中学校の成績で「オール3(評定が全教科「3」であること)」を取る生徒がいます。「3」と言えば5段階評価の真ん中であり、数字をそのまま解釈すれば”普通”です。平均的とも言えることになります。
しかし、オール3はやばいと耳にすることがありませんか?もう少しトゲのある言い方だと、「オール3は頭悪い」と誹謗中傷されることもあるのが現実です…
では、中学校の成績でオール3は本当にやばいのでしょうか?
結論、オール3はやばいです。
本記事では、公立中学校の生徒をメインで指導している現役塾長の私が、オール3がやばいと言われる理由を解説します。また、どのような生徒がオール3になるのかも実体験から紹介していきます。
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オール3がやばいは真実:「頭悪い」と言われてしまう理由
“オール3はやばい”
Googleで検索すると、「オール3」の検索候補のサジェストとして”やばい”という単語が出てきます。つまり、多くの人がそう検索しているということです。
世間的にも、オール3がやばいというのはそれなりに認知されているように感じます。自身は現場で中学生を指導していますが、オール3は普通ではないと断言できます。ハッキリ言えば「学力的には下位層に分類される生徒」です。
では、オール3になる生徒がなぜやばいのかを正直にお伝えします。
「評定3」の生徒の割合:実際のデータで検証
そもそも、公立中学校で「3」がつく生徒がどの程度の割合いるかご存知ない方も多いでしょう。明らかにしている県とそうでない県もあるからです。ただ、東京都では5段階評価の評定の割合を開示していました。それがこちらです。

引用:東京都公式サイト
見ずらいのでデータの結論を言うと、9教科全体で見た時にオール3の生徒は学年全体の約47%存在していることになります。
なお、評定5と評定4の割合も加味して比較するとこんな感じになります。
・評定5:全体の約12%
・評定4:全体の約24%
・評定3:全体の約47%
このデータが何を意味するか理解できますか?
まず、評定5と評定4の生徒を合算すると、上位の約35%になることが分かります。そして、3の生徒はそこから下の約47%と言うことになります。つまり、学年全体で80%以内にさえランクインすれば「3」がついてしまうということ。
そもそも、評定に「2」や「1」がつく生徒は極小です。実際のデータでもこうです。
・評定2:全体の約14%
・評定1:全体の約4%
全体的見ても、下位の2割程度しか2以下の評定にならないことが分かります。これは東京都の事例ですが、全国どこでも同じようになっていると思います。
要するに、評定が2以下になる生徒がそもそもヤバすぎるだけで、3というのは普通にやっていれば基本的にはキープできないとそもそもまずいレベルということです。
批判を覚悟で言いますが、評定に2以下がつく子は素行面など人間的な問題点を指摘されている子がほとんどです。人間的に未熟ゆえ、それが学業という評価軸でもマイナスに働いているのです。
つまり、3は普通でも平均でもなんでもありません。少なくとも自分の感覚では、「2以下の成績がつく問題児”ではない”子」です。
もちろん、稀にまともな子でも2がつくケースがありますが、この場合は本当にテストの点数が低すぎることが原因です。全く勉強をしていないか、学習障害や境界知能の可能性も十分に考えられます。
評定「3」は守備範囲が広すぎる
評定3がやばいと言われる理由は、「3」という数字がカバーする範囲が広すぎるからです。
以下は、学習塾の悠学舎さまが作成された評定の分布表ですが、とっても分かりやすく、視覚的にも見やすい資料なので掲載させていただきます。

引用:悠学舎さまHP
これを見ると、評定3の生徒はピンキリであることが分かります。
4と3の境目にいる子は学年の中では上位40%なのに対し、2と3の境目にいる子は学年の下位20%という子と言うことになります。評定「3」は、この2人の子に同じ評価を与えていることになります。
あと一歩で4になるかもしれない3の生徒と、あと少しで2がつくリスクがある生徒が同じ評価…
これが現状の「3」と言う数字が持つ意味です。しかも、「3」になる生徒の中でも4に近い3の生徒なんてそこまでいません。大半の生徒は平均点スレスレか、平均点を割り込む生徒です。
