英語が全くできない中学生をお持ちの保護者様の中には、「この子はもしかして学習障害かもしれない…」と思われる方が一定数いらっしゃいます。

テストでは毎回20点台30点台になる場合や、塾に通わせても全く英語の得点が上がらない…

このような状況だと、学習障害が原因で英語ができないのでは?と疑ってしまうのは現場で指導をしていてもよく耳にする話です。

そして、現場の塾講師目線から見ても、「この子はもしかしたら学習障害が原因で英語ができないのでは?」と思うことは実際あります。もちろん、自身の指導力不足を棚に上げ、学習障害と決めつけ子供のせいにすることなどあってはなりません。

しかし、どれだけ噛み砕いて説明しても、ほとんど理解できない子は一定数います。また、何回同じ練習をさせてもすぐに忘却してしまったり、そもそも暗記に膨大な時間を要してタイムアップする子もいます。

本記事では、塾の指導現場の中で塾講師が「この子は学習障害が原因で英語ができない可能性がある」と正直思ってしまうケースを包み隠さずお伝えします。また、その対処法も合わせてお伝えします。

※塾講師は医者ではないため学習障害を判断する立場にありません。ここでは、努力の問題ではなく知能の問題が大きく影響して英語の成績が上がらない(上がりずらい)と”主観的に思われるケース”を紹介している点はご了承ください。

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英語が全くできない中学生!塾講師目線で学習障害を疑う子の特徴

学習塾で実際に指導していると、口に出しては言えないものの「学習障害を疑ってしまうケース」というのは正直あります。

おそらく、塾講師の経験が長く色んなレベルの生徒層を指導した経験がある人は、大なり小なりその「感覚値」を持っています。ただ、口が裂けても保護者さんにはそんなことは言えません。

ゆえに、現場レベルでどのような状況で学習障害を疑うのかという情報がほとんど世の中には出てきません。ただ、現場の塾講師はほとんど同じような状況で学習障害を疑います。

ここでは、そんなオフレコな話をオブラートに包まずに書きます。

※繰り返しですが、あくまで一つの意見に過ぎないため、最終的な判断はご家庭及び医療機関で行なってください。もしご不快に感じられる場合は、今すぐブラウザバックをお願いします。

ケース①:塾に通っているのに中1の後半になってもbe動詞と一般動詞の区別がつかない

英語という教科に関して、最も学習障害を疑ってしまうのはこのケース。

・塾に通っているのに、中1の後半になってもbe動詞と一般動詞の区別がつかない子


このパターンです。

・Are you play tennis?
・Does you play tennis?


などと書いてしまい、違うと指摘しても何が違うかが分からないみたいなケース。

もちろん、普通の子もこんなミスはしますが、「あっ、絶対やっちゃダメなミスしてる!気づける?」などと声掛けすれば気付きます。しかし、学習障害っぽい子はポカーンとします。

なお、ここでのポイントは、「塾に通っているのに」という前提条件。塾通いもせず、家でもノー勉で学校の授業も聞いていないみたいなケースはまだ可能性を感じます。やっていないからできていないだけでは?と希望が持てるからです。

要するに、全く勉強していなわけではなく、少なくとも学校+αの勉強をしてもなお上記のような現象が起こるケースです。

しかもこれが中1の後半(1月以降)に起こると、学習障害の可能性があるのでは?とどうしても嫌な予感が胸をよぎります。

中1の英語って、最初がすごく複雑になっています。be動詞と一般動詞の区別をして、一般動詞は三単現も区別しないといけません。be動詞は「am/are/is」の3つあって主語に応じて使い分けなければいけません。その上、be動詞と一般動詞を一緒に使ってはいけないという制約がかせられます。

おまけに、be動詞・一般動詞・一般動詞(三単現)の3つのケースにおいて、肯定文・疑問文・否定文の3つの文型のルールを覚えなくてはいけません。これは合計で3×3=9パターンの法則を使い分ける必要があるということ。

そのため、中1の1学期では学習障害ではない子ですら、英語が死にます。

40点以下が学年の半数以上になることも平気であります。これを「英語クラッシュ」と呼ぶ人もいるぐらいです。ただ、この現象は最初だけです。一般的な知能(IQ)があれば時間と共にこの程度のルールはマスターされていきます。しかも、自然とそうなっていく子が大半です。

