勉強に必要なのは知能?努力?
自分としては「最低ラインの知能を有している子の中で、どれだけ努力の最大値を引き出せたか」が勝負の分かれ道だと思っています。
だから大前提、明らかに知能水準が低い場合は努力論の話は無効化されやすいです。しかし、一定以上の知能を有する前提なら、そこからは割と努力(勤勉性)がモノを言うでしょう。
特に、中学校レベルの勉強は一番その理論が当てはまります。
ただ、勉強という競技の中で一番最強と言える「才能」は何か?と言われたら、知能よりも、努力できるか(勤勉性)よりも大事なことがあると思います。
それが、「狂気」です。
勉強で成果を出すことで得られるメリットを何が何でも享受したい。そのためなら、今どれだけ苦しくても我慢するし、他にどれだけ楽しいことがあっても勉強を優先する。誰に言われるわけでもなく。
こんな風に思えるマインド、それを自分は狂気と呼んでいます。
そして、ガチの天才を除けば、難関大学に進学できるような子は概ねこの素質を兼ね備えています。自分は神戸大卒ですが、神戸大ぐらいのレベルは本当にこういう人間が多かったと断言できます。多分ですが、阪大もそんな感じ。でも、京大までランクが上がると、ガチの天才の比率が増える印象です。
ちなみに高校受験レベルでも、上位の偏差値の高校になればなるほど、狂気を持っている子の割合が増えます。
しかし、勉強においてある意味では一番大事な狂気とは、一体どのようにして誕生するのでしょうか?そして、それは狙って作り上げることができるのでしょうか?
残酷な話ですが、それもまたほとんどは先天的なものに依存すると思います。要するに、やっぱり遺伝の影響は避けられないということです。
狂気とは「渇望」から生じる自発的なエネルギー
自分自身の経験、そして、塾長として何人も生徒を見てきた上で感じる経験からしても、上位校に進学する生徒には大きな共通点があると思わずにはいられません。
それが冒頭から言い続けている「狂気」です。
学力が高い生徒は、確かに地頭の最低ラインの壁は超えています。少なくとも馬鹿じゃない。その時点で、能力的に恵まれていることは大前提であり、それがなければ努力だけでは上位には行かないのもまた現実です。
でも、中学生の上位層の子を見ればわかりますが、この子達は優等ではあるが天才ではない子がほとんど。
これを学べるのがハイキュー及川のキャラ設定。そしてこのコマ。

個人的には及川はどう見ても天才だと思いますが(笑)、少なくとも自分より才能がある選手(ウシワカとか影山とか)に劣等感や焦りを感じながらも、こいつらに喰らいつくために必死にもがく生き様が魅力的な奴。
見てるこっちがしんどくなるぐらい、狂ったように練習しちゃう奴。

勉強でも同じで、このタイプはどういうわけか、
・何とかしてテストでいい点数を取りたい
・何を犠牲にしてでも〇〇高校に行きたい
と言った強い想いを持って勉強に打ち込む子が多いです。
しかも、こちらがケツを叩いているわけでもなく、勝手にそう思っています。で、大なり小なりの差はありますが、自発的に勉強をしてくれます。そこに「狂気」を感じるのです。
そして、その狂気の源泉こそが「渇望」です。
この子達はね、渇いているんです。
・将来成功したい
・あいつには負けたくない
・大人になってから稼ぎたい
・いい会社に就職したい
動機は人それぞれだと思いますが、「あんな未来を手に入れたい」「将来こんな風になりたい」という未来に対する飢えが絶対にある。
だから、今どれだけ辛くても、目先の勉強を頑張ろうとしてくれます。なぜなら、勉強を頑張ることで得られるメリットが、自分にとってはそれなりに大きいモノであることを感覚的に理解しているからです。
と言うよりね、これが賢い人間とそうでない人間の決定的な差でもあります。
賢い人は常に時間軸が未来にあります。今の苦痛を受け入れた方が将来の苦痛が少なく済むことが分かっています。だから、今この瞬間に楽な方向に流されることを本能的に気持ち悪いとも思えるんですよね。

一方アホな奴は、時間軸が常に今。今楽しければそれでいい。今辛いことはしたくない。それが未来にどの程度マイナスの影響を与えるかなど、全く計算していない。あるいは、その計算がどう考えても間違っている。あるいは、分かっていても出来ない人間なのかもしれません。
しかしいずれにせよ、時間軸が現在にある人間は、未来のことを軽視します。だから、将来に対する渇望も弱い。だから、今この瞬間に狂うことができない。焦りや不安がないからです。こういう考え方そのものが、学業成績にも大きな影響を与えます。
こういう連中を自由にさせると、後からとんでもない後悔が訪れます。奴らはね、今やりたいようにうやるという自由権を行使した結果、将来どの程度の代償があるのかを測り損ねているんですから。

