携も活発
    在学中から企業と共同研究できる機会も多く、実務に強い人材育成が特徴。
  • 入試対策は共通テスト・数学・英語がカギ
    特に2025年度から情報Ⅰが加わり、論理的思考力が問われる試験傾向。