中2生のお子さんをお持ちの親御さんの中には、こう感じている人も多いのではないでしょうか?
「中2になってから成績がやばい…」
「中2で成績が下がるんだけど…」
塾をやっていても、中2で成績が下がったというお問い合わせを非常によく受けます。
つまり、多くの保護者さんが中2の成績をやばいと感じているのでしょう。
ただ、中2で成績が下がるのには理由があります。保護者がまずすべきは、どうして成績が下がるのかということ。その上で、対処法を考えることです。
ここでアタフタしてすぐに転塾を…みたいなことをする人は大抵失敗しますので、まずは冷静に何が起こっているのかを分析してください。
本記事では、中2の成績がやばい&下がる理由を塾経営者目線で解説します。
【中2生の親】成績がやばい&下がると感じた時に知るべきこと
塾をやっていると自分自身も感じることですが、正直なところ中2で成績が下がる子は多いと思います。ただ、言い訳をするわけではないのですが、中2は成績が下がりやすい時期です。そして、成績がやばくなる理由も概ね分かります。
保護者さんはまず、中2の成績がやばい&下がる理由を客観的に知るとことから始めましょう。
中2で成績がやばいと感じる理由:中1の成績を基準にしているから
そもそも論、中2の成績を見て”やばい”と感じる保護者さんには共通項があります。
それは、「中1の成績を基準として中2の成績を見ていること」です。
その際、中1から塾に通っていて、その塾では中1の時にそれなりの成績が取れていたという場合はますます注意が必要です。こういうケースで考えられるのは、いよいよ子供の地頭に点数が近づき始めたということです。
正直、中1と中2では問題の難易度が全然異なります。中1に比べ、中2の勉強はグッと難しくなります。そのため、塾の対策によって上げられる点数幅が、昔に比べるとどうしたって少なくなります。
学習塾というのは、学年が下がれば下がるほど点数アップを起こしやすいです。なぜなら、学問の内容のレベルがそもそも低く、勉強量でゴリ押せば点数が上がってしまうからです。
しかし、問題の難易度が上がると、ゴリ押しで点数を上げることが難しくなります。本人の処理能力が低ければ、限られた時間の中で習得させられる知識やスキルがその分減ります。
当然ですが、その分は今までよりも点数ダウンという形で結果で帰ってきます。特に小学校から長く通っている塾生の保護者さんは、こういう現実をどこかで受け止めておく必要があります。
これは決してその塾の指導力が下がったのではなく、学問そのものが高度化し、その子の地頭では中々処理することが出来ないことが増えてきたというだけかもしれません。
そういう意味では、これまで通り学習塾は機能しています。中2で成績が下がったというより、今までが上手くいきすぎていただけってことです。
これは、他塾から転塾を検討される方にあるあるの話です。こういう時自分は、「その塾に残った方がいいですよ。」と正直にお伝えします。勉強時間が長くて、指導者がバイト講師でもなくプロ講師であるのなら、正直転塾して点数がドカンと上がるイメージが沸かないのです。
中2というタイミングは、本人のポテンシャルを客観的に測定する上で貴重なタイミングとも言えるのです。
中2の1学期と2学期を比較して下がった…と言っている場合
中2で最も成績がダウンしやすい時期は、「2学期」です。
正直なところ、中2の1学期ってまだそこまで点数ダウンするイメージがありません。それどことか、点数アップしやすい時期です。比較対象にもよりますが、仮に中1最後の学年末テストと比較するのであれば、中2の1学期のテストの方が高得点の子が多いです。
理由は、「単元的に簡単だから」です。
数学は計算問題しか出ません。英語も接続詞がちょっと出るだけ。理科が生物なら暗記するだけです。こういうテストは、ストレートに努力したらした分だけ結果で返ってきます。
しかし、中2の二学期はそうはいかない。
中2の二学期になると、数学が一気に難しくなります。1次関数がテスト範囲になる学校がほとんどですが、ここが最大の関門と言っても過言ではないです。塾講師を何年もやっていると、正直経験則レベルで分かってしまうことがあります。
それは「数学ができるかどうかって、1次関数ができるかどうかで概ね分かる」です。
正直、これまでの数学は結構力技で点数をとらせてあげられたのですが、1次関数になるとそうはいかなくなります。文章題を色んなバリュエーションで出せてしまう上、図形問題との融合も出来てしまう。
まあ、パターンと言えばパターンなのですが、文章題や図形に関してはそのパターンが多いです。それに、文章題なんて最初の設定いじればどれだけでも新キャラ問題が出せてしまいます。
こうなると、今までテスト対策を頑張って何とか点数を上げてきただけの生徒が駆逐されます。初見で読んで考えないといけない問題は、塾のゴリ押し対策では限界があるからです。
文章を読んで設定を正しく理解し、与えらている条件から必要な情報をゴールから逆算して効率よく使用するみたいな能力が求められます。こういうのって、鍛えようと思ってそう簡単に鍛えられる力じゃない。
だから、この時期のテストって努力不足で点数を落とすというより、才能不足で点数を落としてしまう子が多いです。これまで真面目にコツコツやってきただけのタイプの生徒は、この辺りで一度駆逐されます。
この辺からは、いよいよ才能が求められ始めてしまうからです。
そういう意味では、中2の二学期は我が子の素質を客観的に考えるいい時期です。ここでも点数が下がらない子は、根本的に頭がいい子です。
