最近は家庭学習の時間がほぼ0時間という生徒は非常に多くなりました。
だから極端な話、「学校以外の勉強時間は塾だけ」って子が一定数、いや、結構な割合存在しているように思えます。
定期テスト1週間前とかだとさすがにやる子はやりますが、それより前になると完全に自宅学習を0時間にする子が多いのが現代の特徴です。
では、ここで今回の本題。
「家庭学習がほぼ0時間で平均点以下の中学生の塾通いに意味はあるのか」
というテーマについて、自塾のある兵庫県第一学区の事情を前提に、自分なりに書いていこうと思います。
理由は、この属性が最も塾通いの恩恵を受けづらい(=満足されずらい)顧客層だからです。それゆえ、塾選びに失敗しやすいからです。
【兵庫県第一学区】家庭学習0時間かつ平均点以下の生徒の塾通い
この問題を考える際に大事なことは、「どういう進路を望まれるか」です。そして、各ニーズ毎に、現在の子供の学力がどのレベルにあるのかがポイントになります。
まず、平均点以下の生徒の場合、保護者のニーズは以下のように分かれることが多いです。
①六アイ(須磨翔風)以上の公立中堅校への進学
②東灘高校か専門学科の高校への進学
③公立を断念して私立専願
最後の③は、最初から私立専願を望んでいる人も含めます。
では、それぞれの場合で、塾通いに価値があるのかどうかを、あくまで受験結果(合否)をいう軸で、塾経営者目線で評価していきます。
なお、「子供が塾に通っているだけでも親としては満足です!」的な精神的な価値的なものは今回論点にしていません。あくまで、”実益”の部分にフォーカスして考えてみます。
①六アイ(須磨翔風)以上の公立中堅校への進学
まず1つ目、平均点以下なんだけど、六アイや須磨翔風など中堅の公立高校を望んで塾通いをされる場合。あるいは、それ以上(葺合や御影など)も含めます。
この場合、家庭学習時間がほぼ0という前提であれば、学習塾に通わせて価値を感じる可能性は、限りなく0に等しいと思います。
まず大前提、六アイや須磨翔風は偏差値53程度で、これは公立中学だと上位40%程度の学力に相当します。兵庫入試は内申点の影響も大きいですが、原則として平均以下は上位40%の水準ではないので、順当に行けば六アイなどは受かりません。
ただしこれは受験時の学力なので、これが中1や中2であれば話が変わってくるのは事実です。
しかし、中学のテストで平均以下になるような生徒は、お世辞にも地頭が良いとは言えません。教えても理解力があるとは正直思えないし、一度教えたことをすぐ忘れる程度の記憶力しかありません。知ってる言葉の量も少なく、精神的に幼い子も多いです。もちろん、暗記スピードも遅い傾向にありますし、問題演習のスピードも遅いです。
つまり、順当に六アイ以上に受かる地頭の子との差を埋めるため、余計に物量をやらせなければいけない子ということになります。
でも、家庭学習時間が0ということであれば、その時点でもう無理です。
保護者の中には、「でも塾には行かせて勉強させているじゃないですか?」と反論したい人も多いでしょうが、そのご指摘は完璧にズレています。
なぜなら、“順当に六アイ以上に受かる子も、大半は塾に通っているから”です。
兵庫県の場合、学習塾の通塾率は他県の水準よりそもそも高く、塾通いはデフォになっています。だから、塾で学校プラスアルファ勉強した分は大して加点になりません。みんなやってますから。
で、その上で差が出るんですが、その差を生む大きな要因が「地頭の良し悪し」という話です。平均以下になる子は地頭が良くありません。同じように学習塾で指導しても、地頭がそこそこの子との間に点数差が残酷にも開きまくります。
そして、その差を埋めたければ、自主学習などで物量を積むしかないのです。
でも、家庭学習をほぼしないというだらけ具合の子であれば、この時点で勝利の方程式を満たすことが出来ず、ほとんど構造的に六アイ以上などいけません。
あとは、推薦入試でワンチャン受かるか、副教科の内申点がかなり高くて内申点で勝ち逃げして六アイに受かるかみたいな例外ケースしか道が残されておらず、ぶっちゃけそれは塾がどうこうの問題ではありません。
よって、この場合の塾通いの価値は、実質ほぼ無価値だと思っておいた方がいいです。
②東灘高校か専門学科の高校への進学
平均点以下で自主学習0の子でも、六アイなど中堅公立高校以上を目標としない塾通いであれば、話はガラッと変わってきます。
具体的には、
・東灘高校
・専門学科の高校(工業・商業・農業など)
など、一般的に偏差値50以下の公立高校を目指す場合です。
この場合だと、“家庭学習が0で塾の勉強だけでどの程度の点数が取れる子なのか”によって場合わけができると思います。
