中学生が志望校を考える際、「公立高校にするか私立高校にするか」を考えることになるます。

そうなると、公立高校と私立高校の違いって何?と比較したくなるものです。

特に保護者は、「ウチの子は公立と私立どっちが向いてるの?」と悩み、我が子に少しでもいい選択をさせてあげたいと情報収集を始めます。

しかし、公立高校と私立高校の違いを比較した先に、納得のいく高校選びの答えなんてありません。

あえて大きなことを言えば、公立高校と私立高校の違いを比較しても無駄です。

本記事では、公立高校と私立高校の違いを比較した上で、公立私立といった区分を超えた高校選びで重要なポイントをお伝えしていきます。

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公立高校と私立高校の違い!比較ポイントまとめ

まず最初に、塾講師の立場から公立高校と私立高校の比較ポイントをまとめてみました。

色んな意見はあると思いますが、概ね以下のような感じでしょう。

公立高校と私立高校の違い一覧表

公立高校と私立高校の違いを一覧表にまとめると、以下のようになります。

項目公立高校私立高校
学費年間約46万円(授業料無償化対象)年間約96万円(施設費・寄付金などで追加費用あり)
運営主体地方公共団体(都道府県・市町村)学校法人
教育方針地域密着型の標準的な教育方針建学の精神や理念に基づいた多様な教育方針
進学指導標準的で大学進学以外の進路にも対応大学受験対策に特化し、特進コースや専門コースなどを設置
入試方法都道府県統一試験(中学3年間の基礎学力を重視)独自試験(学校ごとに異なる科目・難易度)
校則比較的自由(服装・持ち物の規定が緩い学校が多い)厳しい場合が多い(服装・髪型・持ち物など細かく規定)
施設・設備標準的だが、古い校舎の学校も多い充実した設備(冷暖房完備、最新機器、きれいな校舎など)
部活動幅広い選択肢があり、地域に根ざした活動が特徴特定の部活動に注力(強豪校や外部指導者による高レベルの指導)
大学進学実績標準的だが、難関大学への進学は少ない傾向難関大学への進学率が高い(特に中高一貫校が強い)
学生の多様性地域に住む幅広い家庭環境の生徒が集まる教育方針や校風に共感した生徒が集まりやすい
教育カリキュラム全国共通の学習指導要領に基づく独自カリキュラム(国際教育・専門分野など学校の特色が出る内容)
通学のしやすさ地域密着型で通学が便利な場合が多い広域から生徒を募集するため、交通費・通学時間がかかる場合も
競争原理比較的緩やか難関大学進学実績や生徒募集で激しい競争
校風地域性を反映し、多様性がある建学の理念に基づいた特色の強い校風
いじめや荒れ具合地域や学校環境による(荒れた学校が存在することも)比較的落ち着いた環境
生徒層学力や家庭環境に幅がある志向や教育方針が近い生徒が集まりやすい
校舎の新しさ古い建物が多い資金を投じて定期的に校舎や設備をリニューアル
受験時期の影響中学卒業後に高校受験が必要中高一貫校では中学受験後、高校受験が不要
学区の影響学区制により進学先が制限される全国から受験可能

