高校受験の英語という競技は、「高得点にもなるし低得点にもなる」という真逆の性質を持つことが多いです。上位層は80点以上を確保して得点源にするのに対し、下位層は40点以下で伸びとどまり足を引っ張ります。
そして、高校受験は「英語がどのくらい出来るかで志望校のアンダーラインを決め、数学がどれだけ出来るかでアッパーを決める」のがセオリーになります。
そういう意味では、どの教科よりも英語の出来・不出来が受験結果を左右しやすく、高校受験(特に公立高校受験)においてはある意味で最優先しなければいけない科目とも言えるのです。
しかし、英語が出来るか出来ないかというのは、おおよそ以下の4タイプに分類されてしまいます。
①地頭(国語力)が弱すぎて長文読解がそもそもキツイ子
②地頭は多少あっても手遅れになる子
③一定の地頭はある前提で中1からコツコツ積み上げて点数を取る子
④地頭とセンスに優れ、学年の途中からでも逆転出来る子
あくまで自分の主観ですが、大体こんな感じです。そういう意味では、①と②の属性はどうしようもなく(正直救うのは困難)、③と④の属性の生徒が受験英語では勝利条件を満たしていることになります。学習塾に通わせて意味があるのは③,④で、この層を全力で引っ張ることが自分のできる事です。
それぞれ解説します。
高校受験の英語の出来・不出来:生徒は4パターン
冒頭のリード文でも結論を書きましたが、高校受験の英語では生徒像は概ね以下の4パターンに分類されます。
①地頭(国語力)が弱すぎて長文読解がそもそもキツイ子
②地頭は多少あっても手遅れになる子
③一定の地頭はある前提で中1からコツコツ積み上げて点数を取る子
④地頭とセンスに優れ、学年の途中からでも逆転出来る子
詳細は以下の通りです。
①地頭(国語力)が弱すぎて長文読解がそもそもキツイ子
この層は、正直どうあっても高校受験の英語は厳しいと思わざるを得ないタイプの生徒です。厳しい意見ですが、現実はそんなものです。
そもそも受験英語は、大半が「長文読解」になっています。
英語で書かれている文章を日本語に訳し、その上で設問に答えていく形式で出題されます。しかし、地頭が弱く母国語の能力(国語力)が弱すぎる生徒は一定数いて、その層は英語以前に国語で負けています。
だから恐ろしいことが起こります。
それは、「長文読解の日本語訳を読ませてから設問に答えさせても間違える」という現象です。こうなるともう、英語を教えても意味がないです。単語を覚えて訳がある程度出来るようにしても間違えるのですから。
しかし、一定の地頭を有しない生徒ではこのようなことは平気で起こります。実力テストなどの国語で40点台とかそれ以下の点数を当たり前に取る子などがまさにそれです。
正直こうなると、完成までの距離があまりにも遠いです。とてもじゃないですが、中学の限られた期間の中で英単語・英文法の全てを履修させ、最後の最後に読解まで仕上げるのはまず無理です。
おそらくこのタイプは語彙力もないので英単語の覚えも悪いですし、国文法の力も弱いので中3以降の英文法(受動態や分詞・関係代名詞)などは理解するのも難しいです。だから、どのみちどこかで脱落します。
そしてこうなるかどうかは、大前提が母国語の力に依存するわけなので、小学校段階での国語の出来不出来、そして中学の国語のテストの出来不出来を見れば安易に推測できます。
地頭レンジで見ても下位の40%以下の生徒は基本的に中学英語で最終地点まで走り切らせるのは困難です。それゆえ、志望校を考える場合も偏差値50以上の公立高校(近隣だと六アイ以上)が厳しい可能性を親は受け止めておく必要があります。
なおこのタイプは、小学校から英会話させて、中1から塾に通わせて英語を習わせても詰む子は詰みます。根本的な地頭水準を満たせないと、どうしても教育効果は無効化に近い状態になってしまうものなのです。
②地頭は多少あっても手遅れになる子
受験英語では最終的に長文読解をやらされるため、最低ラインの地頭水準を満たしていないと、努力ごときではどうしようもない壁があります。まずはそれを受け止めてください。
