中学生の通知表3という評価は、本当に奥が深いです。
今回は釣りタイトルっぽくしてみましたが、決して誇張表現ではなく割と現実的な話です。
・通知表3は救える生徒と救えない生徒に完全に二極化してる
これが今回のテーマです。
正直ちょっと現実に踏み込み過ぎているので、あまり真実を知りたくない人や、子供の勉強に無限の可能性を感じていたい方はここで読むのをやめてください。
【中学生】通知表に3がつく生徒は細かく分けると3パターン
まず最初に、保護者さんは中学の通知表で3がつくことの意味をきちんと把握しておく必要があります。そのためにはまず、実際のデータで客観的に現実を知ることが出発点です。
通知表3は学年の約50%
まず大前提押さえて欲しいのは、「通知表の3=真ん中」ではないということです。
東京都がデータを出していますが、通知表の段階別の内訳は概ね以下のようになっています。
・評定5:全体の約12%
・評定4:全体の約24%
・評定3:全体の約47%
・評定2:全体の約14%
・評定1:全体の約4%
これが現実的な内訳であり、通知表3は実に学年の中で半分程度はいると想定されます。
なお、通知表の4と5の生徒が上30%〜35%程度いるので、通知表3は学年全体の上位35%ぐらいに入り込めなかった生徒に順番的に割り振られることになります。
そして恐ろしいのは、2以下になる生徒は全体でも約20%程度しかいないので、通知表3になる生徒は「学年35%〜80%」に収まっている事になり実に幅広いことが分かります。
だから当然ですが、同じ通知表3でも4に近い3の生徒もいればギリギリ2を回避した3の生徒もいて実にピンキリであることが分かります。だから親御さんが見るべきポイントは、「うちの子の3は4に近い3なのか、順当に3なのか、2に近い3なのか」という視点です。
4に近い3の生徒
通知表3の中でも1軍に分類される生徒が、4に近い3の生徒です。
この層の生徒は、定期テストなどで大体70点ちょいとかになる生徒をイメージするといいと思います。大体75点以上で4が付くことが多いので、ギリ4の水準に乗せられなかった生徒です。
後少しで4なので、正直かわいそうと言えばかわいそうですが、どこかで線引きしないと評価にならないので、後一歩のラインを越えられなかったと評価してあげるべきです。
あとは、テスト的に75点以上とかあっても、提出物や普段の授業態度などで減点されて4になっていないケースもあります。テスト90点以上とか取れば点数だけでも4以上になることが多いですが、公立中学校はどこまで行っても態度を見て評定を出します。
だから逆に、テストの点数が70点ぐらいでも、普段の見せ方が良くて4になっている生徒もいます。俗に言う「内申美人タイプ」です。
順当に3がついている生徒
次に、どっからどう見ても3でしょって生徒。
この生徒は、平均点は取れているって感じです。60点平均のテストだと、ピッタリ60点とかちょい60割るか、ちょい超えるかそんな感じです。
だから、あと一歩で4って感じでもないし、かと言ってギリギリ2を回避したわけでもない。本当にクラスの中でもど真ん中にいる感じの子です。良くもないし悪くもない的な感じです。
でも、そんな生徒でも実情は激ヤバです。その理由は、昨今行われた学力調査のクソ簡単な問題すらも評定3以下の生徒は出来ないからです。
なんとか2を回避して3になった生徒
最後は、昨今の相対評価だから2を回避できただけで、従来の絶対評価であれば確実に2がついている生徒です。
この生徒は、定期テストだと40点台or40点以下になります。正直、中学内容の理解など全くできておらず、批判を覚悟で言えば終わっています。
おそらくですが小学校の勉強すらロクにできず、小学校の国語の文章題をやらせても酷い結果になります。根本的な勉強適性(地頭)が低すぎて、中学レベルだと本人の処理能力を超えてしまっているのでしょう。
