「戦国最強」と呼ばれた武将のひとり、武田信玄（たけだしんげん）。名前は聞いたことがあっても、「結局、何をした人なの？」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか？
実は、武田信玄は戦いだけでなく、国を豊かにするための政策や、人を大切にする考え方でも有名な武将です。
さらに、あの上杉謙信（うえすぎけんしん）と戦った「川中島の戦い」や、「風林火山（ふうりんかざん）」という戦の心得など、今でも語り継がれる伝説がたくさんあります。
この記事では、武田信玄がどんなことをしたのかを、塾長がわかりやすく解説します！これを読めば、武田信玄のすごさがバッチリ理解できるはずです。
武田信玄は何をした人？その生涯と功績を簡単に解説
まずは、武田信玄の生涯や、彼が何をしたのかを簡単に見ていきましょう！
武田信玄は戦国最強の戦国大名
武田信玄は、戦国時代（せんごくじだい）に甲斐（かい・現在の山梨県）を治めていた武将です。1536年、若干15歳で家督（かとく：家の跡取り）を継ぎました。そして、その後30年以上にわたって、強い武田家を作り上げていきました。
信玄が特にすごかったのは、戦の強さと、国を発展させる力の両方を持っていたことです。戦では、最強クラスの軍隊「武田騎馬隊（たけだきばたい）」を率いて数々の勝利をおさめました。一方で、農業を発展させたり、治水（ちすい）を整えたりと、人々の生活を豊かにする政策にも力を入れていました。
特に有名なのは、上杉謙信との「川中島の戦い」です。この戦いは、戦国時代の中でも最もドラマチックな戦いのひとつとされています。
なぜ「甲斐の虎」と呼ばれたか
武田信玄は、その勇猛さ（ゆうもうさ）と知略（ちりゃく）から「甲斐の虎」と呼ばれました。実は、彼はただの力押しの武将ではなく、頭を使って戦う天才だったのです。
例えば、信玄は「兵農分離（へいのうぶんり）」という制度を導入しました。これは、普段は農業をしている人々を、戦になると武士として戦わせる仕組みです。このおかげで、常に強い兵士を確保できました。
また、武田信玄の軍隊は「武田騎馬隊」としても有名です。騎馬隊は馬に乗って戦う兵士のことで、武田軍の機動力（きどうりょく）は戦国最強と言われています。さらに、信玄は「風林火山（ふうりんかざん）」という戦の心得を掲げ、これを実践していました。
風林火山：武田信玄が掲げた有名な戦略の意味
「風林火山」という言葉を聞いたことはありますか？これは、武田信玄が戦のときに使った戦略を表す言葉です。
中国の古い兵法書「孫子（そんし）」から取られたもので、次のような意味があります。
- 風のように素早く動け（疾（はや）きこと風のごとし）
- 林のように静かに待て（徐（しず）かなること林のごとし）
- 火のように激しく攻めろ（侵（おか）すこと火のごとし）
- 山のようにどっしり構えよ（動（うご）かざること山のごとし）
信玄は、この戦略を使いこなし、何度も勝利をおさめました。特に、「川中島の戦い」では、この「風林火山」の考え方が大いに活かされています。
川中島の戦いとは？上杉謙信との一騎打ちの真相
「川中島の戦い」は、武田信玄と上杉謙信が5回にわたって戦った戦いです。その中でも、特に有名なのが「第四次川中島の戦い」（1561年）です。
この戦いでは、上杉謙信が刀を持って、信玄の本陣（ほんじん・軍の指令所）に突撃したと言われています。そして、信玄は咄嗟に（とっさに）軍配（ぐんばい）でこれを防いだ、という伝説があります。
しかし、この一騎打ち（いっきうち）が本当にあったのかどうかは、今でも歴史の謎です。ただ、川中島の戦いが戦国時代屈指（くっし）の名勝負であったことは間違いありません。
武田信玄の死因は？なぜ隠されたのか？
武田信玄は1573年、53歳で亡くなりました。しかし、信玄の死はしばらくの間、家臣（かしん）たちによって隠されていました。
その理由は、「信玄が死んだと知られたら、敵に攻め込まれる可能性があったから」です。実際、彼の死が公になったのは、亡くなってから3年後のことでした。
死因には諸説ありますが、結核（けっかく）や胃がんだったのではないかと言われています。もし信玄がもう少し長く生きていたら、天下統一も夢ではなかったかもしれませんね。
武田信玄は何をした人：すごいところや有名エピソード
武田信玄は、ただの戦上手な武将ではなく、多くの人に影響を与える考えを持った人物でした。ここでは、信玄のすごいところをエピソードや名言とともに紹介します！
武田信玄が行った治水・経済政策
戦国武将というと、「戦で活躍した人」というイメージが強いですが、武田信玄は内政（国内の政治）にも非常に力を入れていました。特に有名なのが、「治水事業（ちすいじぎょう）」です。
信玄は、甲斐（現在の山梨県）を流れる川の氾濫を防ぐため、「信玄堤（しんげんづつみ）」という堤防（ていぼう）を作りました。これは、川の流れをコントロールし、大きな洪水を防ぐためのものです。おかげで、人々は安心して農業ができるようになり、国はどんどん豊かになっていきました。