しかし、一定の地頭があっても、高校受験の英語で挫折してしまう層が出ます。それが、中1英語からコツコツと積み上げず、一定の期間までサボり続けて土台がガバガバになってしまった生徒です。
英語は完全に積み上げ方の競技です。基礎土台は中1英語の1学期から始まり、「be動詞→一般動詞→助動詞→代名詞→三単現….」と過去に習ったことをわかっている前提で新しい知識を上に積んでいく性質があります。
だから新単元から気持ちを切り替えて勉強しようと考えてもダメ。本当に英語を出来るようにしたいなら、自分が躓いたポイントに必ず戻って学習しないと中々定着しません。
しかし、感覚的には中1の最後まで放置してしまうと、中2から気持ちを切り替えて勉強しようとしたとて詰みます。中2英語は全て中1英語の土台ありきですから、接続詞や不定詞・動名詞などから学び始めてもフワフワした学習になるだけです。
また、今はデッドラインとして中1の3学期までを挙げましたが、地頭レベルが平均以下の子だと、中1の1学期でもすでにデッドラインに差し掛かっていることも多いです。中1英語の最初では、be動詞と一般動詞の使い分けを学び、whatなどの疑問詞も学びます。早いと代名詞も覚えたりしますから、この辺りで頭の中がぐちゃぐちゃになります。
だから個人差はあれ、英語でダメになる子は中1の途中から水死体になり、中1が終わる頃には腐敗した死体になってしまうことが多いです。こうなると、慌てて塾に持ってきても1年単位で治療が必要になるか、場合によってはもう手遅れってケースもあります。
手遅れになるかどうかはその子の地頭のレベルと、どのくらい努力量を許容してくれるかにかかっています。しかし、中1の復習をしながら中2で新しく習う範囲も履修し、中1の間にサボり続けた英単語まで補充しないと追いつけないのは地獄です。
だから、大半の生徒は詰みます。これが中3から頑張るとかになると90%以上無理です。そういう意味では、一定の地頭水準はクリアしているのにダメにしたタイプの敗因は「動き始めるのが遅かった」ということになります。
やれば出来る子だったのに、やらせるタイミングが遅すぎたせいで詰むケース。完全に情報不足と行動不足であり、本人の問題もありますが保護者さんにも責任があると言わざる得ないです。
英語は小学6年生段階で英単語の読み書きを徹底させ、小6後半から中1の基礎文法を予習させ、そして中1に入ってから余裕を持って教科書に従った学習をしないと地頭お化け以外は間に合わせられません。
これは小学校英語と中学校英語の接続が悪いのでカリキュラムの構造上の問題も大きいのですが、それはもう何年も言われていることです。これだけ情報社会になっているので、そろそろ保護者さんもこの現実にアンテナを張っておき、行動しないといけません。
ここで手遅れにしておいて中2や中3で慌てて塾に駆け込んでももう遅いのです。他教科はまだと中参戦でなんとかなっても、英語だけは厳しすぎるのです。
③一定の地頭はある前提で中1からコツコツ積み上げて点数を取る子
ここまでは、そもそもキツい子と時間軸の問題で手遅れになる子の特徴を解説しました。ここからは、きちんと英語で高得点をとっていく子について説明します。
これまで解説した通り、英語は完全に積み上げ方の教科になるので、途中段階で一切穴を空けることなくコツコツ積み上げることが勝利条件になります。だから、中1英語からしっかりやっていることが大前提になります。
そういう意味では、一定の地頭(学年でもIQなどが上位40%以上)にいる子に、中1からサボらせずにコツコツとやらせることで英語をある程度得点源にすることが可能になります。
英語の厳しいところは、最終的に長文読解に持っていかないといけないので、どうしても個体に先天的に備わっている素質として最低限〇〇みたいな勝利条件が求められてしまうことです。
だから、学年でも上位40%以上の地頭がある子じゃないと王道の指導論でも再現性高く英語を得意教科に持っていくことができません。正直、地頭が平均以下でもしょぼい文法問題ぐらいなら点数を取らせられます。中1の一学期ぐらいならなんとかなります。