正直、平均点以下というのは学力で見れば下位なのですが、その下位の中でもさらに子供のレベル感は細分化されていきます。
この細分化をやりだすとキリがないのですが、5教科の平均点が300点の場合だと、以下のような点数帯で子供の属性が変わる印象です。
・250点〜300点
・200点〜250点
・200点以下
そして、それぞれの場合で、塾通いの恩恵の受け方が変わってくると個人的には考えています。
250点〜300点の場合
塾での勉強とテスト直前の勉強でこのぐらいの点数レンジであれば、仮に家庭学習が0時間の子でも、塾通いの恩恵は大きいと思います。
専門学科の高校と東灘ぐらいであれば、概ねこの辺りの点数で受かるからです。東灘であればこれよりちょい下でも受かる子は受かります。
なので、塾に通わせておいてこの点数をキープできるなら目標達成が出来そうなので、塾通いにも不満が出づらいご家庭だと思います。
200点〜250点の場合
このぐらいになると、正直なところ、地頭水準がかなり落ちる印象です。
根本的に家庭学習の時間がどうこう以前に、元々の知能が弱すぎて、勉強という競技に向かなさすぎる子が非常に多い印象です。
なので、点数によっては専門学科の高校ですら厳しい子も出ます。でも、東灘ならなんとかなるかな?どうかな?って感じです。
だから、目指す学校がどこかによっても、塾通いの満足度が変わりやすいです。仮に専門学科(科技など)で、もう少し点数が欲しいなら、やっぱり多少は自主学習の時間が欲しいです。
だから、東灘を許容できず、最低でも科技高!的な価値観で子供の家庭学習時間0みたいなコンボが塾としては一番引き受けたくないケースということになります。
家庭学習0時間でそれができるのは、もう1つ地頭のレンジが上にある子の特権です。
200点以下の場合
こうなると、専門学科の公立高校は受かりません。東灘高校ですら怪しくなる水準です。
このぐらいの点数の子の場合、そもそも論として学習障害や境界知能の可能性もかなり高くなってきます。仮にそうでないとしても、IQ値はかなり低く、日本人の中央値を大きく下回るでしょう。
だから、仮に家庭学習などを増やさせて努力させても、ちょっとやそっとのことでは点数は上がりません。特に中3の勉強は学問のレベルそのものが高く、知能水準が極端に低いと、理解することすらできなくなります。そして、受験問題のような思考力・応用力を問う問題など全くできません。
ただし、この層も、家庭学習の時間が欠落しているからその点数というより、先天的な地頭の問題の方が正直インパクトが大きいです。
だから、根本的に成績アップや志望校合格という目的での塾通いそのものに満足を感じていただきずらいことになります。
ワンチャン東灘でも受かったらラッキー!ぐらいの温度感で塾への課金を許容できる場合でない限り、塾通いの価値を感じることは極めて難しいと思います。
③公立を断念して私立専願
最後は、公立を断念して私立専願になる場合です。
このケースは、本当に色々なパターンがあるので、今回は以下の切り口で場合分けして考えてみます。
・最初は公立志望だったけど断念して私立専願
・最初から私立専願
要するに、私立専願を決めているタイミングの問題です。
最初は公立志望だったけど断念して私立専願の場合
そもそも平均点以下の場合、六アイ以上にはいけません。ましてや家庭学習時間が0時間ということであれば、99%無理です。
だから、この手のタイプは仮に最初に公立を目指した塾通いをしても、どこかのタイミングで現実を受け止めることになります。
そして、六アイには届かず、東灘や専門学科しか公立では選ぶところがないとなると、それは嫌などで私立専願に逃げることになります。毎年のお約束の流れです。
点数で見ると、250点〜300点の間ぐらいにいる子に多く、この子たちが滑り止めで使われる私立の特進コースなどに専願でいきます。特進コースとは?という疑問があると思いますが、中堅私立の専願による特進合格は六アイに受かるよりも遥かに簡単なのです。
こうなると、「私立専願で行く学校に納得できるのかどうか」が塾通いの満足度に直結しやすいです。
例えば”六アイを断念して、龍谷の特進コースに私立専願にする”みたいな進路に着地した時、ご家庭の満足度がどうなるのか?ということをご自身で考えることが大事です。
もちろん、まだまだケースはあります。
例えば200点〜250点ぐらいしかない子だと、私立専願にしても特進コースは推薦がもらえず、真ん中ぐらいのコースで落ち着くこともあります。そうなった時、その進路に納得できるのかどうか?なども考えるポイントではないでしょうか?
