中学生でテスト0点ということはあるのでしょうか?

正直なところ、テスト0点や0点に近い点数(1桁点)を取ってしまう生徒さんが一定数います…

近隣の中学のプロフィールには、テストの得点分布が開示されています。そこを見ると、0点〜9点のラインに1%〜2%程度の生徒がいます。学年で見ると、170人クラスで2〜3人ほど0点もしくは1桁点を取っている計算です。

なお、英語に関しては0点〜9点のラインに約6%程度の生徒が集まっています。170人クラスだと、10人ぐらいが1桁の点数です。ただ、このような得点を取ってしまう生徒の親は、一体どうすればいいのでしょうか?

本記事では、中学生テスト0点の時に親が考えることについて解説します。

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中学生でテスト0点の時に親が考えること

まず最初に、中学生の子供のテストが0点(もしくは0点に近い点数)であった時に、親が何を考えるべき・すべきかについて解説します。結構、辛い話もありますが、そういう子のためにも、できるだけ本音ベースでお伝えします。

まず最初に:発達障害(学習障害)の可能性を考える

今回のテーマの最大の答えにして、最も難しいのがこれ。

・発達障害(学習障害・境界知能)の可能性

この現実に、保護者さんがどれだけ真正面から向き合えるかという問題があります。

そもそも、テストの点数が極端に低い場合は、子供の努力不足を疑うのではなく、能力不足を疑う方が本来は理にかなっています。

昨今では医学がかなり進歩して、

・学習障害
・発達障害
・境界知能
・知的障害

といった言葉もかなり聞くようになりました。

昔は「勉強ができない=根性がない」レベルの精神論でしたが、昨今では医学によって科学的な分析がなされています。要するに、勉強が出来ない理由は「脳構造(IQ)」にあるということです。

脳の中身についてはまだまだ未知数な部分も多く、医学といえ確定的なことは言えないのですが、昔から薄々みんな感じていたことが言語化される時代になりました。最近の研究では、知能検査をして、一定の数値を下回ったら〇〇障害や境界知能という診断をくだしています。

そして、学力下位層がこれらの検査を受けると、高確率でIQ値が中央値を下回っています。勉強が出来ない理由の大半は、正直ここでは?と思っても何ら不思議ではありません。

なお、知的障害や境界知能に関しては概ね割合が分かってます。

一般的に、IQ85〜115のラインが平均的な知能とされています。

一方、IQ70以下は知的障害、IQ70〜85(平均的知能と知的障害の間)の人を境界知能と読んでいます。なお、知的障害は人口の約2%、境界知能は人口の約14%います。

この数字を学年の人口に当てはめても、同一学年の中で約16%は知的障害か境界知能ということになります。

テストの点数が1桁になる子の割合って、学年の約1〜2%です。これは、知的障害の割合と概ね重なる数値です。また、テストの点数が30点以下の子の割合ですが、7%〜15%程度はいます。境界知能の割合にかなり近いです。

もちろん、IQ値がそのままペーパーテストの成績を決めるわけではないですが、確実に相関関係はあるでしょう。理解力・読解力・記憶力などは、本人の地頭をベースにしているのですから。

こう考えた時、子供のテストの点数が30点以下であれば、そもそも境界知能の可能性を疑うのが数字上は合理的と言えます。

厳しいですが、保護者さんはこの現実を出発的にしないと、問題解決から永遠に遠のきます。まずは「知能検査に行くこと」が実は問題解決の第一歩です。

評定(内申点)と行ける高校について

0点もしくは0点に近い点数を取ると、学校の評定はどうなるのでしょうか?