しかし、相対評価では提出物を真面目に出し、授業をちゃんと受けていればそんな生徒でも3がつきます。
この場合の3は、「純粋な学力だけで評価すれば2だけど、普段の取り組みはしっかりしてるから、人間的には問題ないです。だから3にしてあげるね。」というだけのこと。
学力的には完全に2であると言うのが最大のポイントです。
なお、定期テストの得点が20点台でも3がついていた生徒も過去にいて(※おそらく「境界知能」)、そんな子でも3でした。これが公立中学校の通知表3の現実です。
【中学生】通知表3で救える生徒:4に近い3の生徒だけ
ここからは、通知表で3で返ってきた生徒の対処法について書いていきます。かなり厳しいことも書くので、やはり現実を知りたくない人はここでブラウザバックしてください。
4に近い3の生徒は勤勉性さえあれば救える
定期テストで70点とか取れていたのに3になってしまった生徒さん。
この生徒さんは、本当にまだ救えると思っています。
ただし見極めるポイントがあって、「どのくらい余白を残しているか?」ってのが結構カギです。
例えば、フルMAXで勉強時間を確保して、ワークも擦れるほどやって、テスト前日も直前まで見直して…的な対策で70点止まりだと、ちょっと思うところがあります。
なぜなら、通知表の3と4の間には後述する「思考習慣の壁」があるからです。あとはシンプルに、努力量でこれ以上押せないって言う手詰まり感は否定できない。
しかし、ゆるゆるの個別指導に通っていただけの生徒や、直前に焦って学校のワーク1周回してほどほどに勉強して70点止まり的な子もいますよね?
こう言うタイプは、「勉強時間の長い塾(特に直前の対策に異常に力を入れている塾)」に通うだけでも3が4になったりします。この層は、シンプルに最後の一押しが足らないだけです。
だから、ワークを1周じゃなくて3周やらせたり、直前に塾ワークなど別問題集で演習の角度変えさせたり、一人ではしつこくやらないであろう暗記テストをやらせたりすれば結構伸びます。
うちのように、テスト前10日ぐらいは毎日通塾にし、土日は8時間拘束しちゃう系の塾に放り込むことをおすすめします。
2に近い3は救えない
ここからは、塾としてはあまり言いたくないことですが、現実なのではっきり言います。
正直、通知表3の生徒はほとんど救済不可です。ここで言う救済とは、通知表の3を4に上げることです。(※高校受験において3は最低水準なので、加点要素があるのは4以上だからです。)
まず大前提、2に近い3の生徒は99.9999999%無理です。
そもそもこの層は、3ではなく2です。だから、2の生徒を4に持っていくと言うことなので、それはもう絶望的なチャレンジです。
そもそも4とは学年でも上位35%程度でつけてもらえる水準であり、3の下位群は学年全体の下位60%〜80%に位置する生徒です。つまりその層を4に上げるとなると、25%〜45%程度の生徒をごぼう抜きさせる必要があります。
公立高校の1学年の人口が150人としても、40人〜70人程度は自分の上にいる生徒を追い抜いてなんとか4がつくかどうかの勝負ライン。これが都心部とかになると塾通いはデフォだし、あまり環境面の差がつかない。
しかも、通知表で2がつく生徒の大半は、学業面はもちろんのこと、人間性も同時に壊滅しているケースが少なくない。
・嫌なことがあると逃げる
・嘘をついて誤魔化す
・正論は受け入れない
・努力の当たり前の水準が低い
など、少なくとも学習塾の中では到底変えることの出来ない根っこの問題もあり、それらを同時に越えさせないと勉強面だけ良くなるなんてことは正直ない。ゆえに、学習塾ではこの生徒は通常は”手術適用外(根治不可)”です。
ど真ん中の3の生徒で救済できる生徒
ちなみに、ど真ん中の3になるタイプはどうか?