正直、ここで何が問題なのかというと、「私立専願になるぐらいならそもそも塾に行かせる意味はなかったのではないか?」と保護者が感じるケースです。
だって、私立専願って、推薦さえ貰えば誰でも受かるケースがほとんどです。だから、専願にする子の大半は途中で勉強の手を緩めます。基本的に逃げ癖のある子が専願受験に流れる傾向がありますからね。
だから、そんなところになるぐらいなら、別に塾に高いお金を払い続ける必要はなかったのに…と思われる方も当然出てくるわけです。
しかし、元々が平均点以下で地頭もよくない子で、かつ家庭学習が0時間なのでから、そうなる可能性はぶっちゃけ最初からかなり高かったはずです。そもそも平均を下回る子は、勉強投資の期待値が高くはないのですから、それは事前にハイリスクな投資であることを受け止めておくべきです。
その上で納得できるなら塾通いに課金すればいいし、最後の最後で恨み節を吐いて退塾していくようなら、最初から塾通いなんてしない方が幸せです。
最初から私立専願の場合
公立を断念して私立専願になるご家庭に比べて、最初から私立専願で高校進学を考えているご家庭は非常に穏やかです。
この場合、保護者さんはご自身のお子さんが置かれている状況を客観的に受け止めているのでしょう。
そもそも平均以下で勤勉性もないのですから、順当に行けば六アイ以上なんて受かりません。であれば、無償化もあるし、最初から欲を出さずに名前さえ変えけば受かるような私立に行かせればいいでしょ…と割り切っています。
で、私立専願で推薦もらえるぐらいの内申点や点数をキープできるような塾を探す。この場合、その子の点数とどのランクの高校を専願受験するかにもよりますが、まあ緩い個別でも何とかなる子も多いです。
だから、週1回とか2回とかで面倒を見てもらい、特に勉強面でガミガミ言われることもなく、最低ラインを割らないレベルの指導で、子供がとりあえず通ってれたら満足…ぐらいに考えている人も多いです。
正直、平均以下の学力で勤勉性もない子供にそれなりのランクの学校を求める毒親家庭に比べて1000億倍まともなご家庭です。
こういう場合は、受験結果そのものに塾通いの目的がないので、保護者さんとの関係値を上手く気付けたり、子供と仲良くやってくれる先生と出会えれば塾通いに価値を感じられるでしょう。
総括:家庭学習ほぼ0時間かつ平均点以下の中学生の塾通いまとめ
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
① 六アイ(須磨翔風)以上の中堅公立を狙う場合
- 偏差値53=上位40%レベル。平均点以下・家庭学習0ではほぼ不可能。
- 順当に合格できる子も塾に通っているため、塾だけでの加点は小さい。
- 勉強量を家庭学習で積まないと差を埋められず、塾通いの価値はほぼ無い。
② 東灘・専門学科(工業・商業など)を狙う場合
- 250〜300点:塾通いだけでも合格可能。価値あり。
- 200〜250点:知能水準が低め。専門学科すら厳しい場合あり。家庭学習が必要。
- 200点未満:学習障害や境界知能の可能性大。東灘ですら厳しく、塾通いの効果は薄い。
③ 公立断念→私立専願の場合
- 途中で公立を諦め私立へ:結局「塾に通う意味あったのか?」と不満が出やすい。
- 最初から私立専願:現実を受け止めており、無理のない選択。塾通いは内申維持や最低ライン確保程度で十分。満足度も高め。
総括
- 平均点以下+家庭学習0は、六アイ以上はほぼ不可能。
- 東灘・専門学科なら点数帯によっては塾通いの価値あり。
- 私立専願なら期待値に応じて満足度は変わるが、最初から割り切っている家庭は堅実。
- 根本的にこの層は塾への投資期待値が低いため、「塾通いに意味があるかどうか」は進路希望と親の認識次第。
※全保護者さんに読んで欲しい「勉強法や子育て本のおすすめ」を以下の記事で紹介中。Kindle Unlimitedを使うと全て”無料”で読むことができます。
※学習塾に通っていない場合は、塾用教材を使って勉強するのが効率的です。市販教材に比べて圧倒的に質が高くコスパもいいです。学習塾の先生の要望に応えた教材で、痒い所に手が届く良書ばかりです。本屋では買えないですが、Amazonなら購入可能なので、以下におすすめ教材をまとめておきます。
※市販教材でおすすめ教材を知りたい人には、以下におすすめ参考書・問題集をまとめた記事を掲載しておきます。
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