この場合、

・評定2
・評定1


のどちらかがついてしまう可能性が高いです。正直、評定1は本当に根っこに問題のある生徒にしか最近ではつきません。(※不登校の子にはつきます。)

ただし、評定1を回避できても、この点だと評定2は回避できない。つまり、中学の評定における事実上の最低ライン「評定3」に載せられません。こうなると、公立高校への進学はかなり厳しくなります。

オール2だと、公立はもちろんのこと、私立の推薦入試にも悪影響です。評定が低すぎて、推薦がもらえる学校もかなり限定的になるからです。この場合、専門学校や定時制などが進学先のメイン候補になります。

学習塾をどうするかについて

次に、学習塾経営者の立場から、学習塾をどうするのかについて見解を述べさせてください。

学習塾を検討する場合は、

・知的障害があるのかどうか
・境界知能に分類されるのかどうか


この辺りの現実が、議論の出発点となります。

正直、知的障害や境界知能の生徒は、学習塾に来てもほとんど点数が上がりません。勉強のテクニックなどの問題を潰しても、根本的なIQの問題が大きすぎて、方法論はほとんど無効化されてしまうからです。

もちろん、今より少しだけ良くすることはできます。勉強はトレーニングで上がる部分もあるので、その分は点数アップするでしょう。しかし、10点の子が25点になるとかそういうイメージです。

これで満足いくのであれば塾通いに意味はありますが、満足できないなら塾通いをすべきではありません。これは塾側の問題ではなく、そもそもの出発点が「境界知能」にあるからです。

境界知能の検査をせずに塾に行かす場合の注意点

正直なところ、学習塾をしていると、こう思うことがあります。

・この子、学習障害か境界知能では?

こういう瞬間に直面している塾講師の先生方は、決して少なくありません。この子達は、基礎基本的な内容を教えても、本当に頭に入りません。理解力も同年代と比較して明らかに低く、やった内容もすぐに忘却します。

「お前の教え方が悪い」と批判していただくのはもちろん結構です。もし本当に課題がそこにあるなら、とにかく分かりやすい先生に当たるまで転塾してください。

あるいは、全国的に見て分かりやすさNO.1の講師陣が運営している映像コンテンツを見せてあげてください。それで理解できるなら、最初の指導者がハズレだったのでしょう。

しかし、それでも理解できないのであれば、今度は何のせいにしますか?

正直、その辺のアルバイト講師でもない限り、学習塾の先生は教えるという点に関してはピカイチの腕を持っています。それで飯食ってるんですから、当たり前です。そのため、講師の教え方が悪いという可能性よりも、その子の地頭(IQ)に課題が大きい方に仮説を持つ方が本来は自然です。

もちろん、そうならないのは「認めたくないという感情」であることも重々分かってます。しかし、「境界知能ではない平均的な子供」を前提として話を進められてしまうと、塾側も「ん??」とモヤモヤした状態になります。

当然ですが、保護者から無理難題を押し付けられてしまい、高確率で最後は退塾になります。(※だから、入塾テストをして最初に落としてしまう塾もあります。)

こうならないためにも、本来は最初に境界知能の検査を受けて、平均的な知能は有している証明をして欲しいのですが、それを塾側からお願いすることはできませんよね。だからこそ、いろんな悲劇を避けるためにも、保護者さんには知能検査をお願いしたいというのが塾の本音です。

ただ、知能検査をして真実を知りたくないというお気持ちも分かります。その場合は、検査はしなくてもいいので、結果が出ないことに対してはある程度受け入れて欲しいです。

塾側も「本当は境界知能だから点数が上がらないのでは?」と思っていても、それを口にできないので「頑張りましょう!」と前向きに言っているわけです。

それにも関わらず、「なぜ成績が上がらないんですか?」的なノリで来られると、かなり複雑な気持ちになります。

この場合は、お互いに境界知能であることを薄々気づいているのだが、決してそれを言わない約束です。だからこそ、結果に対しては、少しでも上がったら褒めてあげるぐらいにしておくしかない。

ここで、結果をゴリゴリ求める人は、学習塾に行くと不幸になるだけなので辞めた方がいいです。

中学生でテスト0点の場合の注意点

ここまでは、中学生でテスト0点の子供に対して、親が考えるべきことをお伝えしてきました。ここからは、塾経営者からみたテスト0点の時の注意点について補足説明をしていきます。