アホを自由にさせると本当にロクなことにならない。
ただ、勉強する子を動かす「渇望」は、あくまで本人の内側から自発的に湧き上がってくるもの。決して誰かから与えてもらうモノでもなければ、塾に行って作り方を教えてもらうものでもない。
これまで生きてきた中で、どういうわけかそういう感情を持っている子が一定数いるんです。その感情は、何かしらの劣等感から来ているかもしれないし、他者との競争に敗れたくないという闘争心から来ているかもしれません。
でも、ほとんどは本能的なモノであり、そこにロジックを紐付けようとする行為は愚かです。結局、「自分でもなぜか分からないけどそう思うから」というのが本質的な答えですからね。
別の言葉で言語化すれば、それが「性格」ということでしょう。そして、性格はほとんど遺伝で決まります。一部環境の影響もあるのですが、行動遺伝学では遺伝で半分以上決定されると言われています。
だから、渇望から来る狂気を狙って引き起こすことはできないのです。ゆえに「才能の1つ」なんです。
勉強を狂ったようにやり込めた人に、なぜそんな努力ができたのか?と聞くと、それらしく後付けで何か言いますが、実際のところ自分でもよく分かっていませんからね。自分自身も、高校時代になんであそこまで猛勉強できたのか、今でも分かりません。でも、確実に飢えてはいたのでしょう。
狂気がない子は塾に通っても爆伸びはしずらい
正直なところ、狂気がない子は、塾に来ても爆伸びはしずらいと思います。
もちろん、塾に来てもらえれば、今より大なり小なり点数を上げられる自信はあります。点数のアッパーが近い子は時間がかかりますが、まだ上げ余地が大きい子は数ヶ月で結果が変わることも多い。
でもね、これはあくまで、テクニックで上げられる部分を最大化しただけの話。
例えば、テスト直前2週間ぐらい毎日塾に呼び出し、学校のワークを覚えるまで再試しまくるとかやればいいんです。どうせ大手や個別などここまでやり込ませないので、ウチに転塾して来た子の多くがすぐに何十点か点数が上がっていきます。
特に、大手塾の集団コースに入っているけど、成績的には真ん中よりちょい上ぐらいで止まっている子はまあ上がりやすい。
でも、こんなの少し考えれば当たり前。
だって、今までワーク1周しかさせなかった子に、2周3周と余計に負荷をかけ、暗記量などを無理矢理増やしているのですから、理論上は上がらない方がおかしいんです。
もちろん、このオペレーションでも上がらない子もいますよ。地頭が悪すぎて、一定回数ワークを回しても全然覚えられない子や、語彙力が弱すぎて日本語が読めなさすぎな子などがその典型。
この子達は、テクニック以前に土台がグラグラすぎます。
これだと時間が膨大にかかるし、その膨大な時間を耐えれないのであれば理論上はもう伸びないことが確定です。学年下位40%は大体こんな感じで、それゆえ自習時間を増やしても伸びずらいです。
ただ、今回はそういう話をしているのではなく、一定レベルの地頭水準に達している子でも、狂気を兼ね備えていない子の成績はどこかで伸びとどまるということです。
自分の経験則では、地頭水準によってその壁が異なります。
でも、中学生の場合だと、地頭水準が上半分ぐらいの子であれば370点〜400点ぐらいにかなり分厚い壁があると思います。要するに、ここまではテクニックで上がりやすいのですが、それより先は「狂気」がないともう無理。
そして、狂気があったとしても、すぐに結果が出るわけでもなく、一定期間は伸び悩んだりする時期があるのも特徴です。でも、この壁を乗り越えると、成績は爆伸びします。もう一段上から違った景色を見ることができます。
なお、狂気がなくても400点以上取る子もいますが、この子達は元々の地頭水準が上半分の中でもさらに上にいる子です。塾のおかげでもなく、その子の才能ありきです。もちろん、完全に遺伝の問題です。
逆転合格に最も必要な資質は「狂気」です
学習塾へのニーズとして、当然ですが「逆転合格」があります。
ハッキリ言えば、「やるべきことを先送りにする人生を歩み続けた愚かなご家庭の図々しいご要望」です。ただ、それがあるから塾は存在できているというのもまた事実。
でも、ニーズがあるからと言って、それがイコール解決可能な問題だということにはならないですよね?
当然ですが、この手のニーズが実現するかどうかは、学習塾のオペレーション以上に、本人の資質が問われます。逆転合格は課金ゲームでもなければ、塾選びをどう上手くできたかを競うゲームでもありません。
そもそも逆転合格とは、滅多に起こらないから価値があるのです。受験は大原則として順当合格です。でも稀に、その大原則を打ち破る子がいて、それを逆転合格と呼ぶわけです。
そして、逆転合格が起こる理由のほとんどは「運」と「狂気」です。
まずね、運はある。絶対にある。勝負事は、不思議の負けはなくても、不思議の勝ちってあるので、何人も勝負する受験では、確率論的にも不思議の勝ちが起こってしまうもの。
でも、そこには全く再現性がない。
確率論の問題であり、塾はそういう子を何人抱えていたかで逆転合格の数が決まります。だから、その数字に全く意味はない。
しかし、勝つべくして勝つ未来を引き起こし、逆転合格を勝ち取る子が数%はいます。その子たちは、大なり小なりの差はあるものの、「狂気」がある。塾をやっていると、こういう子に出会うことがあります。
だから感覚的ですが、「この子はもしかしたら本番で逆転するかもしれないな?」って思えたりするんですよね。そして、そこに論理的理由はないです。何となくそう思うだけなのですが、この勘は結構当たります。
話は脱線しますが、ナルトのワンシーンでこういうシーンがあるんですが、まさにそういうことかと思うわけです。