なお、ここからは塾講師目線で見た時に、注目&注意するべきポイントについても紹介していきます。

授業料について

一昔前は、私立高校は授業料が高いと言うイメージでした。

しかし、昨今では「私立高校無償化」が一般化しました。そのため、多くのケースでは公立高校と負担する金額が変わらなくなりました。

ただ、私立無償化は国レベルの政策と、地方別の政策がドッキングしています。そのため、地域間で格差があるのも事実。

東京都などでは制度が充実しており、「ずるい」「不公平」と度々議論になってきました。

料金面でもっと厳密に比較をしたい場合は、お住まいの地域の公式情報をキャッチアップしてください。なお、自塾のある兵庫県に関しては以下のHPより確認できます。

・兵庫県公式HP

入学難易度の違いについて

公立高校と私立高校の場合、同一の偏差値で比較した際の「入学難易度」には差があることが多いです。

これはもちろん、地域によって異なる話です。

しかし多くの地域では、同一偏差値であれば私立高校よりも公立高校の方が入学難易度は高いように思います。公立高校では「内申点」が評価されると言うのが大きいです。

また、私立入試には「私立専願(合格確約)」と言う仕組みもあり、実際の学力(偏差値)よりも少し上の学校にチート気味に入れてしまう抜け道もあります。

そのため、偏差値的なものを見るときは、私立高校に関しては数ポイント減点して比較するのも1つです。

指定校推薦の「枠」の差や内部進学の有無

公立と私立を比較する上で、大学受験を視野に入れた高校選びを気にされる保護者の方は多いです。

その中でも、最近多いのが「指定校推薦」や「内部進学」について。正直なところ、これらは全て“学校による”としか言いようがありません。特に指定校推薦の枠などは年によって異なります。増えたり減ったりするものだからです。

ただ、私立高校は私立大学と連携して枠を稼いでいるのも事実…

その点、公立高校の場合は指定校推薦の枠が多いという印象は正直ありません。しかし、結局はその学校はどうか?という各論の問題です。

私立高校は勉強の面倒見がいい=塾なしでもOKは大嘘

私立高校のセールスポイントの1つが「塾なしでOK」です。

塾屋からしたら「ふざけるな」という話ですが、本当にそうなのでしょうか?

結論、「高偏差値の私立高校はそうかもしれないが、絶妙な偏差値帯の高校(偏差値50〜60)ではそうとも言えない。」が自分の答えです。

そもそも、勉強は自主学習の時間が一番伸びます。だから、ある意味では武田塾が推奨している参考書学習は正しいです。(武田塾の参考書ルートをそのまま信じるのが危険かな?というだけで。)

そして、上位層であればあるほど、自主性がある。だから、学校の授業を聞いて、補習してもらって、あとは自習して難関大を目指すみたいなルートは全然あると思います。この場合、確かに”塾なし”で一定の結果が残せます。

と言うより、私立・公立関係なく、優秀な子は何しても上手くいくって話なのですが…


しかし、問題は偏差値50〜60ぐらいの私立高校。俗にいう「自称進」の中でもさらに下位グループに入るような高校です。このレベルの子は、正直中学レベルですら怪しいです。

ただ、高校の授業はカリキュラム通りに進みます。英語や数学のような積み上げ式の教科は一度躓いたら、戻って学習するしか復活の道はありません。しかし、私立高校とはいえ、その子その子に合わせて戻って学習なんてしてくれない。

これが出来るのは、塾しかないのです。

しかしそうなると、この手の子は「私立高校に通って、さらに塾にも通う」ということになる。一番最悪のケースです。

親御さんはこのリスクを本当にご理解して私立高校を選んでいましたか?おそらく、想定していなかったと思います。私立のセールストークにまんまと乗せられた感が半端ないですよね…

でもね、途中で脱落したあなたのお子さんにも問題はあるはず。知能レベルの問題なら仕方ないけど、大半の子はサボって出来なくなるので。高校は一度サボると速攻で下るから。

公立高校と私立高校の違いの後に:高校選び以前に必要な覚悟

公立高校と私立高校を比較して、我が子にあった学校選びをしようと考える保護者様へ。

ここから先は、少し厳しい現実をお伝えします。心臓に悪いので、読む覚悟のない方はブラウザバックしてください。

知りたくない現実を知ることになるかもしれません。

勉強に対する優先順位が上がっていない子は「詰む」

まず、大学受験という観点について、私立がいいか公立がいいかという議論はほとんど意味をなしません。

なぜなら、大学受験が上手くいくかどうかは、その子自身が大学受験に必要な”勝利条件”を兼ね備えているかどうかで大体決まるからです。

その勝利条件とは「勉強に対する優先順位」です。

まず、これまでのその子の人生の中で、勉強に対する優先順位がどれだけ上がったかがポイントです。中学時代などを見ていて、「勉強はできないと流石にマズイでしょ?」という当たり前の感覚になっているかどうか。