数学は0点近い点数になる子が多い

仮に学習障害や境界知能でないとしても、教科として0点に近い点数になりやすい教科があります。

それが、ダントツで「数学」です。

数学は、他の教科と比較しても1桁の点数の生徒の割合が大きいです。また、30点以下の生徒の割合も大きい…

理由はシンプルで、他教科に比べて数学という教科の難易度がそもそも高いから。だから、文系科目は別に全然出来るんだけど、数学だけは本当に無理って子がいないわけではない。

この場合は、境界知能かどうかよく分からないな〜と思ったりします。

ただ、数学は向き不向きがハッキリ分かれる教科であることは事実。訓練によって上がる点数もありますが、極端に苦手だとそれすら上手くいかないこともあります。

英語は全体的に得点が低い:できない原因の解明が難しい

次に英語。

英語に関しても、数学同様に二極化が生じやすい科目です。出来る子はめちゃくちゃ出来るけど、出来ない子は本当に出来ないです。ただ、数学が出来ない理由は遺伝要因(向き不向き)が大きいのですが、英語に関しては必ずしもそうは言えません。

英語は積み上げ教科なので、前の学年や前の学期で習ったことが分かっていないと、完全に点数が詰んでしまいます。要するに、積み上げがないから点数が取れていない可能性があります。

ただし、極端に点数が低い子は、そもそも理解力や記憶力、国語的な読解力が不足していることが原因でできていない可能性もあります。その場合は、積み上げの問題というより、やはり本人のスペック(IQ)に原因があることが多い。

最初から塾などに通っていて英文法を教えてもらっているのに積み上がっていない…とかになってしまうと、境界知能や知的障害の可能性が高くなります。

※なお、中学生の通知表の成績に対する塾講師の忖度ない本音の厳しい評価は以下のとおりです。本当のことしか書いていないので、心臓の悪い方は読まないでください。

総括:中学生テスト0点の時に親が考えることまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

中学生でテスト0点を取った場合の状況と対応

  • 中学生の中にはテストで0点や1桁点を取る生徒が一定数いる。
  • 英語や数学など特定の科目で極端に低い得点になることが多い。

親が考えるべきこと

  • 子供の努力不足だけでなく、発達障害や学習障害、境界知能の可能性を疑う。
  • 学力の問題が知能(IQ)に起因している場合があるため、知能検査を受けることを検討。

発達障害や境界知能の現状

  • 境界知能は人口の約14%、知的障害は約2%存在する。
  • テストの点数が極端に低い場合、境界知能や学習障害が原因である可能性が高い。

評定(内申点)と高校進学への影響

  • テスト0点に近い場合、評定1や2がつく可能性が高い。
  • 評定が低いと公立高校進学や私立高校の推薦入試に不利になる。
  • 進学先として専門学校や定時制高校が候補となる。

学習塾の利用に関する注意点

  • 知的障害や境界知能がある場合、塾での成績向上は大きく望めない。
  • 境界知能を疑う場合、学習塾ではなく専門的な支援を検討するのが望ましい。

数学と英語が苦手な生徒の傾向

  • 数学は向き不向きが分かれる教科で、極端に苦手な生徒は訓練による成績向上が難しい場合もある。
  • 英語は積み上げ教科であり、過去の学習内容が理解できていないと点数が伸びない。
  • 英語の得点が低い場合、理解力や記憶力、国語的読解力の不足が原因である可能性も。

結論

  • 子供の低得点の背景にある原因を正しく理解し、適切な対応を取ることが大切。
  • 知能検査や専門的な支援を利用することで、学習のつまずきを克服する手助けができる。

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市販教材でおすすめ教材を知りたい人には、以下におすすめ参考書・問題集をまとめた記事を掲載しておきます。

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