だから、これまでのテストも対策して点数を上げたとも言えるんだけど、その子の頭が良かったから点数も良かったよね?って話になるわけです。残酷ですが、地頭ってそういうことなのです。
なお、1次関数でつまづく子は、今後の数学でも高確率でつまづきます。入試問題などの実力問題になると、今まで取ったことのないような点数を叩き出すこともあり得ます。
ここから先の数学は、本当に能力も求められてしまうものです。
中2という時期の問題もある
もちろんですが、中2という時期の問題もあります。
どんな生徒でも、ほぼ間違えなく中2はダラけます。1年生の時のような謙虚さもないですし、中3のような緊張感もありません。
そういう意味では、学力が下がりやすい時期にも関わらず、気持ち的にも下がっているというのも一要因です。
【中2】成績がやばい&下がると感じた時の対処法まとめ
ここまでは、中2で成績がやばい&下がる理由について解説してきました。
ここからは、中2の成績でやばいと親御さんが感じたときの対処法をお伝えします。
子供の本当の能力を客観的に見つめ直す機会にする
中2のテストというのは、なんだかんだで「その子のポテンシャル」を測ることができるテストです。正直、小学校のテストや中1のテストは、まだまだ簡単です。そのため、しっかり勉強して、勉強時間の長い塾でゴリゴリ直前対策すれば点数を積み上げやすいです。
しかし、中2になると、同じ努力をしても点数が下がりやすいです。努力だけでは何ともならない問題がどうしても増えてきてしまうからです。
厳密には、本当に努力をしまくれば何とかなるのですが、そこまでの努力ができる生徒がいない(時間的にも厳しい)ので、どうしても能力格差が開いてしまうのです。
そういう意味では、今後の大学受験などもどうするなどを踏まえ、親御さんはお子さんの勉強への向き不向きを客観的に考えるいい機会とも言えます。これまで見えなかったとことが、中2になると見えてくるはずです。
この時期は、客観的に子供のことを観察することをまずは第一に考えて欲しいです。
中2生に多くを期待しない
保護者さんの多くは、中3になる前の中2のタイミングで、子供に何かしらの成果を求めてしまうものです。
しかし、お気持ちは分かりますが、その願いは恐ろしいぐらい叶わないとことを知っておきましょう。
先ほどもお伝えしたとおり、中2という時期は何もかもが中途半端です。この時期は、受験のことを意識させるにも早すぎます。
だから、「このまま受験生になったらやばい!」的な脅しもほとんど効きません。塾でも中2生に何とかして危機感を持たせようと、あの手この手で語りかけますが、中々伝わりません。
その瞬間は顔つき変わったかな?と思っても、また数日でいつも通り平叙運転に戻ります。だから、そもそもこの時期の中2に期待すること自体がナンセンスとも言えます。
諦めましょう!とまでは言いませんが、期待しすぎるとしんどいだけです。そして、親がイライラすると、家庭内で子供との関係が崩れ、勉強面でもさらなるマイナスが生まれるリスクも上がります。
正直、あなたのお子さんが本当にやる子であれば、中3の来るべきタイミングで子供は動き出します。それがいつなのかは誰にも分かりません。大人がコントロールできるものでもありません。ましてや、親御さんや我々が望む時期に頑張る保証なんてどこにもありません。
でも、子供が本気で頑張ることを信じて、ある程度は待ってあげるしかないんです。
「それでも子供が動かなかったらどうするんですか?」とたまに詰められますが、その時はその時。正直、そういう子もいるとしか言いようがありません。このことは以下の記事でも書いています。
ただ、待っていれば頑張ったかもしれない子供に対し、横槍を入れることでそのチャンスを奪うことが「悪」というのが自分の見解です。
※なお、中学生の通知表の成績に対する塾講師の忖度ない本音の厳しい評価は以下のとおりです。本当のことしか書いていないので、心臓の悪い方は読まないでください。
総括:【中2】成績やばいと親が感じた時に知るべき現実まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
中2で成績がやばい・下がる理由
- 中1の成績を基準にしている
- 中1に比べて中2の学習内容は難易度が高く、対策だけで点数を上げるのが難しい。
- 特に小学校から通塾している場合、これまでの成果が地頭の限界に近づいている可能性がある。
- 中2の1学期と2学期の比較
- 1学期は内容が比較的簡単で、努力が結果に反映されやすい。
- 2学期は数学の1次関数など難易度が上がり、才能や処理能力の差が出やすい。
- 特に文章題や図形問題は、初見で解く力が求められ、努力だけでは対応が難しい。
- 中2という時期の特性
- 中途半端な時期で、緊張感や新鮮味が薄いため、勉強へのモチベーションが下がりやすい。
- 学力が下がりやすいタイミングと気持ちの緩みが重なる。
中2で成績がやばいと感じた時の対処法
- 子供の能力を客観的に見つめ直す
- 中2のテストは、子供のポテンシャルを測る指標になる。
- 小学校や中1のテストに比べ、努力だけでは結果を出しにくいため、勉強の向き不向きを考える機会にする。
- 中2生に多くを期待しない
- 中2の時期は成果を求めすぎない方が良い。
- 緊張感のない時期であり、危機感を持たせるのも難しい。
- 子供が本気で取り組むタイミングを待ち、余計なプレッシャーをかけないことが大切。
保護者の心得
- 中2の成績下落を過度に心配せず、子供のペースを尊重する。
- 必要以上に介入することで、子供のモチベーションを損なわないように注意する。
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