しかし、学習障害の子はそうはならない。中1の後半になってもなお、中1の最初と同じような状況を繰り返します。

中1後半にもなると、学校の授業でもbe動詞や一般動詞はほぼ毎日のように扱います。やらない日を探す方が難しいでしょう。つまり、それだけの接触をさせても理解・定着がなされないということは、指導の仕方や演習量といった外的要因ではなく、脳の構造という内的要因が原因なのではないか?とどうしても疑ってしまいます。

塾に来て学校よりも分かりやすい説明を受け、学校以上に手厚くサポートされているのに…となると、ますます現場の塾講師の疑念は増幅するものです。

週に1回程度の個別指導の場合であればまだ分かりますが、週3以上の通塾の塾でこの感じだと、やはり学習障害の可能性を強く疑ってしまいます。

ケース②:英語以外の教科でも著しく認知機能に問題があると感じる

塾講師は、英語という1つの教科だけで学習障害を疑うわけではありません。

学習障害なのでは?と疑ってしまうのは、他教科を教えても同じように「認知機能の低さ」を痛感する局面に何度も遭遇するからです。

国語の文章を読んでどんな話か聞いても、全く見当違いな答えをすることがあります。「そこまで話を読み違えてしまうものか?」と驚きを隠せないことが現場ではあるのです。

また、学習障害の子は高確率で算数や数学も出来ません。

計算問題までは力技で押し込めますが、文章題になるとそもそも設定を捉えることが出来ません。ワーキングメモリが低いため、文章が長いと数行前の話を覚えていられないのです。

また、一般的にそこまで復習しなくても忘れないようなことを当たり前のように忘れるということも日常茶飯事です。中1になって三角形の面積の公式が答えられなかったりする…みたいな現象も普通に発生します。

ケース③:暗記のスピードが極端に遅い&忘却のスピードは極端に早い

学習障害があるかな?という子は、暗記に明らかな難があります。

自塾では演習タームに覚える時間をとって再試などを行います。その際、当たり前のように個人差は生じます。

これは、暗記のテクみたいな薄っぺらい話ではなく、紛れもなく遺伝的要因からくる才能格差の問題です。早い子はとことん早く、遅い子はとことん遅い。

当然ですが、同じような努力をしても差が埋まらないどころか指数関数的に差が開きます。これが、努力ではどうしようもない才能の差という厳しい現実でもあります。

ただ、遅い子でもそれなりに時間を取ればそこそこは覚えてくれます。

しかし、学習障害を疑うような子は本当に暗記が出来ません。漢字のような特に理解を必要としない純粋な暗記ですらです。このような暗記に、教えるのが上手いか・下手かといった塾側の能力の差はありません。

当然ですが、このタイプの子は忘却までのスパンも恐ろしく早いです。

英語が全くできない中学生!必ずしも学習障害を疑う必要はないケース

ここまでは、塾講師目線で見て「これは学習障害の可能性がかなり高いのでは?」と疑ってしまうケースを紹介しました。

しかし、英語が出来ない場合、学習障害が原因ではないケースも当然多々あります。

その点についても、イチ塾講師の主観的な見解をお伝えします。

①英単語が中々覚えられない

単語の暗記が中々出来ないと、学習障害を疑いたくなる気持ちも分かります。

もちろん、覚えられる子はすぐ覚えていくので、優秀層とは言えないことは確かです。しかし、英単語が覚えられないからといって、すぐに学習障害を疑うのは違うでしょう。

そもそも、中学生の大半はロクに英単語を覚えていません。

今の英語教育って、単語の数がそもそも多い上、新単語が出てくるまでのスパンも短い。まだ舌の先が乾き切らないタイミングで、どんどん新キャラが出てきます。

こんなものは、地頭がいい子と勉強の優先順位が高く学習しまくっている子しか定着しません。だから、英単語を覚えられないことを過度に気にする必要はないです。

ただ、英単語帳などを購入し、単語を覚えることを日常の勉強に組み込ませるなど工夫はして欲しいです。中学生は、ターゲットを購入してください。

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②学校の定期テストで30点台

英語の定期テストで30点台を取ってしまう…

このケースでも、学習障害を疑いたくなる瞬間があります。しかし、英語の30点は健常児でも普通に発生します。

そもそも、現代の英語の定期テストって昔と比べ物にならないぐらいむずい。平均点が40点台とかに平気でなりますからね。

しかも、学校によっては「実力長文」と言って、初見で読む英語長文を混ぜてくる学校もあります。こんなものは、普段の学習の延長線上にあるようでないです。

こんな言い方は良くないかもしれませんが、実力長文は地頭チェックに近い。
実力長文があると、定期テストと言うの名の3割実力テストになっちゃいます。100点満点とは言えないです。