しかし、総合力が求められる長文読解では語彙力や一般常識などこれまでの人生で獲得した知識量の差や、その運用力の差が露骨に出始めます。早いと中1の終わりから「実力長文」という名目で定期テストに読解が入ってしまうこともあり、こうなると塾の対策だけではもう無理になります。(※勘違いしてほしくないのは、上位層は普通に文法対策してれば地頭で読解まで解けます。ここが知能格差を無視できない理由の1つです。)
話を戻すと、英語は一定の地頭がある子に、中1から一切妥協することなく英単語と英文法を仕込み、途中で脱落させないことが極めて重要になります。ここまでやれば、中3で残りの文法を2学期前半までぐらいで終わらせ、残りの期間を長文演習に充てることで高校受験の長文問題に対応できるようになります。
センスがある子だと、長文対策を対してしなくても、英単語と英文法の知識さえあれば国語力だけで受験英語の問題をそこそこ解けてしまいます。自塾でも上位層になる子は毎年そんな感じです。
あとは、コツコツやったこの中でも地頭や努力量に差が出るので、それがそのまま点数差として表れます。
④地頭とセンスに優れ、学年の途中からでも逆転出来る子
最後は、例外中の例外パターンです。
原則英語は先に始めたもの勝ちの競技です。そのぐらい積み上げ教科では早期学習の効果が大きく、時間軸を味方につけれるかどうかがなんだかんだで才能以上に重要です。
しかし、ある程度サボってしまった生徒であっても、地頭水準が高ければ中学英語ごときなら何とかなってしまう子が数名は混ざり込んでいるのも事実です。もちろん時期によりますが、それでも普通の子は間に合わないのに、その子だけは間に合った…みたいなケースを実際に見たことがあります。
ただ、英語で逆転するということは、母国語ができていないと話にならないのは先に説明した通りです。だから、根本的に国語の実力テストとか模試の点数が低い子はこういう例外パターンにはハマりません。
シンプルに国語力が高いという前提条件さえあれば、あとは英単語と英文法だけガチれば長文対策を大してしなくても受験英語で高得点になってしまうから逆転が実現するだけです。
しかし読解のセンスなければ、やはり英単語と英文法を学習した後に読解演習の時間を一定時間は確保しないと再現性高く受験英語に対応させることは無理。だから、始める時期が遅すぎると最終的に単語と文法でパンクして長文対策まで間に合わずに受験当日を迎えて死亡すると言っているわけです。
英語は原則として途中から逆転するのが修羅の道であることはご理解ください。
総括:高校受験の英語が出来る子か出来ない子かの見分け方まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 高校受験の英語は得点差がつきやすく、志望校の合否を大きく左右する重要科目。
- 英語の出来・不出来はおおむね4パターンに分類される。
- 地頭(国語力)が弱すぎて長文読解がそもそも厳しい子
- 国語の基礎力不足で、英語以前の段階で理解が追いつかない。
- 長文読解の日本語訳でも誤答するケースが多い。
- 中学期間内での挽回はほぼ不可能。
- 地頭はあるが手遅れになる子
- 中1英語の基礎を積み上げずに放置して土台が崩壊。
- 中2・中3からの巻き返しは極めて困難。
- 学習を始める時期が遅すぎることが主因。
- 一定の地頭があり、中1からコツコツ積み上げられる子
- 積み上げ型の英語学習を穴なく継続できれば高得点を狙える。
- 英単語・英文法を徹底すれば、中3で長文演習まで間に合う。
- 地頭とセンスがあり、途中からでも逆転できる子
- 国語力が高く、英単語・英文法を短期間で詰め込める。
- ただし例外的で、普通の生徒は途中からの逆転は困難。
- 英語は積み上げ科目なので「早期から基礎固め」が絶対条件。
- 国語力が低い層や基礎を飛ばした層は、中3からの巻き返しはほぼ不可能。
- 小学校段階から英単語・基礎文法の予習を進めておくことが重要。
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