定期テストだと60点とかは越えてくれるんだけど、80点までの距離が結構遠いんだよね…ってケースの子です。
まずこのケースですが、今現在ウチのような直前の対策で力押しするタイプの塾に通わせていないのであれば、可能性は残っていると思います。まだ少しだけ物量で押し上げられる点数の余白を感じるからです。
逆に言うと、ウチのようにテスト前に10日とか通塾させて、時間いっぱい指導してワークも見直す時間とって再試して…とかやってようやく60点とかになるタイプは多分キツいです。
こう言う生徒の保護者さんは、「勉強時間は長いけど、やり方や効率が悪いから、ただ時間だけを過ごしているんじゃ…」とすぐに思いますが、問題の本質はそこではありません。
この子達の根本的な課題はね、「頭を使いながら時間を過ごしていない」という部分にあります。
そもそも、勉強のやり方に特殊な裏技なんてありません。そんな技ごときで点数が上がるなら全塾が導入してるし、学校だって予算つけて導入しないのはおかしい。逆に言えば、そんな魔法の方法は存在していないと言うこと。
結局勉強というのは、
①覚えるべき知識を覚える(暗記)
②出来なかった問題を出来るようにする(理解)
のどちらか2つをクリアした時しか点数アップに繋がらず、それ以外の勉強時間は点数アップに貢献しません。
だからそういう意味では、勉強時間の長い塾に通っても時間の使い方が悪いから成績が伸びないという指摘は正しいとも言えます。
ただ、正しい時間の使い方って何?って話。
その答えが、「考えながら時間を過ごしているか」ってことです。ここに、同じ時間を使い、同じように勉強させても、なぜか生徒間で恐ろしい点数差が開いてしまうカラクリの本質があります。
例えば社会のワークを覚えさせる瞬間の勉強を見ていても、上位層は「なぜそうなったか?」を意識的か無意識的かは分からないものの、考えながら暗記しています。
・源頼朝はなぜ鎌倉幕府を開いたの?
・わざわざ平城京から平安京に遷都したのはなぜ?
とか、用語を暗記する時間の中で、きちんとフローを意識してくれます。
一方、中間層だと、理由もなくクソ暗記します。すぐに赤シートで隠して用語だけをゴリゴリ覚えようとします。
だから、源頼朝と鎌倉幕府って単語そのものは覚えてるけど、「源頼朝がなぜ鎌倉幕府を開いたの?」と不意打ちで質問すると撃沈します。思考を伴わないからです。
「じゃあそれを教えてあげたらいいじゃないですか?」
と要求する親御さんもいると思いますが、限界があるんですよ。
もし思考論点が「なぜ頼朝が鎌倉幕府を開いたのか?」だけなら、そこに絞って解説すればいいし、そもそもそれを暗記させれば済む話。
でも、勉強の思考論点なんて無数にあります。
同じ鎌倉時代だって、
・なぜ元寇がきっかけで鎌倉幕府が滅びたのか
・なぜ北条一族が実質的に幕府の実権を握ったのか
・義経と頼朝は兄弟なのになんで対立したのか
的な、因果関係的なものは無数にあって、それら全部を解説しろって話でしょうか?鎌倉時代だけじゃなくて江戸時代もあるし、そもそも歴史以外に地理も公民にも因果関係を伴う論点は無数にあります。もちろん、社会以外にも理科もあります。それらに存在するを全部の因果関係を塾で教えろってことでしょうか?
5億時間かかります。
そもそも地頭が悪くない子は、因果関係のないクソ暗記を本能的に嫌います。意味も分からずただ覚えるということが受け付けないのです。気持ち悪いんです。
だから、暗記時間をとってワークを覚えさせる時にも、ほぼ無意識に近い状態で因果関係を考えているし、読解力もあるのでワークをやるだけで因果関係が自然と掴めるってのもあります。
でも、中間層レベル以下だとこのフェイズにいかない。
なぜかと言えば、「普段から頭を使って生きていないから」です。正確に言うと、思考がしんどいから無意識に思考しないようにしているのです。
よって、思考して因果関係を捉えてスッキリするという快感よりも、思考することによる脳疲労を不快と判断し、無意識レベルで思考放棄をします。そして、因果関係など考えずに済む楽なクソ暗記(赤シートで隠すだけ)に逃げます。
ちなみにこの層がなぜ思考をしんどいと感じるかわかりますか?