つまり、評定3になる子のボリュームゾーンは学年の下半分の下位グループに属する生徒ということになります。学年全体の下半分をやばいと評価するなら、オール3になる生徒は間違えなくやばいです。
定期テストが40点でも「3」はついてしまう
評定3は本当に闇が深いです。なぜなら、テストが40点でも「3」がついてしまうことが平気であるからです。
実際に中学生の定期テスト(英語)の結果を見ると、60点が平均点のテストの点数内訳としてこんな感じです。これは、実際のデータです。
・80点以上:19%
・60点〜80点:24.1%
・40点〜60点:19%
・30〜40点:10.3%
・30点以下:27.6%
このデータと評定の分布から考察すると、60点台の子は当然のように「3」になります。そして、40点台の子もほとんどが「3」です。
おそらくですが、30点以下のこの中にも、数%は3がついていることが推測されます。実際自塾の過去の生徒でも、テストが20点台でも提出物などを真面目に出した子で評定が「3」になっていた子がいました。これが評定「3」の現実です。
3もやばいが「オール3」はもっとやばい
ここまで、評定「3」が全くもって普通(平均)ではないとお伝えしてきました。評定3は学年全体で見れば、一部の生徒を除いて学年の下位半分に位置する数字だからです。
ただ、評定3よりやばいのは「オール3」です。
正直、人には得意不得意があるので、「3」がついてしまうこと自体は決して珍しいことでも何でもありません。特に実技教科はそうです。
しかし問題なのはオール3です。たった1つの教科でも4以上の評定をつけられていないという現状です。何か1つでも強みがあって4がつくということもなく、全ての教科において学年の下位半分以下になってしまう場合がやばいということです。
もちろん、高校受験という観点で見た時にです。個人の人格を否定するものではないのでご了承ください。正直、オール3の生徒では公立高校で偏差値50以上に分類される中堅校に合格するのはかなり厳しいことが多いです。特に、内申点の比率が大きい兵庫県のようなケースでは、オール3は致命傷です。
他県でも同じようなことになると思いますが、オール3以下のの生徒に残された道はおそらくこうです。
①偏差値50以下の公立高校普通科(学区内の最低偏差値)に進学
②工業高校・商業高校・農業高校に進学
③公立受験断念→私立専願で普通科の高校に進学(コースはよくて真ん中)
④公立の推薦入試でワンチャン逆転を狙う←New
ハッキリ言いますが、オール3の生徒に進路を選ぶ権利などほぼあってないようなものです。消去法的に選ぶしか道はなく、そこで納得できないと悩みます。家庭内でもバトルが勃発したり、発狂して泣き出す生徒も出ます。
毎年必ずこのようなご家庭が発生しますが、これがオール3(&それ以下)の生徒の末路です。厳しいですが、中3の進路選択では嫌でもこの現実に向き合うしかなくなります。
※なお、中学生の通知表の成績に対する塾講師の忖度ない本音の厳しい評価は以下のとおりです。本当のことしか書いていないので、心臓の悪い方は読まないでください。
オール3になるやばい生徒の特徴!塾講師が見ている現実
ここからは、塾現場で指導している自分がどのような生徒がオール3になる傾向があるのかを解説します。
何人も子供を見ているのである程度は分かるのですが、オール3になる子にはやはりそれなりの共通項があります。
小学校のカラーテストで80点以下
オール3になる生徒は、何も中学でいきなりヤバくなったわけではありません。正直なところ、小学生の段階でその予兆は十分すぎるほどあるものです。
まず、一番分かりやすいのはカラーテストの点数です。小学校のカラーテストで80点以下を叩き出している子は、中学時点でのオール3予備軍に分類されます。
小学校のカラーテストは、そもそも平均点が80点程度に設定されています。つまり、80点以下の生徒は小学校時点で平均点を割り込んでいる生徒です。当然ですが、小学校の順位はそのまま中学でも継続されるものです。
そのまま順当に進んでいけば、中学校でも平均点以下です。中学の場合だと60点以下になってしまう。その点数だと4はつかないので、オール3になる確率がかなり高いです。