まずはこのマインドが全ての基礎です。

このマインドがあるから、成績が下がり始めると”やばい”と思って何か行動を起こします。そして、自分なりに「どうやったら点数が上がるか」を考えるようになります。

このマインドがない子は、どこまで行っても「他人事」です。

親に言われたから、先生に言われたから…といった動機でしか動けず(いや、それで動けるならまだマシかな?)、結局は楽な方に流されます。

中学レベルなら、一定の地頭を有している子は塾のパワーだけで点数が上がりますが、大学受験ではもう無理。

大学受験を自分ごととして捉え、自分の中で問題解決のための仮説を立て、そして修正しながら目標に向かって進む子以外は勝てない。特に難関大学になればなるほどそうです。

これは、私立高校とか公立高校とかハード面の問題ではなく、その子の内側のソフト面の問題でしかないのです。

「自学力」が身につかないまま高校生になっても「詰む」

大学受験で勝利する上で、もう一つ欠かせない勝利条件があります。

それは、「自学力」です。

自学力とは、人に教えられて、言われたことをこなす勉強の真逆に位置する概念です。要するに、「自分の課題を自分で見つけ、そのために必要なことを考えながら自主学習する力」ってことです。

中学校時代、塾でしか勉強していなかった子いますよね。家では全く勉強せず、塾に行かせないと自主学習を全然やらないタイプ。また、学校ワークなどもテスト期間直前にしかやらないみたいな子も然り。

当然ですが、この子達は塾で出された課題を脳死してやっているだけ。学校ワークなども提出があるから仕方なくやっているだけ。

このタイプは、己の意志で勉強するという一番大事な能力が致命的に欠落しています。

ただ、中学レベルなら、塾でガチガチで管理してしまえば、一定の地頭がある子なら、それなりに点数を取らせてあげられます。だから、なんとかなってしまっていたって子も多いです。

しかし、学年の下位層にいる子を想像してください。正直、このタイプの子のやっていることは、下位層と何も変わらない。

ただ、このタイプは下位層の子に比べて地頭は悪くない。だから、少しでもいいから背中押して勉強させれば点数が上がってしまう。下位層は、少し背中を押す程度ではびくともしない。元々賢くないからです。