また、信玄は「楽市楽座（らくいちらくざ）」という経済政策を導入しました。
これは、商人たちが自由に商売できる仕組みで、結果的に武田の領地に多くの商人が集まり、経済が発展しました。戦に強いだけでなく、国づくりもうまかったことが、信玄の大きな魅力のひとつです。
「人は城、人は石垣、人は堀」の意味
武田信玄は、家臣や領民（りょうみん・武田家の土地に住む人々）をとても大切にしていました。それを表す有名な名言が、「人は城（しろ）、人は石垣（いしがき）、人は堀（ほり）」です。
これは、「どんなに立派な城があっても、人がいなければ国は守れない。人こそが最大の財産だ」という意味です。信玄は、家臣や農民をしっかり守ることで、みんなが安心して働ける環境を作っていたのです。
また、信玄は家臣の意見をよく聞き、無駄な戦を避けることもありました。これによって、家臣たちは「この人についていけば大丈夫だ」と強く信じていたのです。これこそが、武田家の強さの秘密だったのかもしれませんね。
上杉謙信との関係！「義」の心を持った戦国武将
武田信玄のライバルといえば、上杉謙信（うえすぎけんしん）です。ふたりは「川中島の戦い」で何度も戦いましたが、実はとても不思議な関係だったのです。
有名なエピソードのひとつに、「塩の贈り物」があります。あるとき、武田家は敵対する今川家によって「塩を売ることを禁止される」というピンチに陥りました。塩は、当時とても大切なもので、なければ生きていけません。
それを知った上杉謙信は、「戦は戦場でするもの。こんなやり方で相手を苦しめるのは卑怯（ひきょう）だ」と考え、自分の領地から武田家に塩を送ったのです。これが「敵に塩を送る」という言葉のもとになったと言われています。
このエピソードからも分かるように、信玄と謙信は「ただの敵」ではなく、お互いを尊敬し合う関係だったのかもしれませんね。
信玄の死後：織田信長との戦い
武田信玄が亡くなった後、武田家は息子の武田勝頼（たけだかつより）が継ぎました。しかし、時代は大きく動き始めていました。新たな強敵、織田信長（おだのぶなが）が勢力を拡大していたのです。
1575年、勝頼は「長篠の戦い（ながしののたたかい）」で織田・徳川軍と戦いました。しかし、この戦いでは信長の「鉄砲（てっぽう）」が大きな役割を果たします。織田軍は3000丁もの鉄砲を用意し、武田騎馬隊を撃ち破ったのです。
この戦いの敗北が決定打となり、最終的に1582年、武田家は滅亡しました。
もし武田信玄が生きていたら、戦国時代の歴史は大きく変わっていたかもしれませんね。
現代にも通じる信玄の教え！ビジネスや人生に役立つ名言集
武田信玄の言葉には、現代にも役立つ教えがたくさんあります。最後に、信玄の有名な名言をいくつか紹介します！
- 「勝負は時の運」
→どんなに努力しても、運が関係することもある。だからこそ、常に準備をしておくことが大切！ - 「為せば成る（なせばなる）」
→やればできる！強い意志を持って努力すれば、どんなことでも成し遂げられる。 - 「人は城、人は石垣、人は堀」
→お金や物よりも、周りの人を大切にすることが何よりも大事。 - 「風林火山」
→冷静に考え、素早く行動し、チャンスを逃さず、最後まで動じないことが勝利の秘訣！
信玄の言葉は、今の時代にも応用できるものばかりですね。
総括：武田信玄は何をした人か簡単に解説まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 戦国最強の武将の一人
- 甲斐（現在の山梨県）を治め、最強の軍隊「武田騎馬隊」を率いた。
- 戦略家としても優れ、「風林火山」を掲げて戦に臨んだ。
- 「甲斐の虎」と呼ばれた理由
- 勇猛さと知略を兼ね備えた名将だった。
- 兵農分離を取り入れ、強力な軍隊を維持した。
- 「風林火山」の戦略
- 風のように速く、林のように静かに、火のように激しく、山のように動じない戦略を実践。
- 戦の際に非常に効果的だった。
- 上杉謙信との「川中島の戦い」
- 上杉謙信と5度にわたり戦った。
- 第四次川中島の戦いでは、信玄と謙信の一騎打ちの伝説が残る。
- 国内政策にも尽力
- 「信玄堤」を築き、治水を行い、洪水を防いだ。
- 「楽市楽座」を導入し、経済を発展させた。
- 「人は城、人は石垣、人は堀」の精神
- 人を最も大切にする考えを持ち、家臣や領民を守った。
- 家臣の意見をよく聞き、信頼される統治を行った。
- 上杉謙信との意外な関係
- 「敵に塩を送る」の由来となるエピソードがある。
- お互いを尊敬し合う関係にあった。
- 死後の武田家と織田信長との戦い
- 息子・武田勝頼が継いだが、織田信長の鉄砲戦術に敗れた。
- 1582年に武田家は滅亡した。
- 現代にも通じる武田信玄の教え
- 「勝負は時の運」：運も大切、準備を怠らないことが重要。
- 「為せば成る」：やればできる、努力が成功につながる。
- 「風林火山」：冷静な判断と素早い行動が成功の鍵。
- 「人は城、人は石垣、人は堀」：人を大切にすることが何よりも大事。