なお、小学校のカラーテストで60点を下回ると、中学校では40点以下が想定されます。この場合、オール3ですら耐え切る事ができず、何かの教科には「2」がつく確率が極めて高くなります。
国語力が欠落している
オール3になる子は、完全に「下位層」です。
そしてこの層に見られる共通項は、国語的な読解力に相当な難があることです。知ってる言葉の数が少なく、文章が長くなると全体の意味が捉えられなくなります。
中学校だと、実力テストの国語で40点台を叩くことが日常的になります。国語のテストは正直地頭チェック的な要素も大きいので、地頭が良くないことの証明と言っても過言ではないです。
この層は、国語の成績がワンチャン「2」になるか、学期によっては実際に「2」がついている傾向にあります。
国語力が乏しいと、英語は絶対に取れません。チート気味に点数が上がるのは中1の最初だけで、そこから先は国語力が欠如しているせいで、構造が複雑な文法はもちろん、英語の長文ができません。
この層の子は、英語の長文読解の日本語訳を渡して問題を解かせても、平気で間違えてしまいます。こうなると、どれだけ熱心に英語の指導をしても意味をなしません。前提となる国語力の壁が大きすぎるのです。
もちろん、国語的な読解力が弱いため、社会の暗記や理解も弱いです。副教科のような直前にプリントを暗記する系の科目でも、概念や全体像が捉えきれずに平均以上の得点ができません。
これは、努力や工夫の問題ももちろんありますが、根本的な地頭に課題があるからというのも大きいです。
精神的に幼い
あまり大きな声では言えませんが、学力と精神年齢には相関関係があります。
オール3かそれ以下になる生徒は「幼い」です。幼いからテストの点数も取れません。幼ないから集中力も続かず、学校でも高い評価が得られていません。
塾で見かけるオール3の生徒には、そういう子が多いです。
自主学習は皆無
オール3になるような子は、自主学習などほぼしていません。
塾に通っている場合は、塾での勉強が全てのことも多いです。そのくらい、ほとんどのオール3勢は勉強などしていません。
もちろん、最近の子は4がつく子でも家で勉強しない子も多いです。
ただ、この層の子は地頭のレンジがオール3になってしまう子よりもそもそも高い。だから、塾の勉強だけでも中学生のレベルぐらいであれば、何とかなってしまうのです。
これは「才能格差」の問題です。脳の構造的な部分(遺伝的な要因)が大きいです。
総括:オール3がやばい&頭悪いと言われる理由まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
オール3がやばい理由
- 評定3は下位層を含む広範囲
- 評定3は学年の下位50%以内であればつく評価。学年の中位から下位の生徒に広く分布している。
- 3でも上位層(4に近い生徒)と下位層(2に近い生徒)が混在しており、実際の学力に差がある。
- 定期テスト40点台でも「3」がつく
- テストで平均点を大きく下回る40点台でも、提出物や態度が良ければ「3」がつく場合がある。
- 「3」の評価は、学力に対して甘めの側面がある。
- オール3は強みの欠如を示す
- どの教科も特別に得意な分野がなく、全教科で学年の平均以下の成績である。
- 偏差値50以上の公立高校進学は難しく、進路選択の幅が狭まる。
オール3になる生徒の特徴
- 小学校の時点での低得点
- 小学校のカラーテストで80点未満の子は、中学でオール3予備軍となる可能性が高い。
- 国語力の欠如
- 読解力や語彙力が乏しく、文章の意味を理解する力が不足している。
- 英語の長文読解や社会科の暗記・理解も苦手。
- 精神的な幼さ
- 学力と精神年齢には相関があり、幼い傾向がある生徒は集中力が持続せず、学力向上に課題がある。
- 自主学習の欠如
- 家庭での自主的な学習がほぼなく、塾や学校任せの勉強スタイル。
- 地頭(才能格差)の影響
- 地頭が相対的に低いため、努力しても学力が向上しづらい。
中学成績がオール3の現実
- 評定3が「普通」ではなく、「下位層を含む評価」であることを認識する必要がある。
- 学力向上には、特に国語力の底上げと自主学習の習慣化が重要。
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