要するにこの手の子は、学年下位層の”上位互換”にすぎなかっただけです。

中学のレベルまでは耐えられますが、高校の勉強は難易度が高すぎます。流石に、常日頃から「自学」を習慣化していないと素質のある子でも秒殺される世界です。

このタイプの子も、公立に進もうが私立に進もうがどうせ詰みます。

※なお、「自学力」の重要性については、以下の書籍にびっしり書かれています。

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ワンチャンの推薦入試でコケたら「Fラン」へ進学

昨今の大学受験では、私立大学を中心に推薦に入試が主流になっています。そのため、大学受験は勉強できなくてもいいのでは?と勘違いする人も増えています。

しかし、そんなアホな話あるか…と言いたい。

確かに、指定校推薦などは一般入試を突破するような学力は不要です。学校内での評定を稼ぎ、先生に気にいいられる処世術を持っていればいいので。

ただ、評定稼ぐってことは学校の定期テストはクソ真面目にやるってことです。高校レベルの学業でそこそこの成績を取ろうとすれば、それなりの努力は必要です。

その上、指定校推薦は推薦をもらえれば勝ちですが、貰えなかったら詰みます。一般受験の対策をせず、指定校推薦含む推薦入試に賭けて来た子の末路は悲惨なものです。

浪人を選択することになるか、名前を書けば合格がもらえるFランに進学するかどちらかです。

これは、公立高校・私立高校関係なく当たり前に起こりうる話です。

親がすべきこと:子供の前提条件を受け入れること

公立高校がいいか、私立高校がいいか。

そんなことを悩む前に、まずは親御さんに絶対にして欲しいことがあります。

それは、「子供の前提条件を受け入れること」です。

正直なところ、子供の能力なんて遺伝的なものでほぼ決定されています。性格なんて努力で変えられないですが、その性格も受験結果に影響を及ぼす大きな変数です。

先ほどの「勉強の優先順位」の話も、家庭内での教育水準の問題はもちろんありますが、最後は本人がどう感じているかどうか。そこに、生まれ持ってして決まる遺伝子が影響しないわけもない。

また、自学力も然り。結局勉強は「勤勉性(コツコツ)」が必要です。幼少期から物事を雑にやってきタイプは、勤勉性が欠けています。だから勉強もイマイチなのです。

なお、勤勉性に関しても遺伝子で約半分決まります。

※以下は、人間の能力が遺伝と環境のどちらをどれだけの割合で受けているかを慶應大学がまとめた表です。

これらは、以下の書籍でも書かれている内容です。

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なので、親御さんはある程度子供の前提条件を受け入れる必要があります。自分の子が勉強という競技にどの程度適性があるのかを。

世の中にはびこる「毒親」は、己の期待値と子供の能力の間の差が大きすぎることを分かっていません。いや、分かっているかもしれないけど、受け入れきれていません。

だから、子供との関係がぶっ壊れます。

高校選びを考える上での出発点は、我が子の期待値を適切に受け止めることです。それを間違えると、その後の選択は大抵コケます。

つまり何が言いたいかというと、高校生ともなれば結局本人の素質や能力に集約されてしまう。だから、公立でも私立でもぶっちゃけ対して変わらない。ということです。

金銭的な面で問題がないのであれば、子供のレベルに合った高校に進学すればいいだけです。

総括:公立高校と私立高校の違いまとめ

最後に、本記事のまとめを残しておきます。

公立高校と私立高校の違いを比較することは無駄
高校選びは向き不向きだけではなく、子どもの性格や能力に基づいて選ぶべき。

公立高校と私立高校の比較ポイント
学費、運営主体、教育方針、進学指導、校則、施設・設備、部活動、進学実績、通学の利便性、カリキュラムなどで異なる。

学費の違い

  • 公立:年間約46万円(授業料無償化対象)。
  • 私立:年間約96万円(施設費や寄付金などで追加費用あり)。

運営と教育方針の違い

  • 公立:地方公共団体が運営、地域密着型の標準教育。
  • 私立:学校法人が運営、建学の精神に基づいた特色ある教育方針。

進学実績の違い

  • 公立:大学進学以外の進路にも対応。
  • 私立:難関大学進学に特化(特進コース設置など)。

入学難易度の違い

  • 公立:内申点が重要、入試難易度が高い場合が多い。
  • 私立:独自試験、専願制度で入りやすい場合も。

指定校推薦と内部進学

  • 公立:指定校推薦枠は少なめ。
  • 私立:私立大学との連携が強く、推薦枠が多い場合も。

施設・設備の違い

  • 公立:標準的だが古い校舎も多い。
  • 私立:冷暖房完備や最新設備などが充実。

勉強面のサポートの違い

  • 私立:一部の高偏差値校を除き、塾なしでの対応は難しい。

重要な条件は「勉強に対する優先順位」
子どもが自発的に勉強する姿勢を持っているかが重要。学校の違いよりも本人のマインドセットが鍵。

「自学力」の必要性
高校では自主学習の習慣がないと、どの学校でも成績が上がらない。

推薦入試のリスク
指定校推薦に頼りすぎると、一般入試対策が不十分で失敗する可能性がある。

親がすべきこと
子どもの素質や能力を正確に見極め、現実的な期待値を持つことが必要。

最終的な結論
公立・私立の違いは大きいが、重要なのは子どもの性格や学習スタイルに合った学校選びをすること。

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