だから、テストの点数だけでは、学習障害かどうかは判断しずらいです。特に塾に通わずに点数が低い場合は、「やればできる子」の可能性がまだ残っています。

英語が全くできない中学生!学習障害を疑った場合の対処法

最後に、英語学習を通して学習障害を疑ってしまう場合の対処法について解説します。

もちろん、塾は医療機関ではないので、あくまで進路選択の側面や学習方針へのアドバイス(※所詮はイチ意見)を述べるにすぎません。

信じるも信じないも、参考にするも参考にしないも、読者様に自由があります。

教育に過度な期待をしない

様々な人が、学習障害の子の学習に関してポジティブな意見を述べています。

・子供の頃はADHDだったけど難関大に受かった
・学習障害だったけど70点以上取れた

こんな感じの発言は、割と目にします。

ただ、これに関しては疑問です。正直、かなりの「外れ値」だと思います。

認知機能が著しく低い場合、勉強時間を増やしたりしても中々点数アップにはつながりません。そもそも理解に時間がかかるため、暗記や演習といった点数アップにつながる時間を十分に確保出来ないからです。

そのため、学習塾のほとんどが、このような学習障害の子の点数を上げれずに悩んでいます。塾によっては、入塾テストをして最初からお断りをする所も多いです。お預かりしても、塾という仕組みでは伸ばすことが困難だと思っているからです。

だから、過剰に教育に期待するのは不幸を招きます。その子なりに頑張ったことを評価してあげないと、本当に潰れてしまいます。

学習塾には入れずに自宅学習に切り替える

正直なところ、学習障害がある(もしくはその疑いが強い)状態で塾に入れても、まず伸びません。

130点の子を190点に点数アップとかは出来ますが、平均点に持っていくなどは相当困難です。一般的に塾って1年で3〜5ポイントぐらい偏差値が上がれば機能していると言われます。

点数で言うと、500点満点のテストで30点〜50点ぐらい。

だからもし5教科で100点とかで入塾しても、1年後に130点、2年後に160点とか行けば御の字みたいな感じになります。しかも、これは相当うまくハマった場合です。

なぜなら、そもそも塾に通って成績が上がるのは30%ぐらいだからです。ウチのように、週3強制でテスト前は10日以上連続通塾みたいな力技をすると7〜9割ぐらいの生徒は上がりますが。

しかしいずれにせよ、それでも出発地が低すぎると伸びても総合点は低い点数のままです。100点アップしても200点で、それでも公立の偏差値50以上の高校には遥かに届きません…

もし成績アップが塾に求めることなら、いずれ不満が大きくなり退塾につながる可能性が高いです。しかし、事前にそうなることが推測されるなら、そもそも入塾せずに自主学習をサポートする方がいいこともあります。

総括:英語が全くできない中学生!学習障害を疑う子の特徴まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

学習障害を疑う特徴

  1. 塾に通っているのにbe動詞と一般動詞の区別がつかない
    • 塾での説明やサポートを受けても理解できず、同じミスを繰り返す。
    • 中1の後半でも中1前半と同じ内容で躓いている。
  2. 英語以外の教科でも認知機能に問題が見られる
    • 国語では文章を正しく理解できない、算数では文章題の設定を把握できない。
    • 簡単な公式や基本的な知識を忘れる頻度が高い。
  3. 暗記スピードが極端に遅く、忘却が異常に早い
    • 漢字など単純な暗記ですら時間がかかり、すぐ忘れてしまう。
    • 努力や指導方法では埋められない遺伝的な要因が疑われる。

必ずしも学習障害を疑う必要はないケース

  1. 英単語が中々覚えられない
    • 現代の英語教育の負担が大きいことが原因の場合が多い。
    • 覚える時間や適切な教材の使用で改善する可能性あり。
  2. 学校の定期テストで30点台を取る
    • 平均点が低く、難易度が高いテストが原因の場合がある。
    • 塾に通わず勉強量が不足している場合は改善の余地がある。

学習障害を疑った場合の対処法

  1. 教育に過度な期待をしない
    • 努力で解決できないケースも多い。
    • 子どもの成長や努力を認め、過剰なプレッシャーを与えない。
  2. 学習塾を利用せず自宅学習をサポート
    • 成績アップの限界を理解し、塾に依存しすぎない。
    • 無理に塾に通わせるより、自宅でできる現実的な学習環境を整える。

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