それは、思考力が元々弱い脳の構造をしているからです。IQが根本的に高くなく、頭のいい人に比べて同じ思考をするとしても使用するエネルギーが膨大にかかるからです。
だからこの層は無意識に思考を放棄します。生存本能なのかもしれません。思考競技に根本的に不向きです。努力不足の問題ではなく、完全に能力不足です。もちろんそれは遺伝要因が大きいです。
しかしこうなると、勉強時間を増やしても点数が比例的に上がらず、どこかで打止めになります。その打ち止めラインが60点程度の平均点か、それよりちょい上ぐらいです。ひどいと50点とかもありえる。だから4にはならない。
これはもうね、生まれ持ってしての知能の差(脳の作りの差)が本当に大きいです。
そもそも上位層が無意識的に思考しているのに対し、中間層やそれ以下は相当なしんどさを許容して思考しないといけない時点で競技の難易度が違いすぎます。その上、仮に頑張って思考しようとしても、思考するスキルがない。
また、思考とは言語を紡ぐ行為です。だから大前提として知ってる言葉の量(語彙力)が必要です。その上で、知ってる語彙を組み合わせる論理性もいるわけで、それが地頭を定義する1つの要素です。
でも、中間層以下は知ってる言葉のストックがそもそも少ない。例えば、「平城京から平安京に”遷都”した」と書かれていても、”遷都”の意味が分からないとかね。
もちろん遷都なんて日常で使わない言葉ですよ。でも、話の流れと漢字の組み合わせ方を見ればおおよそ意味なんて推測できることです。しかし中間層以下は、そうやって推測するとかせずに今まで生きてきたからそれも無理。
これが思考放棄型の人間の最大の特徴とも言え、頭がいい子との間にある致命的な差です。
無意識レベルで行われていることに差がありすぎる。これが訓練の差ではないのです。
もちろんその差は塾で埋めようもないです。シンプルに脳構造の問題が大きすぎる。価値観の差とかもあるけど、その価値観を決めるのにIQが影響しまくるって話です。
ここが受け止められない親御さんが、「うちの子は勉強のやり方が分かっていないと思うんです」とおっしゃる傾向がありますが、勉強のやり方を教えても意味ないケースが大半です。
なぜなら正しい勉強法は「”考えながら”勉強する」ですが、賢くない子はそもそも考えることをしないです。だから方法論の問題にならない。シンプルに勉強適性が低い(IQが低い)ことが成績不信の根本にあるだけです。
総括:通知表3は救える生徒と救えない生徒に完全に二極化まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
通知表3の生徒の現実と分類
- 通知表3は全体の約47%:真ん中ではなく、学年の約35〜80%に該当する。
- 通知表3の生徒は3タイプに分かれる
- 4に近い3:定期テスト70点前後。提出物や態度次第で4に届かず。まだ救える。
- ど真ん中の3:60点前後。努力次第で伸びる可能性ありだが難しい層。
- 2に近い3:40点台以下。実質的に学力は2レベル。救済ほぼ不可能。
救える3の生徒の特徴と対策
- 4に近い3の子は努力次第で4が取れる
→ 勉強時間・やり込み不足を補えば通知表アップが可能。
→ テスト直前に集中的に通塾できる塾がおすすめ。
救えない3の生徒の実態
- 2に近い3は根本的に無理
→ 学年下位60〜80%で、上位35%に入るには数十人抜く必要がある。
→ 知識・思考力・人間性に課題あり、学習塾では手が出せない。
ど真ん中3の生徒は“思考習慣”がカギ
- 勉強時間をかけても点数が伸びない原因は“思考不足”
→ 「意味」や「理由」を考えず、単語暗記だけに逃げる傾向。
→ 本質はIQや語彙力など、地頭の差に起因。
※学習塾に通っていない場合は、塾用教材を使って勉強するのが効率的です。市販教材に比べて圧倒的に質が高くコスパもいいです。学習塾の先生の要望に応えた教材で、痒い所に手が届く良書ばかりです。本屋では買えないですが、Amazonなら購入可能なので、以下におすすめ教材をまとめておきます。
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