兵庫県の公立高校受験の内申制度が「不公平すぎる」とは昔から言われていることです。

内申点比重が高い上に副教科に加重をかけ、内申美人を明らかに優遇するような制度設計になっているからです。毎年、不満が出まくっているのが現実です。

そして先日、芦屋市の市長がXで兵庫県の公立入試制度を改革すべきであると言及し始めました。県内の市町村の組長レベルでこのような問題提起がなされるのは中々に興味深いです。

この投稿には、兵庫県で塾講師をしている方々のリプもなされていました。現場からも、この不公平すぎる制度を改革してほしいと切実な声が聞こえてくり始末です。

しかし、兵庫県の公立高校入試における内申制度はなぜここまで”不公平”と言われるのでしょうか?

本記事では、兵庫県公立高校入試の内申制度が不公平と言われる理由&対処法を兵庫県で塾長をしている立場から解説します。

兵庫県公立高校入試の内申制度が不公平すぎる理由3選

ハッキリ言います。兵庫県の内申制度に関しては、不公平極まりないゴミ制度です。今すぐに変えるべきです。

ここでは、兵庫県の現場で中学生の指導をしている現役塾長の立場からその問題点を解説します。

不公平な理由①:副教科の評定を過剰評価する仕組み

兵庫県の内申点は、合計250点満点です。そして、主教科は×4倍、副教科は×7.5倍して合算する仕組みになっています。

しかしこれだと、仮に評定の「4」の数が同じでも、本番入試で加味される内申点には大きな差が開くことになります。

例えば主教科に4が4個で残り全部3の生徒は、内申点が166点になります。しかし、主教科オール3で副教科に4が4個の子の内申点は180点になります。

この2人の内申点の差は14点しかないように見えますが、本番の入試でその穴を埋めようとすると本番のペーパーテストで約30点の点の差をつけないと追いつかない計算になります。

こうなると、偏差値で見た時に3ポイントぐらい差が開くことになります。第一学区だと、六アイと県芦の偏差値の差に相当します。つまり、志望校が全く変わってくるのです。

なお、兵庫入試はかなり難しく、本番で30点以上の得点差を同等の偏差値帯の子につけさせるのは至難の業です。つまり、内申がない場合は基本的に志望校を下げるしかなります。

進学校はさらに学問を発展的に学ぶ場であり、基本的には主教科の成績がいい子が偏差値の高い高校に進学するのが健全です。しかし、兵庫入試の仕組みだと、副教科が出来る子が進学校に進めてしまうことになります。

そして、主教科の点数が良くても副教科の内申点が低い子は公立高校のランクを下げて受験校を選ぶ必要が出て来てしまうのです。

この点が兵庫入試における最も不公平なポイントと言えるでしょう。

不公平な理由②:中学校ごとに内申点の取りやすさが違いすぎ

兵庫式の内申の仕組みが不公平だと言える理由2つ目は、「学校間の格差」です。これは、兵庫県に限った話ではありませんが。

簡単に言うと、内申点が取りやすい中学校と取りずらい中学校があります。しかもこれ、道路を挟んで北に位置するか、南に位置するかレベルで変わってきます。

自塾は基本的に2つの中学を対象にしていますが、内申点の取りやすさが違いすぎます。

A中学校は全体的に賢い子が多く集まりやすい地域で、B中学校はその逆です。つまり、同じだけ成績アップをしてもA中学校の生徒は内申点が上がりづらいのです。

内申点は、絶対評価になったとは言え、4以上の評定は相対評価のようなものです。5がつくのは上位約10%、4がつくのはその下25%ぐらいです。

こうなると、全体的に学力が低い中学校に通った方が4や5が取りやすくなります。そして、それがそのまま受験結果を左右することになってしまいます。

こんな「場所ガチャ」を公立受験で認めていいのか?と言う問題です。

また、学校(先生)によって評価の仕方がバラバラなのも異常です。

例えばA中学校の美術はテストをせずに実技だけで内申を決めます。一方でB中学校はペーパーテストも加味して内申を決めます。

A中学校は絵が上手じゃないと4以上が取れません。B中学校は絵が下手でもペーパーテスト頑張れば5がついたりします。

なんですか、このクソ制度は?ブチギレたくなったことが何度もあります。

不公平な理由③:結局「女子生徒に有利な制度」になっている

最後は、言おうか迷いましたが、事実そうなので言います。

兵庫県の内申制度だと、公立高校入試は女子生徒に有利な仕組みになっています。あまり主語を大きくして反論を受けたくありませんが、実際その傾向は顕著です。

公立高校の進学実績全体を見ても、どう言うわけか女子生徒の方が多い。それも露骨にです。自塾の対象としているA中学だと、公立高校へのの進学実績を比較した際「男子42人:女子60人」です。毎年こんな感じです。

正直、内申点という仕組みを使えば、どう考えたって女子の方が評定は高くなるでしょう。塾の現場にいても、内申点という制度の上で評価させられるなら、絶対に女子を評価しちゃいます。

そのぐらい、男子生徒はいい加減で幼く、見栄えが悪い。そりゃ内申低いよね…と納得せざるを得ないです。

もちろん男子が幼いのが悪いのですが、男子生徒なんて生物的にそう言うものでしょう。女性の方が基本的には早熟で、精神的に落ち着くのも早いのですから。

多様性のつもりで内申制度を採用するのはいいが、結果的に女子優遇の仕組みになってしまっているのが問題なのです。

兵庫県公立高校入試教科別対策法の全ては以下のとおりです。

兵庫県の内申点制度が不公平すぎる!現実的な対処法

兵庫県の内申制度はどう考えても不公平極まりないです。もうそれはみんなが思っていることです。

しかし、今あるものの中で戦うしかないので、文句ばかり言っても前に進めません。ここからは、兵庫の内申制度という動かせない定数を考慮した上で、現実的な対処法について書いていきます。