手術の成功の話をしているシーンですが、「努力を続けてきたお前の手術は必ず成功する。きっと天国の未来を呼び寄せる。」ってのが逆転合格とも重なるような気がしてならないんですよね。
だから、狙って逆転合格を引き起こしたいと思うなら、「狂気」が条件だということは分かっておいた方がいい。だから、狂気がないなら逆転合格にあまり希望を持たないこと。だってあとは運ゲーに委ねるしかないのですから。
そして、しつこいですが狂気は狙って作れない。
狂気がある子なのか、ない子なのか、それだけの話です。
だから親や塾が、「勉強を頑張れば将来〇〇なメリットがあって…」なんて諭さなきゃいけない連中には逆転は無理。この時点で勝利条件を欠いている。そもそも狂気を持つものは、もうすでに動き出している奴なんだから。
兵庫県第一学区では、学年でも下半分以下の子の多くが、六アイへの逆転合格を切望されます。このニーズは非常に多いですが、実際に逆転合格できるのは本当に一握りです。ほとんど脱落か不合格で受験を終えます。
しかし、逆転合格をする人間が本当にわずか(1割いればいい方)にいます。その際、それができる子かどうかを予測する上で、狂気があるかどうかが一番大事なポイントです。
特に、学年順位で全体の40%〜60%までの子は、勉強適性という部分ではまだギリ希望があります。だから、狂ったようにやれる子は、学習塾選びが非常に大事。本気でやる子を支える仕組みがあるのかどうかを見てください。ウチはあるよ。
総括:「狂気」を持たない子が塾に通っても伸び悩む理由まとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
- 勉強で成果を出す最強の才能は「知能」や「努力」よりも「狂気(渇望から生まれる自発的エネルギー)」である。
- 狂気を持つ子は、他の楽しみを犠牲にしてでも勉強に打ち込み、未来の成功や競争心から強烈に突き動かされる。
- 狂気の有無は先天的要因(遺伝)に大きく左右され、後天的に作り出すことは困難。
- 狂気がない子は、塾でテクニック的に一時的な点数上昇は可能だが、370〜400点以上の壁を突破して爆伸びすることは難しい。
- 逆転合格を可能にする最大の要素は「運」と「狂気」。狂気のない子に逆転合格の再現性はない。
- 親や塾が外から動機付けしても無意味で、狂気は本人の内側からしか生まれない。
- 結論として、狂気を持たない子は塾に通っても伸び悩み、逆転合格は狙えない。
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※学習塾に通っていない場合は、塾用教材を使って勉強するのが効率的です。市販教材に比べて圧倒的に質が高くコスパもいいです。学習塾の先生の要望に応えた教材で、痒い所に手が届く良書ばかりです。本屋では買えないですが、Amazonなら購入可能なので、以下におすすめ教材をまとめておきます。
※市販教材でおすすめ教材を知りたい人には、以下におすすめ参考書・問題集をまとめた記事を掲載しておきます。
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