精神年齢の低い男子は中学校受験も検討する

精神年齢が低いけど、そこそこ賢い男子生徒っています。正直、このタイプの男子生徒が兵庫入試の最大の被害者予備軍です。

彼らは、中学に入ってそこそこ点数は取れます。しかし、案の定内申点がつかないです。しかも、決まって副教科の内申点が取れない。

こう言う男子生徒、毎年必ず現れます。

この層は、勉強が苦手ではないです。でも、内申点のせいでランクを下げて公立高校に行くしかなくなる。

これを避けたいのなら、中学校受験をさせて早めに”利確”しておくのが1つの手です。

提出物やレポート関連は全て親が徹底管理する

男子生徒の内申点がつきづらい理由の1つが「提出物」です。

いい加減な男子生徒は、まあ提出物が無茶苦茶です。期限は平気で守りません。ワークの丸つけをせずに提出するのは当たり前です。

レポートも“どう考えても手を抜いただろ?”ってクオリティで提出します。

これで内申を上げてくれってのは流石に無理です。しかし、この手の生徒は子供任せにして治ることはまずありません。生き方の問題なので。

だから、親が徹底的に管理するしかない。それしかない。

もちろん、親がそんな管理をしなければいけない子ってどうなの?と言うのはごもっとも。だけど、そう育てたのは他でもなくあなた。

もちろん遺伝的な要因もあるのでしょうが…

いずれにせよ、自業自得と思うしかないのではないでしょう。少なくとも、子供任せにすると高校受験は詰みます。

究極は気にしなくてもいい

兵庫の入試制度は確かに理不尽です。そして、理不尽な内申制度のせいで進路という名の人生に大きな影響を受けます。

しかし、所詮は高校入試レベルの話とも言えます。

海外の研究結果では、最終的には人はその人の能力に集約されると言われています。

だから、高校生が浪人して1つ上の大学に行こうが、受験に失敗して滑り止めの大学に行こうが、能力が同じならその先のゴールってそんなに変わらないみたいな。

もちろん、そんな話で納得できるか!という反論も分かります。

しかし、大学ですら上記のような議論がなされる以上、高校受験なんてますますそんなものでは?とも思うわけです。

なんなら、内申美人な状態で上位校に進学しても、その後の大学進学先がパッとしない子めちゃくちゃ多いです。特に兵庫県の公立高校はね。

こんな受験制度を採用するからです。

これは持論ですが、「再現性のない成功体験ほど身を滅ぼすものはない」ですよ。少なくとも内申美人で高校受験をハックしても、大学受験の特に難関国公立はそうはいかないわけなので。

結局、なるようになるって話で、それは己の能力にいずれは集約するってことではないでしょうか?

総括:兵庫県の内申点制度が不公平すぎる理由まとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

兵庫県の内申点制度が不公平すぎる理由3選

  1. 副教科の評定を過剰評価する仕組み
    • 内申点は主教科×4、副教科×7.5で計算され、副教科の内申が高い生徒が優遇される。
    • 主教科で高成績でも、副教科が低いと志望校ランクを下げざるを得ない。
    • 進学校への進学が、副教科が得意な生徒に偏りがち。
  2. 中学校ごとに内申点の取りやすさが違う
    • 学力レベルが低い中学校の方が4や5の内申を取りやすい。
    • 学校や先生の評価基準が異なり、例えば美術ではA中学は実技重視、B中学はペーパーテストも加味するなど、評価方法にばらつきがある。
    • 地域間の「場所ガチャ」による格差が生じている。
  3. 女子生徒に有利な制度
    • 内申点を女子生徒が取りやすい傾向があり、公立高校の進学実績でも女子が男子を上回る。
    • 男子生徒は精神年齢が幼く、提出物の管理が杜撰などの理由で内申点が低くなりがち。

現実的な対処法

  1. 中学校受験を検討
    • 精神年齢が低いが勉強は得意な男子生徒は、中学校受験をして早期に公立高校受験を回避するのも手段の一つ。
  2. 提出物やレポートの徹底管理
    • 提出物を期限内に出し、丸つけなどの基本を守るだけで内申点が向上する可能性がある。
    • 子供任せにせず、親が徹底的にサポートする。
  3. 内申点を気にしすぎない
    • 高校受験は重要だが、最終的には本人の能力に依存するという研究結果もある。
    • 高校進学後の大学受験での挽回も可能と捉える。

※学習塾に通っていない場合は、塾用教材を使って勉強するのが効率的です。市販教材に比べて圧倒的に質が高くコスパもいいです。学習塾の先生の要望に応えた教材で、痒い所に手が届く良書ばかりです。本屋では買えないですが、Amazonなら購入可能なので、以下におすすめ教材をまとめておきます。

市販教材でおすすめ教材を知りたい人には、以下におすすめ参考書・問題集をまとめた記事を掲載しておきます。

※高校受験おすすめコラムは以下の通りです。

・【高校受験】親ができること厳選3個紹介!後悔しない子供への接し方

・【高校受験】勉強するのが遅すぎた!手遅れになる子の特徴を解説

・中3からでも間に合う内申の上げ方や裏技が大嘘である理由と現実

・【高校受験】内申足りないから諦めるべきケース!逆転が厳しい場合

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